2016/11/01 のログ
セリオン > しばし後、山中。
女は未だに眠り続けている。
昨夜からこうなのだ。
眠り、合間に目を覚まして戦い、また眠る。
餓えれば獣の肉を食い、渇けば川の水を啜る。
女の周囲には、打痕を深く刻まれた、真新しい狼の死骸が五。
この数はさらに増えるのだろう。

「……ん?」

ふいに女は目を覚ました。
これまでとは桁違いの、巨大な気配が近づくのを感じたからだ。
やがてその予感は当たり、女の倍も背丈のある熊が姿を現した時――

「ああ、やっと一撃で死なない獣が来ましたか」

女は笑みとともに、隻腕で拳を構えた。

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からセリオンさんが去りました。