2016/01/24 のログ
ご案内:「山中の隠れ湯」にユリゼンさんが現れました。
ユリゼン > 自分の骨が「発掘」されたという剣のような峰々を、この山麓から遙かに望む山中の秘湯。
のんびりと湯に浸かりながら、今は昔の物語、太古の景色を脳裏に描く。

「はー……極楽極楽…。たまらんのじゃ…」

ここ数千万年のあいだに、木々はずいぶん小さくなってしまった様だ。
シダ植物の形もだいぶ違うし、あれらの親類縁者のような植物もほとんど見かけない。
見知った顔がどこにもないというのは、なかなかに心細いものだ。

ユリゼン > かろうじて当時を偲べるものといえば、山の形くらいだろうか。
昔はもっと低かったし、この湯のある場所さえ大海原の一部だったかもしれない。
一体何があったのだと問いたいが、その問いに答えられる者はどこにもいない。

昔を知るものは皆、滅びてしまったのだから。

「世に常なるものなどあろうはずもなし。生生流転こそ万古不易のさだめよな」
「……まあ、山々も育つであろうさ」

ユリゼン > 「―――うぉぅ!?」

湯から突き出た翼にひとひらの雪片が落ち、ぶるりと悪寒が走る。
もっと深いところに移動して、翼を伏せて肩まで浸かった。

「だいいち、この寒さは何なのじゃ。これでは山に登れんではないか!」

今度は角が冷えてきた気がしてキーンとした感覚が走る。
水を吸った髪が冷気に触れれば、そこから凍り付いていってしまいそうだ。
ならば湯に潜ればいいのかと問われれば、そうでもないと答えるしかない。
試した結果がこれなのだ。

もうもうと立つ湯気を通して、ぼんやりと曇天を見上げる。

ユリゼン > あの峰のどこかには、今も同胞たちが眠っている。
世界が滅びるほどの久しい過去から、もしも自分のような幸運に恵まれたとして。

枯れて朽ちゆく骨が、崩れ落ちる山々の砂礫に呑まれず。
さりとて大地深く埋もれて、縁なき忘却の淵に沈むのでもなく。
たまたま、完全な姿で世に現れることがあれば。

たがいの姿は変われど、今一度、昔を語らうことができるかもしれない。
その可能性は限りなく低いと博士は言った。
肯定も否定もできず、せめておのれの目で確かめるため、遠路はるばる来てみたものの。

「…………ままならぬものじゃな」

ご案内:「山中の隠れ湯」にエミリーさんが現れました。
ユリゼン > この山々では、ときどき大きな竜の骨が出る。
王立学院にも古生物を専門に扱う人間たちがいるほどで、この近隣の好事家も熱心に集めているらしい。

それに。

竜の骨は高く売れるのだ。この山々に住まう者たちの特産品のひとつでもある。
時には薬として、時には魔術の媒介として。
かつて見知ったかもしれない竜たちの亡骸が、ばらばらになって売られていく。
思うところがないでもないが、目くじらを立てて止めだてする理由もない。

「…………………。」

全てはとうに無に帰した。滅びるとは、そういうことなのだ。

エミリー > 「もくもくはーこっちかなー...?」

ふよふよと宙に浮きながら山を登る女と地面を踏みしめながら登る鎧
歩くのと変わらないような速度だがそれでもまっすぐ遠目から見た湯気を目指して一直線に進む

「何があるかな〜♪」

面白いものがあるのかなと悪路を無視して一直線
やっと見えてきた露天温泉の一端を見てだんだん残念そうな表情を浮かべるが...
その湯に浸かる存在を見て首を傾げる

「ドラゴン....?」

ユリゼン > とか言ってる間にも、次から次へと頭に雪が積もっていく。
寒さがじわじわと染みてきて、やがて耐え難いほどになっていた。

「ええい人がたそがれておるところに!! 鬱陶しい!」

天を仰ぎ、狙いは直上。
本来、人の発声器官ではなぞれない遺失言語の一文を呟く。

太陽よりも明るい極太の火焔を吐き、昼間なのに薄暗い天を焦がして雪を一掃した。

「ふんっ。やってやったのじゃ」
「………む?」

視線を感じてたどった先。見知らぬ二人連れの姿がそこに。

エミリー > 「おぉ〜....」

頭に積もる雪が冷たそう、そんな事を考えていたが眼前の....ドラゴン人?
が、突然真上に炎のブレスを吐いた
離れているのに暑く感じる程の火力に思わず拍手し....

「...燃やさないでね...?」

首を傾げ、とても大事な安全確認をしてみた

ユリゼン > むやみやたらと人間を怖がらせるのは益なきことだ。
これでも王立学院に学ぶものだ。それなりには学習している。けれど、やってしまった。
騒ぎになれば面倒なことになる。そこまで思い至れば気分が塞いだ。
並みの女子なら悲鳴を上げて逃げ出すところだが、拍手されてしまった。

解せぬ。

「わかっておる。そなたも湯治にきたのであろう?」
「これへ参れ。相伴を許す」

エミリー > 「湯治....?」

難しい言葉がたくさんでよく分からないが一緒に入ろうと誘われた気がする
そして話し方がどこか自分の友達に似ていたのでろくに警戒もせずローブを脱ぎだした

「相伴が許された〜♪」

ローブを脱げばすっぽんぽん
チャプリと足先からゆっくりと浸かり首まで浸かってご満悦
そしてそのままゆらりゆらりと先客の方へと流れていく

ユリゼン > 供のものは動かず、小娘だけがすいすいと近づいてきた。

「わしは疲れたぞ、人間よ。この身はいささか柔でいかんな」
「くたくたなのじゃ。特に足がくたびれておる」

ほんの少し山道を歩いただけで膝がガクガクしていた。
脚も痛みのようなものを感じていて、腫れてしまっているような気さえする。
寒さにも格別に弱い。それこそ、元の身体の比ではないほどに。

気長に湯を揉み込んでいたふとももを伸ばして、つま先を向けた。

「心得あらば揉んでみよ。そなたも女子の身なれば、扱いは心得ておろう?」

エミリー > 「いっぱい歩いたんだね〜...♪」

ふわふわした思考回路が温泉の暖かさでさらにトロトロになっている
言葉の端々に気になるワードがあるが理解したのは足が疲れたということだけ
相手がドラゴンである事は忘れかけている

「マッサージ...?いいよ〜♪」

ズイ、とつきつけられたつま先を眺めて手を伸ばす
足裏を揉み揉みとマッサージを始める...
痛いようなので解すように、あまり力は強くしていない
しかしマッサージの経験が豊富ということもなく素人に毛が生えたぐらいの腕で頑張っている

ユリゼン > 「道中、迷ってしまってな。ずいぶん遠回りになったのじゃ」

見知った土地ならば、と地図を置いてきてしまったのが運の尽きだった。
今にして思えば浅はかなことをしたものだ。

「ん」

ずしりと重たくこわばった脚の先から僅かな快感がこみ上げてくる。
疲れがたまったところをピンポイントで突かれると「効く」らしいとわかってきた。

「待て、今……そこじゃ! うむ、うむ…」

エミリー > 「迷子の迷子のドラゴンちゃ〜ん♪」

上機嫌に妙な歌を歌い出す
だが同時に空を飛べるのに迷う?と疑問も浮かんだ

「ここ〜...?」

そこ!と言われたところをグリグリ押してみる
皮膚の下の筋の手応えが伝わる...凝り固まった肉を解そうとお湯の中で揉み続ける

「あ、お名前教えてー...私はエミリーだよ..♪」

思い出したのか唐突に自己紹介
一緒のお風呂に入り足を揉んでいるがよく考えれば相手の名前すら知らなかった

ユリゼン > 「―――エミリー」

それがこの娘の名かと、確かめるように呼んでみる。

「覚えておく。そなたの顔も。なるべくな。約束はできんが、努力はする」
「わしはユリゼンという。生来の名ではないが、この身には真正の――っつぁ!!」

ツボを突かれて腰が浮いた。ばさぁ!と翼が広がって湯が跳ねる。

「よ、よい……止めんでよい。案ずるには及ばぬ。ちと効いただけなのじゃ」

翼をたたみ、今一度ゆるりと浸かりなおす。