2017/08/14 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にエレイさんが現れました。
エレイ > 「───くーわわわ……」

まだ日の高い時間の九頭竜山脈。
大欠伸を漏らしながら、開けた山道のど真ん中をざしざしと大股で闊歩する、冒険者らしき金髪の男が一人。
目元を軽く指で擦ってから、暇そうな面を軽く左右に向けた後、フンスと鼻を鳴らす。

その全く緊迫感の感じられない姿は、襲撃を企む者にとっては隙だらけのいい獲物と見えるか、あるいは目的が見えて来ず逆に不気味にも見えるかもしれない。

そんな事を自覚しているのか否か、ともかく男はのんびりとマイペースに山道を上ってゆく。

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にチルユキさんが現れました。
チルユキ > 涼しそうという理由で地上から2メートル程度の太い木の幹に身を落ち着けて器用に眠り込んでいたものの。
腹が鳴る音に起こされてのろりと顔を上げる。

―――血が、足りない。

のろりと視線を巡らせれば、山道を上る男、の姿。
木の下を通る様なら、上から襲撃すれば良いんじゃ、ないだろうか。
一人分の重みを受け、青々と茂る葉がその下はやけに多く落ちる、が。じっとその場で待つ。

――――男の気紛れで進路が変わったりすれば、等考えない。行き当たりばったり。

エレイ > 男の歩くペースにも進路にも、特に変化はない。
そのまま、何者かの潜む木の下に警戒の欠片もない様子で差し掛かり、
そして通り過ぎようとする。

かさりと、地面に落ちた葉を踏んで、ふと男の足が止まった。
地面が気になったか、軽く頭を俯かせて。

上から襲うには、絶好のタイミングに見える。

チルユキ > ぐ、と身を乗り出す。男が見下ろす地面の影が不自然に動いた。――ひとのかたちのようだ、と。知れるか如何か。

ざわ、と。風も無いのに樹が大きくざわめいて―――男の上に飛びかかる影、一つ。その肩に細い手を掛けて、
勢いも体重も利用し、腹の上に乗り上げる心算で。地面に引き倒してしまおう、と。

エレイ > 上からの襲撃。
ゆっくりと顔を上げた男は、気の抜けた面を晒しながらそのまま何の抵抗もなく地面に倒された。
鈍い音が響き、仰向けに倒れた男と、その上に乗り上げる女、という構図が出来上がる。
こうなると、もう男は圧倒的に不利な状況だ。

──しかし。

「───何いきなり襲い掛かってきてるわけ? 別に襲ってくるのは勝手だがそれなりのやり方があるでしょう?」

男は驚愕するでもなく、倒された苦痛に顔を歪めるでもなく、仰向けのまま不満げな面で平然と変な文句を放つのだった。
まるで今の状況を、全く把握してないかのように。

チルユキ > 空中で目が、合った。
荒事に手馴れていそうに見えた男が受身も取らずに押し倒され、鈍い音が聞こえると。
やってしまっただろうか、と。男の肩に両手を、腹に両膝を付いて乗り上げた儘固まる身が。
物凄く平然と文句を告げるのに意表を突かれて、瞬きを繰り返す。――――寧ろこちらも隙だらけ、だ。
余りにされるがままなので、爪刃をつくるのを忘れた。

「……やり方って、なに。おなかすいた」

言われたので、目的を宣言―――もとい、ただ、思考をしめるものを言った、だけ。
覗き込むと、黒髪が流れて男の頬に、首筋に滑り落ちるのはくすぐったいかもしれない、が。其れも平然としているのだろうか。硝子玉のような瞳がじっと男を映していた、が。

あが、と唇を開き―――男の首筋に無造作に噛み付こうとする。

エレイ > 男は文句を言い放ち終えた後、こちらの肩を押さえ込む彼女の腕に片手を添える。
然る後、瞬きをしている彼女を改めて見上げ、ふむ、と小さく唸り。

「……なるほど吸血鬼かという顔になる。お前女で良かったなもし男だったら有無を言わさずブッ飛ばしてるところだったぞ」

頬にかかる髪を多少くすぐったく感じつつも、何故かドヤ顔でそんな事をのたまって。
おもむろに首筋へ顔を寄せてくる動作にも、特に抵抗は見せず。

「……吸うのは勝手だがそれなりの……まあいいや。あんまり多くは吸うなよおもえにとって非常にまずいことになる」

首筋に牙を突き立てられる感触に僅かに片目を細めながら、また文句を言おうとしたがやめて、代わりに謎の忠告を耳元で囁く。

吸血を始めてから少しの間は、普通の人間の血が彼女の喉に流れ込んでゆく。
しかし、男の忠告を無視して更に吸い続けたなら──何か、電流のような、ちりちりとした彼女にとって不快な感覚が彼女の口内に伝わり始めることになるだろう。

チルユキ > ぴり、と。添えられた片手に微かな緊張が走るが、目立った動きは起こされない。
目の前の欲しくて仕方が無かったもの、から。手を離す気になれず、

「………跳ねのける自信がある、なら。どうして、そのままなの」

首筋の固い処を避けて、幾らか柔らかそうな皮膚を探り当てる。
細く固い牙が沈む瞬間太い針を立てるように痛んだかもしれない、が。一瞬のこと。
痛覚を麻痺させる―――酒精に似た魔力が伝う、のを。長けた者なら感じ取るかもしれない。

こくり、と喉が動く。ひとの生命の源。冷たい体躯にじわりと染みて飢えを癒される。
―――吸えば吸う、程に。男には度の強いアルコールを煽った時のような感覚が訪なうかもしれない。―――酒のように耐性は、影響も、人其々だが。
男がひそりと告げる声が、忠告、が。耳に入っていても。黒瞳が紅く染まる程に、夢中になり。
それこそ引き剥がされなければ止まりそうになかった、が。
口の中で 弱い感電―――と、感じられるほどになって漸く――が、ぱちりと弾け、牙がずるりと抜ける。
唇の内側だけ、先程よりも赤い。

「――――……、―――?」

ぶるり、と振り払おうと頭を振る。ぴしぴしと男の頬や目元に髪先が当たったかもしれない。

エレイ > 「俺様は女の子には優しいからな。多少の血ぐらいはくれてやるのが大人の醍醐味」

意味が通るようで通らない返答をしながら、吸血を甘んじて受け入れている。
彼女の側から流れ込んでくるものは感じ取ったものの、この男には何らの効果もなく。
平気そうな顔をして、首筋にかぶりつく彼女の横顔を見つめている。
手慰みに、さらさらと黒髪をなでつけて遊んだりしつつ。

「────おっととリミットが来てしまったようだな」

やがて彼女の牙が首筋から抜ければ、へらりと笑いながらそんな事を言う。
牙の突き立てられたその痕からは、山吹色の光が水蒸気のように小さく立ち上り始めていた。
それが、彼女の口を苛んだものの正体である。
流れ込んだのは少量のため、彼女の口の痺れは4,5秒ほどで収まるだろう。

「俺はフォースっていう太陽のパワーを操り手なんだが傷もこうやってオートで回復してしまうからよ、長いこと吸われるとこうなってしまうんだわ。
……キミは陽の下での活動は問題ないようだが、流石に内側に流れ込んでくるとまずいでしょう?」

などと説明じみた台詞を口にしながら、目元に当たる髪を手で退けつつゆっくりと身を起こそうとする。

チルユキ > 「大人の醍醐味、なら、男のひとにもそうなんじゃ無い、の……」

口中で弾ける感覚、に。急速に理性を引きもどされて、赤瞳が黒の色を取り戻す。
髪は指通りよく男の肌を伝い落ちていたが、上肢を起こすとするりと擦り抜ける。

吸血した肌から無暗に血が流れることはない、けれど。
夕焼けの空を思わせる光が溢れるのに目を見張る。口中の痺れが幻だったように収まり


「太陽……。怪我をすると、今みたい…に、何か溢れてくる……の」

口に含んだ事等は無い、が。口の中の感覚から、多量に摂取していれば火傷のようになっていたかもしれない。
少しばかり怯むように身体が反る。起き上がる男の上から素直に退いて 地面にぺたりと座る

エレイ > 「あまり細かいことは気にするなよそんなんじゃすぐにはげる。
それより多少は腹の足しになったかな? ……ってそれどころではなさそうだのぅ」

彼女の下から抜け出ると、何でもなかったかのように会話を続けようとする。
が、目を見張る様子に眉下げてふ、と小さく笑い肩を竦めて。
次第に小さくなってゆく吸血痕は、やがて男が親指でぐい、と拭えばそれで消えてしまい、同時に光も収まった。

「まあな。なのでぶっちゃけキミのよーな吸血鬼系には超相性が悪いと言わざるをえないだろうな。
下手したら灰に還しかねないので俺としてもけっこう気を使わなきゃいけないので大変でなあ…」

座り込む彼女の前でしゃがみこんで視線の高さを合わせつつ、やれやれと言ったふうに言葉を紡ぐ。
吸血鬼と遭遇するのも既に慣れきっているという風情だ。

チルユキ > 「はげない……。永遠に。
………ちょっとびっくり、した。でも…おなかいっぱい。」


眼で分かる程急速に薄れていく痕を見遣り、消えた光を追い掛けるように手を伸ばす。
ぺたり、と首筋に触れて。撫でたり抓ったりと試そうとする。


「……命を取るようなこと、しなければ、大丈夫そう。
灰に還すほど…あのピリピリしたのを無視してまで飲もうとするのなんて、いないんじゃない…

ああでも、抱けないね、」

警戒とか、まるで感じられない所作に首を傾げる。最後のは蛇足過ぎた。灰に還りそう、だ。うんと小さく頷き、

エレイ > 「ワハハハ……ンム、それなら重畳。暫くは誰かを襲わずに済むな」

はげない、という反論にケタケタと笑い、おなかいっぱいだと言われればそのまま満足げに大きく頷く。
首筋に触れられるのはともかく、つねられると何すんだよぅ、とぶーたれながらもされるままにして。

「ちなみにその気になればこっちから流すこともできるけどな。
──ああそこらヘンは大丈夫だ心配にい。別に下の方からは勝手に出たりしねーから」

露骨な蛇足に軽く目を丸めつつも、片手をひらひらさせながら即座にそんな返答を。
ていうかそんな殺し方はイヤだなあ、と眉寄せて独りごち。

チルユキ > 「うん、数日……は
誰かを襲わせないため…に、止めなかったの…?」

量が少なくて良い分燃費が悪い。
創独特の質感がすっかり消え失せた首筋を暫く弄っていたが
頬が膨らんだ、ような気がした(違うかもしれないがー)途端、人差し指を頬に突き刺そうとする。

「………―――。いらない……。

……。流せるの、なら。血を吸わせてる間……止めることも、出来たんじゃあ、無いの……。

…仕組みが謎…。ふくじょうしは…男の本望…と」

流さないで欲しい、と。頭をぶるぶる振った。
逆バージョンだったが。膝を抱えて顎を乗せた

エレイ > 「──言ったべ? 多少の血ぐらいくれてやるのが大人の醍醐味」

彼女の問いかけには、笑顔でそんな返答を寄越す。言外の肯定だというのは伝わるだろう。
触れられる首筋は、既に彼女が噛み付く前と全く変わらない程に完治しており。
軽く膨らせた頬を突っつかれればプスー、と3の字に尖らせた口から空気が抜けた。

「出来んことはないが、まあああんまり調子こいてチューチューされても
それはそれでイカンからのぅ。
ま、よっぽどのワルサしなきゃ流しはせんぜよ。キミは俺様を眷属にしようともしてこなかったようだしな。

……ン? それなんか違うくね?」

ぶんぶんと頭を振る様子にカラカラと笑いながら、大丈夫だと告げて。
腹上死とか言い出されるとかくりと首を傾げて突っ込んだ。

チルユキ > 「襲ってきたのが金銭目当てだったら……あげてた、の。
全然抵抗しないね…?」

人のために、は。よくわからない感覚で、首を緩く傾げる。
触れたいから手を伸ばす、気になるからじっと見る。
単純な動機で行動しているだけ、だが。血を吸われれば血を、頬を潰されればそのまま。
ようやくそれに疑問の声を。

「眷属……なんて、従えても………楽しく、無い。
食い扶持が増えるだけ………。

……もっと頂戴。」

出来ないことが無いと聞いた途端だった。鳥の雛宜しく真顔で強請る。
同じだ、とばかり頭を振る癖して。

エレイ > 「その場合は欲しがる金額と事情によるだろうな。さすがの俺様とてなんでもすぐに解決してやれるワケではないからな。
……ン? 女の子との戯れに抵抗する必要はないでしょう?」

抵抗しないことへの疑問には、はて、とこちらも不思議そうに問を返した。
すなわち、この男は彼女を何らの脅威としても見ていないらしい。

「……なるほどなという顔になる。従えるものが増えるとその分手間もかかるからな。

──さっきお腹いっぱいって言ってなかったかねキミィ」

食い扶持が増えるだけ、と言われればそりゃごもっとも、と頷いていたものの。
もっととおねだりをされれば、ぬぅん、と露骨な顰めっ面で文句を返した。

チルユキ > 「狩り下手で………とか。(事情)
血を吸ったり、膨らんだ頬を潰したり……は……戯れになるの?
……。同じこと、男の人がしたらどうするの、」

害意を持ってそこにいる訳では無かったが、脅威としては歯牙にも掛けていない様子に
イーと唇を横引いて尖った犬歯を示す。―――威嚇かもしれない。


「…………―――遠慮した。」

もっと、と。再度強請る。顰め面になっても、自分にとって怖くないと嗅ぎ取れば遠慮が無い。
――――怖いと思えば、いきなり一気に距離を取るかもしれないが。

エレイ > 「その場合なら俺は狩りを教えるだろうなこう見えて俺はサバイバルスキルも結構高い。
血はまあともかく……後者は完全に戯れではないかな。
ちなみに男とイチャつく趣味はないのでその場合はぶん殴る」

そう言って、イーっとしている彼女の眼前にずいっと拳を突きつけた。

「……随分とナメた遠慮だと呆れ顔になる。よろしい、吸えるものなら吸ってみやがれ」

ふたたび強請られれば、自分の眉間の皺を人差し指でぐりぐりと揉みほぐし。
それから急に笑顔になると、ちり、と音を立てて男の左眼に小さな山吹色の火が灯った。
そして肩や背中からも同じ色の蒸気のような光が一瞬出て、消える。
……全身に波動を行き渡らせた状態である。
そんな状態で、さあ吸ってみろ、とのたまうのだった。

チルユキ > 「………根本的解決を……!
頬を潰すの……イチャついてるのかな……」

イタズラしている気分ではあったけど、甘えるというよりはやっぱり
子供が大人気を持つ相手にちょっかいをしかけるような感覚、ではあった。

ぱちり、と目を瞬かせる。
遠慮―――否、あの時は、怯えたに近かった、けれど。

笑顔はちょっと気圧されて。片目だけ鮮やかに色を変える様に視線を奪われる。
ブワ、と音を立てそうな光に 顔をかばうように腕を持ち上げる。
灼かれた腕肌は、他愛なく 浅いやけどでもしたように薄赤く染まる、が。そこ以外は変化も無く

ちらと唇を舐めると、男の膝に手を掛ける。
あからさまな挑発と――――だからこそ。
本気で己を手に掛ける筈が無いと、ひとよりも獣に近い身が其れこそ
―――ある意味では侮り。ある意味では、嗅ぎ取る。

口を開けて、貌を近寄せ、項を差し出し―――唇に牙を立てようと。
男が威嚇でなければ、其れこそ只では済まないのだが、後先は矢張り頭になさそうな、

エレイ > 「その辺はキミの解釈に任せるが…傍から見ればそう見えることはあるでしょう」

フンス、と鼻を鳴らしながら大げさに肩を竦め。

こちらの放った波動に怯んだ様子の彼女を、笑顔でさあどうするとばかりに見つめていたものの。
引き下がるでもなく、膝に手を置き顔を寄せてきたのには軽く目を丸くし、ほう、と声をもらした。

そして、彼女の牙が、避けようともしない男の唇に立てられる。
……しかし、そこまで。牙はなぜだかそれ以上食い込んでいかない。

波動を行き渡らせた男の肉体は、既に色々と人の領域を超えている。
身体の頑強さもそうだ。
故に、唇一つ取っても彼女の牙では貫ける状態になく、今は文字通り『歯が立たない』有様だった。

唇を噛まれたまま、間近で彼女の目を見つめながら、フフリ、と笑い。

「……どうした? 吸わないのかね?」

楽しげに問いかけながら、ちゅ、と彼女の唇を軽く啄んだ。

チルユキ > 「……実態は?」

突っ込むものの上の空、だ。
鍛えようが無い唇は大人の男と言えど柔らかい筈、なのに。
人の肉を易々と切り裂く吸血鬼の牙が通らない。

―――或いは、爪を硬化し、風刃で切り裂けば違っていたのかもしれないが、
別段痛めつけたい訳では無いので暫くは頑張る、

――――顎が痛い。

「……かたい。なんで、………―――」

微かに肩が揺れる。―――赤い舌先を差し出して、相手の其れに絡め―――己の口腔に引き寄せようとする。
――――――思い切り、歯を立てようとするのだけれど。

痛めつけたい訳では無い、が、ムキになり易く―――目先、しか。

エレイ > 「んー……子供の戯れですかねぇ……」

噛み切ろうと必死になっている彼女の愛撫(?)を唇に受けながら、適当な返事を。
今のこれもなんか戯れみたいなもんだよなあ、とか思いながら、でもやっぱり
傍から見ると男女の方の戯れっぽいかもしれない、と。なにせ唇合わせてるし。
男の唇は、彼女の牙の形に凹む程度の柔らかさはあれど、皮を切る事は許さない。
そんな不思議な感覚だった。

「ンッフフ……今の俺には生半可な牙では通用しないのだよ。ンン……」

ドヤ顔で言っていたら舌を絡められ、口内へ引き寄せられる。
そうして強く立てられた牙も、やはり舌を貫くことは出来ない。
なんとも理不尽な身体である。

「…ってゆーか、噛み切れたら切れたでまたピリッと行くぞ? ンフ……」

そう言いながら、ぬる、ぬると彼女の口内で舌を蠢かせ、彼女の舌を愛撫したり。
戯れに、ぴり、と小さく彼女の舌先を痺れさせたりしつつ。

チルユキ > 「…………―――、」

精神年齢と実年齢について言及を――――しない方が良い気は、した、
口付けと言うよりも、手合わせの類なんだろうか、これは――――。

煽られると、単純な身は全力で力をふるいたくはなるのだ、けれど。
未だ其れをしないだけの歯止めは少し、効いていた。
侮っているのはどちらなのか、

「腹立つー…………。」

ぽつりとつぶやい、た。

「―――その瞬間、お前が止めてくれたら、いい……。」

平然と要求する―――しかし、柔らかいばかりの其れが噛み切れそうな気配は、無い。
柔らかい処を探して、気が付くと、ひとりで深みにはまったような気が、する。

牙を突き立ててもまるで手応えの無い舌が、剥き出しに柔らかい儘の口腔の粘膜を
質感ばかりは柔らかく煽り立ててくる。

「―――……っ」

びく、と。絡めたままの舌が波打つ。強すぎると危うい其れが、神経を粟立てて過敏に反応をしてしまう。
吐息だけに抑えたが、意地が先に折れる。絡めた舌を、唇を引いて、乱れた息を整える

――――ふてくされたように肩に額を埋めた

エレイ > 「ンフ……そうまでしてやる程俺様は優しくないぞ?」

図々しい要求にくつ、と喉鳴らして笑い、意地悪な返答を。
軽く舌を絡めて愛撫すれば、ビクリと震えるのが伝わって目を細め。

やがて根負けした様子で舌が引っ込むと、離れた互いの唇の間に透明な糸が引く。
それをぺろ、と舐り取り。
肩に埋められた頭に手を添え、さらりと髪を軽く撫でてやる。

「……。よく考えたら名前を聞いていなかった感。俺は謙虚な旅人で冒険者のエレイというんだが呼ぶ時はさん付けで良い。キミは?」

そして何か声を掛けようとして、ふと互いに名前を知らなかったことを今更思い出す。
それから奇妙な自己紹介を繰り出せば、彼女の名前も問うた。

チルユキ > 「………一人称……どうして 俺様、なの」

優しくないかはその時に分かる――ので、その結果は言葉がどうあれ分かる気がして。
代わりに気になった違う処を問いかける。

一寸ぐったりとしてひっついていたが、のろのろと身を起こして 降りてきた木に寄り掛かり

「…………―――…… 「サン」。」(把握、)


「……チルユキ」

くてくてと木の根元にうつ伏せて眠りに入りそうな気配、を。

エレイ > 「……それを今聞くのか? そうだな自然に使っていたので何故と言われても答えるのが難しいが……
強いて言うなら俺だから、ですかな」

意外な問いかけに眉を持ち上げるも、少し思案した後ドヤ顔で答えになってない答えを寄越し。

「……。いや何でそっちを取るだよエレイでいいから」

くっついていた彼女をあやすように髪とか背中とか撫でていたが、離れ際の一言には眉下げてツッコんでおいて。

「…チルユキだな。ってなんだお前そんなところで寝るのかよ? いくら吸血鬼って言っても寝床ぐらいは選ぶべきでは?」

自分もゆっくりと立ち上がると、木の根元に横たわって今にも寝そうな彼女を見下ろしながら、ポリポリと頭を掻き。

チルユキ > 「……、――――、――――――」

瞬きすら忘れた長い沈黙、の、後、

「……強いて言うなら俺だから…ですかな」

キリッとして真似してみた。
木の根っこを枕に横たわっていたので 顔が地面と平行になっていたけれど、


「エレイ……。だって、つっこんで欲しそうだったから……意表を突く方がいいかな…って…。
いつも適当な場所で寝てる……」

目くらましの風の膜をふわりと被せる。
見えなくなるわけじゃなく、気配を薄めて気付かれにくくするだけの効果
うと、とまどろみはじめる。

エレイ > 「……あまりの似てなさに寒気すら感じる始末」

突如繰り出されたモノマネに数秒沈黙した後、バカにしとんのか、と不機嫌ヅラを作り。

「ツッコミ待ちをした覚えはないんですがねぇ……まぁいいや。問題がないなら心配する必要もないだろうな」

風の魔術を自らに纏わせる彼女に、フン、と鼻を鳴らし。
身をかがめ、まどろみ始める彼女の前髪を一度片手で撫で付け。

「なら俺ももう帰るけど腹減って人を襲う時は程々にしておくべきだろうな。その時にまた俺が遭遇したならまた吸わせてやらんでもない。
じゃ、闇系の宿探しが今からあるからこれで」

程々、というのがどういうのかは不明だが。
ともかくそんなことを言い残し、まどろみ始める彼女に背を向けると、山道を今度は下るべく、のんびりと歩き出した。

チルユキ > 「似せる心算は余りない…。
俺様っていう謙虚な冒険者でさん付けにしなさい、て……全面的にツッコミ待ちだと思う…」

撫でる手にちらりと視線を上げる。
眠気を尚更に誘われて、

「……そんなに襲ってないよ……最近は、声をかけるところから…」

余り功は奏さない感じで。また、と聞けばうんと頷いて。

「……光系じゃないの………」

そんなつぶやきを背に遠ざかる気配。
眠り込み、

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からチルユキさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からエレイさんが去りました。