2018/10/16 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”2」にクレス・ローベルクさんが現れました。
■クレス・ローベルク > ハイブラゼールの裏路地は、それ自体一つの迷路である。
元々、ハイブラゼール自体、無計画な建設の賜物であるが故に、その結果自然発生的に成立した裏路地などというのは、それに輪をかけて混沌としている。
その、混沌の更に奥まった場所に、小さな下り階段がある。
人目を憚る様に存在しているその階段の下は、とある富豪の秘密のスペース。
慈善活動家としても名高い彼が、非合法の奴隷を使って、"秘密の"遊びに耽る、小さな小さな遊び場である。
「そして、俺はその秘密を守る番人……か」
その階段の前に、胡座を掻いて座り込んでいる男。
防音性にはそこまで気を使わなかったのだろう、嬌声なのか悲鳴なのか良くわからない声が、地上にまで届いてくる。
「まあ、此処で座ってるだけでお金が発生するんだから有り難い限りだけどさ……」
彼の役割は、この下のとあるお方が満足するまで、この階段を守る事。
とはいえ、こんな奥まったところを探すのは中々骨が折れるし、そもそも大方、此処に繋がるような情報は依頼人が握りつぶしている。
何もない事、誰も来ないことを前提とした楽な仕事では有るのだが……
「……エロいことやってる声だけ聞こえるっていうのは、ムラっとくるというか、イラッと来ると言うか」
■クレス・ローベルク > それにしても、と思う。
幾ら自分の悪事が露見しないようにという目的があるとはいえ、よくもまあ、わざわざ地下室まで作ったな、と思う。
どの様な工程を経てこの地下室を作ったのかは知らないが、おそらく相当労と金が必要だったろうに、と。
「まあ、恐らく浪漫、なんだろうなあ……」
そういう事ならば、クレスにも覚えがある。
そもそも、剣闘士という役柄が、"それ"だ。
大観衆を前にして、敵と戦い勝利する。これこそまさに男の浪漫。
恐らく、この地下を作った富豪は、それとは別の浪漫の持ち主なのだろうが。
「まあ、男の浪漫と言ったところで、女性からしてみればただの変態野郎の趣味の種類の違いでしかないんだろうけど」
そうと解っていても、共感してしまうのが、浪漫というやつの恐ろしいところである。
■クレス・ローベルク > 「ともあれ、仕事は仕事。真面目にやらないとなあ」
地下からの声はまだまだ止むことはない。
仕事はまだ、続きそうだった。
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”2」からクレス・ローベルクさんが去りました。