2017/09/11 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にオズワルドさんが現れました。
オズワルド > 夕暮れも当に過ぎ、空には星が瞬く。
王都の灯りに晒されない夜空は、息を飲む程に星々が燦然と輝いて。
此の空を雲が覆い、其れ等を隠さなかったのは幸運だった。
――何故なら、

「……………迷った。」

此の一語に尽きる。
連れる鹿毛の馬の手綱を握って、ぐったりとそう呟く男。
矢張り空が夕焼けの色に染まった時点で退くべきだった。
溜息を呟きと共に盛大に吐き出した所で、後悔先に立たずとは良く言った物。
先ずは馬に水を飲ませなければと。
星で凡その方角は攫める物の、現在地が分からなければ迂闊には動けない。

オズワルド > 何しろ此の辺りは山賊の住処が多くあると噂される山中だ。
剥される程の身包みでも無いが、剥す物が無くて命まで取られるのは困る。
今手の中の一番の財産と言えば、此の馬だろう。

「焚き火は…、」

どうするか。
野営するのであれば焚き火は欠かせないだろうが、こんな場所で火を起こして煙を出せば、
其れこそ山賊に誰か居ますと教える様な物だろう。
低い声で呻いて、たっぷりと悩んでから――結局火を起こす事にする。
山中で恐ろしいのは何も山賊ばかりではない。
火が無くて獣に襲われる事も考えて、此方を取った。
乾いた小枝をある程度積み上げて、火を起こす。
馬に水をやってから漸く火の傍で腰を下ろして、紙巻を取り出した。

「参ったな…明日の朝までに王都に戻れるかどうか…。」

明日の診療は臨時休業にするしか無いだろうか。
唯、そう言う時程急患が来るのではと思えば、頭を抱えて。

オズワルド > 顔を上げて紙巻に火を点ければ、思案するのに丁度良い。
ぼんやりと見詰める焚き火に顔を赤く照らされて。

「陽が昇ったら、直ぐに王都を目指すか。」

結局、そんな結論になる。
矢張り此処等一帯の凡その地図を買うべきだった。
矢鱈と高く吹っ掛けて来る冒険者に腹を立て、どうにかなるだろうと出掛けて来たのが間違いだ。
結局どうにもならなかったのだから、あの値段は妥当だったのだと言える。
例え態と高額に吊り上げられて居たとしても、今時分に恐らく王都に帰還していただろう自分を思えば、随分と安くも感じられた。
結局薬を作る為に必要な薬草も手に入らなかったとあれば、踏んだり蹴ったりだ。
己の過信を省みて今宵、火の寝ずの番。
東の空が白んで来たのを見て、山を降りる事にする。
本日はやっかいな急患と、老人達の井戸端会議が無い事を、心の底から祈りながら。

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からオズワルドさんが去りました。