2016/02/25 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール” カジノ」にクラウディアさんが現れました。
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール” カジノ」にヴァイルさんが現れました。
クラウディア > こんだけしか出ないのかよ……。
(給料袋を見て小さく唸る。 ここで金をスられてしまったのは自分のウカツだった。
 たしかにバニーとして働くことで糊口を凌ぐことはできたのだが、
 まさか三食にベッド代まで給料から天引きされてしまうとは。
 あげく休憩室の利用料まできっちり取られている次第である。)

マグメールに戻りゃあ金もあるんだけどな…。
(沈痛な面持ちで呟くが、だからといって給料が増えるわけではない。
 マグメールに戻る船代すら出ない有様だ。 しょうがないので、
 カジノを何をするわけでもなくウロウロ歩く。 いるだけでも給料は出る。
 何もしていないよりは幾ばくかマシだろう。)

ヴァイル > 「おいおい、ツキが落ちそうな顔をするなよ。
 店にクレームが飛ぶぞ?」

所在なさ気なクラウディアに声を掛けたのは、
バーカウンターの席の一つに座る三つ編みの少年であった。
どうやら今日は客として訪れたらしい。
仕立てのいい服を纏っているが、賭場に通うには幼い容貌の彼は少し浮いている。

「いつぞやとは立場が逆だな」

いつものような泰然とした薄い笑み。

クラウディア > あらお客様。 これは失礼。 まったくもってその通りだな。
ほらほら、ウサちゃんだぞ? 可愛いっちゃあ可愛いがね、
結構お客様に人気なんだが全く薄給でな、よろしくない。
(声の方を見ると、相手は少年…ヴァイルだった。
 少々カジノには幼いが、見た目の大人びた雰囲気があるから
 話してみればそこまででもない。 泰然とした相手に肩をすくませて見せ、
 近づいて自分の身体を見せてやる。 薄い胸板に幼い体形のバニーは、
 なんとも言えぬ味わいがあるだろう。)

ヴァイル > 「ふぅん……いい趣味をしている。
 その格好をさせる方もする方もな」

クラウディアのバニースーツ姿を椅子から身を乗り出し、顔を近づけ観察する。
表情や声のトーンが変わることはない。
握られた拳の中指にある硬い真鍮の指輪が、滑らかなレオタードを軽くなぞった。

「……儲かっていないのか? さては弱味でも握られたか。
 知らない仲じゃない。チップの一つでも弾んでやりたいところだが、
 生憎と持ち合わせに余裕がない。なにしろ、スッたもんでね」

誇らしげに言うことでもない。

クラウディア > そうだろ、いい趣味だ。 このつやのある生地もいい。
触り心地もいいだろ? んふふ……♥
(相手の顔が近づく。 うっとりと表情を緩ませながら、
 相手に撫でてもらうに任せた。 手の感覚が心地よい。
 小さく声を上げる。)

そうなんだよ、儲かってない。 本来ならもっとこうう、
客をゲームに誘導すべきなんだが俺はそれをやってなかった。
あそこか、こうやってだべってる日だけだったからな。
(あそこ、とぞんざいに指差したのは休憩室だ。
 つまるところ、カジノに金を落とさせる行動をとっていなかったということである。)

チップの一枚じゃあなあ……あっ、閃いたぞ。
なあ、ヴァイル。 近々マグメールに戻る予定はあるだろ?
もう遊ぶ金もないだろうし…でさ、船賃ぐらいはあるよな。
(ぼんやりと考えていた所に、ぽんと手を打つ。
 ぱっと表情を明るくすると、それに呼応するようにうさみみが動いた。)

ヴァイル > 「随分と馴染んだようだな。
 色遊びにも耽っていると来た。堕落しちゃいまいかね。
 ……そして、帰りの船に便乗させろと?
 職務怠慢のツケを払わせようとは、随分とふてぶてしくなったものだ」

身を椅子に戻し、鷹揚に卓に肘を突く。
咎めるような言葉だが表情は愉快げなまま。

「《夜歩く者》は対価なしに頼みごとを引受はしない。
 おまえに何が差し出せる?」

値踏みするような冷ややかな視線。

クラウディア > そうそう、話が早いな。 のせてほしいってわけだ。
元々、不運な事故でこうして働かされているわけだからな…。
(何となく楽しげな相手に違うんだって言いたい感じに首を横に振った。
 そう、マグメールに帰りさえすれば金はある。今はない。
 しからばどうするか…答えは一つだ。)

で、だ。 頼みたいのはさ、俺をアイテムにしてほしいんだよ。
そうすれば運賃を払うのは一人分…つまりヴァイルの分だ。
俺が出せる対価ってのはさ、”自分から望んで”アイテムになることだよ。
持ち合わせもないし、できることはこれぐらいだ。
あー……もちろん、向こうについたら戻してほしいけれどもな。
それまでならずーっと、あんたの持ち物でいる。いられる。
…まあ、自分でもどれないわけだから、いるしかないってわけだ。
(人が身につけた道具を「密航」と呼ぶ輩はいない。
 自分が閃いたのは、マグメールに帰るであろうヴァイルに”便乗”することだ。
 人間でなければ運賃はかかるまい。 大きくなければ、だが。
 どうだ、と悪戯っぽい表情で相手に問いかける。)

ヴァイル > 軽く相槌を打ちながらクラウディアの提案に耳を傾ける。

「『王都マグメールに着くまではクラウディアはおれの所有物になる』……
 ということで仔細無いな」

クラウディアの言葉を繰り返して念押しする。
彼女の話が終わるとおもむろに立ち上がり、ついて来いと促す。
人目のない場所に行こうと言うのだ。

「しかし、おまえの言うそれで果たして代償として足りているか?
 よもやおれの『持ち物』なりたさにそう言っているわけではあるまいな。
 ――ちり紙や靴の中敷きなんぞに変えられるのかもしれんのだぞ」

口の利けるうちに言えることは言っておいたほうがよいぞ、と、
見下ろして口元を歪める。

クラウディア > ああ、それでいいぞ。 話しが分かるやつがいてくれて助かる。
(ひょいと相手に合わせて立ち上がり、そっと人気の無い所に移動。
 何しろこれから逃げ出そうとしているのだ。 バレたらえらいことになる。)

持ち物になりたかったら、わざわざ期限をつけないだろ。
身も心もお前の道具にしてくれ、ってお願いしたらそれでおわりだ。
…ちり紙や中敷きなんて考えてなかったけど、お前はそういうことしない…と信じるね。
(なんとなく相手の事はわかる。 気に入った存在を”愛でる”ために、
 アイテムに変える存在があいつだ。 それなら、使い捨てられるようなものにはすまい。)

指輪とかピアスとか、何か身につけ続けられるものがいいな。
(盗難防止を考えて相手に提案。 何にしろ、アイテムになっているのでは、
 はいそうですかと抵抗もできないのだ。安全な方がいい。)

ヴァイル > 「さて、わからないぞ。天邪鬼なんだ。
 仮に『永遠に所有物にしてくれ』……なんて懇願されたら、
 むしろそいつのことをくしゃくしゃに丸めて捨てたくなるかも――」

言葉を不自然に切る。

「まあなんだ――おれをあまり失望させることのないように」

薄暗く、人気のない物置のようなスペースへとクラウディアを連れ込む。
変身の魔力がすぐに瞳に輝くことはない。
彼女の小さな身体を抱きかかえ、埃を被った手頃な大きさの木箱の上に腰掛ける。
掌を顔の前にかざす。中指で簡素な細工の真鍮が輝いた。

「せっかく合意のうえでやるんだ。ひといきに変えてしまってはもったいない。
 そぉら、想像してご覧。クラウディアは今からこれと同じ、金属の輪になるんだ。
 手も脚も口もない……ただ指を飾るためだけの、ね」

囁く声は睦言のように甘く響く。
この世ならざるものの冷たい指が、クラウディアの太腿を撫でた。
もう片方の手が、クラウディアのこれから変じようとするものを見せつけながら。

クラウディア > そだろー。 まあ今回はお前のものになってしまうのが目的じゃないんだ。
船代をちょっと…うまくやるだけのことさ。 失望なんてさせない。
(相手の言葉ににっこりと笑う。少なくても、今すぐには堕ちはしないだろう。
 それともなにか…秘策でもあるとか? そんなことを考えながら、
 ひょい、と簡単に抱きかかえてもらってのせてもらったのは
 古びた木箱の上だ。 足をぶらぶらさせながら、目の前にかざされた
 手のひらを見つめる。)

ああ、想像する…。 俺はいまから、この指輪と同じ、タダの金属の輪っかになる。
手も足も口もない…装身具ってやつだ。 どんなことがあっても、
自分を表現することなんて一切できない…ん、んっ…
(甘い声に釣られるように、相手の言葉を復唱する。
 冷たく細い指に太ももが撫でられると、ぴくりと震えて身体を固くした。)

ヴァイル > 抱く力を強くして、身体をより強く密着させる。
人間としての柔らかさと暖かさを奪い取らんとするように。

「目を閉じて。思い浮かべるんだ。肉の棺から離れ、きみの真なる姿を」

強張る身体に、唇をすぼめてふぅと一筋の息が吹きかけられる。
そうすると、火に炙られた飴のように、クラウディアの身体が変化していく。
地上に居ながらにして泥へと沈み込むような間隔。
全身から柔らかさが失われ、輪郭が単純化し、小さく小さくなっていく。
五感が消え失せることのないかわりに、『指輪』のそれとして最適化される。
そうして、ふさわしい姿となったそれは、ヴァイルの手の中に音もなく落ちるだろう。

クラウディア > 俺の、真なる姿……ん、んっ…
(ぎゅっと抱きつかれると、相手の身体が自分にぴったりと重なる。
 暖かさや、大事な何か体温と一緒に相手に伝わっていくようだ。
 柔らかい吐息が自分に吹きかけられると、どろり、と肉体が歪む感覚。
 暖かな軟泥に飲み込まれるような、気だるさと心地よさ。
 それに浸っている間に、身体は小さく、小さく変容していく。
 変形させられるのとは違う、身体そのものが「変化」していく感覚。
 四肢が失せ、骨が失せ、肉が変容し…… 相手の手のひらに
 音もなく堕ちたその姿は、小さな指輪だ。
 何の装飾もないリングだが、”素材”が違うのだろう。
 光にかざすと、様々な色に変わるそれは、手のひらの中で嬉しそうにきらめいた。)