2016/10/31 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にセリオンさんが現れました。
■セリオン > 木にもたれ掛かって、女が立ったまま眠っている。
女は返り血に塗れ、周囲には獣の屍が転がる――それこそ、食物連鎖の図式を一所に集めたように雑多な獣が。
小さいものはウサギから、大きいものはイノシシまで、彼らには刃傷も矢傷も、魔力による殺戮の痕跡も無い。
彼らの体に残るのは打撃痕――
血の臭いを嗅ぎ付け、狼の群れが、女に近寄る。
獣は楽な獲物を狙うものだが、この群れはどうやら、人間の味を知っているらしい。
爪も牙も小さく、非力な、それでいてそこそこ食う部位の多い人間が、無防備に自分達のテリトリーで眠っている。
群れの中で、最も好戦的な一頭が、真っ先に地を駆け、女の喉下めがけて跳躍した。
「――――――」
次の瞬間、狼の頭蓋は砕け、内部の脳漿を数メートル先まで撒き散らしていた。
迎撃の拳が、牙を剥いた口中へと振りぬかれ、咥内から狼の頭を砕いたのだ。
「……ああ、眠っていましたか」
女は、まだ半開きの目で狼の群れを見据え――
「逃げるなよ」
と、言った。