2016/03/19 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にリーユエさんが現れました。
リーユエ > 慣れている訳ではないが、慣れていないという程のものでもない。
まだ日も高いはずなのだけど、あんまり日の差さない木々の中、茂みを掻き分けて慎重に歩いている。
そこまでじっくりと見て回っている訳でもなく、ここがどんな感じかを確かめるくらいの感じでの散策だった。

九頭龍山脈、目的の場所は思ったよりも簡単に分かった。
なのだけど、色々と問題あり気な場所というのも分かる。
無茶をしなければ大丈夫だと思う、そんな気持ちでやってきた。
何かあったとしても、無茶をする気は無いのだけれど。

リーユエ > ある程度の距離を歩けば、手提げに結んだ小さなリボンの一つを目に付く枝に結び付ける。
通った場所はそのリボンが伝えてくれる、こうしていけば似たような場所であろうと迷う事はないだろうと思う。
偶に気が付いたように、何かに使えそうな植物を採っては手提げに詰め込んでいく。
これならば、いざ誰かに会ったとしてもそうは怪しまれはしないのではないだろうか?
医術師として、使えそうな草や葉を探しているというのは十分な理由だ。

ただ少し気になるのは、やはり空を見る事があんまり出来ない事かもしれない。
時々見える木々の隙間から指す日の光だけが、今がどれほど日が昇っているのか教えてくれるものだった。

リーユエ > さすがにこれを一日二日で調べ上げるのは無理がある。
それならば、先ずはどこに何があるかを確かめ、調べるのは後日にする。
そこまで急いでやる必要もないのだから、それくらいゆっくりとやるのが丁度良い。

頃合を見て使えそうな草を摘んでいたその時、その手の動きが止まる。
感じたのは何かの気配、ただそれが何なのかはっきりと分からない。
どうやら相手も自分の存在に気付いているのか、注意がこちらに向いているのが分かった。
なので、そこで敢えて気付かぬ振りをする。
止めていた手は再び草を摘み始めた。

リーユエ > 気配の相手は隠密行動とかには縁が無いらしく、ガサッと茂みを分けてこちらへと姿を見せる。
一つ、二つ、三つ、ざっと見た感じ五つ、相手の正体は魔物だった。
どちらかと言えば小柄な体躯、宜しいとは言い難い外見をしている。
確か、ゴブリンという名称が付けられていたか、そんな事を思い出していた。

「…出来れば、何もせずにこの場を後にして頂けると助かります。
ですが、そうも言ってはくれないようですね?」

手に持った武器、向けられているのは敵意。
言葉を掛けるも相手の気配は変わらないのはありありと見えた、困った様な表情を浮かべればゆっくりと立ち上がる。

リーユエ > 言葉は通じていないのかもしれない、言葉とは言えぬ叫び声を上げるゴブリン達は一斉に襲い掛かってくる。
それを見れども慌てる様子は無く、拳と手の平を合わせるように一礼し、スッと構えを取った。

「…申し訳ありません。痛いのは一瞬ですので我慢の程を」

ポツリと呟くと同時に、流れるような動きでゴブリン達との距離を一気に詰める。
その急な動きに戸惑う、その一瞬の隙を見逃さない。
ゴブリン達の間を縫う様な動き、僅か数秒の後にゴブリン達の背後に立っていた。

ドサッと一斉に倒れる音が背後から立つ。
そこには既に立っている者は存在しなかった。

「…せめてお風邪を召されぬ様。日中が温かくとも、日が沈めば少しばかり冷え込みます。
それまでに気が付いて下さる事を願っていますね?」

拳と手の平を合わせるように、再び礼を一つ。
倒れたゴブリン達に屈み込み、打った場所を確かめる。
急所への一撃による失神、それがちゃんと成されている事を確認したのだ。
狙いは外れておらず、ゴブリン達はただ気絶しているだけである。

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にアーヴァインさんが現れました。
アーヴァイン > 聞き馴染みが有るかもしれない音が近づく。
騎兵が荒々しい蹄の響きと共に彼女の方へと走ってくるのがみえるだろう。
手には弓を持っているものもいれば、短銃身のマスケット銃のようなものを手にしたものもいた。
少女の姿を発見すると、男達は減速しながら少女の両左右へ向かって徐行しながら次第に足を止める。
組合長、俺たちの出番なくなりましたよ と、冗談めいた言葉を男の一人が苦笑いで語ると、少し遅れて馬に乗った黒髪の男が姿を現す。

「そうか、でも良かったんじゃないか? モンスターの間近に女性がいたら、外したら大事だ」

それは違いないと笑い飛ばす男達へ手際よく指揮を飛ばすと、了解とそれぞれが返事を返して四方へと散っていく。
散開して辺りの警戒にあたっていくようだ。
部下の動きを見守ってから馬から降りると、手綱を手近な木に掛けてから彼女へと近づこうとするだろう。

「怪我はないか? 定期的に山賊や魔物討伐はしているんだが…なかなかいなくならないものでね、迷惑をかけてしまった」

苦笑いをうっすらと浮かべながら少女の様子を見やるも…外傷らしいものは見当たらず、安堵の吐息を零した。

リーユエ > 早々に立ち去らなければ、そう思っていた矢先、幾つもの蹄の音が耳に入る。
向かっている先は、丁度自分の居る場所へ、又はその先だろう。
どちらにしても、下手に動けば怪しまれるかもしれない。
だから、その考えは直ぐに取り下げなければならなくなった。

そう掛からずにやってくる者達の姿は見えるだろう。
騎馬に乗る、弓と、確か銃とかの名称をした武器だった気がする、それを携えた者達だった。
掛けてくる言葉の内容から、どうやらこの辺りを警備なりしているのだと分かる。
組合長、と呼ばれたあの黒髪の男性がこの部隊を率いているようだ。

なにやら話し合っていた後、部下と思われる者達は散っていった。
ここには、自分と男性の二人だけとなる。
こちらには警戒はしていない様か、騎馬から降り、馬を留めると近付いてきた。

「…えっと、はい、何とか。
賊や魔物の方々も生きる為に必死なのでしょう。
迷惑を掛けるのは良しとはしませんが、仕方ないと言えば仕方ないのかもしれません。
その、これといった被害もありませんでしたし、貴方達がお気に為さるものでもありませんでしょう」

ちょっとばかり複雑そうな表情を浮かべ、チラリと倒れたゴブリン達を見る。
男性へと改めて視線を向け直せば、微笑んでみせて。

アーヴァイン > 「…それはまた、随分と慈悲深い」

ただ敵として排除のみを考えていた相手へ優しい気遣いをかける少女に目を丸くして驚くも、失礼と呟いてから表情を戻す。

「それは何よりだ、君みたいな可愛らしい娘だと…一層狙われやすい、気をつけてくれ」

微笑みにこちらも薄っすらと微笑んでみせると、手提げ鞄をみやり、ここらの山道に入るにしてはかなり軽装のような気がすると、少しだけ訝しげに思うも表情には出さない。

「俺はアーヴァイン、麓にある集落…というか拠点の様なところで組合長をしている。君は…旅行か何かかな?」

簡単な自己紹介と共に、何気なくここへ訪れた理由を問いかける。
疑うというほどのものではないが、感じた違和感を打ち消す情報を求めてのことだ。

リーユエ > 「…生い立ちや環境、こうなってしまう理由は様々ですから。
えっと、はい、分かりました」

そう、決してそうなりたくてなった訳では無い。
存在では無く、環境が原因となる者を誰が責めれるだろう?
尤も、存在自体が悪も居る。
そういった相手にも慈悲を与える程に自分は優しくは無いから、少し考えさせられる。
相手からは自分がどう見えるだろうか?表情からは、それを確かめる術は持ち合わせていないから分からないのだけれども。

「…私はリーユエです。その、マグ・メールに医学を学ぶ為に北方から来ました医術師です」

出来れば出身は隠したいが下手に隠せば変に勘繰られる、なので正直にそれは答えた。
来た理由と目的に関しては、いつもの様に伝える訳だが。
それを疑わせない為の、手提げの中身である。

アーヴァイン > 「成る程…確かにそういうのもいるかもしれないが…ここに居る山賊の大半は、君のような優しい慈悲を持っていない」

略奪し、殺し、犯す。
全てが悦楽を求めるものばかりではないにしろ、それらがほとんどだ。
だから彼女の優しさが仇にならないかと、妹代わりの少女の雰囲気が彼女に重なって見えてしまう。

「リーユエか、覚えた。北方…というとシェンヤンからか、それはまた随分遠くから来たんだな…」

北方からきたと聞けば、少しだけ心音が高鳴る。
部下伝いに王都の将軍から北方に気をつけろと、釘を差されたばかりだからだ。
そして、こんな山中で医術師と言われれば、さすがに訝しげな表情が浮かびそうになるのを静かに抑えこむ。
何しろ、しかしここには医学院などはなかったはずだ。
少し探りを入れてみようかと思えば、更に言葉を続ける。

「ここらだと九頭竜三合医学院か、山で手に入る材料で薬学が専門だからな…そこが目的地かな?」

何食わぬ顔で嘘の医学院の話を振っていく。
彼女が何か意図があり、隠したいものがあればこれに乗るか、見抜けば何か言葉に出るだろうという作戦。
果たして彼女はどう応えるだろうか? と、ポーカフェイスの如く表情を乱さぬままに、答えを待つ。

リーユエ > 「…そうですね。悲しきかな、そういう事実は認めざるを得ないでしょう」

実際、ついさっき襲われかけたばかりなのだ。これは否定し様が無い。
その為の力や技術は本土で教えられたものの、加減をしてしまうのはもう癖になってしまっている。

「…はい。まだ来たばかりですので、右も左も分からぬ状況ではありますけれども」

言葉を紡ぎながら、頬に手を添えるように当てる。
困った様な仕草、まだ手探り状態ではあるのだから仕方が無い。

「…いえ、その様な名前は初めてお伺いしました。
最近でやっと王都マグ・メールの中に王立コクマー・ラジエル学院というのがある、という事を知ったばかりですので。
あの、その九頭龍三合学院、でしょうか?
薬学が専門ならば尚更ですが、私が入れる様な学院なのでしょうか?」

少し考えてしまい間が空いてしまうも、正直にその事については全てを答える事にした。
確かに勅命も重要ではあるが、そのついでに本当にそういった場所があるならば学ぼうと思っていたからである。
それを語る間のこちらの表情に揺らぎは無い、それが真実だと気付ける相手ならば気付けるだろう。

この側面があるが故に、帝国は少女を送った。
それは本人さえも知らない事だが。

アーヴァイン > 「あぁ、だから…気をつけてもらいたい。君みたいな良い人に死なれたら夢見が悪い」

冗談っぽく言葉を続ければ、苦笑いを見せる。
それからブラフを掛けてみたのだが、思っていた状態とは全く異なる反応が帰ってきた。
やはり全くの医学者なのだろうかと思いながらも、緩やかに頭を振った。

「いや、すまない。今のは嘘だ。王都から北方からここを狙っているという情報を貰っていたものでね…少し探りを入れさせてもらった。騙してしまい、失礼した」

ブラフだった事をすんなりと明かしたのも、仮に彼女が意図があったとしても、警戒されていると知れば動きづらくなるだろうと考えてのこと。
代わりにと、言葉をつなげて。

「麓の集落の方なら、組合の専門医がいる。ここらの薬草やらから薬の調合なども行っているから、もしかしたら少し役に立てるかもしれないが…」

どうだろうか?と彼女を見やりながら、こちらの拠点へと誘いの言葉をかけた。

リーユエ > 「…分かりました。重々気を付けておきますね?」

気に掛ける相手が居るならば、その相手をなるべくは心配させるべきでは無い。
言葉に頷き、頭を振る男性に不思議そうに首を傾げる。

「…成る程、そうでしたか。
国同士の競り合いは聞き及んでおりましたが、この様な山脈を狙って何を成そうとしているんでしょうね?
貴方の立場を考えれば疑うのは仕方ない事、一々気になさっていては気疲れしてしまいますよ?」

学院の話が嘘だった事は少し残念だったけれど、この九頭龍山脈を狙っている話が出れば苦笑を浮かべてしまう。
男性へと向けた言葉、それが勅命である事、そのどちらの意味も含めての表情だった。
「辰金」「朱金」を手に入れる、それだけが目的と思っており、略奪を行う事は頭に無いからだ。
疑われた事に関しては、言葉の通り気にしてはいない。
それは笑顔へと戻してそうなのだと理解させる。

「…本当ですか?それは是非とも学んでみたいものですね。
一度、宿に預けてある荷物を持ってこなければならないのですが」

見付かったのは王都内だけだったからか、荷物の殆どが泊まっていた宿に置いたままだ。
その誘いを受けるにしても、その荷物を持って来なければならない。
誘いを受ける上で、それだけは伝えておいた。

アーヴァイン > 「そうしてくれ、北方は行ったことがないので分からないが、今のマグメールは女を食い物にする輩が多い」

その慈悲を逆手に取る悪党の餌食になるのも最悪なことで、苦笑いのまま頷いていた。

「魔族と争っている時に飛び込んだ話だからな…そういって貰えると助かる」

彼女の言葉に相変わらずの苦笑いで頷いていく。
こうして改めて見てみれば、妹代わりの少女と同じぐらいの年頃かと見える。
そんな少女に何か重たい話を背負わせるだろうかと思うものの…妹代わりの娘の天真爛漫さが仇となり、彼女を疑うのはそこまでと撃ち切ってしまう。

「あぁ、仕事が無い時は暇しているからな。話し相手がてら色々と聞いてみてくれ。それなら…うちの組合の馬車を使ってくれ。定期便の乗合馬車もやっているが、俺の名前を伝えてもらえれば、ただで乗れるよう手配しておく」

王都と麓の間、麓から山頂、そして向かいの麓と交通のラインにも手を伸ばしている。
皮の鎧部分に描かれた組合の紋様を指さし、これが目印になると伝えると、部下達が一旦戻ってきた。
どうやら辺りに脅威となるものはいなかったようだ。

「ここらはもう大丈夫らしいが…リーユエはどうする? よければ麓の馬車の駅まで送っていくが」

歩きだと少々骨が折れるだろうと思えば、そんな提案を投げかけた。

リーユエ > 「…絶対に無いとは言い切れませんしね。その点も気を付けたいと思います。
魔族ですか。シェンヤンに居る妖怪の様な存在、ですね?」

笑顔を浮かべている中、魔族、の言葉に表情が僅かに固まる。
この地に来て初めて身の危険を感じた相手、きっとその相手がそうだったのだろうと思っていたから。
邪な存在、だが気付くまでは普通に話していた相手。
いまだに心に引っ掛かる処があって。

「…色々と見聞しておきたいものですし、では、遠慮なく。
馬車ですか?ああいった乗り物は好きですから、是非ともお願いします」

薬草の知識、それも得る事が出来ればより自分の医術に幅が出る。
より多くの人々を救える知識や技術を得る事、それは少女の願いの一つだった。
行き来に馬車が使えると知れば、表情には出ないが内心ちょっと喜んで。
目印だと教えられる紋様をしっかりと覚えておいた。

「…えっと、お願いします。私の方も、散策して覚える必要も無くなりましたから」

これからは教えられた九頭龍山脈の麓で得られるものとなった、苦労をして散策する事も無い。
それでも、本来の勅命もあるから偶に散策はするだろうけれど、今は良いだろう。
そう思えば、その提案を受けて。

アーヴァイン > そうしてもらいたいと改めて頷くと、続く言葉に少し首を傾げる。

「恐らく似たようなものだろうな…大体は人間を玩具か道具程度にしか思っていない。偶にいい奴もいるが…稀だな」

自分もあまり人付き合いのいい魔族とは出会ったことがない。
よく覚えているとすれば、大切な人のことぐらいか。
一瞬表情が固まったのに気付くも、何か魔族に嫌な事をされたのであればほじくり返すのも良くないだろうと思い、敢えて問わないことに。

「可愛い話し相手ができたと喜びそうだ。そうか、それなら何よりだ」

喜ぶとは予想外だったので再び目を丸くするも、それで喜んでもらえるならと微笑むばかりだ。

「分かった。ではいこうか?」

頷くと馬の方へと戻り、彼女の側へと引っ張ってくる。
ひょいとそれへと跨れば、彼女が乗りやすようにと手を指しだしていく。
そして…彼女が馬に乗れば麓の集落まで馬を走らせる。
小さな交易所の有る村のようになったそこは、馬車の往来も多く、彼女にとっての異国の駅まで案内すれば、王都行きの馬車のホームまで丁寧に送り届けるのであった。

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からリーユエさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からアーヴァインさんが去りました。