2019/04/01 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”2」にクレス・ローベルクさんが現れました。
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”2」からクレス・ローベルクさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”2」にクレス・ローベルクさんが現れました。
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”2」にロズさんが現れました。
ロズ > 屈んで駆け抜けながら押し当てた剣の刃で脇腹を撫でた。同時に放たれた肘打ちが後ろ髪を何本か千切っていく。
先手を取って動き出していた分、こちらが少しだけ早かったようだ。駆け抜けた勢いを踵で殺しながら後頭部をさすって振り返った。

「あっぶね、徒手もいけるんだったな。
 とりあえず俺の方は一通りこんなもんだ」

どうしたって動きを知ってる分、初手はこちらが有利だろう。徒手があるのを忘れていたのは愛嬌だが。

「どうだ、もう一本」

大体の動きは見せた。剣を引いて腰溜めに構えながら返答を待つ。

クレス・ローベルク > 「……ギリ、こっちの負けか……」

肘打ちの体勢を解いて、頭を掻く。
一応寸止めもできるよう、最低限の手加減はしていたが、しかしそれはあちらも同じだ。
今のが試合で行われたとすれば、こちらもノックアウトは取れたかもしれないが、あちらの斬撃のダメージで戦闘不能。
判定により、与えたダメージ量が多いロズの勝利といった所か。

「勿論。練習での負けを負けと認めるのは良くないけど、それでも悔しいもんは悔しいしね」

そう言うと、今度はさっき使った剣に、更にもう一本を構える。
両手の剣を両脇に提げる様に持つ、二刀の構えだ。

ロズ > 「へぇ、そうなるのか」

後頭部をさすっていた指を見ると血がついていた。肘が当たって切れたのだ。
本職の人が勝ちだというのならここは有り難く頂こう。勝利は戦士の名誉だ。

「練習だしな。お眼に適ったようで何より。
 んで、二刀か、こういう状況だと厄介だな……」

一対一で手数が増えるというのは脅威だ。引いていた剣を肩に担ぎ直す。
どこから攻めるか考えあぐねる。男の二刀が攻防一体であるなら先手は不利と見た。

クレス・ローベルク > 「まあ、使いこなせないと弱いだけで、使いこなせれば強いからね、二刀。
それじゃ……まずはこっちから行くとするかな!」

しかし、言葉とは裏腹に、今度は自分の間合いから自ら外れるように、後ろへとバックステップする。
そして、たん、たん、と調子を確かめるように軽く跳ぶ。

「さて、錆びた身体で、昔のノリを、何処まで再現できるかな……」

と呟き、ロズに向かって駆け出す。
そして、駆け出して二歩の所で、回転。
身体全体を逆巻く竜巻の様に回して、しかしその速度は落ちない。
当然、彼の手にある刃も又、回転の速度を得ている。

「一応、切れない様に魔法かけてあるけど、防御しないと危ないかもっ!」

その回転に、ロズを巻き込むように接敵する。
回転しているが故、精密な狙いがある訳ではないが。
その分だけ、剣閃の数は無数である。

ロズ > 「あんたとは話が弾みそうだ。さて、二刀でどう攻めてくる」

担いでいた剣を握り直し、肩からやや浮かせる。
そうすると初速から最高速の一撃を叩き込めるので重宝している構えだ。
男が駆け出して数歩の所で回転し、渦巻く剣閃が迫るのを見て泡を食う羽目になった。

「うおいっ、これをどう防御しろってんだ! ミンチになれってか!」

魔法があるなら流石にミンチにはならないだろうが全身打撲は覚悟しないといけない。
慌てて下がりつつ無数の剣筋を見極める。剣は二つだ。二つを同時に止めればいい。なんだその無理筋。

「ままよッ!」

獣の動体視力をフルに使ってパターンを見極め、同時に二刀が振られるタイミングで剣を振った。
見極めが正しければ二刀を受け止めるだろう。吹き飛ばされるのは覚悟する。フェイントが混じっていたらお手上げだ。

クレス・ローベルク > 鉄の刃と刃が噛み合う音がして、剣が止まる。
それと同時に、男の回転も止まる。

「(お……!)」

この技を実家で教えてもらった際、眼の前の男と似た様な事を言った事がある。
自分も、それを防御しろと言われれば難しいが、この技にも弱点はある。
一つは、身体の回転に載せて斬撃を放ち続ける都合上、フェイントや防御といった、細かい動作が難しいという事。
そして、もう一つは、回転の速度に乗せる為に、極力腕を入れてはいけないという点だ。
結果として、二刀は大剣に食い込み、鍔迫り合いに入る。

「さて……前と同じパターンになったけど……!これはちょっとまずいな」

横斬りから状態から鍔迫り合いに入ったせいで、こちらは力を入れにくい。
前と違い両腕の力を一点に集中できないのもあるだろう。
ロズの膂力なら、簡単に押し切れそうだ。

ロズ > 「おお……何とかなった。やってみるもんだな」

二刀を受け止めれた事に密かに感動する。おかげで良い冷や汗をかいた。
しかし、なるほど、受け止めてみれば剣はそれほど重くない。そういう技か。
鍔迫り合いに入ってすることは先ほどと同じだ。同じでなければならない。

「オオオオオォッ!」

受け止めた二刀に対して鍔迫り合いを挑み、全身の体重と膂力を乗せていく。
このまま刃が相手のどこかに当たればいい。少しでも剣から力を抜けば決着が早まるだけだろう。

クレス・ローベルク > 「まあやっぱそう来るよね……!」

力任せに押し切るのは、パワーファイターの特権である。
この状況になった時点で、押し切られるのはある程度読めていた。
此処から考えられるロズの手筋は二通り。
一つは力任せに押し切る、もう一つは先程ロズがやった、受け流して体勢を崩す。
先程は、見た目や戦い方の印象から、前者読みをした結果外したが、こうなってくると単純に二択だ。

「(一か八か賭けてもいいけど、結局運任せだからなー)」

練習で運の要素を絡めるのは、できればしたくない。
故に、男は技でこの状況を解決することにした。

「怖いけどやるしかない……っか!」

ロズが体重を載せていく過程で、剣を持つ腕を残して、他の全ての力を抜いたのだ。
鍔迫り合いの中、急にそんな事をすれば、ロズの膂力で男の身体はふっとばされるだろう。
だが、それでいい。空中での制動には自信がある。
力を入れた腕でロズの剣を受け止め、それを力点として吹っ飛ばされて距離を取ることが狙いだ。

ロズ > 「なッ」

不意に手応えが消失した。今回は最後まで押し切る心算だったため剣が振り切られた。
解放された膂力が剣を押し込んで男の身体を吹き飛ばし、距離が開く。
俺の脚なら追いつけるかもしれない。そう判断して地面を蹴る。

狙いは三つ――頭か、胴か、それとも着地を狙うか。

空中での制動くらいこの男ならやってのけるだろう。闘技場で見てきたしな。
だとしたら狙いは自然と一つに定まった。着地を狙う。追いすがりながら長剣を腰溜めに振りかぶった。
男が着地しようとすればその足元に剣が振るわれるだろう。

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クレス・ローベルク > 「う、うおおおおお!?」

てっきり、低空を直線状に吹っ飛ぶぐらいだと高をくくっていたが、まさか山なりに吹っ飛ばされるとは思わなかった。
これはいけない。滞空時間は長くなったので、寧ろ制動はしやすくなったと言えるが、ロズがあからさまに着地狙いをしている。

「(着地狙い……ならば)」

身体を丸め、空中で回転する。
そして、着地と同時に、足でロズの身体を思い切り蹴る。
狙いは、足元を狙うがゆえに下がる、頭。
その後の受け身が大変だが、そこは何とかするしかない。

「(これで――どうだっ!)」

ロズ > 生来の習性としてこういう空を飛んでるのを追うのは非常に楽しい。
ま、今の相手は狩りの獲物とは違ってただでは捕まってくれないのだが。

「あがッ」

悠長に着地を待ち過ぎた。あと一瞬でも遅ければ剣が足を薙いだだろう。
しかし結果は剣を振り抜くまでには至らず、男の放った蹴りが無防備な頭に入っていた。
地に足をつけての蹴りなので威力は十分。前方に倒れるまま前転をして屈み込んだ体勢で止まった。

「いつつ、肘の次は蹴りか……流石に目が回る。
 今度はあんたの勝ちだな。さて、これでイーブンだけど次はどうする?
 もう一本でもいいが、飯でも食いながら戦術談義ってのも捨てがたい」

コメカミを抑えてゆっくりと立ち上がる。何度か頭を振った。よし、治った。

クレス・ローベルク > 頭部独特の、柔らかいものに包まれた硬い物を蹴る感覚に、よし、と心の中で快哉を挙げた。
今度は文句なしにこちらの勝ち。
しかし、訓練の為に脚さばきを行い、空中からの着地と同時に蹴りという、あまりにあまりの酷使に、こちらの足もいい加減疲労のピークだ。
バランスを崩し、尻もちをつく。
だが、勝ちは勝ちだ。二本の剣を器用に杖代わりに使って立ち上がる。

「(それにしても、タフだなあ)」

一応、手加減はしたものの、蹴り抜きはしたのだが。
それでも、脳震盪気味であっても倒れないのは、尋常ではない。
っていうか、脳震盪を頭を振っただけで治すのは普通に人間の範疇外な気もするが、
……まあ、今更彼の素性とか、どうでもいいか。悪い奴でもなさそうだし。

「そうだね。俺もそろそろくたくただ。
いい時間だし、折角だからご飯でも食べに行こうか」

近くに良いごはん処はあったかな、と思いを巡らしつつ、剣をしまう。
そして、訓練所の出口に歩き出そうとした所で

「そういえば、君の名前を聞いてなかったや。
差し支えなければ、教えてくれないかな?」

ロズ > 男が立ち上がるのを待ちながら長剣を鞘に収める。
まだコメカミは多少痛むが、頑丈な身体を持って生まれたおかげで昏倒は免れた。
同時にそのせいで練習相手に事欠く有様なのだが、今回は運が良かったな。

「この辺りには詳しくないんだ。任せてもいいか。
 ああ、うっかりしてたな……一方的に知ってると名乗りを忘れる」

出口に向かおうとしたところで名を聞かれ、苦笑しながら握手を求める。

「ロズ=ハーヴェルだ。グラディエーター殿はクレスでいいんだろ。
 芸名ってわけでもなさそうだ。とにかく、よろしく」

クレス・ローベルク > 「ロズ=ハーヴェル、ロズか。
うん、お察しの通りクレス=ローベルクがそのまま本名だ。
諸事情あって、本名を名乗った方が都合が良かったんだ」

まあ、まさかその諸事情が、家出した本家への嫌がらせとは思うまいが。
ともあれ、食事所を任されたならば、顎に手を当て記憶を探ってみる。

「んー、この辺は割と観光客向けの店が多いからなあ。
癖が強かったりボッタクリとか……あ」

そこで、思い出した様に顔を上げる。
良いことを思いついたというような笑みで、

「折角だし、割と珍しい店に行こうか。
所で、一つ聞きたいんだけど……」

「――ギャンブルは、お好きかい?」

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男が案内した先は、地下に続く階段だった。
深い階段の先の、オーク材の扉を開けば、そこは綺羅びやかな照明で照らされた空間。
緑色のシートを敷かれたテーブルの上で、客たちはトランプ、ルーレット、ダイスなどに興じている。

「此処は、所謂カジノバーって奴でね。
お酒やご飯と一緒に、賭け事が楽しめるって奴さ。
まあ、あんま大金は賭けられないから、あくまでもお酒の余興程度なんだけど」

そう言うと、店員に声を掛け、近くのテーブルに案内させる。
配られたメニューは意外と充実していて、料理の種類も、酒の銘柄も、ある程度揃っている。

「取り敢えず、俺はどうするかな……久々に和食で攻めてみるかな……あ、君も自由に選んでくれ。
汁物とか頼んでも、派手に零さなきゃ大丈夫だから」