2018/11/27 のログ
タマモ > 「ふむ…まぁ、とは言え、あれらはあれらで面白い者達ではある。
あれ以外ならば、案外話せるやもしれんがな?」

ちらりと、少女の背後に立っているだろう前と変わらぬ黒鎧を見上げる。
うん、こちらの場合は変化があったら逆に怖いかもしれない。

「………」

見詰められれば、こちらもじーっと見詰め返してみる。
さすがに、今の己では少女の思考を読む事はまったく出来ない。
ちなみに…出来たとしても、その程度ならば大した事はなかったのだが。
撫で回す、着せ替え、正直まったくの未経験ではないのだから。

「ふむ…まぁ、何をしようとしておったのかは分からんがのぅ。
お主がそうであるのは、前々から分かっておるから安心が出来る。
………と言うかな、問うてみれば答えが分かるのではないか?」

それなりの見当は付くが、あえて知らぬふり。
続く言葉は正直な感想を乗せてみる。
そして、最後に何がよろしくて、何がよろしくないのか。
己としては言葉を交わせば、その言葉から察せられるだろう?との感じで言ってみた。
しかし現実は、問い掛けるだけで後は尻尾を見れば丸分かり、と言うものだったりするが…さてはて。

エミリー > 「タマモちゃんの式として相応しいかしっかり話し合いたいねぇ♪」

いつ見てもゴーさんは変わらない
今の2人の戯れを見ているのにピクリとも動かない
反応が無さすぎて逆に怖くなっても仕方ない

「…タマモちゃんは私と楽しーい事したいよね?ね?」

ね?と首を傾げウルウルと瞳を潤ませ尋ねた
距離がとても近い、というか半分抱き着いている
質問というより懇願に近い…柔らかな胸元が押し当てられる

タマモ > 「………う、うむ、そうじゃな」

多分…いや、間違いなく主である自分よりしっかりしているだろう。
そんな答えがふっと頭を過ぎり、ふいっ、とつい視線を逸らしてしまった。
黒鎧に関しては、それがある意味で安心出来るのかもしれない。
それに、だからこそ、時折に見せる変わった反応が面白くも。

「お、おぉ…そ、そうじゃな、楽しい事ならしたいものじゃのぅ?」

正直、無関係の者であれば平然と対応出来るものなのだが…
関係者のこうしたものは、どうしても苦手なのだ。
その勢いに流され、こくこくと頷いてしまう。
抱き付き押し付けられる大きな膨らみ、それに対する感触は…うん、何とも悲しいものであった。
ある意味では、しかしそれが良い、となりそうだが。

エミリー > 「じゃぁ話さないとねぇ…じっくりと…」

そう、お話合いが必要なのだ
だがそれよりもとても大事な言葉が今目の前から聞こえた
キュピーン!とエミリーの目が光る

「お持ち帰り―!」

楽しい事をしたい、つまり自分の想っていた可愛い祭りが開催できる
見た事も無い俊敏な動きでタマモを抱え車椅子へと飛び乗り…

「ゴーちゃん!宿へ全速力!」

鎧の目の部分が赤く光る
車椅子が土煙をあげながら街へと向かう
馬車よりも早く馬よりも…文字通りゴーさんの全速力で

タマモ > 会話するだろう残りの式は、性格的にどちらもまともだが容赦はない。
少女の言う通りにじっくりと話し合えば、何か余計な事まで交し合いそうな不安が…
いやいや、まぁ、そんな機会があるかどうかさえ分からないのだから良しとしておこう。

と、己の返した言葉に反応する少女。
思いの外にあっさりと抱えられたのは、あんまりに予想外の事だったのもあるかもしれない。
そのまま車椅子へ、そして…

「ちょ、ちょっ…まっ…あああああああああぁっ!?」

はた、とやっと我に戻ったが、時既に遅し。
言葉もまともに紡げない、それほどの勢いを黒鎧が見せる。
こうして、少女と共に九頭龍山脈から姿を消すのだった。
不本意ながらも、ここから脱出するという目的も果たされて。

ご案内:「九頭龍山脈 山中」からエミリーさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山中」からタマモさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にラファルさんが現れました。
ラファル > 九頭龍山脈の中で、一人の野生児……ではなかった。一匹の野生のドラゴンは走り回っていた。
 なにか目的があるのかと言われれば目的などはなく、いつもの気まぐれと言って良いだろうマラソン状態。
 走ったり飛んだり跳ねたりして受ける風が心地いいので、それを補給しているのだ。
 師匠といるときは、大人しくする、家にいるときも大人しくする。

 家でもない、師匠もいない―――それは自由だ!
 風のように自由な少女はその自由を謳歌するために生きているとばかりに、山の中を駆け巡り、そのへんの草木を、動物を喰らい。
 実家からパチってきたお酒を飲むのである。

 魔族の国の実家からお酒をパチってきた帰りではありませんよ?ちゃんと許可を得てもらって帰ってきてますのであしからず。
 でないと母親が怖い。

 そんな少女は、とたた、と山の中を駆け巡り、少し開けた場所に腰を下ろす。
 そこは崖、崖の近くにちょうどいいサイズの切り株が有り、腰掛けてそこから見下ろす景色がいい、お気に入りの場所。

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にアマーリエさんが現れました。
アマーリエ > 本来であれば、この手の仕事は組織の長の仕事ではない――と、副長は云う。
否、そうではない。消化すべき書類仕事は終えている。
他の部下に引継ぎできるものを遅滞なく終えていれば、其処に暇が生まれる。
教練中の竜の育成についてもまた然り。
単独行動に関するリスクとしては現状、我が師団内の竜騎士に於いて、一番総合戦力に優れるものは誰か。

――自分だ。故に自分以外に背に跨らせることを善しとしない騎竜に跨り、単独行の言伝を置いて出立する。

遠出ではない。少しばかり、偵察を兼ねて見ておきたい事柄がある。

「……そろそろ、例の場所ね。ねぇ、トルデリーゼ?」
『我に聞くでない。ヒトの話なんぞどうでも良いというのに……朝早くから出かけさせるでないわ』

九頭竜山脈に差し掛かる上空。
その高みに白い竜が大きな翼を広げ、大気の気流を捕まえては風に乗って最低限の羽撃きで進む。
交わす声は風に紛れながらも一つ。白銀の装甲を身のそこかしこに纏った女のそれだ。
しかし、女と竜との間の会話は成り立つ。片方は肉声。もう片方は声なき声――念話によるものだ。
昨今、竜がこの近辺で見かけられると聞いて、近隣の偵察任務を行うついでと己が出ることにした。

「あのあたりで降ろして頂戴。何か居そうな気がするの。……理由? ないわよ。勘よ勘」

高度を落とす。次第に見えてくる山脈の一角に見える開けた空間を指差し、竜を促そう。
かける声に返る思念の気配ははいはいとでも言いたげな、呆れとつかない風情のそれ。
胸甲を付けた胸元を竜の背につけつつ、頬杖をついて眼下の光景を見下ろす。
其処に何か、見えた気がして――瞼を瞬かせよう。何か女の子らしいものが見えたのは、日ごろの疲れかもしれない。

ラファル > 龍の上の御仁からは、こういう風に見えるかも知れない。
 見晴らしの良い、今にも崩れそうな崖っぷちにひょこんとある切り株の上、肌も顕な幼女がそこに座っている。
 その切り株の上で何をしているかと思えば、崖の方に足を放り出して座っていたりもする。
 切り株の樹齢はそれなりで、根っ子もちゃんと張ってはいるようにも思えるが、ちょっとした振動なりなんなりあればポロリと落ちてしまいそうなものである。
 そんな切り株の上で、何やら瓶を持ち上げて、んくんくラッパ飲みしているのだ。
 ドラゴンの嗅覚にあれば、風上にいる少女から流れてくるのが、酒精の香りということもわかるだろう。

 紐なしバンジー決行三秒前といっていいだろう状況。
 そんな、決行直前というような状態で少女は空にある影に――――
 ドラゴン&ドラゴンライダーに視線を向ける。

「やっほぅー」

 にぱぁっ、と満面の笑みを浮かべながら、ビンを持っていない方の手をブンブンと振ります。
 知っている人ですか―――? いいえ、知らない人です。

アマーリエ > ――あ、疲れているのだろうか。

高度を下げつつある竜の背から見遣れる崖に何か、変なのが見えた。
崖っぷちに張り出した切り株の上で、女の子があろうことか酒を呑んでいる。もう一度言おう。酒を呑んでいる。
酒かー。昨日、出席した宴席でわたしのお尻触ってきた禿げたジジィが出っ張った腹に詰め込む前提な位にかっ喰らってたわねー。許すまじ。こっちは部下の手前もあるから呑んでいる余裕なんてこれっぽっちもなかった訳ああ許せない。今度やらかしてくれたら刃傷沙汰止む無しよもっともお返しとばかりにコップの水を酔っ払ったフリして浴びせてあげたけど――

「……」
『……主が言いたげなコトを先に云っておくかの。現実ぢゃよ』

あ、現実かー。そっかー。竜が放つ思念に突っ伏しながら眉間に刻む皺を揉み解そう。
しかも安酒ではないと思しい酒精の匂いまで漂ってくる。そんあ気がしている。
竜はもう一つ気づいた事柄はあるが、云うことなく翼を一打ち、二打ちしてその切り株に近い位置で滞空しよう。

「――ごきげんよう。……ねぇ、其処で呑んでいると危ないわよ?」

しかも、挨拶してきた。であれば挨拶を返すのは人間として至極当たり前のことだろう。
向こうには長い金髪を風に揺らしつつ、ひどく疲れたような風情で竜の背に取り付けた鞍に跨った女騎士の顔が見えるか。
身を起こし、ひらと右手を軽く振って見せながら幾つかの可能性を脳裏に浮かべる。

ラファル > 「あい!おはよーございます!
 ん?だいじょうぶだよー。ここ、景色いいし、見晴らしもいいし。
 おねーさんものむ?」

 なにかすごく、疲れている様子なのが見える。なので、背中のカバンからにゅ、と二本ほど、お酒の瓶を取り出して、女性に掲げてみせます。
 掲げて問いかけながら見ると……こう、彼女の眉間にシワシワが。苦労人ですという雰囲気がひしひしとしてます。
 どこかで見たようなことあるかなぁ、と思い返してみるのですが。
 一番上の姉は……スロースターターだけど自由人、二番目の姉も……瞬間湯沸かしして直ぐ冷める。
 母親は、両方とも自由なぐらいに自由。
 師匠も、何でもかんでもそつなくこなすタイプ。困ったの見たことない。

 うん、珍しい。(当社比)
 なので、まじまじと眺める。じぃぃ、と目がキラキラしております。

「んくんく。ぷはぁ。
 おねーさん達は、見たことないけど、どうしてここにいるの?
 お散歩?」

 自由な少女は、質問の前に瓶から直接お酒をかっくらって。
 それから質問するのでした。
 複数形なのは、騎竜も認識しての話でもありました。
 同じく竜だし。

アマーリエ > 「元気があるのね。良いことだわ。
 ……有難いお話だけど、御免なさいね。遠慮させてもらうわ。
 酔っ払って上に昇ると酔いの回りが酷くなるらしいの。試したことないけど」

まだあるのか。酒瓶がにゅと出て来る様に何処から突っ込んだものか、悩んでしまう。
取り敢えず帰ったら呑もう。
隊内の規定ではないが、経験則的に言い習わされている事柄として騎乗中に酒はまずいということだ。
呑んだままの戦闘云々ではなく、事故防止のために避けておくべき事柄として伝わっている話だ。
勿論、地上で呑む分については問題はないのだが。

「――……この辺りに竜が出ると聞いたから、やってきたの。
 ねぇ、知っている? 森一つを食い荒らして、神出鬼没な竜の話」

きらきらと目を輝かせながら自分達を見る少女の言葉に気だるげな表情が一瞬、掻き消える。
竜の性別を見た目だけで判別できるものはそうは居まい。
精神が外観に反映されるというのも個体差として有るようではあるが、今乗る騎竜の性別はまだ告げてはいない。
気づいたかの、という風情で自分の背に跨る騎士に顔を向け遣り鞍の上から突っ伏した姿勢のまま問おう。

自分が聞いたのはそんな話だ。
時折山中に現れ、動物はおろか、ぺろりと言った風情で森の一角を喰らったようにして消える竜らしいものだ。

ラファル > 「うん、ボク、いつも元気いっぱいだよ!
 そーなのかー……。ん、じゃあ、だめだね。」

 酔っ払って飛ぶと気持ちがいいのだけど、あの人はダメらしい。
 それは仕方のないことだね、としょもんとしながら、出した瓶を背中のバックパックにしまい込む。
 無理にお酒を勧めるのは、マナー違反だ、と酒造の人が言っていた。
 お酒は楽しく飲むのが一番なのだ、と。

「竜?え?見てみたい!
 神出鬼没とかかっこ…………。

 その竜って、大きいの?」

 キリっとした様子の彼女の言葉に、思わず切り株の上に立ち上がり、ワクワクした様子。
 基本的に子供で後期心旺盛なのだ、ドラゴンがいるとなると見てみたく思う。
 珍しいなら特に。自分だという思考はまずなさげである。
 そして、神出鬼没というところと森を喰らうとなると、大きさも気になる。
 あれもしかして。自分のお母さんかも知れない。そういう思考が来たので問いかける。
 でも、そんなに大きなのが出てきたらもっと騒ぎになるしうーん。
 少女は腕を組んで思考。

アマーリエ > 「そうなの? ちょっと羨ましいわね。
 酔っ払って空に上がったコトはないけれど、多分危ないわ。――自分が飛んでいるワケじゃないもの。当然だわ」

元気が良いのは良いことだ。
好き勝手にやるけれども、天真爛漫にというのは気質も相まって難しいものである。
今度、きちんと保証のある処で娼婦を雇って発散した方が良いだろう。
戦闘後の部下たちの慰撫の問題もある。現地調達した捕虜を宛がうにしても、性病の類で欠員を出すというのは情けない話だ。
ともあれ、御免ねとしょもんとした様子に眉を下げて言葉を返そう。

酒自体は嫌いではないのだ。
立場故に部下に示しがつかなる点と、先達が経験則として得た口伝は馬鹿にならないという実感故に。

「見てみたいから、わざわざここまで来たのよ。
 
 困ったことに……目撃証言がとても少ないの。
 不意に現れて消えていった後には痕跡しかないから、辛うじて聞いた話だとそう大きくないとも聞くわ。
 子猫とか子犬とか。まだ子供のような個体みたいね。あなた、知らない?」

まさかね、と。内心で微かな予感を抱きながら身体を起こしてこの少女――に見える何かに問おう。
魔族の類ではあるまい。ヒトを惑わせ、攫うにはこの場所は適切ではないから。
吹き抜ける風に揺れる長い髪を払い、ぽんと竜の背中を叩く。声無く問うのだ。目の前に見えるものは――どうか、と。

ラファル > 「えへへ。
 でも、おねーさんも、元気でいればいいと思うよ!そのほうがお友達とかもみんなニコニコするから!
 うーん、載せてくれてるおねーさん、すごく落ち着いてるし、大丈夫だと思うんだけど。
 でも、おねーさんも、酔っぱらいは嫌なのかな。」

 竜は基本的に気位が高いし、普段の彼女なら載せるに値しても酔っ払っている彼女は無理とか、そういうのもあろう。
 眉根を下ろすあいて、自分で飛んでいるわけでもないし、人間は高いところから落ちたら死ぬ。ドラゴンだって落ちたら痛いのだ。
 仕方のないことなのだろう、思って。

「じゃあ、お土産!後で飲んでよ!」

 なんか悪いことした気にもなったし、再度、バックパックからお酒を取り出してはい、と。
 でも、高さ的なものも相まって、切り株のギリギリでつま先立ちでどーぞ、と。
 花のような笑顔のままでした。

「うーん。子犬とか、子猫くらいかーじゃあ、違うんだね。
 だったら、見たことないけど、見てみたいな!
 
 でも……そんな小さいドラゴン、生まれたてじゃないといないんじゃないかな?
 だって、小さな子供でも3~5mぐらいはあるんでしょ?」

 知らないか、と言われてもわからない。
 そんな小さなドラゴン種、いるのだろうか、流石に自分の一族以外だとピンと来ないが、いるのかもしれないし、いないのかもしれない。

 ・・・・・・・・
「ボクと同じように、木を食べるなんて珍しいのに。」

 少女は自然体である。人であり、竜でもある。
 目撃証言が少ないのも、人の形をしているドラゴンだから。
 人として間違われていれば目撃証言も減ろう。
 そもそも、空を飛ぶとき以外は、基本この姿なのだから。

アマーリエ > 「嗚呼、部下が居る時位は装うわよ。昔なじみが居る時もね。
 何より示しがつかないし、余計な気を遣わせるのも好きじゃないわ。

 ……吐いたら落とすとか云ってるね、こいつ」

少なくとも、この竜にとっては泥酔者厳禁らしい。
如何に自分に打ち勝ったものでも、遠慮なく落としてくれるわ、と。思念で告げる様子に言ってくれるわねと柳眉を顰めよう。
人間の価値観で思うならば至極道理ではあるが、多種の知的存在でもやはり胃の内容物をぶちまけられるのは嫌らしい。

「! ちょ、ちょっと待ちなさい。もうちょっと寄せて寄せて!トルデリーゼ!!」

そして、酒瓶を取り出してくる姿が笑顔とは裏腹にあまりにも危なっかしくて竜の甲殻をぺしぺし叩いて近づかせる。
羽撃きが少ないにもかかわらず、危なげなく崖の方に鼻先を寄せるのは身にまとう魔法的な作用もある。
己も鞍から立ち、鐙を足掛かりに立ち上がって身を伸ばす。
どうにか酒瓶を受け取れば、鞍の後部に装着した蓋つきの鞄に納めてふぅ、とほっとしたように息を吐く。だが、其れもつかの間。

「そうなのよね。識者の言葉とうちの古参の騎士たちも同じ見解だわ。
 だから、気になっているのよ。……――ねぇ、この子が雌って見抜いたあなた?
 
 木を食べる時、一本や二本じゃ済まないでしょ。そんな感じがするわ」

良くも悪くも自然体な姿に問い掛けよう。
別段騙しているのではなく、隠しているというには向こうの言葉からその意図は感じられない。
竜もピンキリだ。幼い頃からも超絶した素質を持っている個体だってあるだろう。
鞍に据わり直し、頬杖を突きながら尋ねよう。自分達が見ようと求めていたのは君だろう、と。そんな核心と共に。

ラファル > 「そっか。でも、ボクはいつもニコニコのほうがいいとおもうよ!よ!
 それに、下のおねーさんは、いつでも上のおねーさんにぴしっとして欲しいんだね!」

 装うというのは普段はそうでもないということである。
 だから、普段からニコニコしたほうがいいよ、という子供の感覚からの一言。
 汚れに関しては洗えばいいじゃんと、野生のドラゴンは思う。実際この子は、下水道でも気にせず入って、汚れたら洗えばいいじゃないというのだから。
 吐瀉物かけられたことないからかもしれないけど。

「はい、どーぞ。」

 慌てる相手に、どしたの?と首をかしげつつも、お酒の瓶を渡す。
 渡し終えれば、危なげなく切り株の上に戻り、自分が飲んでいたのをくぴくぴーっと。

「んや?
 うん、だって。木の力を使うには、一本や二本じゃ足りないからね。
 それに、ご飯はいっぱい食べて、お腹いっぱいになって、眠くなるの大好きだし。
 あと、ボクはラファルだよ。
 おねーさんは?」

 問には素直に答えよう。
 これは、コンピューターみたいなものである、正しい問には正しく答えを。
 間違った質問や、穿った質問には、それに対した返答を。
 無垢で素直な子供には、ストレートな方が話が早いのである。

アマーリエ > 「最近、中々ないのよねぇ。そんな風にできる時とかヒマとか。おねぇさんもおねぇさんなりに大変なの」
『……少なくとも、吾を打ち倒したものらしく毅然とあって欲しいのぅ。醜態を晒すなぞ以ての外ぢゃ』

心を亡くすと書いて忙しいと呼ぶ。
自分でやると決めたからには仕方がないというのもあるけれど、些事は全部部下に任せて羽を伸ばしたい。
戦うのも良いが可愛い女の子を愛でて、日がな一日だらけていたい。
名品を扱ってる店眺めて御茶でもしたい。そうもいかないのが、昨今の情勢であるが。
どうやら、正体も知れたらしい様相に竜自身も主に向けた念話ではなく、この少女にも指向性を向けた念を飛ばす。

会得しようという気にはなれない人化の術を心得た個体である。
年嵩だけで言えば、自身が上であろうが若年で既に会得しているとなれば、どれ程の力を持っていることか。
他の個体と競う思考はなくとも少なからず、興味はある。

「風が吹いたら落ちそうな処から、無茶しないで。冷や冷やしたわ。

 ……――そういうことね。私たちが気になっていた竜がたぶんあなたよ。
 こんなちっちゃい子に転じているなら、道理だわ。かくれんぼが得意にしたって、これだったら隠れ様は幾らでもある。

 ラファルちゃんね。私はアマーリエ。アマーリエ・フェーベ・シュタウヘンベルク。
 王国軍の師団の一つを預かっているものよ。こっちはトルデリーゼ」

またしても飲酒してみせる見た目は子供、中身は竜に得心が言った風情で顔に手を当てつつ、首を振る。
内心で納得しがたいものを言い聞かせるような仕草は、無理もない。
化身している際の中身と外見が一致しないのは、偽装した魔族の類とも同じだろう。
天真爛漫さも年月を経ていないが故となれば、理解もできる。
故に名乗り、己の身分を明かす。挨拶ついでに竜の名も口にすれば、欠伸をするように白い竜は鳴く。

ラファル > 「うーん……だったら、お散歩いいよ!おねーさんもぷらぷらあちこち行くといいと思うの!
 毅然、醜態……?」

 気晴らしに散歩、それはよくある話であろう。自分の姉も犬の散歩とか良くするし。
 そのあとの竜の言葉、難しい言葉にきょとーんとしてしまおう。
 思考の念話に、あ、おかーさんみたいだ、と。
 自分はまだできないので、竜の時はしゃぎゃあ、となるのだ。

「大丈夫だよ、シルフィードはそんないたずらしないし。
 それに、空飛べるし。

 え?ボク探してたの?なんで?

 アマーリエ。アマちんだね!
 で、トルデリーゼ。リゼちん!
 王国の軍人さんだね!覚えたよ
 ぼくは……そうそう!トゥルネソル商会だよ!」

 師団のひとなのかーと彼女の言葉に、うん、とうなづいてから。
 思い出したように自分の家名を伝えよう。
 おみせよろしくねー!と、にこやかに。

アマーリエ > 「散歩。……嗚呼、その手があったわね。――アリ、かしら」
『のう、主よ。こやつ力あるが吾より若いぞ。色んな意味で』

散歩か。色々片付いた後であれば、アリだろうか。
魔法的な連絡手段も予め用意の上であれば、副長達も困るまい。今度用意しとこう。
内心でぽんと手を打ちながら、今度は己に対して指向性を振り向けて言葉をかける竜に頷こう。
どうやら、外面と内面が一致しているという風情なのだろう。
故に若い。人世のあれこれに囚われず、気儘にあるという自然体そのものだ。

「――風と親しいってコトね。
 心配して損をした、なんて言わないけど、人間の子がこんな処であんな風にやっていると心配になるのよ。
 覚えておきなさいな。

 お見知り置きを。この辺りで時折森を喰っている竜が出ると聞いたから、見に来たの。
 出来たら捕まえられないかなって思ってたのだけど、その名前が私の聞き違いでなければ止めておいた方が良さそうね。
 それと、私とこの子はおねーさんと呼んでくれた方が嬉しいわ。ねぇ?」

成る程。風竜と俗に定義される存在か。そうなれば大気の精霊とも親しい理由も分かる。
投げ掛けられる不可思議な綽名に一瞬当惑したように白い竜と顔を突き合わせて、主従共々にっこりと笑って言おう。
何分子供の言う事でもあるが、大人としてはちょっと困る。
聞いた名前の商会には覚えがある。冒険者をしていた時にも使った覚えがある。そんな記憶が。

ラファル > 「うん、良いよ!だって……散歩すれば、いろいろ見えるし、面白いよ!
 そだよ、リゼちん。ボク、一歳。ドラゴンで言うなら、パピーとかだよ!」

 彼女の思考にどんな琴線を与えたのかは知らないけれど、散歩してフラフラするのはとてもいいことだ。
 開放感がたまんないと、少女の言葉、ドラゴンの忠言には、そだよー、とうなづいて。
 思考を無意識なのか、読んでいる模様、発信はできないけど受信感度は高い模様。

「んじゃ……えや。」

 心配になるらしい、いらぬ心配をかけたら額のしわ寄りが増えてしまうのだろう。
 じゃあ、こうすればいいね、と半分竜の形に。背中には翼、頭部には竜角、しっぽもでろん。
 緑のウロコをもつ、ドラゴンハーフが現れる。
 これなら心配もないでしょ、と。

「つかまるのやだー!!!!!!!!!!

 おねーさん?あまちんおねーさんに、リゼちんおねーさん!」

 捕まえるという言葉に過敏な反応なのは。拘束されるのは大嫌いだから。
 おとなしくしてるというのは大嫌いなので。
 あだ名がお気に召さないようで、おねーさんと読んでくれ、という言葉にあだ名プラスおねーさんが。
 コドモのコドモらしい思考です。

アマーリエ > 「……え。あなた、数え歳で一歳なの? 嘘、ホント?」
『で、あったか。主よ。頭抱えている処悪いが真実ぢゃ。
 あれの肉体はこの世に生じてまだ其れほどしか年月を経ておらぬ』

そうねぇ、と。頷くものの続く言葉に思いっきり疑念を表情に浮かべつつ、向こうの顔を見遣る。
人間で言えば生まれて間もない子供が、這い這いと通り越して元気に走り回っている風情さえある有様だ。
思わず頭を抱えてしまう中、泰然とした竜の念話がこの場に響く。
如何なる産まれと血筋かは知らぬにしても、力だけは何よりも強い個である、と。裏を返せばそうとも言えよう。

「半竜形態――嘘は言っていないようね。

 ちん、は余計よ。正直に言えば、ラファルちゃん?捕まえてお尻ぺんぺんしたい処よ。

 お腹が空くのは止めようがないけど、害獣は兎も角森を平らげるのは程々になさいな。
 狩人や採取で生計を立てている近くの村人とか、困る人達が出るのよ。過ぎれば討伐隊だって出てしまうの。分かる?」

ちんがついているというのは、別の意味で間違いではないが、其れを言うと話が進まない。
ちょっと立ち話をするにはいい加減、竜も疲れてきたというよりは呆れ等で翼の扱いを間違いかねない。
故に上昇し、崖の上の平地に着地して一息入れながら、騎乗姿勢のままで声を投げる。
書面ではないが、身分と立場故の勧告という奴だ。
周辺の木々の分布図を書き換えるようなことには至っていないと思うが、回数が過ぎれば大変なことにもなるだろう。

ラファル > 「うん、うん。一歳だよ?今年の春に生まれたんだ!」

 ふたりの言葉ににっこり、まだ一回目の誕生日は来てません。
 それでも、ドラゴンはそれなりに強いし、これも子供の遊びレベルなのでしょう、多分。

「嘘言ったらおしりぺんぺんされるんだもん。

 あまおねーさん。
 ぎゃー!?おしりぺんぺんはやだー!

 じゃあ、森はもっと遠くで食べるー!」

 脅しが効いたのか、涙目で少女はブンブンと首を横に振る。
 着地して騎乗する相手、お尻ペンペンされると思ったのか、木の幹からころりと崖の方へ。
 ばさり、と羽を羽ばたかせて空へと舞う。
 そして、言い逃げのように、もっと遠くで食べる、という宣言とともに加速して、直ぐ、音を置いて飛んだ。
 ぐんぐんと、加速する方向は、マグメールの方へ。
 多分家に帰ったのだ―――と思われるが、本当に帰ったのだろうか――

アマーリエ > 「……俄かに信じがたい位だけど、ほんとに若いわね。
 子供のやったことに目くじら立てるのはオトナとしてどうかと思うけど、ね」

そう、何分子供のやったことだ。
エスカレートすると差し障りが出る事が大きくコトが予測されるが、言葉が通じるならば対話の仕様がある。
言葉を聞かない、聞く気もない害獣ならぬ害竜となれば、隊を挙げて竜鎮めを為す必要がある。
実年齢に関係なく、竜と相対するのは良くも悪くも命がけになる。

「そう、百叩きよ。って――ラファルちゃんっ!?

 ――速いわね……。殆ど生まれたばかりにしたって、あれだけ遣れるなら才能の塊じゃない。
 スカウトでも出来ればよかったけど、聞いた名前が本当ならおいそれとそうする訳にもいかないわね」

涙目で首を振る半竜姿の少女が、木の幹から身を投げるように崖の方に動く。
投身自殺な訳ではない。その翼の権能を発揮して飛んだのだ。喰い逃げじみた宣言と共に、飛び去る速度は早い。
轟、と生じる風圧に顔を掲げる腕で防ぎつつ、逃げ去った方角を見遣って嘆息しよう。

何せ自分達が来た方角でもある。
隠し事の類をそもそも考えていなさそうな風情を考えれば、聞いた商会の名前も嘘ではあるまい。
今度向こうが言っていたように散歩ついでに伺ってみようか。
そう思いつつ、欠伸をする白竜を促してこの場から飛び去ろう。竜の鼻先が向かう先は、同じ方角。
こちらの速度は脱兎の如くではなく、ゆっくりと周囲の偵察も兼ねつつ――。

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からラファルさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からアマーリエさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にジードさんが現れました。
ジード > ひんやりとした寒さを感じさせる山中を一人歩く男の姿がある。
物とりや追剥の跋扈する危ない場所だというのに、道行く足取りは確かな物。
掲げたランタンの明かりが、少し開けた場所を示した所でフッと足を止め。

「――よし、休憩にするか」

言葉にするが早いか荷物から小瓶を取り出し、中の液体を幾つか地面に垂れ流す。
と、緑色の煙と臭気が一瞬周囲に立ち込めて消え。

「けほっ。…これがあるからあまり使いたくないんだけどね、この獣除け」

ぱたぱたと手を横に振って煙を払いながら丁度いい大きさの岩を椅子代わりに腰かけて息を吐く。

ジード > 「追剥の類は基本的に人間だから何とかなるといえばなるんだけど、
 野獣の類は説得って訳にもいかないし興奮すると薬の効きも悪いしなあ」

最初から関わらないのが一番だとしみじみ漏らす。
元々さして荒事が得意な訳ではないので致し方がないが少々情けない愚痴も漏れる。
かといって護衛を雇った場合、薬の類を使うと護衛からも文句を言われるのがなんとも面倒だ。

ジード > 「そろそろ頃合いだな。朝になる前には宿にたどり着けることを祈ろうかな」

天上の月を見上げて大よその時間を計って立ち上がる。
宿にたどり着くまでの間に狼藉物に出会わない事を祈りながら
足早に明かりを消して広場を後にしていく。

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からジードさんが去りました。