2019/04/06 のログ
■洛 > 両手を挙げる様子に女は一応の平静を取り戻したようであった。
思わず地面に放り出してしまった手帳の砂を払うと花の刺繍のされた鞄に仕舞う。
「あ、あぅ……わた、わたしは洛! っていうの。エズラさん? はどうしてこんなところに?」
先ほどの威勢はどこに言ったのか噛みまくりながら言葉を返す。
胸元を緩め、ぱたぱたと風を送りつつ、相手がなぜいるのかを問いかけてみる。
「あっ、これ? うーんいーよぉ私の土地って私お金そんなもってないしー。
分けてあげても! いいよ?」
私有地ではないというのに、まるで己のものかのようにえっへんと胸を張って辺りの花を手で示す。
薬効が回りきってきたか、呼吸は荒く、不健康な白すぎる肌は熱病にかかったように血色がよい。
■エズラ > よくよく彼女の身体に目をやれば、はだけた胸元からは白く豊満な乳房の谷間が覗いている。
おまけにその手は――
「おいおい……洛、だったか、ここいらの花、素手のまま摘んで回ってたのか?」
男の目的もまた、彼女と同様である以上、周囲の花にある薬効は既知。
彼女の方からやけにむんむんと雄の本能を刺激する気配が漂う理由が、これで理解できた。
思わず生唾を飲み込んでしまう――手当たり次第に彼女が花を摘みまくったせいなのか、掘り返された場所に近いためか――
男の鼻腔から脳髄にかけても、じわじわと薬効が染み入り始めているらしい――
「――シェンヤンの連中ってのは、この花をなんに使うんだ――?少なくともオレの聞いた話じゃ、結構な「危険植物」のはずなんだがよ――?」
気付けば、じりじりと彼女の方へ歩み寄っていく。
自分でもその足を止められない――
■洛 > 「え゛? ……へーきへーき舐めてないもん! 舐めなきゃへーきでしょ! でしょ……?」
相手の顔を見て、花を見て、手を見て、鞄を見て、それからまた手を見る。
手袋を忘れてきたが、帰るのはめんどくさい。まあ汁を直接舐めなければいいかな。という予定を思い出してくる。
舐めてないから平気でしょ。手帳を捲るために高齢者よろしく手を舐めていたことは忘却の彼方だった。
香りを嗅ぐだけでも効果が有る代物を、直接舐めればどうなるか。答えは女のようになるである。
「んと、これは………んだけっかなぁ……。
なんか熱くない、かな………はぁ、はぁ、あぅ」
こちらに歩み寄ってくる男から目が離せない。
熱病にかかったかのようにふわふわとした体が倒れないように必死でこらえながら、待つばかり。
手が届く距離にきた辺りで限界が来たのか、膝をついて男の足にしがみ付くようにした。
「あわわ……ちょ、ちょっ、ちょっ、待ってね! なんか、おかしい……」
■エズラ > 「ふーっ……ふーっ……――」
冗談のように、男の鼻息が荒くなる。
まだ彼女ほどには薬効の支配下にないためか、幾分まともな思考を残しているようにも見えたが――
この男はそもそも、媚薬があろうとなかろうと、眼前に淫靡な芳香漂わせる女がいるだけで十分なのである。
こちらが近付いても逃げぬばかりか、ついにはバランスを崩してしまった――
こちらからも相手の身体を受け止めて。
「おおっと……こりゃいけねぇ、すっかり頭に血が上ってるぜ――」
彼女の肩を支えながらも、ちょうどその眼前に己の股ぐらが位置するように近付く。
男の下半身は既に反応を見せており、布を押し上げて激しく盛り上がったその場所から、彼女の鼻腔めがけ、濃厚な雄の芳香を漂わせるのだ――
「少し休むか?小せぇが、テントを持ってる――」
そう問いかける男の視線が、長女良い位置にある彼女の乳房の谷間に吸い寄せられている――
ご案内:「九頭龍山脈山中」からエズラさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈山中」から洛さんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中 温泉宿」にエリヴィラさんが現れました。
■エリヴィラ > 王都で雇われることの多いメイドだが、このたびダイラスにて仕事を終えた帰り、王都に戻るには遅くなっていたために初めて九頭竜山脈の温泉宿を利用していた。
王都にある大きな温泉宿を彷彿とさせる異国めいた宿だが、規模は小さく、それゆえにどこかアットホームな雰囲気は、紛い物の命を持つ女であってもどこか落ち着く場所であった。
――――だからだろうか。
温泉の中で提供された酒を少し嗜んでしまい、見事にのぼせた。
人間に比べると幾分も酔いが回りやすく、醒めにくい体質を忘れていたわけではないのだが。
もちろんそんなことを知るべくもない宿側が提供したのはただの酒であり、怪しいものなど入っていない。
つまりは陥れられた哀れな女でもなく、純粋な酔っぱらい。
壁に片手をついて、くるくる回る床を見下ろしながら歩く姿は典型的なそれ。
(何も食べていなくて良かった……。)
幸か不幸か作り物の体だというのに内臓はほぼ人間と変わらず、胃の内容物があれば――略。
血液中のアルコール濃度が薄まるまで休むため、女は漸く辿り着いた部屋の戸を開ける。