2018/11/15 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にアネラさんが現れました。
アネラ > 山肌がむき出しになった山中。人も獣も、あまりようがない場所。
なにせ雨が降れば崩れるかもしれないし、雨が振らなくとも崩れるかもしれない。
基本的に危ない。よって、虱潰しの捜索や、探索対象がこういう場所を好むとか、そういうことでなければ、あまり用はないだろう。
だからこそ仕事がしやすいというもの。

「えーっと……うーん……いいの、なかなかないなあ……」

のんびりとした風の声音の少年。一応は危険度のたかい地帯なのだが。
何かを探すように、その辺りにある大岩などに手を当てては、次の大岩へと。
岩に何があるというのか。

アネラ > 何かを探すように、岩にペタペタ手をつけて、そうして山肌を歩いて20分ほど。
なにかにピンときたような、目をちょっとだけ開くような表情。
そして、宝物をみつけた子供のように、無邪気な顔。

「みーつけたっ。よーしっ」

がんばるぞっ。という風な声。
そして両手を岩塊につける。魔法に長じたものなら、魔力が岩に流れていくことが解るだろう。

「うん。うん。あるね。全部。よし」

少年が集中を始める。魔力が岩全体に行き渡る。少年の魔法が岩の中で行使される。
変異術。
その在り方を、魔法によって変えて「便利に」する魔法。
岩の中で、変異が起きる。

「そう。そう。このイメージ。気の遠くなる時間の熱と圧。
理屈はわかっても、方法はそうそうない。
でも、僕にはあるから、そうなって」

集中。集中。集中。
今、岩の中では、鉱脈がつくられるような気の遠くなるような変異が起きている。

アネラ > 「ふーーーー……………」

深い呼吸。何度も、何度も、何度も、何度も。
深い集中。何度も、何度も、何度も、何度も。
変えて、便利にする。それが魔法の目的であり、全てはそのため。
とはいえ、一つの岩の中で、幾千年幾万年の工程をスキップさせているのだ。
術があるとはいえ、簡単ではない。決して。
たとえ彼が、故郷でその才をもてはやされたこともあったとしても。
人にできる、人が簡単だと思える事。それは自然全体のなかでは、ちっぽけだ。

しかし、だとしても、その才を持ってしてやり遂げる。
でなければ、一般的に普及するほどの簡便さをもつ攻撃魔法も
戦士として恵まれた体躯ももたない少年が此処まで放浪を続けることは出来ない。

アネラ > そうして、数時間。朝の日差しが、真上からの陽光に変わる。
少年の中性的な……ともすれば少女とみえなくもない顔は、玉の汗でいっぱいだ。

そうして――

「よし……できた。 じゃあ、割れてね」

岩のつながりを変異させ、解く。極めて自然に。いや、自然より不自然に優しく岩が割れる。
その中心。飴玉2つ分ほどの結晶。
赤い赤い結晶。
それを、そっと取り出す。

「うんっ。いい仕事したっ。これ売れば当分色々に困らないね」

ただの岩から取り出したるは紅玉。

ぺたぺた触っていたのは、岩の中にある要素を選び取っていた。
ここで初めて見つけたのが、この岩。
幸運なことに材料があった。ならば、作る。作れるならば、作る。
『世界を変えて、自由に生きろ』
少年の師匠はそういっていたから。

「はあーーー……。流石に疲れた……。一休みしようっと……」

バックパックに紅玉をしまいこんで、ぺたんとその場に座り込む。
こんな場所に、もし人が来るとしたら……どんな物好きだろう?

自分をすっかり除外してしまっている少年だ。

アネラ > 「ふぅむ…………。此処って山賊街道っていわれてるみたいだけど……
山賊きたらやだなあ」

日差しを浴び、座ったまま、水筒から水を飲み、来る途中でもいだ果実をかじり
実にリラックスした昼食風景で「そういえば」と此処がそれなりに危ない場所であることを思い出す。

できれば面倒事は嫌だし、賊って基本的にある程度ぶんなぐらないと話聞いてくれないから賊だもんなあ。
果物美味しい。

何か一つに長じたものは変わり者が多いが
この少年には危機感がイマイチ欠如しているのだろう。

お水のみのみ果物たべたべ。

アネラ > 「さて、と。温泉宿もあるっていうし、そこで一泊して、乗合馬車で帰るかなー」

よっこいしょ、と立ち上がり、伸びを一つ。
さあ。今日の収穫は一体いくらになるのか。
宝石の需要は多い。しかしやはり供給が多いものではない。
大きさもしっかりしたものだ。莫大な大金……とはいかずとも
当分お金に困ることは無いだろう。普通に寝起きして、普通にご飯を食べて、普通に遊んで。
そうしてこの国をぶらぶらしていく。

『世界を変えて、自由に生きろ』そう、師は言った。
自分はそれにプラスして、楽しく生きたい。
……弟子の手前言わなかっただけで、お師様もそうだったんじゃないかな?

そんなことを思いながら、ふらりと山の斜面を街道へ下りていく少年。
風に舞う羽毛のように、ひらり、ふらり、ふわり。

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からアネラさんが去りました。