2021/05/03 のログ
ご案内:「◆港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”2【イベント開催中】」にナインさんが現れました。
ナイン > (ようやっと仕事が済んだ。息を吐く。

…港湾都市の一角に先日建てられたばかりのこの建物は。酒店――訳する所のホテルや旅館という奴である。
王国、帝国、互いの国から大いに息が掛かっている此処には、利を求めて己も大いに関わっており――結果として。
落成と稼働開始を経た今回、関係各位からの歓待を受ける事となった。
奥の奥、一般の客は立ち入る事の無い酒席にて。両国の貴族等幾人かと宴を共にし、然るべき今後の足掛かりを築いた所で。仕事は終わり。
シェンヤンの酒と料理が饗される宴めいてはいたものの。王城での乱痴気騒ぎに比べれば、余程粛々とした物だった。

…とはいえ、それも此処迄だ。
話が纏まってしまえば、ある者は度の強い酒を片手に、部屋へと下がる。
またある者は、酒店の宛がった女を連れて何処へと。

己は――さて、どうするか。
立ち上がれば、長く据えていた腰を伸ばし伸ばし。一先ずは室内を見回す素振り。
残った者が居るか。或いは――己にも、何ぞ用意されているのかと。)

ご案内:「◆港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”2【イベント開催中】」にリヤンさんが現れました。
リヤン > (主が行く場所には、己が居る。己の役割は、彼女の護衛――――御身を危険より護る為にある。
この場所には不埒な存在が多く居る、酒に酔い、箍を外した者がいる。それらを牽制する為に、唯々、静かに彼女の後ろに立つメイド姿の女。
大人しく編み込んだ髪の毛、静かに伏せられている瞼、ふんわりと釣り上げられて笑みの形を繕う顔。
主の視線から絶妙に入らぬようにするり、するり、と音もなく移動を行っている。
彼女からの声が掛からなければ、空気のように、唯々、其処に有る。

しかし、その意識は、周囲に振り撒かれている、理由は先ほど言ったとおりの事。
慮外物から、主を守るため、である。
先程も、一人静かにソファーで眠っていただいたところでも、有る。)

「――――。」

(物言わぬメイドは、しかして、腰を伸ばしている主の近くに小鳥、とりんごジュースが入った器を置いておく。
確りと毒見の終わっている、安全な飲み物だ。
このように酒が多い場合には、酔い覚ましの飲み物も、必要であろう、と。)

ナイン >  ――ふむ。

(この酒店を任されたのは。本国であるシェンヤンで、数多くの酒店や餐店を成功に導いてきた人物であるという。
確かな実績を持つ者を送り込んで来る辺り。彼の国のやる気が窺えるというものだ。
其方の人物はどうやら未だ、別件の話が込み入っているらしい。
己にとって既知である、とある王国貴族から。あれやこれやと質問攻めに遭っているのだ。
貴族からすれば、公的には両国の関係改善に繋がる可能性でもあり…私的には余所からの儲けに直結している。逐一気に掛けるのは当然だろう。
己も幾つか個人的に、訊いてみたい話は有るのだが。この分では後回し、それこそ翌朝にでもした方が良さそうだ。
…諦め加減で首を竦めた所へ。差し出される小さなグラス。)

 嗚呼。流石に気が効くじゃぁないか。
 どうにも今日の酒は――強い上に辛口だ。こういう物が欲しくなる。

(仄かに甘く漂う馨。果実のソレに、ほ、と息を吐いた後。口を着ける。
背後から徐に差し出された物ではあるが。毒だの薬だのを疑う必要は無い――誰による物かが判っていれば。

それは己の傍仕え、護衛、という者だ。
色々と込み入った事情を抱えている、それを理解した上で仕えさせている彼女。
辛口の酒で痺れが残るかのような舌先を、果実の甘みで存分に癒した後。
軽く手を振りいらえようとして――)

『 おや。その娘は確か――』

(掛かった声に眉を寄せた。
同席していた、さる王国貴族の物だ。
…知っていて、当然なのだろう。或いは直に関わっていてもおかしくない。
彼女の、その”事情”という物に。)

リヤン > (酒、という物は、発明された時からずっと、人々の嗜好品として寄り添ってきている。新たな酒が発明され、おいしい酒が造られて、それを飲み、一時の酔狂に惑う為の、狂い水。
それが流通するのは当然の事、おいしいお酒が飲みたい、沢山お酒が飲みたい、高いお酒が飲みたい、そんな欲求は誰にでもあるもので、それ故に、酒には一定以上の価値が生まれる。
皆が欲するものだからこそ、だ、そして、その流通経路、販売に携わる事が出来れば、富が入るのは、間違いのない事なのだろう。
だから、貴族は挙って集まる。
純粋に酒を求めるものも、酒の価値――金を求める者も。
主としては、後者なのだろう、貴族として発展する為には、金は切って欠かせないものなのだから。)

(主は、酒が得意では、無い。貴族として、一般の平民よりは飲めるだろうし、そして味も判るのだけれども。余り度数の強い酒が得意とは言えない。
この辺りは体質や好みというのもあるので、仕方ない事なのだろう。男性と同じように飲むことは、難しいはずだ。
そして、酒をやりすぎて倒れられてしまえば、明日以降の公務に差し支える、だから。
護衛として、彼女の屋敷で働く同僚の注意もあって、これ以上飲むなと言わんばかりの、リンゴジュース。)

(主ではない者の声、それは、偶々同席していたのだろう、貴族。
貴族であれば、自分の事を知って居て不思議はないのだろう、捨てざるを得なかった、過去の名前も含めて。
憎しみの感情が、心に浮かぶも、今は護衛の最中だ、瞳を伏せ、感情を隔し、そ、と足を引いてカーテシーを一つ。
彼が自分を知っていたとして、その先を続けさせるかどうかは、主の心しだいだ。
今の自分は奴隷であり、護衛である。
過去は、過去で、其処にはもう、感情は捨てて来た、その感傷をどうするかは、主の心に従うことにする。)

ナイン > (個人で愉しむのなら嗜好品だ。同時に、複数人や多人数で共有するなら――寧ろツールと言って良いだろう。
酒精による精神の高揚は。自然と場の流れを円滑にする。行き過ぎる事が無ければ宴を作り上げる為には必須の物。
亦悪用するならば。酩酊は自然と間隙を生む。時に呑まれた者を暴走させる。
作った隙から何かを引き出しても良いし――晒した醜態を、後々の取引材料としてやっても良いだろう。

そういった用法も用量も、皆、熟知している者達だ。今夜此処に集っているのは。
お陰で無様に溺れるような者や居らず、寧ろ粛々とした酒宴であり、非正規の会議であったと言って良い。
無論此処から先は、役得という名のお楽しみを抱えているのだとしても。それをひけらかしはしないだろう。
重ねて言うが、王城で欲望に身を任せ、羽目を外すだけの者達と比べれば。余程利に聡い者達であった。

そう。自らの隙を晒さぬ事と、他者の隙を探る事とに余念の無い者が多い。
己の背後に使える女が何者であるのか――否、何者であったのかを。確りと記憶していたらしい。
どうにもこれは……面倒な事となりそうだ。)

『慈悲深いものですな、若き御当主様は。
我等が王国に叛した者の娘に、如何様な手を差し伸べられましたのか。』

(嗚呼矢張り。痛い所を突く、もとい、痛い所として成立させようとしている。
…彼女の一族は、敗者だ。政争に敗れ取り潰されて、彼女自身も堕ちる所迄堕とされた。
実際国家に弓を引いたか否かは――問題ではない。既に、それが公然の事実であると出来上がっているのだから。
そして。裏切り者の血族を招き入れる己にも。同じ疑いを掛けたい、同じ憂き目に遭わせたいという事か。
見え透いた流れに対し、ほんのりと酒精が残る吐息を吐き出せば。)

 真逆真逆。卿も御存知でしょうよ?
 …一度堕ちた者が、這い上がれるものか。如何なる出であろうと、今――此処に在るのは。
 私にとっては懐刀であり、飼い犬。それ以上ではありませんとも。

 ………嗚呼、難なら……試してみられるが良い。

(唇を歪め、手を伸ばした。…挑発を目論む貴族に、ではない。背後に控えた彼女へ、その襟首へ。
掴み引き寄せ、目の前の男へと、触れんばかりの距離へ突き出してみせ。)

 私の犬。カルネテルの犬。…なれば、卿にとっても飼い犬らしく。
 尾を振り尻を差し出してご覧にいれますれば。