2020/02/11 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”2 海の見える喫茶店」にクレス・ローベルクさんが現れました。
クレス・ローベルク > ざざーん……ざざーん……。
波の音を聞きながら、男が一人紅茶を飲んでいる。
その顔は穏やかと言うか、覇気がない。
漫然とティーカップを口に運んで、半分ぐらい飲むと、

「……あー」

ティーカップを脇に置いて、ぐでー、と机に突っ伏す男。
激しい試合の後は、良くこの場所でこんな風にだらけている。
店員は少し迷惑そうだが、しかしそれなりに売上に貢献していたりするので、追い出すのもできないようで。

「帰るのが面倒くさい……」

完全なダメ人間と化した男。
机に突っ伏しながら、何となしに、店の入口を眺めている。

ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”2 海の見える喫茶店」にセイン=ディバンさんが現れました。
セイン=ディバン > 「……」

おしゃれ、と。そう評していいかもしれない喫茶店。
そこに、一人の男が現れた。
呼気からは微妙にアルコール臭さが感じられるが。
男は足取りしっかりしたまま、テーブルにもたれかかる男に向かって歩く。
もしかしたら、相手が入り口をず~っと見ているなら、視線が交錯するかもしれない。

「……よぉぉぉ、クレス。ここであったが100年目ってヤツだな?」

ビキビキとこめかみに血管を浮かせながら。
男は、凶悪な笑顔で相手に声をかけ。
どがっ、と勝手にイスに座る。
明らかに友好的な雰囲気ではない。

クレス・ローベルク > 寝そべったまま、べったりと机に張り付いていた男。
その目線が、入ってきた男に合う。
とはいえ、それはただ単に何となく目を引いた、といったもので、直ぐにぼんやりと海の方を見てしまっていたが。

「おう?」

どがっと椅子に座った、その音でようやく、彼がこちらに用があるのを認識した。
よだれが出ていたので、口元と机を拭いて、それから彼の方を見る。

――記憶参照。
顔、見覚えなし。過去の対戦相手ではない(本当は対戦相手だったのだが、"彼"の顔は知らない)
此処最近恨みを買った心当たりはあるか?大体いつも買っている。
――参照終了。特定できず。

「えーと、どなた様?」

と、相手の威圧するような笑顔も何のその。
首を傾げて聞いてみた。

セイン=ディバン > 「はっはっは」

自分を見て、何かを考えている相手に。男は笑う。

「はっはっはっはっは」

あんた誰? なんていう相手に。男は笑う。

「まぁぁぁぁぁぁそうだよなぁ?
 気づかないよな? だと思うよ。
 だってオレだってオマエの立場ならわからねぇもん」

けらけら、ゲタゲタと笑いながら。
男は細巻を咥え、一息。煙を相手に向かって、ふぅぅぅ、と吹きかけ。

「……この間はど~も。闘技場でよくもまぁヨロシクしてくれたよな。
 オレだよ、クレス・ローベルク。セイン=ディバン様だ。
 それとも、こっちの姿じゃねぇとわからねぇか?」

ギリィ、と。歯を鳴らしながら笑い。
男は姿を変える。黒いドレスの女。胡散臭い笑みに、豊満な胸。
そう。先日、闘技場で戦った姿そのままになり。
すぐさま、元の姿に戻ってみせる。
あの時、相手に言った言葉。追い落とし、殺してやる。
その言葉を言い放った。相手に犯されてしまった人間である。

クレス・ローベルク > 何時もの男なら、もう少しにこやかな対応をしていただろうが。
残念なことに、間が悪かった。
今日の男は、とにかく疲れていたのだ。
それも、仕事が終わって、頭を休めていたタイミング。
正直、『何で俺仕事終わりまでこんなオッサンと話さないといけないんだろう』とまで思っていたのだが、

その名前を聞き、女声になった姿を見ると、途端目を開いた。
それは、町中で知り合いに出会った、とでも言うような気安い表情で、

「あ、あー!セインか!ごめんごめん、男の方じゃ気付かなかったんだよ。何だ、言ってくれればよかったのに。
うん、覚えてる覚えてる!いや、あの時はアリガトね。
お陰で試合盛り上がったし!」

と、心の底から感謝の言葉を述べて。
そして、その後、置いておいた飲みかけのティーカップの取っ手に指をかけて、

「んじゃ、そういう事でっ!」

次の瞬間、手首のスナップで、中身のお茶を目に向けて引っ掛けようとする。
思い切り喋り倒してからの不意打ちである。
これで視界を奪い、隙を作ろう、と。

セイン=ディバン > あるいは、女の姿になって見せても覚えてないとか言うのなら。
その時点でぶっとばしてやろうとは思っていたのだが。

「うんうん。思い出してもらえたか。
 そりゃあ良かった。あんなことされて覚えてないとか。
 なぁ? 許されないよな?」

ははははは、なんて笑いながら。相手の行動をじっくりと観察する男。
相手が、まさに不意打ち。しかもお手本のようなそれを披露すれば。

「まぁそう言うなよ」

男は笑いながら、物体転送の呪文を発動。
目の前のお茶は、店の外へと送られることになり。
せいぜい、店の前の通路を濡らすくらいしかできなかっただろう。

「オレとしても、いきなり斬った張ったの殺し合いなんてしたくないんだ。
 ……ちっと付き合えよ。なぁに、いいだろう?
 冒険者同士? 闘技場の常連同士? 男同士のトークってやつだ」

ニヤニヤと笑いながら言う男。
さて、問題である。この二人、どちらが強いか。
これに関しては、実際は甲乙付けがたし。
どちらも、ある程度以上名の売れた男である。
正直、どちらも強い、というのが本当のところ。
明暗分けるとすれば、状況次第なのだ。

クレス・ローベルク > 「むむぅ……」

目潰しが決まれば、そのまま逃げようと思っていたのだが、そこまで甘くは無かった。
基本的に、試合外で復讐しようとする人間に対しては、逃げか、さもなくば徹底的に叩きのめす事にしている。
だが、目の前の相手との実力は互角、勝ち負けは怪しい所がある。
仮に勝ったとしても――

「……はぁ。OK。俺もこの店は気に入っているんだ。
出禁になったりしたら困るし、刃傷沙汰で潰れてもらったらもっと困る。此処で戦らないって言うなら、付き合うよ」

そう言うと、店員を呼んで注文を出す。
割とこういう事に慣れているのか、特に詮索する事もなく、応対をしてくれる。

「レモンティーと……君は何を飲みたい?
折角の再会だ、お茶代ぐらいなら出すよ」

セイン=ディバン > 「うんうん。物分りの良いヤツはキライじゃない。
 それが、男だろうと女だろうとな」

相手の言葉に、うん。と納得したように頷く男。
そこで、ようやっと男は攻撃的な様子を隠し。

「ん。そうな。豆茶。ブラックで。
 遠慮しとくよ。オマエさんに奢られる理由がない」

注文をすれば、男はこともなげにそう言い放ち。
相手のことをじぃ、と見つめ。

「んで、だ。まず聞きたいことが二つ。
 一つ。オマエさん、いっつもあんな感じで、闘技場で戦ってんのか?
 二つ。自分が抱いた女が、実は男で。こんな相手を抱いていたと知った時の気分ってどうよ」

ふぅ、と煙を吐きつつ。男は笑顔で相手に問う。
一つ目はともかく。二つ目はずいぶんと趣味の悪い質問だ。

クレス・ローベルク > 「ははは、そりゃどうも」

そう言って、お互い注文を済ませると、取り敢えず男は一度腰をあげて、深く座り直す。
長話になりそうだというのもあるし、何より今は疲れている。
この先どう転ぶにしても、まずは体力を回復させたかった。

「あ、そう?俺はこういう時素直に奢られちゃうタイプだけど。
でもまあ、それなら別会計を頼もう」

そう言うと、相手の視線を涼しげに受け流しつつ、対応する男。
相手が怒気を収めている以上、こちらが過剰に反応するのは失礼に当たる。
無論、最低限の"備え"は意識の上に残しているが、取り敢えずは普通に友人と話をする感じで

「一つ目の質問については、まあ、剣闘士だからね。冒険者が冒険に行く頻度と同じぐらいには」

んで、2つ目の質問だけどー、と言った後、掌を見せるように手を立てて、ちょっと待ってのサイン。
そして、うーんと腕を組む。
そして、むむむ、と声に出して首を傾げ、

「んー……何というか、特に何とも思わないなあ。
雌雄同体の魔族なんて幾らでも居るし、その亜種みたいなもんでしょ」

ぶっちゃけ、あんまり気にならない、と男は言う。
その目にはてらいも、後ろめたさもない。
寧ろ、『何でそんな事聞くんだろう?』という疑問の色まである。

セイン=ディバン > 「奢られるようなこともしてない。
 ついでに言うと、年下に奢られる趣味もない」

先ほどまでの様子とはうって変わり。男は、静かにそう告げる。
少なくとも、目の前の相手。そのそもそもの存在とかには、怒りもないのだ。
あえて言うなら、人前で犯したことにだけ文句があるくらい。

「あぁいや、頻度の話ではなく。
 ……あ~して。『わざわざ盛り上げてるのか』って話だ。
 オマエさん、あの時だって。もっとガチで殺り合ったり。
 もっと一方的な展開にもできたんじゃないか?」

一つ目の返答に、男は問いを重ねる。
あの時は、男が降参する形で戦いは終わったのだが。
もしも、周りの観客などがいなければ。
もっともっと、激しく、楽しい戦いができたのでは、と思ったのだ。

「……あ、っそ。意外だね。
 もうちっと、悔しがったりとか。
 うげ~、って感じのリアクション期待してたのに」

なんだつまらん、と。男は、自身を抱いたことに対しての返答には不満そう。
どうやら、そもそも一番の目的は、相手をそのネタでからかうつもりだったらしく。

「……ほいじゃ次の質問。
 最近抱いた中でお気に入りとか、この子良かった、みたいな子。
 いたら教えてくれ。代わりにオレも女遊びの情報提供するし」

すと、と。注文したコーヒーが届けば。
男は実に気軽にそんなことを口にする。
どうやら、本気で雑談をするつもりらしい。