2018/09/16 のログ
光流 > 陽が傾き始めれば日没までは早い。
もう少し早く里へ戻るつもりで出た鬼は、夜の山道を歩く準備をしておらず、
気づけばのんびりしていられるのも限界の時刻。

「ま…大分綺麗になったろ。」

雫の垂れる傷口を人差し指でなぞり、呟く。
願望である。例え命は無関係であっても、一晩寝込みたい筈が無い。
水から上がり、帰り支度を整えて、鬼は里の在る方へと戻っていく。

夜、無事であったか否かは――鬼を含め、里の者だけが知ることとなるのだろう。

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」から光流さんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にアイディールさんが現れました。
アイディール > 山脈に伸びる街道。そこから少し外れた場所に小川が流れていた。
滔々と、柔らかな音を奏でながら流れている細い川。
夜中、にさしかかろうとする中天の月明かりを受ける澄んだ水。
例えば旅人が喉を潤したり、身体を洗ったりするのにちょうど良い場所。
その流れの中、岸辺からほんの僅かに手を伸ばせば届く場所。
そこに、煌めきが存在していた。
月の影に紛れることなく、水の流れに惑うことなく存在する煌めき。
それは、ひとつの石だった。

――透明で小さな石の中に、まるで燃えているような光が存在する。
薄っすらと、時間に応じて色を変えていく。青、赤、黄、緑、紫――。
きらきらと煌めく色の中に、時折黒く闇のような色合いが走る。

それはそんな石だった。
ただ、静かに静かにそこに存在し、いつか消えてしまうだろう。
そこに存在するのが極自然で――けれど、決定的にどこか不自然な光。
そんな風に、今宵それはそこで何かを待っていた。

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にサーシャ・ゼロさんが現れました。
サーシャ・ゼロ > 母が久しぶりに外の仕事を請け負い、薬草採集の仕事に向かうことになり。
これくらいなら子供でもできることだし覚えて損は無いという母親の判断のもと。
母親を護衛として山中に訪れた日の深夜。
野宿のため、簡易な寝袋で熟睡していたが何やら不思議な感覚を感じて目を覚まし。
あたりを見渡しても異常はないようだ、母親もぐっすり寝ていることから周囲に敵がいないこともわかる。

「ん……みず」

寝ぼけた瞼をこすりながら寝袋から出れば近くに流れる小川まで歩き出す。
普段であればこの時点で母親が目を覚ますだろうことにまったく気づかず、小川までくれば水を掬って喉を潤し。
ふと、視線の隅に光る小石があることに気づいて首を傾げ。

「あれなんだろう」

見たところただの光る石のようにも見える。
好奇心がくすぐられ、ゆっくりと立ち上がればその石のもとに近づいて。

アイディール > 異常は何も存在しない。彼女が寝ているところから小川までは静かなものだ。
敵になる生物どころか――小川の流れる音以外、音がない。
それに少女が気付くかどうか。
気付いても、それの意味するところを判断できるかどうか。

そして、その静かな流れの中にその石は存在していた。
流れる水は清涼な味と、僅かな甘みさえ感じるだろう。
そして、近づく少女の目の前で、石は輝く。
黒く、灰色に、そして白く――見る度に煌めきを変えていく魔石。
まるで触れてみろと誘うような色合いで――。

サーシャ・ゼロ > 「すごい綺麗……」

まだ少女ゆえの無知か、異常な明転を繰り返す石に警戒心なく近づき。
妖しくきらめく小石を手にとって瞳にその明かりを照らし。

アイディール > 少女の小さな手にすんなりと収まる石。
まるで吸い付くように指先に馴染んでしまうだろう。
その瞳に吸い込まれるように黒く、煌めいていくそれ。

同時――その黒に指が吸い込まれてしまうだろう。
まるで溶けるように指が滑り込み、抵抗なく身体がずぶずぶと飲み込まれていくか。
広がっていく黒。それと比例するように彼女の身体が消えていく。
静かな静かな空間。悲鳴を上げても、抵抗してもきっと誰にも届かない――。

サーシャ・ゼロ > 「ぇ、あ……」

闇が空間をゆがめるとともに自身を飲み込んでいくのをみれば慌てて手を放そうとするが時すでに遅し。
小さな声だけを残してその場から石とともに綺麗に消え去ってしまい。

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からサーシャ・ゼロさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からアイディールさんが去りました。