2015/10/10 のログ
ソード > 「っかぁ、……あー、街のいいトコァたらふく酒が飲めて飯が食えるところだよなァ」

空にしたジョッキをカウンターテーブルの上へと置いて、男は嘯いた。

「あ、姉ちゃん、ラムを持ってきてくれ。ああ、ジョッキでいいから。あと適当に、チーズやら燻製肉やら頼む。」

男は給仕の娘に上機嫌に注文を向けて、大きくノビをする。
あれだけ食べておいて、まだ飲み食いする気である。周囲も、給仕も、同じように軽く驚きながらも、給仕は慌てて厨房へと注文を通した。
多種多様な種族が集う港町であるし、並外れた大食漢などというのも時にはいよう。驚きながらも店側はきちんと対応をしている様子で。
男が暇を持て余すよりも先に、並々と注がれたラム酒のジョッキが男の目の前へと置かれた。

「おう、ありがとよ!」

男は快活に笑いながらジョッキを掴んで礼の言葉を向ける。
そのまままた、水でも飲むようにラム酒を喉奥へと流してゆく。
酒精という意味では、エールの十倍以上なわけだが、まったく気にした様子もなく。

ソード > やがて程なく運ばれてきたチーズだの燻製だ南国の安いナッツだの盛り合わせを、無造作に摘みながらラム酒をがぶ飲みする。
ラムのお代わりを要求するのにも、あまり時間はかからない。

「おう、ありがとうよ。―――……さぁて、ぼちぼち腹も膨れた訳だが……、今夜は素直に娼館かねぇ。」

空になったジョッキを給仕に私てから、ぼりぼりとナッツを摘まんで口に放り込み。租借しながら嘯くのは、今夜の予定についての独白。
予定というほど大層なものでもないのだけれども。
ぐるりと、何気なく周囲を見回す。先ほどまで男の食いっぷりを囲んでみていた者も、すでにまばらに散って行き、思い思いに酒場の夜を楽しんでいる。
中には、出張してきた娼婦を膝に乗せて愉しそうに酔っぱらっている男などもいる。
そんな様を見るでもなしに見ながら、建物内にある娼館の面々を漠然と脳裏に思い描きながら、今夜どうするかを何となく考える。
そうこうしているうちに新たに運ばれてくるジョッキを手に取って、またぐびりと無造作に煽って。

ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”2」にエルレストベーネさんが現れました。
エルレストベーネ > ……。
(絶世の美女、という表現が似合っている騎士とも戦士とも言える少女が入ってくる

流れるようなプラチナブロンドに整った肢体、何処の御伽の国からやってきたのかと見紛うばかりの美貌
唯一気になるとすればその頭の角だが、この辺りでは珍しくもない

もっとも、この出で立ちで五体無事なところを見ると相応に強いのかもしれない
高級娼婦でも探すのは難しいほどの整った髪にキメ細やかな肌だ

剣と鎧を帯びている、といってもそれを含め汚れたところなど一つもない
もしかすると装備も特別製なのかもしれないが

なんにせよ、そこにいるだけで人目を引くような女は、テーブルに着くなり注文をした)

……一番上等な酒を。

(その声は魔族でありながら天使のようでもあった)

ソード > (テーブルへと向き直って、肉だか魚だかの燻製を噛み千切る。
ぐっちゃぐっちゃと租借し、それを喉奥へ流し込もうとジョッキに口をつけた。
ちょうど、そんなタイミングであった。
ざわり、と。
酒場の中がザワつく。)

ぁン……?

(ジョッキに口をつけ、そのジョッキを傾けながら、男は再び視線を店内へと走らせた。
彼女を見つける事は実に容易であった。
彼女自身が目立つ容姿をしているから、という事以前に、周囲りのほぼすべての者が同じ方向を見ているのだから。
ごきゅんっ!
思わず、口腔内にあったものを一息にすべて飲み下してしまう程度に。彼女の存在は衝撃的であった。)

ひぇえ。こりゃこりゃ、大層なもんだなぁオイ。

(ジョッキから口を離して、嘯く。
口元には笑み。
イイオンナを見つけた、というよりも、面白い事を見つけた、という風情。
一番上等な酒を、という彼女の要求に、年代物のワインを給仕の女が震えながら持ってきたのと、男がジョッキ片手に彼女のテーブルの傍らに立つのはちょうど同時であった。)

やァ姉さん。一緒に飲ませてくれや。

(からりと笑みを浮かべて。返事も聞かず、男は女の向かい側の席へと腰を下ろした。)

エルレストベーネ > ……高いわよ?

(一瞥するでもなく見やると微笑

拒否はしない
代わりに、奢れということか?

女は、その所作の一つ一つがいちいち美しい
グラスを傾けるだけでなく、テーブルに置くときですら絵になる

少女の目的は、単なる視察と興味本位の両方
この街の様子を調べに来た
なぜ調べるのか、何のために調べるのかは知らないし知る必要もない
御意のままに

調べることを調べつつ、理解できないことを理解するために
街に来ていた

もっとも、まだほしい答えは見つかっていない
何処にあるのかは知らないが、経験上、人間をただくびり殺しても見つからないことは知っていた
だからむしろ人の多いところ
こうした街中のほうがまだ、答えがあるような気もしていた

故に男が座ろうと拒否することはない
そのための外見は与えられているし、もし必要なら裏で始末すればいい)

ソード > 金で売るにゃあ、惜しすぎる美貌だぁな。

(高い、と。
返って来た言葉には面白そうに笑いながら、どかりと椅子に尻を落ち着けた。
何をするにも、美しすぎる相手。
魅了の術を向けられるのとも違う、何とも奇妙な感覚。こんな酒場では、美しすぎてかえって他の者たちが距離を取ってしまうようなレベルである。
そんな女と、その女相手にとっとと相席を決め込んだ男。
酒場中が遠巻きにチラチラと様子を伺って来る中での、奇妙な酒席。)

んで?対価にゃ何を差し出せばよろしいもんだろうねぇ?

(先ほど一人で飲んでいた時よりも、はるかに楽しそうに酒を煽りながら。
男は改めて彼女に問いかけた。)

エルレストベーネ > ふふ、ならまず、ここの払いは安心そうね?

対価?……なんでも
差し出せるものは差し出してご覧なさい

もし、気に入ったら御褒美を賜ることがあるかもしれないわね?

(一挙手一投足がいちいち様になる
魔族がそのために作り上げた特級品の調度品である彼女は、そのすべてがそうなるようにできているし
いちいち視線を奪う

もっとも、こうやって安易に近づいてくる相手は嫌いではない
この手は自信があるか無謀かどちらかだが、前者と理解していた

なら、何かを知っているかもしれないし得られるかもしれない

そんな彼が何を差し出してくるのか興味もあった)

ソード > はっはっは。そうだな。それじゃあそこは任せて貰おうか。
アンタみたいな別嬪と相席なんてのは、そうある事じゃあねェからな。

(相手の頼んだワインの額については当然大層立派な額ではあるのだろうし、男も先ほどまで凄まじい量を飲み食いしている。
豊かだった懐は、一夜のうちに底をつきそうであった。
それこそ、今夜娼館に繰り出す金も残らないかも知れない。
しかし男は一向に気にした様子はなく、楽し気に笑いながら酒を煽るのみ。)

ほっほう。こりゃまた難しいお題だな。
俺が王侯貴族なら、屋敷だの土地だのくらいならポンと与えちまいそうな別嬪から、ンな事言われちまうとねぇ。

(特に何を要求するのでもなく。
全てを要求しているとも取れる、言葉。
王侯貴族たりえぬ男に差し出せるものなど限られている訳である。男は楽しそうに、さてどうするかねぇ、などと言って片手を顎に当てた。)

見ての通り、ただのゴロツキだからねぇ、俺ぁ。
お役にに立てるようなら立つがね。
俺がアンタに差し出せるのは、一時ばかりの武勇と、一夜の愉しみくらいってぇトコかね。
―――……ああ、そいつぁいいな。どうだい姉さん。一晩一緒にベッドで愉しむのが対価ってぇのは。

(冗談めかしながら、飄々と男はそう続けた。
内容としては、対価も糞もあるかと言わんばかりのものであったが、物怖じする様子も、気負った様子も見せずに。)

エルレストベーネ > そうね……武勇、どれほどのもの?
夜を共にして確かめるのが悪いとは言わないけれど、まずはその資格があるかどうかは確かめるべきね

ああ、そうそう、それはそれで構わないと思うけれど……対価ではないんじゃないかしら?
むしろ金で買えないものを得られるのなら、一方的に特をするのはそちらということになるのだけど

……それとも差し出すという以上、何かしら申し開きがあるの?
それなら、酒の肴に聞いてあげなくもないわ

(……誘うような、それでいて殺しでもするような流し目
夜の話を振ろうとも、まるで揺らぐ様子もない

もっとも、退屈そうにするでもない辺り、気に入られているようでもあり遊ばれているようでもあり

ただ、なんにせよ、こうした歯に衣着せぬ輩は悪くは無い
余計な駆け引きが少ないというのもあるが、つまりはそれ相応の一家言を持っていないと
そうした発言はできないからだ

この男は何かを与えてくれたりはするのだろうか?
それはまだ、分からない
現状、取り立ててどうということのない普通の人間であり、もしかしたら腕が立つかもしれない、という程度である
腕が立つだけであれば、人間程度に教わることがそれほどあるとも思えないが、さて)

ソード > さて。俺はあまり頭の良い方じゃァねぇからな。武勇の具合を言葉で表現する方法はあまり多くは知らねェんだわ。
しかしそうなると、姉さん自身にジャッジして貰わん事にゃあ、俺も確かめてもらいようがねぇなぁ。

おう?はは、そいつぁそうかも知れねぇなぁ。
だけどよ、別にナニして愉しいのは男だけじゃあねェじゃあねぇか。
早い話、一緒に愉しもうぜ、ってぇ事だ。
何せ、こればっかりは一人じゃあできねぇからな。

(愉快そうな様子は変わらず。上機嫌に男は言葉を返していく。
含みがあるような、あるいは小馬鹿にしたような態度ではなく、ただ快活に笑っている。そんな塩梅だ。
男なら溜まらないに違いない流し目も、ばっちり正面から受け止めて、男は己の視線をぶつけ返す。
そうして男はまたジョッキを傾ける。)

……っと、空んなっちまいやがった。
おぉい、同じの持ってきてくれや!

……や、別嬪を前にしてっと、どんだけ飲んだのかも忘れちまうねぇ。
さて、どこまで喋ったっけぇか?

―――ああ、そうそう、一人じゃァできねぇ、ってトコだな。
まぁ当たり前の事だけどな。
とりあえず、俺も「金で買えない」程度の夜にするくれぇなら約束できるぜ。
まぁ俺ぁ、姉さんほど見目麗しい訳じゃあねェけどな!

(はっはっは!と、そこまで言ってから大仰に笑って、新たに運ばれてきたジョッキを礼と共に受け取って、また煽った。
やはり、そもそもにおいて口が達者な男でない事は、もう彼女から見ても明らかであろう。
であるが、少なくともその声や言葉、一挙手一投足には明確な自身が満ち溢れていた。
言葉や周囲、相手によって決して揺れない、明確な「我」が、そこにはある。)

エルレストベーネ > ……なら、確かめてみましょうか?
無論、その武勇をね?
それも、人のいないところで

それと、対価という以上、説明はそちらがするものだと思うけれど?
そちらがしたいことをさせようというのだもの、納得させるのは私のほうじゃなくて貴方からでしょう

その後のことはまた別
まずはそうしたくなるようにさせることね

(酔っていてそういうのだ、余程自信があるのだろうことは見て取れる
それに、今この場で仕掛けるには周りに迷惑が掛かり過ぎるし、出来ることなら人のいないところで見てみたい

この男、緩いようでいて隙がない……もしすれば殺したくなってしまうかもしれないからだ)

ソード > お?
おうおう、剣呑だねぇ。いいねぇ。好きだぜそういうのは。

んん……。まぁ、そう、なのかね。
いやぁ、やっぱり説明ってぇのは苦手だな。何かを言葉で納得させるだの説得するだのってぇのは、俺向きじゃあなさすぎる。

(確かめてみようと。彼女が口にすれば、男の眼が輝く。楽しそうであったこれまでの表情に、嬉しさが交じった形。それと、喜びであろう。
対価の説明に関しては、ううん、と少し首をかしげて見せてから、また快活に笑い飛ばすような調子で言葉を返した。
やはり、ちょっとステータスに偏りのある男である事は明確であった。だがそこに、負い目のようなものは感じさせず。すまん、という事すらもない。)

さて?それじゃあ、ちと場所を変えるかい?
派手にやりてぇなら、郊外まで出るといいかね。
その方は姉さんも、やりやすいんだろう?

(先ほどまで満ち満ちていたジョッキの中身を、一息で飲み干す。
濃い酒精を匂わせる大きな吐息を一つ吐いてから、のっそりと男は立ち上がり。
そしてそのまま、ちょっと散歩にでも行くかのように彼女に問いかけた。
殺気もなく。闘気もなく。
されど油断はなく。
それはやはり、先ほどまでの男とまったく変わらない。平常運転と言って差し支えない様子。
彼女がその誘いに乗るのであれば、このまま酒場から街の外まで移動するような心算。)

エルレストベーネ > ……なら、それで
言葉でうまく説明できないなら、その腕で納得させてくれるんでしょう?

自信の程を確かめさせてもらうには、それなりの場所のほうがいいわね

(剣呑、と言いつつむしろ望んでいるようなその素振りには、此方も期待してしまう
魔族に対してそう言い切るのだ、相応なのだろう

そもそもこの男、遠慮がない
良くも悪くもなのだが、裏表のない態度は嫌いではない

……もっとも、無理に喋らせる、という楽しみがないのは残念だが

それに自身で「勿体無いような美人」という相手をどう扱うのかにも興味があった
興味が出てしまえば試したくなってしまう
人形は、理解したくなってしまえば調べざるを得ない
となれば、相応の場所を選ぶことには是非もなし

互いに殺気も闘気もないままにどこか通じ合うところがあるのかもしれない)

ソード > それしか能がないもんでな。

(それじゃあ行くかと。
男はふらりと歩き出す。)

―――おっと、忘れるトコだった。
ごっそさん。
また来るぜ。

(給仕の女に、ゴルドのたんまり入った袋を投げて寄越して。
それが男の事実上の全財産である訳だが、特に気にした様子もなく。
改めて、絶世の美女へと向き直って。
「それじゃあ行くか。」
と。
そうしてそのまま連れ立って、酒場中の大注目をその背中へと受けながら、夜の歓楽街の雑踏の向こう側へと消えて。)

エルレストベーネ > ……それしか能が無いのなら、閨を共にする必要はないわけだけれど?
ふふ、楽しませてくれるんでしょう?

(誘いかけるようなそうでないような
グラスを空け、立ち上がる動作ですら見惚れるような動きで席を立つと
嫉妬を煽り立てるような寄り添う仕草で共にその酒場をあとにした)

ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”2」からソードさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”2」からエルレストベーネさんが去りました。