2019/04/07 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中 温泉宿」にシュバルトさんが現れました。
シュバルト > 人体に流れる魔力の流れを正して調律する仕事は一度嵌れば意外と仕事があるらしく、昨晩から九頭龍山脈の山中にある温泉宿の一つに仕事として逗留していた。

今日も今日とて老若男女問わず短時間でかつ、流れるように人への調律をくり返した所為で正直へとへとなのだが、廊下を歩いていた際に仕事病とでも言うべきか露骨に体調が悪そうな人影を見かけてしまう。

お人よし、おせっかいとよく言われるのだが、見過ごすにしても壁に手をつけて歩く姿はあまりにも辛そうで、ストーキングと言えば言葉悪いが、声をかけるタイミングを失いながら、その女性の後をついてまわってしまい、最終的には部屋に入る姿を見送り、慌てて……声をかけようと。

「……どうもー温泉宿に雇われている魔導調律師の者ですが、大丈夫ですかー?水か何かお持ちしましょうか?それとも酔い覚ましでも?」

普通の人間か若しかしたら特殊なタイプの方かも知れないので、一先ず声はおそるおそると言った感じの声色で問いかけ、直ぐにも扉を開くわけでもなく一際傍目から見ても怪しいくらいに、直立不動へ部屋の中へと戻っていった女性に声をかけてみる。

勿論言葉に嘘もないし、もし助けが必要と有らばそれなりの備えがあるので、肩掛け鞄から薬を提供する心算である。

心算ではあるのだが果たして中から返答あるのか、気まずそうに扉を眺め、時々視線を左右に向けて挙動不審に。

エリヴィラ > その声は部屋に入った途端に聞こえたため、まだ休むどころか座ってさえいなかった。
どうやらここに来るまでの姿を見られていたことは、戸の外にいる誰かの言葉でわかる。
世話をするために造られた存在だというのに、我ながら情けない。

水……は、部屋の中でも用意できる。
薬……は、人間とほぼ同じ肉体を与えられているとはいえ、成分によっては効果に影響があるものもある。

少し悩んだ末にふらつく足で扉に戻り、開けるとどこかいたたまれない様子の青年がいた。
対して女は酒精に顔を赤くしてはいるが、表情の変化が人間ほど豊かではないために無表情に近い。

「それではお薬を戴きます。おいくらですか?」

飲めるか否かは材料次第だが、それは後で確認することにしよう。
せっかくの厚意を無駄にしない程度の社交性は人形にも身についていた。

シュバルト > 人である無しに対応した薬は常備している。
勿論今回の仕事の場所が場所なので幅広く、しかし悲しいかな薬を調合してもそれは仕事用であり、酔い覚ましも其処まで強力なものではない、そもそもだ相手がどんな人種であるかわからなければ、飲ませる薬もどれを選んでいいのやら。

一先ず扉の向こう側から返事があったことだけははく井上からホッと胸を撫で下ろす、しかし聞えてきた返答の続きは金額の心配、まあですよねーと思わんでもないが、酒を出すような温泉宿なので良い覚まし程度はサービスで配るだろうし、配って暮れとも言われているのでチップは欲しいが気前よく答える。

「ロハ、何て言われても信用されないかもしれないけど、宿からのサービスの薬となります。変な薬、じゃ無いんで宜しければどうぞ?後薬が飲めない場合には調律して緩和させる程度は行わせて頂きますので……。」

挙動不審な視線を戻せば扉は開いていて、向こう側から見えたのは世事を抜きにしてもの美人さんで、相貌は赤く、かと言って表情は何とも読めない……少し心配そうな表情を浮べて、手を伸ばしかの女性の顔を軽く覗き込みながら、その額に手を添えて熱があるわけではないことと、その正体を薬を選ぶ為に確認しようとした。

そう掌で触れればある程度相手の存在が把握できる。
把握できれば薬を選ぶ事も出来るし、調律を選択することも出来る、魔力の流れがヒトと同じ、若しくは擬態されていると正体に気がつけないかもしれない、が。

エリヴィラ > 「ロハ……?」

生きた知識の乏しいメイド人形は、もの問いたげに魔導調律師と称した青年を見る。
今日初めて宿泊した宿のシステムは把握していないが、生きたものならばここで礼を述べるのかもしれないし、注意深い者なら断るのだろう。
人形はというと、額に伸びてきた手に何の反応もなかった。
敵意がないことだけはわかったため、特別反応することでもないと判断した結果だったが、よくよく記憶データを遡ってみれば、これは親が子を心配するときに見られる傾向ではないだろうか。

「酒酔いは時間が経過すれば軽減されますから、お気遣いなく。」

子の返答としてはあまりに四角いものを返す。
正体を看破されるか否かは相手の能力次第か。
魔力の流れがわかるのならば体内の魔石、またそれから巡る魔力はわかるのかもしれない。
いずれにしても正体を隠しているわけではないため、探られようと抵抗はせず。

シュバルト > 「ただ、無料、繰り返しになるけどサービスだから……。」

おっと商売上で良く使う言葉に対して疑問をもたれると、少し慌てた様子で判りやすい言葉に言い換えて、触れる事が許された掌で女性の額に触れると……一瞬本当に一瞬だけ首をかしげた。

魔力の流れ、ふれた相手の体内を巡る魔力の流れが異質、と言うかヒトとは違う、いや人に似せてある特有の流れ、魔石か何かヒトには無い流れに、そのまま女性の額から酒精と思わせる赤を帯びる頬まで滑らせて、頬を撫でてみようと。

「……美人がふらふらしてたから、何、男として気遣ってしまうんだな是が……。まっ辛いなら魔導機械には合う薬はないけど、酒精で乱れてる魔力を整えて緩和させられるけども?」

四角い返答に丸く返す。
仕事柄結構色々な反応を受けるもので、くるっと返答を返した後に紫色の瞳を覗きこみ、否応無しに好奇の視線を送る。

魔導機械、魔導人形、と呼ぶべきか、精巧なあまりにも愛らしく美しく作られたその容姿に興味は尽きず、触れて調べてみたくなるのは職業病と美人を前にした男の性という奴ダ。

エリヴィラ > 頬まで至る手に反応しないのも作り物特有と言うべきか。
ただ、吐き出される息だけは通常時より熱く、生き物と作り物の狭間の証でもある。

「血圧と体温が上昇し、処理能力に少々遅れが出ておりますが、今のところ痛覚などはほぼゼロ値です。そうですね……完全回復までには10時間程度の休息で間に合うかと。」

青年の言葉の前半は口説かれていると解釈できる面もあるというのに、さらに返答が四角くなる魔導機械。
要は、機械である己はつらくないと伝えているのだが。
覗き込んでくる好奇の視線に返したのは、まばたき1度であった。

「触れただけで私が何者かわかるのですね。」

だが、それについては流石の人形も感心する。
薬を配って歩く、ただの宿の従業員ではないようだと。

シュバルト > 口に出さずとも感嘆の吐息が唇から零れる。
人に近しい肌触り、反応こそ鈍くはあるが、その吐き出す吐息に篭る熱から何から、人を模して作られたと言うよりもヒトとして創られた、何て大げさに感じてしまうだろう。

「……ならば少しだけ。痛覚などまではダメージがないわけか、すると三半規管が……10時間なら一眠りくらいだな。魔導機械なんて触れる機会が少ないから触れるのは楽しいし……っと美人に触れる役得がだね……。」

と、四角い反応が癖に……とそんな趣味は無いが至って返答は冗談をまぜこぜにして丸く返す。
口説いてる心算はないんだけども、口説きたくならない、とは否定できないし、肯定するにも四角いし……、まあ空いての頬から次は首筋に手のひらを移して、少し首筋から流れる魔力の流れを正すために自分の掌に魔力を這わせる。

すると抵抗さえしなければ触れ合わせる箇所から魔力が共鳴をして熱を帯び、強引に魔力の流れを戻される感触はゾクリと背筋に甘い怖気を走らせる感じになるが、其処はそれそれが目的ではないので、抵抗するならその感覚は薄い筈で。

「……っとそりゃね?伊達に魔導調律師何て名乗ってないし?触れると固有の魔力の流れがあってなー……魔導機械の場合はそれが判り易いのもあるし、人に近すぎて、違和感を覚えたと……えっと、名前聞いてなかった、貴女を創った人が凄い人だって事も良くわかるくらい……。オレは魔導調律師のシュバルトって言います……お名前聞かせて頂いても?」

好奇心が紡がせる言葉は早口である。
言葉を全て吐き出す時に吐く呼吸は文字通りの一息で。
視線は紫色の瞬き一度しかしない、その瞳を覗きこんでニィっと軽い笑みを口元に浮べる。

エリヴィラ > 「なるほど。初めてです。こうした処置を受けるのは。」

おとなしく処置を受けていた人形が、体内の変化に恐れ入る。
メンテナンスとも違う。医療とも違う。少々不思議な感覚はあるが、視界の不安定さが和らいだように思える。

「魔導調律師……データにありません。大変有意義な技術だと思いますので、後日調べてデータに追加いたします。」

そう話した人形の表情が、口元にだけ微笑みに近いものが現われた。
もともと表情がないわけではなく、乏しいだけなのでそう珍しいものでもないのだが、少し打ち解けた証とも言える。
だが好奇心に早口になる青年を前にして、相変わらず抑揚のない発音なのは、どれだけ精巧に造られようとも機械は機械とも言えるのだろうが。

「エリヴィラです。……認知機能が少し回復しました。ありがとうございます。」

体内の酒精が消えたわけではないのでまだ顔は赤いが、感覚としては何歩か正常に近づいた。
これなら回復まで必要な時間も少しは短縮されそうだ。
その後2人は幾許かの会話を交わし、人形には新たな出会いのデータが保存されるのだろう―――。

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中 温泉宿」からエリヴィラさんが去りました。
シュバルト > 「ン、よしよし………エリヴィラさんね記憶したよ。是も何かの縁だし、何か有れば気軽に声をかけてなー?」

魔力の伝播と共鳴とこちら側に魔力を引き摺るように魔力を流し、少しでもと首筋から流れる魔力を調律した後に満足げに大きく頷くのであって。

彼女の表情から微笑みに近しいモノが見えたからの満足げな頷きでもあると、ともにかくにも今宵は少しだけ楽しい時間が過ごせそうだと、きっと何かしら話して交わして……。

温泉宿での一夜は過ぎていく。

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中 温泉宿」からシュバルトさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にタマモさんが現れました。
タマモ > 「やはり、この姿が一番落ち着くのぅ」

九頭龍山脈、その山中深くのどこか。
ある遺跡の一つの入り口から、少女が姿を現わした。
王都内とは違い、今まで通りの耳と尻尾を隠さぬ姿だ。
後、何か大きな風呂敷包みを背負っているのも見えるか。

言うまでもない、前にも一度やったが、気紛れの遺跡探索だ。
しかも、今日はなかなかに大漁である。
とは言っても、よく分からない装飾品、よく分からない小物、良く分からない鉱石。
そんな、良く分からないだらけの品々なのだが。
だがしかし、専門知識のある者が見れば、それはすべて高い価値を持った物なのであった。

やってやった感じを漂わせながら、ぐい、と額の汗を拭う。
よいせ、と一旦風呂敷包みを下ろし、適当な岩に腰掛けて一休憩を。

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にザイヴァーさんが現れました。
ザイヴァー > 山賊街道…そこには、数多くの山賊たちが巣くっていた。
そして、その山賊たちの内の一つの集団が、「高貴な方が湯治のために、山賊街道を通る」と聞き…
襲撃計画を立て、そして、実行した。
護衛の騎士たちは少なく、いける……と思ったおバカさん達。
少ないということは、その人数の護衛でも、高貴な方を守れるほどに練度が高いとは思わなかったらしい。
そして、山賊たちにとっては、最悪なことに…

『チクショウ、なんで若将軍がこんなところによ!……グハァ!』
『や、やられる、やられちまう……グぉ!』

そう、騎士の中に、特に目立つ紅い鎧。
それを着るのは、ザイヴァー・グランフォード・カイゼル将軍。
彼と、精鋭の部下のおかげで、一瞬で襲ってきた10人の山賊は、残り一人となった。
その山賊は、山をかけ、その後ろを、ザイヴァーが追う。

『おいおい、ザイヴァー。遊んでないで止めをさせよ』
「黙れ、愚剣。この山は山賊のテリトリー。念のため、注意しているのだ」

そう語り合いつつも……
山族は、息も絶え絶えで、山を走って……山中、何故か、一人の少女が……

『て、テメェ!これを見やがれ!』

そう言って、尻尾の生えた、その少女に剣を突き付け……

『それ以上近づくと、このガキの命はないぞ!』

そういって、山賊は、その少女を人質に…

『言わんこっちゃねぇ……どーすんだよ、ザイヴァー』
「……」

ザイヴァーは、慌てず、その少女を見て……
何か、違和感を感じていて。

タマモ > ぴくん、少女の耳が揺れる。
獣であり、妖である少女の聴覚は、非常に鋭敏なものだ。
離れたところであろう、争っているような何か、それを聞き取っていた。

まぁ、こっちには来ないだろうと、そんな風に放置していたのだが…
………うん、何か、こっちに来た。
しかも、己に剣を突き付け、続けてやってきた何者かに脅しをかけている。

傍から見れば、確かに人質っぽく見える感じの少女。
だが、よく見てみると、怯えたり恐れたり、そんな雰囲気がまったくない。
むしろ…

これ、どうすれば良いんだろうか?みたいな、そんな雰囲気。
その何か悩んでいる様子は、くねりくねりと、妙な動きをする尻尾にも現れている。
ちらっ、と剣を向ける男を見て、ちらっ、と後から来た別の男を見て、また視線を戻す。

「あー………とりあえず、あれかのぅ…
きゃー、たすけてー?」

なんか、まず独り言を呟き、後から棒読みの台詞を吐いた。

ザイヴァー > 棒読みの助けを呼ぶ声。なぜ助けを求める言葉に疑問符付いてんだ……?
そう思ったのは、髭面の山賊と、ザイヴァーの持つ、バスカード・ヴレイカー。

『……おいおい、なんであのガキンチョ、あんな余裕なんだ? 』

無言のままのザイヴァーに、バスカードが声をかける。

「……余裕だからだろう」

そうザイヴァーは答え、バスカードを山賊に向ける。

『く、おい、ミレーのメスガキ!泣いて、あの若将軍に助けを請いやがれ!』

どうやら、山賊は、剣を向けた相手を妖ではなく、ミレー族の一つと勘違いしているらしい。
怒鳴ってみる髭の山賊。

「……無駄だ。山賊」

だが、ザイヴァーは鎧の中で、無慈悲にこう告げる。

「お前はもう、死んでいる」

その瞬間、閃光が弾け……
山賊は、この世界から消滅した。

『お、おいおい。ザイヴァー。人質がいるのに、ヴレイク・ヴレイクを発動して大丈夫なのかよ…』

そう、剣が引き気味に言うが……

「ふん、人質とは、弱い存在に言うものだ」

そして、バスカードを鞘に戻し。

「こんな山賊のテリトリー内の遺跡の前で、暢気にしている存在が、弱いわけがないだろう…」

そう言って……兜を脱ぐ。

「ふぅ……すまないな、山賊との茶番につきあわせてしまった。」

そう、謝罪しようか……

タマモ > うん、分かっているんだろうな、と思ってはいたが、やぱり分かっているようだ。
せっかく上げた助けの声も、あんまり意味がなさそうだった。
しかも、よく間違われるミレー族と間違われ、ちゃんと演じろと言われる始末。
仕方無い、ちゃんとやってやるか…とか、そう思ったところで、事が終わった。
能力だか技だか知らないが、側にいた男が消え失せる。
ちくしょう、やろうとした努力をする気持ちを返せ。
…と、言ったら、怒られるんだろうか?

「………まったく、そっちの者の言う通りじゃろうが。
妾が怪我したら、どうするつもりだったのじゃ?」

びし、と男の持つ剣を指差しながら、持っている男に。
まだ腰掛けていた岩から、よいせ、と腰を上げる。

「一応言っておくが、妾はか弱い女子じゃぞ?
ともあれ、文句は、いちいちこっちに来た、先の男子に言うべきじゃろう…もう居らんがな」

とりあえず、絶対違うだろう、と思われるだろう言葉を。
後に、すでに消え去ってしまった男が居た辺りに、視線を向けて。
それから、また目の前の男を見遣り…

「まぁ、妾も気にせん、お主も気にする事はなかろう。
珍しいものも見れた、と言う点では、悪くなかったぞ?」

袖から扇子を取り出し、ばさり、と広げると、ぱたぱたと扇ぐ。
こう、ちょっと偉そうに見せるように?

ザイヴァー > ケガをしたらどうするんだ、そう言われれば。

「すまないな。だが、結果的に怪我はしなかっただろう?
これでも、かなり集中して、攻撃の出力を抑えたんだぜ?
……それに」

謝罪は誠実な声色で。続く言葉はやや軽く、近づいていく。

「あの程度で消滅するほど軟じゃないだろう?妖とかいう種族は」

ザイヴァーも、魔族などの情報は将軍ゆえに耳に入ってくる。
当然、東方の魔族に近い種族、妖の事も知っていた。
恐らく、特徴的な尾っぽから、キュウビのキツネだろうか…?と考えつつも

「まあ、どちらにしろ。俺の不手際で、刃物を向けられたのは事実だな。すまなかった」

先ほどの山賊の事について謝罪し……
珍しいものが見れたという相手。ちょっと小生意気に偉そうだ。

『……そういやよ、ザイヴァー』
「なんだ、愚剣」
『ここ、どこだよ』
「知らん」
『おい!』

なお、ザイヴァー将軍。山賊のトラップに気をつけつつ山中を走り回っていたからか、迷子になった模様。

『良いのかよ、今回は護衛任務だろう?』
「俺の部下は軟じゃない。山賊程度、100人くらい来なければ大丈夫だろう。それに……」

そして、ややうんざりしたように……

「何が悲しくて、『露天風呂に入る女の子を見るために、湯治に行くぞよ』などと抜かす愚かなジジイのために、時間を割かねばならんのだ」
『……まーな。昔馴染みだが、あの爺さんの性欲には困ったもんだよな~』

何て剣と雑談して……

タマモ > 「ふむ…まぁ、結果論で言えば、そうじゃろうがな?」

うん、最初の謝罪がなければ、ぶっ飛ばすところだった。
その言葉に、しかし、少女は納得の言葉で返す。
と、続く男の言葉に、おや?と首を傾げた。

「………なんじゃ、言わずとも理解しておる者が居ったのか。
ここらには、居らんと思っておったんじゃがのぅ…?
先日、話があった者と言い…王都も油断ならんものじゃ」

はふん、と軽く溜息を吐きながら答える。
さて、そろそろ、どうしたものかと考えようと思ったところで、目の前でなにやら言い合う二人…二人?
どうやら、道に迷った様子だ

「して、お主等も道に迷った訳か?
結構な腕を持っていそうな割には、間抜けな話じゃのぅ。
しかし、その依頼主も、女子を見る為に、こんな場所まで来ようとは…根性座っておるな?」

ふふんっ、となぜか持ち上げて落とすような言葉を掛けながら、自慢気に胸を張る。
ついでのように、男の依頼主に妙な感心を抱いている様子も。
もっとも、後者に関しては、自分も同類なところがある為、気持ちは分からないでもない為であるが。

「ちなみに、妾もここがどこだかは分からん。
が、王都の方角だけならば、分かるぞ?
教えてやろうか?」

更には、自分も実は迷子っぽい事を言いながらも、向かうべき方角だけは分かるとのたまう。
自信満々の言葉だが、うん、微妙に説得力は無い気がした。

ザイヴァー > ここらには妖などの知識がないと思っていたという相手には…

「ふ、知識は武器だ。いつ、東方の妖と戦うことになるか分からないからな。
しっかり、勉強しているのさ」

そう自信満々に言いつつも、迷子だと説得力に欠ける。
腕がいいのに間抜けとは、よく言ったものだ。

「ほう、王都の方角は判るか」
『……此処がどこかもわかんねぇのに、王都の場所わかるのか?』

バスカードは懐疑的だが、ザイヴァーは…

「まあ、良いじゃないか。帰る場所のわからない迷子より、場所のわかる迷子の方が上等だ。
ここは、この妖さんについていこうじゃないか。」

と言って、相手に王都の方角を教えてもらうことにしよう。

「……っと、一応名乗っておかないとな。俺は、ザイヴァー。ザイヴァー・グランフォード・カイゼルだ。」
『で、俺様がバスカードだぜ』
「東方では、そうで振り合うも…なんとか。というんだったな、まあ、よろしく頼む。」

そう言って、王都に戻ることに……
なお、そのころ、ザイヴァーにジジイ呼ばわりされていた根性座った貴族は、
女の子お風呂に入っているだろう……



……多分、恐らく。

タマモ > 男の言葉に、納得はする、納得はするのだが…
どこか、げんなりした表情を浮かべる少女。
その理由とは、何なのか?その疑問は、次の言葉で解消される。

「ふむ、そうか………
妾は、勉強はご免じゃ、頭が痛くなるからのぅ」

ひらひらと手を振り、そう言い切った。
…と、言う訳だ。
色々と、あれな気がしないでもない。

「もちろん、王都には妾の式が居るからな。
その気配を辿れば、戻る場所も分かる、と言った感じじゃ」

ほれ、男は納得しておる、頼れ頼れ、とか男の剣に向けて。
………剣だからと、意思疎通できる相手には変わらない。
ゆえに、少女は普段通りに接していた。
さすがにあれだ、ぺしぺしと、叩いたりは出来ないが。

「おっと、そうじゃった…
サイヴァーに、バカス…じゃない、バスカードじゃな?
妾はタマモじゃ、よろしく頼むぞ」

うんうんと頷きながら、相手の名前を復唱…片方だけ、本気で間違いそうになったが、訂正しつつ。
そして、己の名も名乗っておいた。

「袖振り合うも多生の縁、じゃろう?
………戻るのは良いが、戻り掛けに、ちと寄り道は良いか?」

戻るならばと、置いてあった風呂敷包みを、よいせ、と背負う。
こっちだっただろうと、方角を確かめ…そちらへと視線を向けながら、後ろとなるだろう男に問い。

ザイヴァー > 「勉強は苦手かい?意外だな。礼儀作法とか勉強してるものだと……」

そう、少し驚きつつ、相手の、王都に戻れる理由を聞けば……

『へぇー。アヤカシってのは、便利な力があるんだな』

そう、バスカードが感心しつつ……
相手が、バスカードを言い間違えれば……

「は…ははは!バ、バカス…」
『バ・ス・カード!ザイヴァー、テメェ笑ってんじゃねぇ!』

いつも振り回されているので、こういう時に、聖剣を相手に爆笑しておこう。
そして、より道は大丈夫かという相手。

「ん?構わないが」
『どーせ、王都に戻ったら暇だしな~
ま、名前間違えたのはびっみょーに許せねぇが、ロリっぽい可愛いケモミミ娘といられるのは、
何だか剣身に染みる時間だぜ……
俺にザイヴァーみたいな体がありゃ、もっとスキンシップ取ってるかもな~』

そう、少しアレなことを言うバスカードの柄をたたきつつ……
相手の提案にのろうか。

タマモ > 「一応、作法とか、基本的な事は教わったりしておるがな?
必要かどうかも分からん事を、学ぶとか、面倒過ぎるじゃろうに…そう思わんか?」

と、真っ当な事を言っている風には聞こえる。
その実、悪戯に使えるか使えないか、その程度しか少女は考えてない。
真実を知った時の反応は、きっと真逆となるだろう。

「うむ、とは言え、妖のすべてが使えるものでもないがのぅ。
少なくとも、お主の知る九尾狐と言う妖は使える、と言う事じゃ」

もっと感心して良いぞ?みたいに、胸張って偉そうにし続ける少女。
何だろう、ここまで気分良くいけるのは久し振りだ。
と、己の言葉によっての二人?の遣り取りは、気にせず眺めておこう。

「うむ、お主等の目的地とは違う温泉じゃ。
来る時に見付けたからな、帰りに寄ろうと思っておってのぅ。
………待て、そこの剣。
せめて、綺麗とか、美しいとか、そう言った単語は出んのか?
まったく、誰も彼もよく間違えるから困る」

了解が出たならば、早速と向かうとしよう。
…と思ったが、剣の言葉に含む単語に、ぴく、と反応した。
くるんと振り向くと、びし、と再び指差し、そう言って。
言い終え満足すれば、また目的地へと歩み始めるのだった。

ザイヴァー > 「まあ、確かにな。使うかもわからない知識などを学んでも、逆に邪魔になることもあるな……良いことを言うじゃないか」
『……ただ単に、めんどくさいだけが本音じゃねぇの?』

そう一人と一振りとも違うことを言って。

「なるほど……」

ザイヴァーも、ただ感心しているだけではない。
いつか、戦うかもしれない東方の妖という魔族?の情報を、仕入れているのだ。
そして、温泉と聞けば……

「へぇ、温泉か。いいね。俺も汗かいたし、入ろうかな」
『温泉ねぇ、人間とかって、なんでわざわざお湯なんかに入るんだ?』

そういいつも、綺麗とか、美しい言え言われれば。

『ハイハーイ。タマモサンハー、キレイデウツクシーデスヨー』

なんて、先ほどのタマモさんの助けてより超棒読みで言うバスカード。

「ん。確かに、微かに温泉特有の香りがするな……」

なんて、呟くザイヴァー。
そう言えば……自分は男だから良いが、タマモは衣服、って言うか。体を隠すタオルとかあるのかと疑問に思いつつ……

タマモ > 「………うむ」

二人の言葉に頷く少女、すすす、と男の隣に。
そして、ぺちんっと、ついに剣の柄を叩いた。

「まぁ、九尾狐とて、まったく同じとは限らん。
妾と母様でさえ、扱える能力や得手不得手は、ほとんど違えておるのじゃ。
ゆえにな、相対する時は、この妖だからこれと限った考え方で相手をせん方が良いぞ?」

勤勉な男らしいのだ、己の言葉から何か考える事もあるだろう。
だから、その点だけは注意するように教えておいた。
まぁ、争わないのが一番なのだが、そう言う訳にもいかないのだから。
なぜ、そうしたのかと、そう問われれば…
関わりを持った相手だから、それだけだ。

「うむ、それが良かろう。
事を終えた後の湯は、なかなかに良いものじゃ」

まぁ、何が良いかって、気持ち良いからとしか、答えようがない。
…あ、うん、悪戯で使ってるのとは、違う気持ち良い、だが。
そして、続く剣の言葉に、にこーっと笑みを浮かべる。

「そうじゃろうそうじゃろう、妾は綺麗で美しいのじゃぞ?」

そう言いながら、今度は柄を、両手の拳で挟み、ぐりぐりとする。
効いてる、効いてないじゃない、やる事が大切なのだ。

と言う訳で、そんな事をしながら、男のそんな考えもよそに、向かう。
そのまま向かえば、それなりには歩くが、特有の匂いは強まり…その場所に着く事だろう。
木々に囲まれ、ぽつんとある、温泉が湧き出ている場所。
温泉としての施設ではなく、本当に、ただの自然の温泉だ。

ザイヴァー > 柄をたたかれれば、バスカードは……

『イテェ!』

何て声をあげて。

「嘘つけ。痛覚などない癖に」
『うるせー。叩かれりゃ痛い気もするんだよ』

そして、少しキュウビについて突っ込んだ話を聞きつつ……
タマモの、母というキュウビの話がちらりと出れば……

「ほう、君のお母さんか…きっと、綺麗で美しい君より、気高く美しい存在なのだろうな…」

何てしみじみと呟いて…
ちなみに、綺麗で美しいという言葉は、本心からの言葉である。
この男、幼少期、とある魔女との交流で性癖が少しねじ曲がり、
タマモさんの見た目は、けっこう好みな肉体年齢なのだ。
そして、到着したのは自然の天然温泉。

「おおー。これはすごいな。入ったら気持ちよさそうだ」
『ただの熱いお湯だまりじゃねぇか』

そう言いつつ……

「じゃ、タマモさん。入浴するんだろう?周囲を軽く見回っておくから……」

その間に入浴準備してねと言って。バスカードを持ち、周囲に山賊の斥候がいないか確認して……
その後、深紅の鎧を脱げば、深い傷跡だらけの若い肉体が……

タマモ > 叩いてみた、剣は痛がった。
よし、満足。
二人の会話で、痛覚は無いようだが、痛がりはするのだと分かったから。

「………それゆえ、他の存在すべてを見下す、それが母様じゃ。
妾を基準に、妖を考えるのは間違いと思うた方が良い」

人間は、妖にとっての糧、男から見て魔族のような存在。
しかも、己の母は、より妖らしき妖なのだ。
間違った知識は危険を生む、少々言い難いものなのだが。

そんなこんなで、無事到着。
男の考え、好みもあるだろうが、それを知る術は無い。
まぁ、知ってても、気にするような性格でも、である。

「うん?…別に、周囲には何もないんじゃがのぅ。
まったく、律儀と言うか何と言うか。
あ、そうそう、さん付けはいらん、呼び捨てで良いぞ?
………ともあれ、剣、お主は後で湯の中に放る」

正直、別に見回りなんて不要と思っている。
それは、周囲の気配を意識してみれば、少女には分かるのだ。
とは言っても、申し出を無碍に断る訳にもいかず、か。
確認に行き際に、とりあえず、剣には付け足して言っといた。

ちなみに、男が見回りから戻れば、少女はやっと湯船に浸かったところ。
やって来た男に、ひらひらと手を振る。
理由?ここは自然の温泉、温度の調整なんて出来やしない。
そして、少女は熱いのは苦手であった。

…要するに、入るだけで苦戦してた、と言う訳だ。

ザイヴァー > 「……ああ、分かっているよ」

自分を基準に妖を考えないほうがいいという忠告には、真剣な表情で肯定し。
自分も、対魔族の最前線で戦っているのだ。
こうして……妖という存在と雑談している、今が奇跡なだけで。
本来は……殺し、殺されなのだ。

そして、周囲をっかうにんし戻ってくれば、相手は入浴中。
こちらも、鎧を脱ぎ、裸になろうか。
そして、湯船に入っていく。ザイヴァーにとっては、ちょうど良い温度だ。

「ふぅ……」

魔族との戦いで傷つき、抉れたり斬りつけられた傷跡の多く残るザイヴァーの裸体。
そして、肩までつかれば、タマモさんの隣へと……

「タマモの肌は綺麗だなぁ……」

何て、呟き。温泉の外、木に立てかけられたバスカードは……

『ヘーッロリコンここに極まれりだな、ザイヴァー』

なんて、小ばかにしたようなことを言いつつ……


「だが、肌が赤い気もするな。風呂が熱いかい?おい、バスカード。冷やせ」
『あいよ……って無理だから。俺様、聖剣。氷や水の剣じゃねから!』
「なんだ、相も変わらず、日常生活では使えんな」
『剣だぜ?日常で使えてたまるかっての…
まぁ?タマモちゃんの小さな可愛い下のお口で柄を包んでくれれば?
新しいスキルに目覚めちまうかもな…なーんてな』
「喧しいぞ、愚剣……すまないな、タマモ。
悪い奴じゃないんだが……女と見ると、見境がない」
そう謝罪して……

タマモ > 「うむ、理解しておるならば、それで良い」

男の言葉に、表情に、一つ頷く。
ぽんぽんと肩を…少々手を伸ばし叩きながら、満足気が笑み。
結局のところ、妖がどうの、魔族がどうの、どうでも良い。
今、男の前に居るのは、妖であっても己であるのだから。

と、そんな事はさて置いて。
やっと湯船に浸かった己、そして、やってきて、あっさりと湯船に浸かる男。
ゆったりと浸かる男の横で、少女はじと目で見上げていた。

「うむ、まぁ、その辺りは自慢するところじゃからな。
しかし………おのれ、あっさりと入りよって。
妾が、どれだけ苦労したと…!」

一瞬だけ、先の言葉を紡ぎながら、自慢気な表情。
しかし、ばしゃーんっ、ばしゃーんっ、と湯船の表面を叩く。
飛び散る湯の飛沫は、あんまり気にしてない様子だ。
まぁ、言葉を聞けば、何に不満があるか丸解りだろう。

ちなみに、湯船に浸かる少女。
その身を隠すような、タオルも何も持ってはいなかった。
揺れる湯船越しに、その肢体を見る事は容易い。

そして、続く二人の会話に対しては、こんな反応だ。

「あー…大丈夫じゃ、この程度ならば、問題はない。
で、分かっておると思うが、妾はお主が思っておる以上に長く生きておる。
その程度で気にする、妾ではない。

ちなみに…お主の柄ぐらいならば、安易に受け入れられるじゃろう、どちらでもな。
妾に、新しいすきる?なんぞを覚えさせたければ、もっと他の何かが、出来るようになる事じゃのぅ?」

むしろ、そんな剣に対して、挑発までする始末。
何も出来ぬ事を知って、こう、わざと両手で胸を持ち上げるようにしたり?
身を温泉から剣の方に乗り出し、上目遣いに見上げるような、艶かしい仕草をしてみたり?
そんな感じに。
対して、男には気にするなと、ぱしーんっ、と背中を叩いた。

ザイヴァー > 湯船に自分があっさり入ったことにご不満な様子の相手。
なんとも可愛らしい反応に、思わず頬も緩むというもの。

「はは、俺も男だし、この程度の熱さでどうこう言ってられないさ」

何て笑いつつも、湯船に浸かる相手の肢体、その体は……
正直、ドストライクゾーンなのだ。そして当然、此方も湯につかる自分の体も隠すものはない。
つまり……
湯船の中、湯より熱いかもしれない肉杭が、立ち上がってきている。
そして、バスカードの柄くらいなら咥え込んでやれるぞと言われた、当の聖剣は……

『ハハハ。見た目と違って、中古品ってことかよ』

なんて、超絶無礼なことを言って……

「愚剣!女に言葉が過ぎるぞ、訂正して謝れ」
『へいへーい。悪かったな~中古ロリ』
「バスカード!」

なんて、言葉では挑発しつつも…
タマモの脳内に念話で……

『悪かったな、妖狐。変な挑発しちまってよ。
でもよ~俺の柄より、ザイヴァーの物の方が太いぜぇ?
……咥えてやっちゃくれねぇか?テメェの体で、俺の主人のモノ』

なんて、きちんと謝罪と、主人ザイヴァーが感じてる肉欲へのフォローをする。

『別によ、こいつ筋金入りのロリコンってワケじゃねぇんだがよ……
性欲が強い癖に、変に紳士だからさ。
テメェも気が付いてるだろ?ザイヴァーがテメェに肉欲感じてるの。
だから……よ。ちょいと、ザイヴァーの欲を、一押ししてやってくれや。
……頼む』

なんて、念話では忠剣っぷりを発揮して…

タマモ > まぁ、実のところ、そこまでは気にしていない。
だからこそ、適当にこうして発散すれば、すぐに治まる。
ふぅ、と深呼吸を一つはするが。

「むむむ…まぁ、そう言う事にしておくか…」

そんな感じに、とりあえず、それで収めておいた。
男の様子に関しては、上に、下にと、さり気無く視線を向けて。

「ふふんっ、その程度の言葉では、痛手ともならん、安心せい。
そもそもな、長く生きて初物とか、それこそありえんのではないか?
そんな事を言っていては、お主が思うておるよりも多い女子が中古品じゃ。
まぁ…使われておるからこそ、より楽しめるもの。
それを解っておらぬとは、お主、その手の経験は多くないな?
………いや、まぁ、そんな形では、したくとも出来んか」

ぽんっ、と男の背を再び叩きながら。
うんうんと、己の意見に頷いたりとしてみせて。
前半部分は己の考えを駄々漏れに、後半部分は反撃である。

『いや、言いたい事は言うに限る。
下手に言わんよりも、溜め込むものが無くて良いじゃろう。
…のぅ?そう思わんか?』

剣の念話に対しては、逆に、それを良しとしていた。
本当に隠すべき事は隠す、そうでないのなら、良いではないかと。
そして、続く言葉には、軽く考えるような仕草を見せ…

『性欲云々、性癖云々なんぞ知らん。
が、妾を前にして、興奮の一つもせんかったら、逆に妾が凹んでしまう。
…が、そうかそうか、なるほどのぅ…そんな性癖か。
して、ザイヴァーは妾が楽しめそうかのぅ?
性欲が強いならば、存分に楽しめるとは思えるが…』

なんて感じに、男が聞こえぬ裏で、そんな言葉の遣り取りが行われていた。

言葉の後は、言い返したので良し、そんな感じだ。
乗り出していた身を引き、再び湯船へと浸かり直す。
さり気無く、その身を男へと寄り添えながら。

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からザイヴァーさんが去りました。
タマモ > 【これにて一時停止】
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からタマモさんが去りました。