2018/08/31 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山中」にタマモさんが現れました。
■タマモ > 九頭龍山脈の少々深いところに、程よい泉がある。
そんな話を式から聞き、少女はさっそくやって来ていた。
なるほど、小さな滝のように落ちる水、その場所に泳ぐのに丁度良さそうな泉が広がっていた。
何をするのかって?やる事は一つである。
「………考えてみたら…釣りに合うとは、言うてなかったか…」
泳ぐのに丁度良いとか言っておきながら、少女がしていたのは釣りであった。
なかなかに澄んだ泉だ、だからそう言っただけで、泳ぐとは一言も言ってない。
ちなみに、今日の調子はよろしくないようだ。
気にしてはいけない…気にしてはいけない…気分的には、少し気にしているが。
ご案内:「九頭龍山脈 山中」にスナさんが現れました。
■タマモ > あれから、結構な日が経っていると思う。
だが、今だに心の奥底で燻っている何かがあった。
まだ内面的な不安定さがあるか、時折、己を抑えられなくなる時がある。
そんな感じに、色々と不安要素がある為、王都内の活動は少々控え気味にしていた。
まぁ、うん、ぶっちゃけ加減無しに襲いそうになる。
今のところ、重要な方の問題は、あれから起こってない…かもしれない?
なので、そちらが問題となっているのだ。
もしかしたら、それらが今の釣りに影響を与えてるかもしれない。
そう思いたい。
一旦垂らしていた糸を戻し、釣竿を手元に戻す。
くぁ…欠伸を一つ、何か少し面白味のある事を探そう、と。
■スナ > 泉に向けて涼やかな音を立てながら落ちる、小さな滝。
その奔流の突端から、小さな影が勢いよく跳躍する。まるで獲物に襲いかかる肉食獣のように、しなやかに。
それは、一糸まとわぬ少年の姿……だが、頭頂には獣の耳を生やし、お尻からも2本の尻尾をたなびかせている。
崖の頂上から飛び立ったそれは、まっすぐに背と腕を伸ばし、泉へと飛び込もうとする。が。
そのほとりで釣り竿を掲げる人影に気づくと、整った姿勢が僅かにぶれる。
無人だと思いこんでいた泉に来客がいたので、驚いたようだ。とはいえ、落下を止めることはできず。
ちょっぴり崩れたフォームで、どぼぉん、と大きな飛沫と音を立てながら着水する。
すぐにその獣相の少年は水面から顔を出し、釣り人のほうに向けて静かに泳いでくる。
「これはこれは……釣り人かぇ。珍しいの。こんな澄んだ水場には大した大物もいなかろうに」
前が見えているかどうかも怪しい、細めた目。しかしその内側では2つの瞳はたしかにタマモを見据えている。
放たれた声色は、若々しい少年の体躯とは印象を異にする、低く野太いもの。
■タマモ > ぴくん…少女の耳が揺れる。
微風に靡く木々の葉と、流れる滝の水音、それが耳に届いていてた主な音だ。
そこに、別の何かの音を捉えた。
釣竿を戻そうとしていた、それに合わせるように。
当然、そちらへと視線を向けるのだが…うん、何か崖の上から落ちている。
迷惑な自殺志願者、と言う訳でも無さそうかと思ったのは、それが飛び込むような姿勢をしてたからだ。
視線が上から下へ、落下する相手を追って…飛沫を散らし、泉の中に消えるまで見詰めて。
「ふむ…この感覚、この世界の同族か、珍しいのぅ。
あー………まぁ、そうじゃろうな、今気付いたところなのじゃ」
ぱっと見では、ミレー族か…と思ったのだが、すぐにその違いには気付いた。
妖は見た目で判断するものではない、己も含めて。
だからこそ、その点は気にした風も無く言葉を返した。
後の言葉には、はふん、とわざとらしく大きな溜息も加える。
ゆらりゆらりと、九本の尻尾を揺らしながら。
■スナ > 「同族? はて………」
少年は一応はタマモの方を見ている。だが、その姿の仔細を捕らえているわけではない。
なぜなら彼は近眼だから……。
カサカサ、と下生えをさざめかせながら、2匹の獣が新たに登場する。
家猫程度のサイズの狐だが、スナの髪や尻尾と同じ灰色の毛並みを持っている。
めいめいに背中に雑嚢を背負っている姿は野生の獣には見えない。どちらもスナの使い魔である。
雑嚢の一方には山で集めた木材が、一方には泳ぎのために脱いだ服が入っている。
そして、泉のそばまで駆け寄った狐の一匹が、口に咥えた丸眼鏡をぽいと泉に放り込む。
正確にスナに向けて投げられたそれを受け取り、未だ水したたる前髪をかきあげて眼鏡を装着する、と……。
「………げぇっ!?」
少年の表情はあからさまにひきつり、大声を漏らす。水面下でも全身を震わせ、驚愕を表す。
「な、なんでこんなとこに妖狐がいるんじゃ………し、しかもその尾の数は……。
ひぃ、ふぅ、み……や、やばいの、これは……」
いまのところ、多尾のミレーは見たことがない。なればきっと少女もまた、妖狐。
そして、正面から数えられるだけの尻尾を数えても、スナ自身の尾の数より多いことは明らか。
尾の数は妖狐の格を表す。少なくともスナの故郷ではそれは常識だったし、スナも若い頃は尾を増やすために躍起になっていた。
この少女は……まぁつまり、スナの常識に照らし合わせれば、「遥かに格上」の存在である。
そしてきっと、実際にそうなのだろう。
「……あー、その。ちょいと身体が冷えてきたんで、水から上がっても……ええかの?」
普段は飄々と暮らしているスナも、さすがに怯えきってしまっている様子。
些細な身の振り方すら、お伺いを立てる始末。まぁ慎重に動くに越したことはない局面だが。
■タマモ > 「………うん?」
はて?分からぬ訳が無いと思うのだが…そう少女が思うのは、相手が近眼とは知らないから。
首を傾げ、もしや、自覚の無い妖か…?と、思考を巡らす。
…が、その思考は、すぐに正しい答えを見付けるだろう。
後に続いて現れた狐、それが投げ渡したそれが、何かに気付いたからだ。
そこに到り、やっと相手の少年も気付いた様子だ。
まぁ、うん、吃驚されるとは正直思わなかった。
「いやいやいや、これだけ距離を寄せれば感覚で気付けるじゃろうに…いや、そうでもないのじゃろうか…?」
見えてから驚いた事に、むしろこちらが吃驚だ、みたいな?
そんな言葉を漏らすも、ふと考えを改めてみる。
ちなみに、少女は相手が弱かろうが強かろうが、気にしない性質である。
良い意味でも悪い意味でも。
「泳ぎに来たんじゃろうに、そんなにここの水は冷たいんじゃろうか?
まぁ、この時期、冷えるくらいが丁度良いと思うんじゃがのぅ」
ふむ、と考える仕草。実際、今日も暑かった。
それでも、そのまま居られて風邪を引いたとか、そうなったらあれか。
気にするな、と言葉を付け足し、出るなら出るで相手に任せようと。
………とりあえず、それはそれで、相手の体がゆっくりと見れるから良いだろう。
そんな事も、ふっと頭の片隅で考えて…平常運転である。
■スナ > 「す、すまんの。俺ぁ弱っちい狐な上に、他の妖怪に出会うのも数十年ぶりじゃからの。
そのへんの勘は明らかに鈍ってるんでな……うん、そういうことなんだ」
などと、たどたどしい口調で言い訳を紡ぐものの。
こうして面と向かって互いを認識し、数口なれど言葉を交わせば、妖怪としての勘の鈍ったスナでも感じざるを得ない。
目の前の少女が内包する「妖気」というものの厖大さを。赤く染まった瞳の不自然さを。
シェンヤンにて他の妖怪と鎬を削っていたころの勘と本能がじわじわと戻ってきて……気分が悪くなる。
身体が冷えてきたように感じたのも、八割がたはその寒気のせいでもある。
「ん、じゃあちょいと失礼するぞ……下らぬ雄の貧相な裸を目に入れてしまう無礼、どうか許しとくれよ、先輩……」
とりあえず、妖狐の「先輩」の許可はもらったので、おぼつかない手足の動きで水辺に寄る。
そして、小柄ながらも引き締まった少年の肢体を地上へと引き上げる。
脚の間で、ぶるん、と男性器がしなり、水しぶきを土に散らす。体格に比してやや大きめだが、恐怖と水の冷たさに縮こまっている。
駆け寄ってきた使い魔狐が背負う雑嚢をいじり、着てきた服を取り出そうとするが……。
「ん、あれ? カバンが、む……開かぬ………これどうなって……」
留め金が壊れたのか、それとも狼狽して指が縺れてしまったのか、カバンを開けるのに手間取っている様子。
図らずも、少年の引き締まった尻と縦割れ気味のアナル、そしてその下にぶらりと垂れ下がる男性器がタマモに向けられる体勢になる。
■タマモ > 「誰しも、年月経たぬ内に強い者は居ない…弱さを卑下するは不要じゃぞ?
そんなものを自慢するのは、力だけしか持たぬ者じゃ。
まぁ、勘はのぅ…確かにここには、妖はそう見掛けぬ、仕方無いのじゃろう」
己とて、気が遠くなる程に長い年月あってこその今なのだ。
理由は色々とある、言い訳もあるのだろうが、気にしないのが少女である。
まぁ…今は少々不安定なせいで、妖力は駄々漏れ状態。
その点で、ちと相手に怯えさせてしまっているかとか、逆に悩みどころであった。
「ふむ…」
気にせんでも良いのだが、上下関係は意識する者は意識するものか。
困ったものだと肩を竦め、泉から上がった少年を眺めていれば…
あぁ、あれだ…これは駄目なやつだ。
そんな考えが、少女の頭を過ぎった。
よいせ、と鞄を開けようとしている少年の後ろで、少女が静かに立ち上がる。
音も無く、背後から少年へと近付く。
「………つまり、今はまだ、開けずとも良い。
お主の持ち物が、そう言っておるのじゃろう。
ふふ…せっかくじゃ、その意図を汲んでやらねばな?」
鞄にそんな意図なんてある訳がないが、少年へとそう言葉を掛ける。
その言葉を合図に、しゅるり、と尻尾の四本が少年へと伸び、その手足へと絡み付く。
己に尻を向け、四つん這いにさせている、そんな状態だ。
■スナ > 「いやなに、弱いのはホントのことじゃ。
本来ならとうの昔に龍脈に還っていたじゃろうに、何の因果かまだ動いておる、そんな爺じゃからの……。
……ああクソ、開かぬ。汗かいてきた……」
少女のかけてくれる優しい言葉も、スナには強者の余裕というバイアスがかかって聞こえてくる。
とはいえ、己を「弱い」と規定することもまた処世術で、意図的にやっている節もあるのだ。
余計な諍いや力比べから身を遠ざけ、悠々自適に暮らすための術。
……そんな裏の意図までを見透かされたような気になると、いよいよ逃げ場がなくなったことを自覚する。
気もそぞろに後方への注意を怠ったまま、自分のカバンと奮闘するスナ。
その脚に、タマモの金色の尻尾がするりと絡みつくと。
「……ひゃうっ!?」
低い男声が限界まで高くひきつり、四肢がびくりと震える。恐怖のなかにこそばゆさが混じった、嬌声に近い悲鳴。
タマモにされるがままに引き倒され、彼女の目の前に尻を突き出した四つん這いの体勢となる。
「……く、ククッ。な、なるほどの。そういう考え方もある、かぇ。持ち物が俺に楯突くと。
そうかもの、そうかものぅ。どんなモノだって意志を持ちうるのは、俺たち妖怪こそがよぅ知っておる。
……なればせめて、服を取り出せたときにそれを着るための身体が残ってるくらいには、お手柔らかに頼むよ、先輩」
未だ相手への恐怖心を宿す、震える口調のままで、スナは相手の冗談に応えるような台詞を紡ぐ。
相手の意図はある程度汲み取れる。少なくとも、この場で今すぐにむごたらしく殺される末路はなさそうだ。
相手が色を好む女狐であれば、その手管を味わってから生命を散らすも悪くない。
地に引き倒され、みじめに這いつくばりながら、スナは引きつった笑みすらも浮かべていた。
そして、脚の間から垂れ下がる性器も徐々に熱を取り戻していく。むく、とひとつ海綿体が膨らむ。
「あわれな雄が目の前でみじめに這っておる。
誉れ高き九尾の狐様が、そんな贄にどう触れるのか……ククッ、ちょいと楽しみじゃの」
聞こえるか、聞こえないかといった音量で、自嘲的につぶやく。