2022/06/15 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」にロイスさんが現れました。
ロイス > 煌びやかなカジノホールの光の中に、冒険者然とした男が一人。
何をするでもなく、突っ立っている。
手にはそれなりの額のチップケースを持っていて、周囲には、スロット台やポーカー台があるのに、それらをまるで、未知の道具でも見るかのような目で見ている。

それもその筈。このロイスという男。
今日にいたるまで、賭け事は精々、冒険者ギルド内でのカードが殆ど。
カジノで遊ぶことなど、これが初めての事であった。

「ど、どうしてこうなった……?」

元々、此処に来たのは王都からのマジックアイテムを、このカジノに運ぶ仕事の為。
しかし、受け取った側から荷物を検品する間、此処に居てくれと言われた。それは良い。
だが、その後、「折角だからその間当店のカジノでお寛ぎを」とチップを何枚かくれたのが、誤算だった。

「(全く遊ばないって訳にはいかないし……かといって、遊ぶにしても、遊び方が良く解らないんだよな。
カードならと思ったけど、自分たちが遊んでる奴とはルールが全然違うし……手札が二枚しか配られないポーカーとかあるんだ……)」

そうなると、もうロイスにはお手上げだった。
所詮、貰ったチップなのだから、遊び方が解らないなりに適当に消費してしまえば良いと思いつかないのがロイスの融通の利かない所。
「折角もてなされたのだから、ちゃんと楽しまなきゃ」という気持ちが、逆に彼を困惑させていた。

ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」からロイスさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」にエレン・ローズマリーさんが現れました。
エレン・ローズマリー > その日は綺麗な満月の夜だった。
エレンのような背中に逞しい翼を持つ少女
アルビノスキンと赤い瞳も手伝い、その姿は人ではない。

それが魔族呼ばわりされようと 人外呼びされようと
この領域での経営や生存権利を得ているエレンからしてみれば些末なこと。

後に残るのは欲望の果ての末路 強いか弱いかしかないのなら
エレンは親を悲しませるようなことはしないだろう。


「綺麗な月ね。」


エレンは新しい店を祝った帰り道
甘い酒 白桃色のワインやカクテルが主なエレンは店で出される果実が施されたフルーツエール
そんな普段手を出さない酒のせいかほろ酔いを表すように、笑みはやわらかく月を見上げる。
一人で夜道を散歩するという少し危なっかしい時間を過ごすエレン。
隠すこともない、赤革ブーツの踵の音をコツコツと鳴らしながら舗装されている地面をたたく。

土が露出している地面通りとは違うそこ
ハイブラゼールという栄えている場所の恩恵だろう。
見回りもいるものの、金と女の集まる場所は表がまぶしければ裏もまた薄暗い。

一人で出歩くこと自体、エレンからしてみれば周りの制止などもあった。
余計な手荷物も帰り道は無い 拳銃だけが備わった姿では心もとなく見える。

それでも、この時期 雨は降らず空は黒い 月は丸く輝いていて冷風が漂う。
エレンですら偶にしか感じない雰囲気。


「血が飲みたくなるって、きっとこういう雰囲気の時なのね。」


ハイブラゼールの喧騒から外れていくのは、月光浴を独り占めする空気を感じたくなったせいか。
それでも、面倒を嫌うように半グレや売人がたむろするような場所に近づくこともない。
洗っていない犬の匂いが漂うかのようだ。