2021/04/10 のログ
ソラム > 「食事の邪魔、しちゃった.....?」

如何にも不機嫌そうに喉を鳴らす少女に苦笑気味な笑みを溢す。
対峙する少女の体から少しずつ煙が放出され、辺りに漂い始める。彼女の能力なのだろうか。
そう判断した彼女はバスターソードに手を掛け、ゆっくりと抜き放つ。黒い刃が煙の中でも光に反射し、至るところを照らすだろうか。

「(この霧...厄介なヤツ).......ッ!」

煙が漂う中、両手でバスターソードの柄を握ると、横凪に一閃。
刃は霧を切り裂き、風圧で彼女の回りから遠ざけるだろうか。

イスルス > 煙はまるで、角有りの相手に触れるかのような腹積もりか
それをまるで、蟻の群れのように忌避し、剣で振り掃う様子
軽々とバスタードを扱う割に、まるで戦闘の生娘 周りは、突然のイレギュラーな戦いに、沈黙を貫く

周りはどんな戦いを どんな血肉の裂き方をするのか
それを見たくてやってきている。
闘争を 闘争を どこまでも闘争を

ゆえに、イスルスもまた黒い瞳を向けるまま、初めての匂いに一歩目をまだ出していない

それはなぜかと言われれば、強いのかも 弱いのかも わからないようなあれが、なぜこの場所にいるのかとなるからだ
あれは戦っていい相手なのか 喰っていいのかと イスルスは、体から煙のようなものを漂わせる
しかしそれが今度は広がることはない

              『イスルスッ!』

「……。」

観客席の主が、唐突に無表情のままのイスルスへ意識を向けさせる。
裏家業を思わせるような、縦線のストライプが入った黒生地の拵え
帽子の向こうから見える葉巻の煙と共に、親指を真下へ向ける拳のサイン

その、方向性一つが差し向けられるだけで、イスルスの動きは決定した
腰を低く構えた、右手に鋭い刃を携えての、一挙動 瞬き一つの時間で地面を刈り、突撃する蹴撃の間合い詰め。
武舞台の上から真っ直ぐに向かう それに対しての角有りの行動は?

ソラム > 「(......来た!)」

素早い、それこそ瞬きする隙すらない。それくらい速い速度で少女は彼女へ肉薄してくるだろうか。だが彼女は第六感とも呼べる感覚器官____額に生える三本のツノで流れを読み、少女の接近に気づいたが、既に彼我の差は3メートルを切っているだろうか。
受け止めることも、流すことも出来ない。ではどうする?
彼女は自身へそう自問すると、即決で答えを導き出す。

「.....ここ....!」

その姿は軽く後退する為のバックステップにしか観客には映らないだろうが、そのステップは跳躍へと変わり、少女の頭一つ分越えるか越えないか程度で跳躍する。
その直後、彼女の脚に変化が顕れる。
頑丈そうなブーツが内側から裂け、前に2つ、後ろに一つの三日月のように曲がった鉤爪があり、脚全体が銀色の鱗で覆われた人ならざるモノの脚部が露出するだろうか。
彼女が着地すると、左足の鉤爪で地面に体を固定し、右足の鉤爪で少女が構える刃を掴み万力の如く固定してしまうだろうか。

イスルス > ぞるんっ とまるでその姿は弓矢のように引き絞られ、放たれる
バスタード相手に携えているのは、片刃のロンググリップ
速度の乗った突撃 小柄な相手では、剣を振り上げるだけなのだろうか 等と、思っていた

イスルスの予想を大きく上回ったのは、その異形
間合いが詰まりかけたところで、自由が利く間合いを手に入れようと後ろへと下がり、両脚が破裂した
正確には、ブーツが千切れ裂け、銀の鱗 曲線の鉤爪の脚が現れ、突き出させたナイフががっちりとその指で挟まれた。

Ýの字型の脚が挟み込んだ愛用のナイフ それに執着など抱かずに簡単に離してしまう
未練も躊躇もなく、そしてその後方 もう片方の脚は、がっしりと地面へ固定させるようにする
それは足を掴まれ、浮かされることを嫌ってだろうか。

相手の、言ってみれば人獣形態と言える人型のままの鱗の体と脚 屈強な片鱗を魅せるというのなら
イスルスも出し惜しみをすることはなかった

               「ガロロロロ……ッ」

煙のように身軽に、ナイフを摘まみ上げた、浮かせた片足をイスルスの両腕が抱く
そのまま、小柄な相手を、まるでピンの上で固定された球をけり弾くように、頭部を狙って獣の力が側頭部に蹴りを喰らわせんとした
片足を突き出させ、片足を固定したその姿故に、ヒュパンッとはじけた、人狼の蹴り。
脚を抱いてまで行っては、余地はあるのだろうか。

ソラム > 「(いやいやいや!?武器を大切にしようよ!ね!?)」

何の未練もなくナイフを手放す少女を見て、彼女は口には出さないものの、内心でツッコミを入れてしまう。
浮かせていた右足に少女の両腕で抱き、そのまま正確に自身の側頭部を狙って蹴りが繰り出される。
多少の余地はある。だが次の一手を切れば、間違いなく存在そのものが露呈する事になるだろうが.....、

「....えぇい!ままよ!」

彼女は悪態をつきながら、此方も出し惜しみはしてられないと判断し次の一手を繰り出す。
背中から翼と脚の役割、どちらも両立して機能する第2の腕、本来の姿よりは小さいがそれでも大きい翼脚が生える。その翼脚も脚と同じく、銀色の鱗を纏っていた。

「捕まえ....たっ!」

彼女は右側の翼脚を側頭部と迫る彼女の脚の間に介入し、翼脚から伸びる三本の鉤爪を、少女の足の付け根辺りに食い込ませる形で掴んだら、強引ながらも脚から少女の腕を引き剥がし自身からある程度離れた武舞台の端近くまで投げ飛ばすだろうか。

イスルス > 仕えるマフィア 頭目から賜ったホール・ナイフ
それを簡単に手放してしまうのは、それは愛用であり必然ではないせい
側頭部への人狼の蹴り
人間の首ならば、砕くか 千切れるか くらいはしてしまえる なんら加減もないそれ

脚を掴んでまで互いに固定し合い、空いた片足が放ったというのに
弾け飛び、打たせようとする前に翼を背中の身なりが破けながら顕現
両翼の翼の先には、蝙蝠のような、飛竜ののような翼の先にある爪指が見えた
それが、人狼の、イスルムの脚を掴む

翼で受け止め、且つ、握り掴んでいた脚自体を振り上げるものとし、イスルムが鉄檻の向こうへ叩きつけんとされた
170㎝の、イスルムの体が抛り飛ばされる しかし、途中で、衣服も、体も、髪の先までが煙のように変わり、ふわりと漂った
人も 鬼も 巨人ですらも 煙を 霧を 羽毛を 投げ飛ばすことなどできはしない
それは軽やかに揺蕩い、混ざり合うように其処で巡るだけ

「……。」

煙が廻り、タンッとブーツの踵が武舞台の床を鳴らす
体を 身なりを再び肉付けさせたイスルスがその場に現れ、周囲が騒ぎ出す
顔を一度伏せ、再び角付きを眺めたイスルムの表情は、獰猛

力強い敵対者を眺めるように、半面が獣の顔を作り出す
その獣類特有の突き出たマズルフェイス 肉を 骨を噛み砕く牙 月白色の髪色と同じ、体毛が顔の全てを覆う
髪に紛れ伏せていた両耳は起き上がり、その黒い瞳、まるで鮫のようなまま、目の前の角付きは、イスルスをその気にさせた

             「ガ ル ル ル ル ル ォ……。」

空気の鼓が震えるような、喉の鳴り
まるで狼というよりも獅子のような唸り声
角付きへと口を開き、獰猛な表情を見せ、半面がその表情から皺を深く何本も刻むままに

周囲は、騒ぎ出す
銀の竜が出たと そして、煙となって動く人狼が出たと

             

ソラム > 「(煙になった.....体から放出していたものと同じものかな)」

投げ飛ばした筈の少女がまるで煙のように姿を眩まし、再び姿を表したときには、投げ飛ばした時の推力は殆ど無くなっていた。
そこから少女の変化を見届けた彼女は、

「.....特徴的な顔つきにその耳、確か、ワーウルフ、だっけ」

静かに、だが確信を得たかのようにそう言葉を紡ぐ。
彼女が以前森の中で遭遇した狼に似た顔つき、そして人と狼の姿を使い分ける魔物。
相手の獰猛な表情を見ると、完全にこっちを餌としか見ていないと彼女は判断した。

「(これは勝負であり、単純な殺し合い)......弱肉強食ってヤツだね」

そう呟いたのを皮切りに彼女も姿を変え始める。
小柄な体格はそのままに、顔から下、頬の部分から銀色の鱗が彼女の体を覆い始め、コンバットスーツは塵一つ残すこと無くあっさりと霧散し、代わりに全身を鱗が覆い、腰辺りから長めの尻尾が生えてくる。
漆黒のツノからは赤い光がシミのように滲み始め、バチッバチッと時折赤い稲妻が迸り、辺りを赤く照らすだろうか。

「これで、お互い準備万端、かな?」

自身の手元にあるバスターソードを遠くに放り投げつつ、少女にそう問い掛けるだろうか。
バスターソードはクルクルと宙を舞い、観客席の近くに豪快に突き立つだろうか。

イスルス > 服は人を造り 教養は理性を造り 食事と行為が獣へ還らせる

敵対と食事 二つの理由以外に獣が殺しをすることはない
無駄な殺しで、死体を散らかしたりもしない
しかし、頭目が、主が、イスルスに提示したこのルールに沿うのであれば
今は殺し、食み、敵対者を排除する それで動く故に

「……。」

こうして、獣の一面が、半面に現れる
ぞるっ ぞるっ と波打つ体毛
牙を覗かせるその凹凸

人狼を半分漂わせる人型のまま、手袋を付けないメイド服の先の手指が ギヂンッ と握られる
露わな指先は、従者の証 手袋を身に着けるメイドは、メイドに非ず。
故に、その爪が露出し、指の体毛が現れる

未だ互いに、人と獣を混ぜ合わさった人獣形態で、再び対面した

周囲が、うるさい
歓声 そしてイスルスは所有者がいる故に、目の前の角付きは誰かとなっていた
耳は、ピクンッピクンッと角付きの言葉を拾う 準備は整った

        コクッ

それに頷きを返す
無表情 無言 獣の顔 しかして動作は返し、応える
雷をほとばしらせる銀の竜
剣すらも手放して見せる 一つの攻撃手段としないのは、もはやそんな金物が、邪魔という印
簡単に初めであきらめて見せたのに比べ、角付きは幾分か時間がかかっている。

ふと、イスルスは主を見た
その顔は珍しく苦みを帯びている
銀の竜 そんなものが街中に出歩いていてはそうもなる
リザードマンでもなければ。スネークマンでもない 銀の鱗と角を持ち 赤の帯電を帯びる人外 化け物
それがまだ竜人といえる体型なだけ、マシだろうか

「……。」

そして、スッと構えを取り、互いに無傷
互いに化け物
いつでも、喰う 殺す 構えだったイスルスに比べ、角付きは、やっと体がその気になってきている程度だろうか
ロングスカートから、尾がバサリと一度、空を薙いだ。

ソラム > 言葉を交わす必要は、もう無さそうだ。
彼女はそう判断すると地を蹴り、少女へ接近する。
翼脚は折り畳み、鋭角を保ちスピードを上げ始める。
初めに蹴った地面はひび割れ、凹み軋むだろうか。

「____!」

三本のツノの間で増幅された赤い雷撃は何重にも分裂し、少女を撃ち据えんと襲いかかるだろうか。
雷撃の殆どは地面に辺りその場で放電される程度に至っているが、当てれば人間は一瞬で黒焦げになってしまう威力を内封しているようで、命中し地面からはプスプスと不完全燃焼の証たる黒い煙が至るところで立ち上っているだろうか。

雷撃を放ちつつも、近距離での白兵戦も視野にいれ、彼女は身構えるだろうか。

イスルス > 闘技場席 頭目たる主は葉巻を咥え、甘い煙を吐きながら冷える汗を垂らす
銀の竜 言ってみれば幻想の相手 勇者の相手 最優先討伐対象
色々な言葉が浮かぶものの、竜とはそれだけ厄介な代物だ

人に紛れてやってくるような話も、幾年月を経てまるで遊び心を持つようにやってくる老龍もいるかもしれない
しかしこんな、濁り切った人獄にやってくるものなのかと

『もしも、イスルスが負ける寸前になれば手を引かせる。
 ゴルドの負債額を用意しておけ。』

頭目がほかの部下にそう指示を出したのならば、目の前の状況を再び眺め、見下ろした

イスルスは、未だ闘志消えぬままに、アケローンでもないこんな掘り下げて作られた空間の中で対峙する
主の様子が違うことは、先ほどチラリと目を向けてわかっていた。
なら 主が声を出すまでは、この闘争は続く 竜の味が食みたいわけではない 敵対したがゆえに殺す
食欲ではなく敵対から成る殲滅の意思でイスルスは動いていた。

―――互いに、まるで示し合わせた様な 初めの一歩
イスルスの両脚が 銀竜の爪脚が地面を刈り跳んだ
互いに飛び出し合う その速度 互いに鼻先が振れるようになるまではほんの少し

雷が、赤く歪んだ線となって襲ってくる
銀竜の雷 触れれば焼き焦げ、伏せるだけ
それを、半煙となった体が、質量を持った煙のようにして雷に触れずに、歪な赤い線をいくつも潜った

            ゴギンッ

拳が、両で硬く握られる。攻撃をする際の、肉の体へと戻りながらの
その片目と鼻と唇の間という急所へ向かって放たれる一撃のワン・ツーの二連撃
人狼の力と速度が、雷を超えて直接的に殴り掛かっていく 竜を刈ろうとするものが
まさか勇者や戦士ではなく人狼 その光景は、未だ人に見せる時間を続けている。

ソラム > やはり勢いよく、そして的確に急所を打ち抜こうと少女の拳が迫る。
この距離では雷撃はほぼ無意味。切り札たる放電は切るにはまだ早すぎる。ならば、

「(腕の一本や二本、くれてやる...!)」

一撃必殺。まさしくその言葉が相応しい威力を兼ね備えた二連撃。
その一撃目を右拳で殴り威力を相殺し、二撃目は手の甲で受け、拳の軌道を無理矢理逸らすと、素早くバックステップで距離をとるだろうか。
距離をとり、彼女は右手を持ちあげようとするが、空を切った。
右手は衝撃に耐えられず、二撃目で跡形も残ら無かったようだ。彼女は右手を本来の手____銀鱗で覆われ、異常に固く、鋭くなった爪がある指が五本揃った状態で再び再構築され、左手も同様に変化させるだろうか。

イスルス > 人狼の、固く握られた拳
人の体のまま 人外の力を内包した拳
目を潰し、鼻下を砕き、ひるませる そこまでは考えていた
竜の顔ではなく人の顔だからこそ可能な、攻撃手段

そしてそれを竜はやはり嫌がった
右の拳で、迎撃をしてきたのだ

           ゴ シ ャ ッ 

互いに、鮮血が迸る
右の拳と、右の拳がぶつかり合い、互いに砕け散った
手首際まで失った腕
指が千切れ跳び、肉片が舞う 血が珠となって伸び、周囲に散らばった。

左の拳は、手の甲というまだ頼れる硬さの部分で受け止められ、そして後方へその撃の力を以て退かれる
驚くような自己再生の高さ しかし、イスルスの腕から先は、以前そのまま
人狼が、吸血鬼のように、その体を即座に再生させる術など、持ちはしない
細い線や裂傷ならばいざ知らず、砕け 千切れ 跳んだ

周りは興奮のるつぼ
殴り合い、その拳が散ったのだ
正に人外の所業 イスルスは、痛みがまるでないように、表情に起伏はない
その拳を眺め、血がこぼれるのに構わず、再び構えを取る。

自己再生の高さで言えば 削り合いになれば不利はイスルス
煙と化す体がどこまで相手を翻弄し、クリティカルを与えられるかにかかっている

しかし、やはりというべきか イスルスは頭部から伸びた耳に捕らえる、主の声

               『イスルスっ!』

構えを解き、主のほうを見る。
掌を広げ、こちらへと招くような二度振り上げる動作。
それに伴い、ジッと銀竜を眺めると、軽やかな跳躍と共に、鉄檻の中から抜け出ていく
鉄檻の隙間を、煙と化し、潜り抜け、再び主の傍に控え立つまではさほどもない。

場内に広がる、二連戦目でのイスルスの敗北
鬼人との勝負で生まれた金が消えただけの結果だ

『イスルス。』

主の声に、拳が砕け、千切れ跳んだだけ故に、フルフルと首を振るった
絶命にはまるで至らない 肉を食み、体を休め、月明りに浸ればいずれ直るだろう
人狼は 銀以外で殺せやしないのだ。

幕を下ろし、銀の竜と煙の人狼は互いに見やると、席を離れる主へと付き従うだろうイスルス
その表情 未練もなにもない無表情は相変わらずのようで しかし、心行くまでの殺し合い の結末が主の制止ならば
それだけが残念だったかもしれない。

ソラム > 軽やかに跳躍し、主の傍に控え立っている少女を一瞥すると再びその姿を変える。
体長15メートル程の、完全なる龍へと体を変化させると、

『■■■■■■■!!』

己を誇示するかのように高々と首を上げ空へと咆哮する。
直後、彼女のツノが今までよりも赤く発光した直後、赤色の落雷が龍の体を包み込む。

その雷が収まるとそこには龍のいた痕跡は無く、後に残っていたのは、真っ黒に焦げた地面と、剥離したのか、鱗の欠片が一枚、地面に突き刺さっているだけだった____。

「(強かったなぁ、あのワーウルフ)」

ダイラスの上空を飛びながら、彼女はそう思う。
再び対面したときは、決着をつけよう。
彼女はそう決意し、翼を羽ばたかせ、九頭龍山脈の奥地へと飛び去っていったのだった____。

ご案内:「◆港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”2 格闘場」からソラムさんが去りました。
ご案内:「◆港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”2 格闘場」からイスルスさんが去りました。