2021/09/27 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール” 海の見える喫茶店」にクレス・ローベルクさんが現れました。
クレス・ローベルク > 静かに凪いだ海が見える喫茶店で。
男が一人、テーブルに突っ伏している。
この男が、恥も外聞もなく弱い所を見せるなど、珍しい事ではあるのだが――それもそのはず。
彼は、既に二十日ほど、ぶっ続けで試合をしているのだ。

「し、死ぬ……体より先に心が……」

元々、剣闘士などというのは過酷なものだが。
それにしても、二十日も連続で試合をして一度も休みがないというのは、本来ありえない事なのである。
では、何故その様な事が起きたかと言えば――これは半分、男の自業自得とも言えるもの。

元々、彼は女性に対しては悪役[ヒール]、強敵に対しては善役[ベビーフェイス]という相反した属性を持つ選手だ。
それ故に、その双方からのファンが見込めるものの――逆に言えば、その両方を便利使いされる事も多い。
闘技場の売上が尤も落ち込む冬が来る前に試合数を稼ぎたい運営の思惑と相まって、彼は酷使される事になったのである。

「っていうか、ちゃんと剣闘士に教育をするなり、剣闘士の枠を増やすなりして、人の数を増やしてくれよ……。
両方の役ができるからって、二人分働ける訳じゃないんだぞ……」

ああ、明日からまた試合の日々だ、と男の目から光が消えつつある。

ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール” 海の見える喫茶店」からクレス・ローベルクさんが去りました。