2019/09/02 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”2」にロロさんが現れました。
■ロロ > (とあるカジノ。)
だから、ッ。
だァれが景品だってんだヨ…
(軽い、だが硬い金属音が。手首を縛める枷から響く。
頭上で両手を合わせて吊られ、天井の滑車から吊されて――その侭、ステージの上。
カジノの裏を探るという、さる筋からの仕事に失敗して捕まった。
何をされるかと危惧していれば――こうやって。縛められて俎板の鯉、ならぬ犬。
直ぐ様何かをされる訳ではなかったものの。どうやら、一種の景品として扱われるらしい。
最も儲けた客に、払い下げられでもするのか。…その前にステージ上で、余興に使われでもするのかもしれない。
どう転んでも嫌な予感しかしない、未来予想図。
煌々と照るスポットライトの下。身動いでみるのだが。矢張り、がしゃがしゃと枷が鳴るばかり。)
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”2」にヴィルアさんが現れました。
■ヴィルア > 「ふむ…。珍しいな。…仕事のついでに寄ったつもりだったが…」
その、まな板の上の犬、を見やる観衆の中、身分隠しに簡素な仮面をつけた男が狼のミレーに視線を送っている。
どうやらあのミレーは…本日一番儲けた客に、景品として払い下げられるようだ。
ミレー族が奴隷となっていること自体はいつものことだが、その種類が見たことのない種類だ。
マグメール貴族の例に漏れず珍しいもの、新しいものに興味を惹かれる彼としては是非手に入れたいという思いに駆られる。
くすり、と笑った後、一旦その場を去り。
しばらく時間が経ち…カジノが落ち着き、そろそろ本日一番儲けた客が発表されることに。
『さぁ、当カジノ本日の目玉!本日一番チップを稼がれたお客様に、そのチップの半分を代価としてこの奴隷を副賞として得る権利が与えられます!さて、一番チップを稼がれたのはーー?』
副賞として、という言葉から、奴隷自体にはそれほど価値はなく
どうせ忍び込んだものを捕まえた、タダ同然の奴隷だからこそ、客寄せとチップの回収に使おうという魂胆らしい。
『集計が終わりました!そこの白い半仮面の方!前へどうぞ!』
言われるがまま、ステージに上がってくる細身の男。
半仮面で目元が隠れているため、表情はわかりづらいが、口元は微笑んでいる。
司会が何事か叫びつつ、手伝いによって枷の鍵がその男に渡され。
完全にこの男に…契約上は狼ミレーの権利が移ったことを示す。
その男はといえば
「やぁ、…君は、私が買った。ここではなんだね。…落ち着いたら、少し外に出ようか。」
優しげな声音で語りかけ…ステージでの挨拶が終わり、カジノが落ち着いてくれば外へと連れ出すため、歩き出そう。
■ロロ > (どうやら、差程その侭晒され続けるまでもなく。直ぐに集計結果は出たようだ。
カジノとしても。これで、後ろ暗い所を見られていれば、簡単には手放さなかっただろうが。
どちらにとっての幸か不幸か…其処まで至らなかった為に。あっさり、放逐を認めたのだろう。
その序でにチップが返ってくるのなら、万々歳に違いない――何せ。その日トップの儲けを叩き出した男は。相当の額を稼いだたしいから。)
―――― …………。
(くるる、唸る。随分と手慣れて、その分雑に、枷をした侭…取り敢えず、宙吊りからは解放された。
従業員達を半目で睨んでやった後。その侭の険を含んだ眼差しが、目の前に立った人物へと向かおうか。
貌の半分が、白い仮面に覆われて。もう半分は…露出している筈なのだが。
不思議と仮面と大差のない雰囲気を覚えてしまうのは。笑みという表情を、仮面として活用する人種達に。随分覚えが有るからか。)
お買い上げ有難う御座います。なんて、言えば良いのかな。
……あぁ、もぅ。…貴族の持ち物にだけは、戻るツモリ、なかったってのに……
(相手が貴族であるという事は。直ぐに察せてしまうのだろう。
身に纏う物の質、金払いとその思い切りの良さ、等々の部分から。
その侭連れられ、外に向かい歩き出しつつも。不平じみた口調に、貴族への敬意など欠片も滲まない。
…今以て、両手は縛られた侭であり。さも男の持ち物めいた格好を強いられた侭なのだから。仕方がないのかもしれないが。)
■ヴィルア > 散財、といえばそうだが、最近は表も裏も、商売は上手くいっている。
これくらいの金額はプライベートに割いてもいいだろうという考えだ。
見送りをされ、カジノから出ていけば、仮面を外して。
現れるのは爽やかさが先に立つ青年だ。
仮面によって少し乱れた金の髪を手櫛で整えつつ、不平の口調に答える。
「おや、貴族の持ち物だったことが?…大変だったね…、暴れたり、逃げたりしないのなら、その枷を外してあげるが、どうする?」
元々、敬意などは最初から求めていない。
彼の目をもってしても犬とも狼ともつかない奴隷に興味をそそられただけなのだから。
鍵をチラつかせながらまた微笑みかけ。
口約束でも、奴隷が頷くなら鍵を外すだろう。
…後方にいる彼の護衛の監視には、危険な仕事も行なっていた奴隷ならば、気づけるか。
■ロロ > そ、だね。割と最近まで。知ってると思うけど――
(と、仮面を外した相手に告げてみせるのは。
先日来の魔導機械云々で。帝国への密通を疑われ、お取り潰しとなった某貴族の名。
実際に余所と通じていたかは定かではないが…疑いを否定しきれず、掻き消せず、結果運命を変えられなかったのだから。
政争に敗れた、その程度の貴族家だったという事だろう。
元の主に対しても、当然の如く、敬意を感じさせる事はない声音。
寧ろソレが有ったからこそ、敬意やら何やら、使い果たしてしまったのではなかろうか。
…もう直、カジノの外。
手枷に対して触れられれば。一度、じ、とそれを見下ろした。
その侭の数秒、忙しなく、頭の上で耳が揺れる。…結果悟ったのは音だったか、臭いだったか。小さな溜息をついた後。)
――外してくれるっていうなら、勿論、お願い。
大丈夫だよ、私だって馬鹿じゃない。元奴隷は奴隷なりに、現状くらいは解ってる。
(此の場合理解しているのは。当然、貴族が一人で出歩いている筈もないという事と。
密やかに辺りを囲んでいる、客達に紛れた者達の視線であり…彼等の所作や体裁きが、プロのそれだという事だ。
此処で抵抗する事が、無駄や無意味を通り越し、明らかに良からぬ結果を招くだろうと思えばこそ。
溜息の後にではあるが、素直に、男へと両手を差し出す事にして。)
■ヴィルア > 家の名を出せば、ああ、と頷いて。
あの魔導機械の事件は、自分にとっては怪我人に対する薬の販売、医療用品も然り…
それらによって多少利益が出たが、同時に間諜と疑われた事もあった。
その波に、この奴隷の主人は攫われたのだろう。
「そうか。賢い子は好きだよ」
解っている、という相手の差し出された手に触れ、手枷の鍵を回す。
ごとりと手枷が地面に落ち、そのままそれを放置して、行こうか、と声をかけ、再び歩き出す。
「ただ、言葉は少し気をつけたほうがいい。
ああ、礼儀とかではなく…楚々としていたほうが、私の基準では、可愛らしいからね。さて…」
眠らない街の喧騒を受けつつ、街を歩き。
「繰り返すが、君は私が買った。…抵抗するしないは自由だが…しない方がいい。従順で、珍しいものには、私は愛情を注ぐ質でね。お腹は減っていないかい?、どこかで夕餉にでもしようか」
ちらりと背中越しに、奴隷の姿を見やり。
その目には嘘偽りの気配はなく、何もしなければ、食事まで奴隷に振る舞うと言う。
■ロロ > (矢張り貴族間同士では、話に上がった事でも有ったのだろう。どうやら納得された様子。
…改めて考えれば。あれだけ揉めて荒れた、今尚尾を引くごたごたを。目の前の貴族と、その家とは乗り切ったという事だ。
その段階で、自身にとっての元主より、上。ますます。油断ならない、か。
枷を外して貰った所で。先ずは小さく頬を掻き。)
……言葉遣い。言葉、遣い、ね………
(露骨に眉が寄り、獣耳と尾が垂れる。帰属感と従属感とを、これ以上なく象徴してくれる事柄に言及されて。
しゃにむに髪を掻いて首を振り…手指の下から、僅かばかり側方へと目を向ける。
未だ警戒せざるを得ない、目の前の男――買い主の護衛を警戒して。
例え、彼自身は随分優しげなのだとしても。主を護る為、荒事にも慣れているであろう者達も。同じとは限らないのだから。
護衛達の動き、それ自体は目立って変化が見えなかった。だが、着いて来ている事。囲まれている事は、明白。
また溜息を吐いた後、人波の中、歩みを止める。
彼へと真っ直ぐに向き直し、鎖骨と首元の首輪辺りに、軽く片手を添わせてみせながら。)
――では。先ず、お名前をお聞かせ願えますか。
飼い主様の名前くらいは伺わないと、ご好意に与るにも、ご命令に従うにも。色々支障が有ります、ので。
(くるりと変えてみせた声、言葉。
好む好まざるは別として、長年慣れ親しんできた物である、と明白で。)
■ヴィルア > 奴隷が警戒を怠らない中、雑踏に紛れながらも、確実に護衛の視線は二人を捉えており。
少しでも妙な動きをすれば、取り押さえられることは間違いない。
けれど彼の言葉通り従順にしていれば、何もすることもなく。
雑踏の中、奴隷が足を止めれば彼もまた振り返り。
「…ああ、よく仕込まれているようだね。…苦い記憶かもしれないが、それは君の力だ。大事にするといい。…私は、ヴィルア。ヴィルア・リルアール。…二人きりの時は、楽な言葉で構わないが、観衆の目がある時は、そういった態度で接してくれると嬉しい。」
相手の言葉と態度に感心し。
あろうことか、ほんの少し、よく見なければわからない程度ではあるが、頭を下げて自己紹介をする。
その服の肩にある貴族の紋章は、マグメールほどではないものの、こちらでも流通しているさまざまな物に付けられている印であり、見たことがあるかもしれない。
「では…あるのなら、君の名前を聞かせてもらってもいいかな。カジノの人間は知らないと言っていた。…ふふ、奴隷に命令するときでも、名前がわからないと不便だろう?」
今度は、名前があるのなら聞かせてもらおうと、言葉を返しつつ。
ついでとばかりに手を伸ばし、ゆっくりと、相手の頭に触れ、撫でようと。
■ロロ > (何事も、飴や鞭が有るからこそ。それこそ奴隷とて、無条件で主に従う事はない。
今の場合、逆らえば護衛達が動くに違いない、という。鞭への予感が、先ず先立っていた。
飴を貰えるかどうかは…これから次第なのだろう。
だからという事も有り。此処から暫くは、従順を演じる事にしよう。
少なくとも、人前では、と。彼が言ってみせる宣言に肯いて。)
…いえ。此方が後回しは、当然でしたので。
それでは。――――ロロ、そうお呼び下さい。前の主に頂いた名前ですが。
(正確には、生まれた貴族家で付けられた名前だ。生まれた場所自体この国で、生まれ付きの、奴隷だ。
その為、貴族達同士についての知識も、その辺で売られている奴隷達よりは有る。
彼の家名さえ聞かされたのなら、あぁ、と小さく肯いて。聞き囓っているのだと。)
という事は。此方へはお仕事で?
序でに買い物されたという事ですか、私。
(流通業に広久手を伸ばしている貴家である以上。この港湾都市に訪れているのなら、そういう事なのだろうと。
…流石に。リルアールという家その物には知識が及んでいても。
未だ当主ではない彼の、そのまた更に裏の顔までは、知らなくても当然だろう。
ととん。気持ち歩みを早める。
一旦止めてしまった足が、彼に追い付く為と。
伸ばされる彼の手が、きっちり、自身の頭へ届き易いように。
…その掌が触れたなら。撫でられるという行為の、物理的な心地良さに。ゆっくりと尾を揺らし。)
■ヴィルア > やはり頭の回転が早い、と思いつつ、相手の名前を覚える。
前の主人から付けられた名前であろうとそれは男にはあまり関係がなく。
寄ってきたロロの…珍しい形の耳を触りつつ、尻尾を観察して。
どうやら喜んでもらえているようだ、と判断し、しばらく続ける。
手を離せば、ふむ、とひとつ息を吐いて。
「そうだね、ここに来たのは仕事だ。その空き時間にカジノを覗いてみたら、ロロが居た。珍しいミレー族だったから欲しくなった…それだけだ。
もちろん、奴隷として、私の役に立ってもらうことは考えているが」
買ったものを放置する人間ではない。
買ったからには有効活用しなければ、いくら浮いた資金で買ったものだからといえど、もったいないと彼は考える。
「…ああ、あそこは外で食べられるな。ここにしようか。
…ロロは何か苦手な食べ物はあるかい?」
撫でている時にふと目に入った店を示す。
少し高級な酒場といったところだろうか。
店の外にいくつかテーブルが出ており、奴隷を連れていても、店の中でトラブルが起きることが少なそうな店だ。
苦手なものを聞いた後、さっさとテーブルへと歩いていけば、隣に座るようにと手招きして