2015/12/20 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山中の細道」にシャロンさんが現れました。
シャロン > 「――足元が悪いのでお気をつけて」

3つの影が、夕暮れの山中へ進んでいく。
1つは壮年の男。背中には何やら大きな荷物を背負っている。
1つは年若い娘。育ちの良さそうな表情には疲労の影が隠せない。
そして最後の1つは金髪の少女。腰には剣を佩いており、道行を先導している。
商人を装った一行は、わざわざ人気のない細道を、夕方にもかかわらず上って行く。

「とりあえず、山を越えて村まで参りましょう。港湾都市は人も多い故、住みにくいでしょうから」

其の言葉に、追随する2人は頷く。疲れきっているものの、其の目は強い意志を秘めていた。
彼らはティルヒアから逃げてきた貴族の親子だという。戦禍の中を逃げ回り、船に忍び込んで来たのだとか。
港湾都市で困っている様子の2人に声をかけ、事情を聞き、そして今、護衛を引き受けてここにいる。
とは言えそろそろ休まないと。そう思い、少女は周囲に視線を走らせる。
願わくば温泉宿の1件でも見つかれば良い。安全に体を休められる場所が、今の一行には必要だった。
逆に、襲撃者ともなれば面倒にしかならない。運がいいことを願うばかりである。

シャロン > 人気のない街道は、動物たちの声が時々聞こえる程度。
その中を、3人の息遣いが進んでいく。軽やかな足取りが1つと、重い足取りが2つ。
自身以外の二人はすっかり疲れきっているのがわかる。これは、少々不味い。
翌日移動できなくなっては、それこそ元の木阿弥――追跡者に追い付かれてしまう。
早めに宿を――と思った矢先、目の前には一軒の家屋が現れる。
渡りに船とはこの事だ。戸を叩き、話をすればどうやら山中の民宿の様子。

こうして3人は、一先ずの休憩所を手に入れた。未だ長い逃避行。どうなるかはまだわからない――。

ご案内:「九頭龍山脈 山中の細道」からシャロンさんが去りました。