2018/02/19 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にパルフェさんが現れました。
■パルフェ > 九頭龍山脈の山中、その獣道を一台の馬車が進んでいた。
村なり街なりへと向かうような道ではないし、周囲を共に進むのはどう見ても護衛とは言えない身形の者達。
見る者が見れば襲った馬車をアジトへと運んでいる途中の山賊達だと分かるだろう。
だが、その進みが不意に止まる。
進む先を塞ぐ様に人影が現れたからだ。
その人影は山賊達に向かい指差せば、口を開く。
「お前達は山賊だな?小物臭がここまで臭ってきそうだが…我慢してやろう。
それは大方、側の街道を通っていたのを襲った馬車だろう?
ありがたく思え、財を得ようと無駄に使い潰すお前達に代わって、わたしが有意義に使ってやる」
発する言葉から、その人影は年端も行かぬ少女である事が分かるか。
いきなりの挑発発言に山賊達は一瞬それを理解出来ずにお互いの顔を見合わせた。
明らかに『このガキ何言ってんだ?』みたいな表情を浮かべる者まで居る。
その人影はと言えば、そんな反応に指差した姿勢のまま固まっていた。
否、その指先が震えている。
■パルフェ > 状況をやっと理解した連中も含め、調子に乗り出す山賊達。
『いや逆だろ、お前の身包みついでに剥いでいってやらぁ』とか、『このガキもついでに攫ってくか?小遣い稼ぎにゃなるだろ』等々、口走り始めた。
その内何人かが手に手に武器を持ち近付いて行く。
『おいおい嬢ちゃん、泣き喚いて降参するなら今だぜ?これでぶっ叩かれたくないだろ?』
その武器を揺らしながら、人影の側までやってくる山賊達。
ここでもし、一人でも魔力を感知出来る者が居れば状況も変わっていただろう。
だが、そんな都合の良い事は起こりはしない。
山賊達は気付かない、その人影から溢れ出る強大な闇の魔力を。
■パルフェ > 「これだから、賊という連中ってのは救いが無いんだ。
大人しく置いて逃げれば良かったものを、馬鹿な事をしたな?
お前達…死んだぞ?」
差していた指で宙へと何かを描く。
それを終えれば、そこに浮かぶのは闇の魔法陣。
そこでやっと異変に気付いた山賊達だったが、もう遅い。
「お前達には泣き喚いて命乞いをする時間もやるものか。
闇の逆十字の中で、その魂を地の獄へと落とすが良いだろう」
指を振る、宙に描かれた魔法陣が消え…山賊達全員を巨大な逆十字の闇が覆い、消える。
闇が消えた後には、誰一人立っている者は居なかった。
■パルフェ > 「はぁ…悔しいが、小悪魔の言った通りになったのだ…」
ガラリと変わる語調と共に、懐から一枚の紙を取り出した。
広げれば中には文字が書かれており、それをよく見れば今山賊達に発した言葉が綴られているのが見えるだろう。
そう、実はさっきまでの台詞は前以って決められていたものなのだ。
一応は山賊達が違う反応をした時の対応も書かれていたが、それをする必要もなかったようで。
両手で紙を丸めると、指先に灯した火で燃やす。
「さて、今日は大丈夫…のはずなのだ。
運が悪いと酷い目にあってしまうからな」
馬車の中へと入り込む、勿論この中に何があるかを確かめる為だ。
金になるものか、食料になるものか、いずれかであれば良い。
それ以外、特に前にあったようなミレー族達や奴隷達であった場合、本当に扱いに困ってしまう。
■パルフェ > どうやら宝石商の馬車だったらしい、煌びやかな宝石の数々が詰まった箱が何点か見付かった。
普通に売り払うだけでも結構な額になるだろう。
後は残りの日数を持たす為の食料、他雑貨品。
それらの確認を終えれば、馬車から降りる。
「よし、後は小悪魔達に任せるとするのだ」
流石にこの量を一人で持って行こうなんて思ってはいない。
今度は召喚の魔法陣を地面へと描き、何匹もの小悪魔を召喚する。
近くにある隠れ家へ運ぶように指示を与え、後は見ているだけだ。
あらかた片付けた後、この辺りの始末もしなければならない。
このまま放置は拙いだろう。
■パルフェ > 小悪魔達が積荷を運び終えれば小悪魔達はそこで戻す。
戻してから、次の召喚を行う為にである。
多重に召喚を出来る程に召喚魔法に長けている訳ではないのだ。
次に召喚するのは魔獣の類、さっき言ったとおりに辺りの山賊達を始末するからで。
どう始末をするのか、それはご想像にお任せする。
馬車も叩き壊し、見付かり難いように破片は散らばせておく。
ここまでが、燃やしたあの紙に描かれていた事であった。
「何だかちょっと複雑な気分なのだが…これも魔王様と会える日が来る迄なのだ。
それまでは我慢…我慢…」
言い聞かせるように呟きながら、人影はその場と後にして去って行った。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からパルフェさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にジードさんが現れました。
■ジード > 本来であれば人気がないはずの山中。その中腹ほどにある広場のように開けた場所が、
にわかに騒々しさに包まれていた。
本来はそんなものが現れるような場所でもないというのに広場を満たす緑色の霧、
そしてそれにまかれた人間の困惑の声というのが今起きている騒動の傍目に見た状態である。
が、当然そんなものが自然に起きる訳もない。その証拠と言わんばかり、
霧にまかれていた男たちが口々に罵り言葉を吐きながら闇に消えてのしばらく後。
「――やれやれ、やっと諦めたかな」
パン、と軽い破裂音の様な音と共に奇妙な色の霧が爆ぜて消える。
文字通り溶けるように全て消え失せると、後に残るのは怪しげな旅装の男の姿。
先ほどまでの騒動は、どうやら男が襲われかけた結果起きたことらしい。
■ジード > 「使った薬の値段と護衛の代金、つり合わせて考えると…どうだろうなあ」
右手で中身のなくなった瓶をひらひらと振って、ひっくり返してみると口天に引っかかっていた水滴が地面に落ちる。
それだけで綺麗というよりも毒々しい緑の霧が少量出現して男にまとわりつき始める。
しかし鬱陶しそうに手で霧を払いのけるとそれだけでフッと風に吹き消えた。
「これは疲れるのも問題なんだけど、もうちょっと改良が必要かなー。
材料費もバカにならないし世知辛いもんだよ、山賊に絡まれたのが一番世知辛いけど」
■ジード > 「とはいえこの道を通らないわけにもいかないのが問題だよねえ。
どっかで温泉でも出くわせれば楽しみが増えるけど…町までお預けかな」
懇意にしている温泉宿のことを思い返してしみじみと声を漏らす。
抱えた荷物を揺らすと中からカランと薬瓶の重なる音が響く。
仕入れた薬やその材料の類を派手な大立ち回りで失おうものなら大損だ。
それでなくても手癖が悪い人間、動物、果てはよくわからないものが潜んでいるのはよく知ってる。
「とはいえ、得体の知れなさで言ったら自分も人のことは言えないけどね」
■ジード > 「よし、っと。そろそろ山賊どもも動きを止める頃合いかな?
あんまり余計な騒動に巻き込まれないように祈りながら帰るとしようか」
変なのに出くわしませんように、ともう一度ぼやくようにつぶやいて、
闇の中へと去っていくことになるのだった。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からジードさんが去りました。