2019/07/29 のログ
キルド・ニッヒト >  
「………………はい?」

なんと言ったのだろうか。
うまく理解できず、首をかしげた。

えーっと同じ場所に住む?
――それはつまり……

「いえ、別居がいいというわけではないですが。一緒に住むんですか?」

なんでまた、と首をもう一度かしげた

フィリオソリス >  
「そ、それは
 番というものは一緒に住むものじゃろう?」

みなまでいわせるなというように
つつつと胸にのの字を描く

そうして上目遣いにちらりと顔を伺うのだった

キルド・ニッヒト >  
「番?」

そこでようやく

「――え、結婚するんです? ボクたち」

すれ違いの部分に気づいた

フィリオソリス >  
「え」

上目遣いに見上げるその目尻に大粒の涙がじわりと浮かび
ふりふりと動いていた尻尾が意気消沈したようにうなだれた

キルド・ニッヒト >  
「あ、いえ、その結婚が嫌というわけではないんです」

流石に察するものがあったのか、なく前に、告げて

「ちゃんとお話しませんか。ボクらはそういう先の話をまだ一度もしてません」

二人の、なんて――

フィリオソリス >  
「うむ…」

うつむいてぺたりと座り込む
涙はこらえたようだが尻尾は力なく垂れたままである

しょんぼりと地面にのの字を描いていた

キルド・ニッヒト >  
「…………」

先走ったということは理解していない少年であるが
でも、そんな顔をしてほしくはないなとは思うものである
ので――

「お菓子食べましょう? 今日はマシュマロ、です」

フィリオソリス >  
何かごまかされている気がしてじとっとした目で見つめる

じーっと見つめてそして

「あーん」

と口を開いた

キルド・ニッヒト >  
「はい」

目を細めて見つめ――そのままマシュマロを一つ。
口の中へ――

「――ボクは、どこにも住んでいないので。転居となると難しいです」

自分の考えを話しつつ

「ここで一緒に、ではだめですか?」

フィリオソリス >  
マシュマロを口に入れられ頬が緩む

「そうなのか?
 しかしぬしさまはこのような場所に住むのはつらいのではないか?」

人里離れて地下深く、マグマが湧き出ているような暑さである

住まいを移そうとおもえば
金自体は冒険者が落としていった財宝を売ってしまえばいくらでも工面出来るだろうし
極論を言えば彼女自身は別に宿無しでも問題なかった

キルド・ニッヒト >  
「――なるほど」

つまりはそういうことか

「ボクも同じですから、そう提案したんですが」

どこであっても変わりないから――

「ここのほうが貴女の勝手がわかりますし、負担にならないと思ったんですけど」

フィリオソリス >  
想いを聞き若干思案してみせる
それから

「ふむ……わかった
 ぬしさまよ、我に任せてはもらえぬか?
 悪いようにはせぬ」

と、何やら思いついたように答えた

格好良くいっているように見えるが
見た目はあーんと口を開けおかわりを催促しているので様にならない

キルド・ニッヒト >  
「わかりました。おまかせします」

機嫌が治ったようでホッと息を吐き――
表情に変わりがないが、柔らかな空気が包む

「はい」

おかわりをほうりながら

フィリオソリス >  
「♪~」

とりあえず結婚のことがあたまからすっぽ抜けたようで
しあわせそうにマシュマロを頬張るのであった

キルド・ニッヒト >  
「――ふふ、これだけでも十分」

そう、これだけで幸せなのだから。
自分にはどこでもかわらないと、そう思っている。
きっと彼女以上に。
だから、ゆっくりと、この時間を味わうように

「あ、今日は泊まっていっても平気ですか?」

フィリオソリス >  
「うん?良いがベッドはないぞ?片付けてしまったからな」

マシュマロを口一杯に頬張りながら答える

キルドはさっそく【このような場所】の洗礼を受けることになるのだった

ご案内:「ドラゴンズネスト」からキルド・ニッヒトさんが去りました。
ご案内:「ドラゴンズネスト」からフィリオソリスさんが去りました。