2021/11/29 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」にクレス・ローベルクさんが現れました。
クレス・ローベルク > 『お、覚えてやがれ!』

机に金貨袋を叩きつけて逃げていくチンピラを見送って、男は溜息を落とした。
こんな服――青い闘牛士服を着ている自分が言うのもなんだが、あまり目立つような事はして欲しくはなかった。
近寄ってきた店員に、「色々済まないね」と言って、彼が叩きつけた金の内、六割程を店員に渡して、残りを自分の懐に収める。

「だから、気が進まなかったんだよなあ……」

先程、あのチンピラとやっていたのは、カジノ側を通さない賭けだった。
上部のスクリーンに映されるワンオンワンの試合で、どちらが勝つか、というシンプルなもの。
賭け自体はあっさりとクレスが勝ったのだが、そもそもカジノを通さずに賭けを行う事自体がマナー違反である。
あのチンピラから、半ば強制されて行ったものとはいえ、カジノ側に悪いという気持ちしか出てこない。
というか、

「剣闘士[プロ]に試合の予想させたら、そりゃ勝つに決まってるんだよなあ……。
だから、あくまで酒呑みながら観てるだけだったのに、まさかサシ勝負をかけてくるとは……」

『剣闘士なら、当然この試合の勝負も解るはずだよなあ!?』と絡んだ結果なのだから、相手も文句は言えまいが。
しかし、場を荒らしてしまったのは事実。
頭越しに賭けをしてしまった詫びとして、カジノには勝ち金の六割を納めたものの、座りが良いとは言えない。

「いっそ、出場してみようかなあ。
試合を盛り上げるだけならそれなりに自信あるし……」

それぐらいの骨は折るつもりだが、しかしそれにしても適当な試合相手を見つけてこなければ、かえって迷惑をかけるだけだろう。
どうするか、と男は頬杖をついて考えていたのだが――

ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」からクレス・ローベルクさんが去りました。