2015/11/24 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にアルバトロスさんが現れました。
■アルバトロス > 「…これは、どう使うんだ。」
先日、遺跡で入手した謎の小さな鐘。
既に持っている古代武具の本にも、これについての情報は無かった。武具ではないから、当然と言えば当然である。
しかし、何かあるのではないかと思い、実験を兼ねて此処にやってきた。
此処ならば、妙なことになっても大して面倒なことにはならないだろうという考えだ。
「鳴らせばいいのか。」
とりあえず、鐘を数回振って鳴らしてみる。
古びているにも関わらず、澄んだ鐘の音が響いていく。
■アルバトロス > 「………ん?」
鐘の音が響いた後、徐々に周りが変に静かになっていくのが分かった。
どれだけ山奥でも、虫や鳥、動物の鳴き声までは消えるはずがない。不審に感じた男が剣を抜く。
徐々に周りに漂い始める何かの気配に警戒し、感覚を研ぎ澄まして注意を払う。
そして、それは姿を表した。
遺跡の中で対峙した、あの魔法生物…霊獣だった。だが、今目の前に居るそれはキマイラではなくグリフォンを呼ばれる魔族を形度っている。
直ぐに斬りかかれるように男は剣を構えるが、霊獣の方は襲ってくる様子は無い。
それどころか、まるで男を飼い主と見なすように頭を擦り寄せてくる。
「………成程な。」
■アルバトロス > つまり、あの時のキマイラの霊獣も、この鐘が鳴り響いたことによって呼び出されたものだった。
その時は鳴らしたのが事故のようなものだったために、見境無しに襲いかかってきた、ということなのだろうと男は判断した。
そして、今は自分が鳴らしたから自分を主として従う。
「厳密には違うが、魔物を従えることになるとはな。だが、悪くは無い。」
色々と試してみたいこともある。
だが、一先ずは霊獣の頭を籠手を嵌めたままの手で不器用に撫でてから、戻るように命じた。
霊獣の姿が瞬く間に消えて、元通りの雰囲気を取り戻した。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にティルダさんが現れました。
■ティルダ > 鐘の音。金属と金属の衝突を、遠くまで響かせようとする音。不愉快だ、まず金属と言うものが『自然』ではない。そんなものが、この山の中にあるだけならまだしも、自らの存在を誇示するなど、許せない。……寝起きの不機嫌さに任せたまま音のする方向へ全力で走ってくると、
「……そこで何をしている、貴様」
恐らく、自分が聞いた鐘とその持ち主がいた。見たところ特に変わった様子はないが、付近から鳥や小動物の気配がしないのは妙だ。不意をついて喉元に食らい付いてやろうかとも思ったが、走るうちにいくらか冷静になったのか、まずは声をかけるという比較的穏便な方法を取ることにした。
■アルバトロス > 「………。」
動物達の鳴き声が徐々に戻り始める中、男は何かが速い速度で近づいてくるのを感じ取った。
仕舞いかけた剣を握り直して、其方へと向き直る。やがて、視界に入りこんできたのは独りの女の姿。
だが、印象的な狼の耳と尾を見れば、人間ではないと判断する。
「…実験だ。この鐘のな…もう終わった。」
女の口から出てきた言葉に、警戒を緩めずに答える。
此方へ良い感情を抱いていないのがはっきりと分かる。不意を突かれれば、喉元を噛み千切られるかもしれないと本能的に察知する。
■ティルダ > 「実験?」
いぶかしむというより、いかにも不思議そうなキョトンとした表情で彼の方を見つめた。男が剣の柄に手をかけているのを確認しても、特に恐れたり警戒するようなこともなく、
「ふむ……さしずめ、ここでなら『人間には』迷惑をかけまいと思ってのことだろう。しかし、何がどうなったか知らんが、私は気持ちのいい眠りを邪魔されてしまったぞ。この近くの鳥たちも同じだろう」
草の生えた地面にどっかりと腰を落とすと、あからさまに大きなあくびをしてみせる。彼を遠回しに責めるような物言いをしながらも、じっと見つめる視線からは『敵意』と呼べるようなものはすっかりなくなっていた。
■アルバトロス > 「…そうだが。」
女の言うとおり、此処ならば面倒事にならないだろうと思ってのことだ。
しかし、それは周りに誰も居ないからという理由。誰か居た場合だとか、動物たちのことまでは考えてはいなかった。
その通りだと言うように短く言葉を返す。
「…すまない、とでも謝れば良いのか?」
先ほどまでの敵意は無くなった様子の女へと問いかける。謝ったところで何をすればいいのかも分からない。
そして、素直に謝罪をするつもりもない男は、兜の奥から視線を女へぶつける
■ティルダ > 「謝る気はあるのか、ふふっ」
仮に言葉の上だけでも、謝罪の意思がないわけではない。それがわかっただけでも機嫌が良くなり、口の端から笑みがこぼれる。森の獣の事情なんぞ知ったことか、というのが普通の、自然への畏敬を喪った人間の反応だと思っていたからだ。もちろん、彼にも内心ではそう思う気持ちもあるだろうとは思うが……。
「いいだろう、許す許す。何、寝起きで少しばかり機嫌が悪くてな、こちらからも謝ろう」
けらけらと笑いながら、なるべく敵意がないことを示しつつ彼に歩み寄る。彼が許すなら、獣らしいコミュニケーションとして、そのまま近づいて首筋辺りの匂いを嗅ぐだろう。
■アルバトロス > 「………。」
男の言葉にどういうわけだか気を良くしたらしい女が笑みを浮かべる。恐らくは気分を悪くするだろうと思っていた男は、僅かに困惑する。だが、此処で余計なことを口にして気分を害するというのが得策とも思えない。それに、女の言うことにも一応の筋は通っている。
「…すまなかった。今後は出来る限りで、気を配る努力をする。」
淡々とした口調で謝罪の言葉を口にした。誠意が籠っているかと聞かれれば疑問は残るものだったが。
そして、けらけらと陽気に笑う女が近づいてくるのを見て、男は剣を納める。此方からは何もしない。
そのまま、女が首筋辺りの匂いを嗅いだならば、汗の匂いを感じるだろう。
■ティルダ > 「んふふ……生真面目な男だな、お前は。そういうにおいがする」
男の汗臭い体臭を何の躊躇いもなく吸い込むと、浮かべていた笑みをにっこりと濃くする。彼が謝ると言う『選択肢を持っている』というだけで機嫌を良くする狼が、そこにある誠意はさておき実際に謝るのを聞けばますます気を良くするのは当然で、
「ん……っ……」
浅く彼の身体に抱きついて、もう一度その匂いをクンクンと鼻を鳴らして嗅ぎ始めた。端から見れば酔っ払うか何かしているようにも見えるだろうが、実際、久々に嗅ぐ人間の男の匂いはまだ寝ぼけの残る頭には少し刺激が強い。