2019/04/02 のログ
■ロズ > 「高められる名があるってのはいいよな。
……ん? 剣闘で家の名が高まるのか?」
武断の家ならば家中では誉れとされても、一般的な貴族の価値観からはずれている。
何やら事情がありそうだが、こちらも明かせない事情は多いのでお相子だ。
思案を巡らしながら男の案内に任せて街中へと繰り出す。
「なるほど、こいつは確かに観光客向けだ。
――嫌う理由がないな。前回の剣闘試合の負けでも取り返すか」
長々と階段を下ってオーク材の扉の向こうに見えた景色はいわゆるカジノバー。
ざっと店内を見回して一目で気に入った。遊戯よし。店員よし。加えて客種も悪くない。
男の言う通りあくまで観光客向けの店なんだろう。ちょっとした暇を潰すには丁度良い。
案内されるままにテーブルに腰掛けた。メニューを開いて充実ぶりに舌を巻く。
「へぇ、和食まであるのか。それじゃ俺は流行りのシェンヤン料理でいくか。
この春巻ってやつが美味いんだよな。名前も洒落てる。酒は……このラガーってのを」
■クレス・ローベルク > 「結構外国の料理多いんだよね、此処。俺は手乗り寿司にするか。酒も東国合わせの焼酎で。
……春巻を洒落てるって言う感覚は面白いな。確かに春を巻くってのは、中々ロマンチックだけど」
詩的センスって奴は、中々難しいんだよなあと言いながら。
店員を呼んで、二人の注文を伝えれば、程なくして酒や食べ物が運ばれてくる。
男は手巻き寿司を箸で摘みながら、席に備え付けられているトランプの箱やダイスを二人の前に引き出す。
「どうする?ハイアンドロー、ブラックジャック、クラップスも二人でできるか。
取り敢えず一通りのゲームはできそうだけど」
■ロズ > 「はは、実家で雇ってた料理番なら野菜巻きとでも名付けてたろうな。
手……乗り……? そっちはずいぶんアクロバティックだな」
寿司は知っていたが手乗り寿司なる物は初耳だった。
訝しげな顔をしながら料理を待ち、現物を見て納得した。小さめの寿司だった。
酒の杯を掲げて乾杯し、トランプの箱やダイスを見下ろしてぐっと呷る。
「ふぅ、ここは冷やしてるのか――クラップスにしよう。カードの類は食傷気味なんだ」
■クレス・ローベルク > 「そう?まあ、確かに普通の寿司に比べると珍しいけど」
普通の寿司に比べて、かなり小さな寿司だ。
醤油も予めかけてあるが、寿司が小さいのでそれも少量。
醤油で汚れにくいという点では、この場に合っていると言える。
「お、良い飲みっぷり。クラップスね、了解」
そう言うと、トランプをテーブルの引き出しに仕舞い、代わりにダイストレイを置く。
そして、サイコロを一つロズの方に置き、もう一つを自分で握る。
「まずは、先手後手を決めようか。出目が高い方で」 [1d6→4=4]
■ロズ > 「食べやすそうだな、それ。おっとそこの姉さん。もう一杯くれ」
二息で飲み干して新たにラガーを注文する。
戦場ではゆっくり食事が取れないので自然と飲み食いが早くなった。
二杯目が届くのを待つ間に春巻を食べつつ、ダイスを握る。
「三本目だな。低い方が後手か?」
問いながらダイスを放った。 [1d6→5=5]
■クレス・ローベルク > 「っと、説明が不十分だったか。うん、つまり君が先手だ」
そう言いつつ、男はポケットから金貨袋を取り出すと、それをテーブルに置いてみせる。
じゃらりと流れるように出てくる硬貨は、100枚の銀貨と、一枚の金貨。
合計、200ゴルド。
「まあ、流石に飲み代まで使ったらアレだし、取り敢えず俺は銀貨100枚、100ゴルドぐらいが賭け金かな。
勿論、君の賭け金に合わせるけど……って凄いな君。こっちはまだ一杯目だぞ」
こちらは舐めるように呑んでいるので、酒の消費は少しずつだ。
度数も大して変わらないだろうに、と思うが、酒で口の滑りがよくなるならば良いことだ。
折角の同年代の仲間だ。折角ならば楽しく行きたい。
「まあ、ゲームばかりに夢中になっても何だし、雑談交えながらやろっか。
君は仕事何してるんだい?俺は剣闘士メインで偶に冒険者とかタナールの義勇兵とか、そんな感じだけど」
■ロズ > 「気にしなさんな。しかし先手に回るのはあまり得意じゃないんだが……。
ああ、それぐらいなら問題ない。100ゴルドだな」
言いながら、懐から金貨袋を取り出してテーブルに置いた。
いくつか金貨の山を作って高さを揃える。何枚か余ったのでそれはポケットに仕舞った。
「これぐらいは飲めないと仲間に舐められる。面子のためさ。傭兵だよ。
専業じゃなかったのか……んじゃ、どっかでかち合うこともありそう、だっと」
酒が入って饒舌になりながら、二つのダイスを握り込んで振る。
初手で失敗すると長引くという自身のジンクスがあるので、せめて交代だけでもしたいもんだが。 [2d6→3+4=7]
■クレス・ローベルク > 「そういうもんかい?俺は先手好きだけどね。
最初で7引いたら勝てるってのは、魅力的だよ」
そう言いながら、お互いの硬貨を合わせて山にする。
勝ったほうが総取り、という訳だ。
「成程、傭兵か。冒険者よりもシリアスに命賭けてる分、他人から見た自分の強さってのが大事なのか。こっちは客に強く見えてればいいからなあ。
はは、その時はお手柔らかに宜しく。できれば味方でありたいもんだけど……うげっ」
ロズが振ったダイスは7。
"ナチュラル"により、無条件勝利である。
くっそー、と男は呻き、
「えーい、前の勝負でも最初は負けてたんだ、これぐらいくれてやる。
後で勝ってみせるからな……!」
と、負け犬っぽい事を言いながら、金の山をロズに押しやる。
店員に言って、金貨を銀貨に変えて、更に先程袋を出したポケットとは別の所から銀貨袋を出して、中身をぶちまける。
中は、500枚程の銀貨である。
「今日冒険者業で稼いだ金だ。これもプール金にするか。取り敢えずは、賭け金は100ゴルドで。……じゃ、また先手後手を決めようか」
そう言うと、再びダイスを振る。
■クレス・ローベルク > [1d6→1=1]
■ロズ > 「そういうこと。くっく、やっぱり話せるなあんた。
興行なら弱そうに見えて実は……ってのもロマンがあっていいよな。
味方だったら頼りになりそうだ、と。はっはぁ! ジンクスってのは当てにならないな!」
転がったダイスの目の合計は7。初手のナチュラルに快哉を叫んでテーブルを叩いた。
届いたラガーを勝利の美酒ばかりにぐっと呷る。美味い。
「まだまだ前回の負け分には足りてないんだ。そう簡単には負けないさ。
次からは負けた方が先手を振るってのはどうだ?」
ぶちまけられた銀貨を見て口笛を一つ吹いた。意外と熱いなこの兄さん。
こっちはひとまず勝った分と合わせて手元にまとめておいた。
「さっきは聞きそびれたが、剣はどこで習ったんだ。
基本に忠実かと思えば妙な手も使うし、興味がある」
問いかけながらダイスを振る。
■ロズ > [1d6→4=4]
■クレス・ローベルク > 「ああ、そうだね。金が動くたびにダイス振るのも面倒だ。
今度から負けた側が先手で行こう」
そう言うと、お猪口に酒を波々ついで、それをぐいと飲み干した。
そちらが勝利の美酒ならば、こちらは敗北の苦杯と言った所か。
「よぅし、気合入った。剣闘士の勝負強さ見せてやるぜ」
そうして、ダイスを手で弄んで拳を握るを繰り返す。
どうやら彼なりのおまじないらしい。
そして、その間に今度はこちらが質問されたので、
「ああ、少なくとも基礎は俺の実家で身につけたモンだよ。
今時、時代錯誤かって言うぐらい武闘派でさあ、五歳の頃から毎日魔物とか人とか殺す練習させられんの。
んで、それが嫌で、十五の頃に逃げてきちった」
そこでダイスを一旦上に投げて、それを空中でキャッチする。
はは、と苦笑して、
「まあ、俺はそんなとこ。
ロズはどうして傭兵になったの?実家に使用人が居たって事は、いいとこの出だろ?」
そう言って、ダイスを振る。
さて、今度はいい目が出てほしいが―― [2d6→3+4=7]
■ロズ > 「それは望むところだが、泥仕合は勘弁してく――
これはこれは迅速に願いを叶えてくださり恐悦至極におーいダイス変えてくれー」
勝ち誇った顔で腕を組んでいたらクレスの初手もナチュラルだった。
テーブルに平伏しながら硬貨の山を押しやり、それから店員を呼んだ。
ダイス云々は冗談なのでラガーの注文だけして唸る。
「やるなぁ、運まで拮抗するなんて中々ないだろ。
――うちも似たようなもんだったが、流石に殺しの練習はさせられなかった。
よく生きてたな。ちゃんと足あるか?あったなそういや――十五まで持ったなら大したもんだ。
こっちは、まあ、早々に家が没落して、とりあえず剣で生きていける道を選んだってところか」
結果に苦い顔をしてコメカミをさすりながら質問に答える。
さて、次はこちらの先手だ。ダイスを握った。
「次は200でいいよな?」
有無を言わさずにマジになってきた表情でダイスを振るう。 [2d6→3+3=6]
■クレス・ローベルク > 「いやあ、出やすい目とはいえ、連続で出るとは思わないよね
実力でも拮抗、運でも拮抗となると、後は何で勝負すれば良いのかなあ」
先ほどとは違い、ゆっくりと味わう様に酒を呑む。
客観的に見れば単に五分に戻っただけなのだが、まあそんな事を考え出せば、ギャンブルなど出来ない。
ギャンブルの秘訣とはつまるところ、勝ったゲームだけ覚えるに尽きる。
「まあ、ウチは……あんま自慢にもならんけど、"英雄"の家系だからね。
人にしろ、魔物にしろ、殺せないと話にならないのさ。まず流血ありきって感じ。
って、そっちはそっちでハードだな……俺もそうだけど、貴族から一般社会に出ると、色々面倒だよな。
武術っていう解りやすい商売道具がある分、寧ろ恵まれてるんだろうけど」
こちらも再びダイスを握る。
彼の出目は6。これは"ポイント"と呼ばれる値となり、この手番でこの出目を出すと、クレスの勝ち。
逆に、先手での勝ち目であった7は、セブンアウトと言って、後番では負けの目になる。
「君もマジになってきたなあ。まあ、構わないさ。
懐にはまだまだ余裕があるし……ねっ!」
そう言うと、ダイスを投げた。 [2d6→1+6=7]
■ロズ > 「目を操るやつもいそうだが、そういうのは真っ先に出禁にされるしな。
ちなみに彼女とかいるのかクレス」
ならば下世話な勝負でもしてみるかと何の気なしに問うた。
最後の春巻を口に放り込みながら耳を傾ける。
「ふぅん、最初から名が高かったパターンだな。となると剣闘をやってるのは当てつけか?
いや、答え難かったらいんだけど。ああ……気軽なのは良いけど面倒なのも確かだった。
身の回りのこともそうだが、日銭を稼ぐなんていう頭がなかったからな」
片眉を上げて理解を示しながら、こうして身の上を語り合うのもたまにはいいもんだと思った。
傭兵同士では中々こうはいかない。互いに深入りしないのもよくある風習だ。
そしてダイスは投げられた。神は言った。セブンアウトだ、と。
「ぶほぉッ」
口をつけていたラガーをジョッキの中に噴出す。
しばらく叩ける物は全て叩きながら爆笑が収まるのを待った。
■クレス・ローベルク > 転がったダイスは、呆気なく、そして無慈悲に敗北を告げた。
「うそお」
まずもって嘘だろという感想が出てきた。
だが、目の前で大爆笑している傭兵を見ていると、徐々に悔しいというか、寧ろ恥ずかしいという感情が追いついた。
「ええい、笑うな!
くっそー、何だこのダイス、重心狂ってるんじゃねえのか……ええい、降参だ。運勝負は君の勝ちだ」
割と店側に失礼千万な事を言いつつ、先程得た金の二倍を押しやる。
流石に、この珍事の後に、三度サイを振る気にはならない。
ぽい、とサイコロを投げ出す。
「まあ、こっからは単純に雑談するか……。
今こうしてる賭けもそうだけど、貴族生活ってナチュラルに金銭感覚おかしくなるしねー。
俺は5年ぐらい、平民以上の生活しながら『何で普通に生活してるのに金が貯まらねえんだ!』って言ってた」
今はそれに合った収入稼いでるから、無理なく生活できてるけどねーと言いつつ、酒をなめて、寿司を食べる。
どうやら、少し酔いが回って来たのか、顔が少し赤い。
「あ、後、後彼女勝負するつもりならやめとけ。
俺の彼女にゃ絶対勝てないから。可愛くて一途でおまけにしっかり者だぞ。完全無敵だ。羨ましかろう」
……或いは、ふはは、と無意味に笑う辺り、相当酔っているのかもしれないが。
■ロズ > 「はっはっは、ダイスを変えなくて正解だったな。
そんじゃありがたく――よしよし、前回の負け分は取り戻せたぞ」
手元にやってきた銀貨の山をざかざかと金貨袋に詰めながら満足げに頷く。
しかし7も1つずれていたらポイントだ。数字だけ見れば僅差と言える。所詮は運だが。
「そうするか。あー……俺は金ってのは自然と金庫に湧いてくるもんだと思ってたよ。
実際そんなもんだったしな、ああ、はは、そいつは俺も覚えがある。しかし5年は長くないか?」
ま、今が良ければいいさと傭兵らしい価値観で笑いながら相槌を打った。
「おっと、降参だ。そこまで揃ってたら言うことないな。この幸せもん」
酒の勢いだろうが、堂々と惚気る相手にくっくっと喉を鳴らしながら目を細めた。
その幸せそうな様子に少しだけ懐かしい気分に浸って酒の風味が増す。
――ああ、そうだった。こいつは故郷の酒だった。美味いわけだ。
「さて、そんじゃいよいよ猥談といくか」
酒がある。話し相手がいる。そうなれば自然と話がそちらへ流れるのが道理。
新たに酒と摘みを注文しながら杯を掲げた。さあ、楽しくやろう――――
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”2」からロズさんが去りました。
■クレス・ローベルク > 賭けは終われど、未だ語る事は多い。
お互いの過去に触れたが、近況、仕事の愚痴、話題は尽きない。
取り敢えずは、ご来店のお客様には刺激が強い、下の話題から語るとしようか――
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”2」からクレス・ローベルクさんが去りました。