2017/10/09 のログ
クトゥワール > やがて行く先に灯の漏れ出ているのが見えてくる。
通路を申し訳程度に照らしていたそれまでの灯とは明らかに違う。
近づいてみれば先程のものよりも広い空間が現れた。

「憩い場か」

食事や馬鹿騒ぎにでも使うのであろう長めのテーブルが幾つか。相応数の椅子もある。
場の用途を現すように明かりが強く、夜毎の賑わいがすぐにも聞こえてきそうだ。
強まった光に幾分目を細めながら、紅の視線を水平に流す。扉が三つ。
一つを開くと食料が積み上がっていた。場の利便性を考えれば当然の事か。
ワイン瓶を一つ失敬し、他の扉を調べる。

「寝室と――どれ」

使用者の居ないベッドルームに用はない。
もう一つの扉は、更に長く続く回廊。
再び無言で歩を進める。
財物か、或いは人質か。賊に保管したい物があればより深部にあるのは当然であろう。

尤も、この回廊が奥に続くものか、はたまた出口に向かっているのかはわからないのだが。

クトゥワール > 靴音を響かせて、背姿は回廊の闇に溶けて消える――…
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からクトゥワールさんが去りました。