2018/04/30 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 温泉宿」にシャロンさんが現れました。
■シャロン > 春もそろそろ盛りとなれば、空気も温く心地よくなる。
ともすれば遠出をしたいのだが、身重ともなれば中々思う通りにもいかなくて。
息抜きのお出かけ、という事で紹介されたのは龍の麓からほど近い、街道沿いの温泉宿だった。
夕方ごろに到着し、とっぷり日が暮れてから、温泉へ。身を清め、髪を洗い、準備を整えたのがつい先程。
そして漸く、今回のメインである天然露天風呂に足を運ぶ。普通の温泉からほんの少しだけ離れた、いわゆる秘湯というやつで。
温泉から繋がる、木の柵で隔てられて整備された小道。ほんの少しの距離とは言え、一糸纏わぬ姿で森を歩くのは不思議な気分だ。
やがて、木々が開けた場所に、綺麗な楕円形に積まれた石の列と、並々張られた白濁の湯が見えてくる。
「ん、良いですね。お湯も滑らかで肌がすべすべになりそうです」
最近旦那様に会えていないから、次会う時の為に綺麗になっておきましょう、などと思いつつ、鼻歌交じりに温泉の淵へ。
備え付けられた桶で体に軽くかけ湯をすると、そっと足を差し入れ、ゆっくりと体を沈めていく。
肩までつかれば、ぽかぽかと心地よい温もりが広がり、自然と気分もよろしくなる。
ちらりと片隅を見れば、自分が来た道の他にもう一本、木の柵で区切られた小道が見える。
――混浴だったのかしら?と首を傾げつつも、今は完全貸し切り状態。すっかり羽を伸ばした少女は、至極上機嫌だった。
■シャロン > 肌を撫でれば、滑らかな感触がとろりと滑る。
くすぐったさの混ざった心地よさに、少女は思わず頬を緩ませる。
ちゃぷり、ちゃぷり。お湯が流れる音と、風で木の葉が擦れ合う音、そして時折獣の鳴き声。
それ以外は何もない穏やかな空間は、心と体をゆっくりと解きほぐしてくれるものだった。
「はぁー、生き返りますねー……最近は大分気を使ってもらってるから、疲れるほどの事もないですが」
本格的に剣を握らなくなって、代わりに書類仕事が増えて。
物資の手配なども手伝いつつ、しかし体の負担がかからないように配慮や融通がなされていて。
申し訳ないなぁとは思いながらも、すっかり甘えてしまっている現状だ。
今こうして温泉を楽しんでいるのも、気遣いを受けての事。頭の下がる思いだ。
「お土産、お饅頭くらいは買ってかないと、罰が当たっちゃいますよねぇ」
自分がいない今、皆も気を抜いてくれているといいなぁ、などとしんみりしつつ、明るい月をぼんやりと見上げる。
■シャロン > 湯に浸かる際に結い上げた髪。その下の項にはうっすらと汗が滲む。
暖かな湯でほんのりと上気した頬は、甘い桜色に色づいて艶を産み出して。
肩までつかったまま十数分、そろそろ湯あたりする前に一度休憩するか、と周囲を見回す。
座椅子の様な類はないが、岩風呂の一角に筵を敷いた休憩場のような場所は設けてあるようで。
お湯をかき分け、ゆっくりと休憩場の方へ向かうと、岩風呂から身を上げて、筵の上に腰を掛けた。
結構の良くなった肌は、頬と同じく朱に染まり、発展途上の肢体をいくつもの雫が伝い落ちる。
膝より下だけをお湯の中に漬けた少女は、吹く風の涼しさを味わいながら。
「はふぅ……そう言えば、飲み物を貰っておけばよかったですね。後で取ってきましょうか?」
何度か温泉に浸かれば、その内喉も乾くだろう。
だから備えておけばよかった、と少しだけ後悔。
とは言えそれも由無し事、夜更けの露天風呂は未だ広々貸し切り中だった。
■シャロン > こうして一人で大きな風呂を独占していると、気分はいいのだが少しばかり寂しい。
何せ、ぽつねんと大きな岩風呂の中にいるのだから、贅沢な代わりに孤独感も凄いのだ。
「むー、話し相手に誰か連れてくればよかったですかね?でもそれだと、気を使わせちゃいますし」
やっぱり一人で来るべきだったよねぇ、と思い直しつつ、空を見上げる。
ちらちらと瞬く星々が、木々で切り取られた円形の天井。天蓋とはなんとも美しい。
ほぅ、と溜息をつくと、少女の手は緩やかに下腹部へと伸びる。
臍の下、うっすらと白抜きの龍の刻印が刻まれた箇所を、ゆっくりと優しく撫でる。
この掌の下、肉を隔てた向こうに、旦那様との子供がいると思うと、ついつい嬉しくなってしまう。
同時に、最近すっかりご無沙汰だからか、下腹部の肌を撫でるだけで、腹の奥に鈍い快楽がじわりと走って。
欲求不満、と言うものなのかしら――と少女は密かに嘆息すると
「だからと言って、ここではしたない真似をするわけにもいきませんよね」
こほん、と咳払いを一つ。ついでに僅かに生まれた淫欲を振り切ろうと試みる。
■シャロン > そろそろ冷えてきたから、と少女はもう一度肩までお湯の中に浸かる。
もう一度体を温めたら、一度上がって部屋で休むつもりで。
ぬくぬくのんびり、心地よさに浸って羽を伸ばしたら、十分程度の後にざばりと上がって。
そして少女は、普通の風呂の方へと元来た道を戻っていく。滑々の卵肌を堪能しながら。
ご案内:「九頭龍山脈 温泉宿」からシャロンさんが去りました。