2021/09/22 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」にタマモさんが現れました。
■タマモ > 港湾都市ダイラス、ハイブラゼール。
大歓楽街の中にある、カジノの一つ。
今日、少女はそこに居た。
色んな施設のあるカジノ内、少女が座るのはスロットの席だ。
そして、その傍らには、幾つもの箱が積み重なったカート。
誰が見ても明らかな、大勝ちっぷりである。
「ふふんっ、妾の手に掛かれば、この程度は造作もない、と言うものじゃ」
気分良さ気、鼻歌混じりに、レバーを引けば。
回るリールに視線を向け、その手をボタンに添える。
ぽん、ぽん、ぽん、と続けて押せば。
止まったリールは、すべて『7』が揃えられていた。
大当たりだ、下の口からメダルが流れ出る。
うむ、と頷けば、それを手前の箱へと掻き入れる。
■タマモ > 最初、ここに来た時は、実はほぼ無一文。
とは言え、別に貧困生活を送っている、なんて訳ではない。
どちらかと言えば、その逆、富豪と言える資産を持っている。
なのに、なんでそんな事をするのか?
理由は簡単だ、スリルを求めているから、である。
少女にとって、負けるも勝つも、どうでも良い。
それによる結果が、面白くなるか、そうでないかなのだ。
今回は…気紛れに、稼げるだけ稼ぎたい、そう思った。
だから、勝ちの堅いスロットを選んだ、と。
まぁ、本気を出せば、どんな賭けだろうと、そうそう負ける事もないが。
これが一番、少女にとって、簡単なのだ
「………まぁ、あの状態から、よくもまぁ、ここまで…ってものじゃのぅ。
ふふ…さすがは妾じゃな!」
更に箱を一つ積み、ふっ、と笑う。
そろそろ、別の場所に向かおうとは思うが、どれにするのか。
適当なカモでも見繕い、遊んでやるのも手ではあるが。
さて、そんな相手がいるだろうか?
こう…この場所に、不慣れそうな、簡単に誘えそうな相手。
しかも、可愛ければ申し分ない。
………うん、さすがに、それは都合良過ぎか。
■タマモ > まぁ、稼いだ大金を餌に、誰かしら引っ掛けるのも良いだろう。
こちらは金を掛け、相手には…
そんな、適当な考えを浮かべながら、よいせ、とスロットの席を立つ。
「さて、次は相手取る賭けか。
ふふ…何が良いか、それよりも、誰を相手するか…」
カートの手すりを掴めば、少女は適当に歩き出す。
カードゲーム、賽振り、その辺りだろう。
真面目に相手をするも良いし、軽く悪戯をしてやっても良い。
それで、相手が見付からなければ、このまま帰るのもありだろう、十分に稼いでいる。
■タマモ > カジノ内を巡る少女。
結局のところ、その後、どうなったのかは。
少女と…もし、誰か関わるならば、その相手と、少女のみ、先の事を知るのだろう。
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」からタマモさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール” カジノ屋上」にイファさんが現れました。
■イファ > ハイブラゼールに数あるカジノでも巨大なもののひとつの屋上に、今宵影が一つ。
常立ち入り禁止の筈の場所には石畳が只広く広がっているだけで、外観からすると不愛想にもほどがある。何も遮る物のないそこに夜風がびゅうと通って、柵に凭れ佇む女の長い髪を攫って行く。
「――――…」
女は頬杖を付き、もの思うように地上へ視線を落とす。
建物や街路の灯りで明るく照らされた街は昼さながらで、色とりどりの衣装を纏った人々やら屋台やらが、月が中天に昇った今でも入り混じるように行き交っている。
ヒトの世界に来てまだ浅い。
色々訪れてみたいと思っていた所は数多とあり、カジノはそのひとつだった。
手元にコインがあった頃はよかった。ルーレットやカードでそこそこ順調に増やし、ディーラーや他の参加者との駆け引きもまあ面白くもあって
ああ惹かれる者たちが後を引かないのも解るな…と、他人ごとの様に思っていた。
―――――暫くして、潮が引くように『ツキ』が落ちていくまでは。
「……厭な目つきだったな……」
ぼそりと零す言葉。その後その唇は不穏に笑みを形作る。
最初から最後まで、仕組まれていたのかもしれない。負けが込んできたとき、貸しましょうかと如何にも親切に声を掛けてきた男。
帯刀していたのが見えなかったのか、女を侮っていたのか。
何れにせよ、今宵この街でのお遊びは終いだ。
最後に此処から街を眺めることを思いついたのは、ほんのおまけのつもりだった。
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール” カジノ屋上」にグライドさんが現れました。
■グライド > (仕事終わりに、夜風を浴びに訪れた屋上
其処に居た先客の姿に、片眉一つ跳ね上げながら、ゆっくりと、其方に向けて歩みを進めよう
用心棒として、一寸した小銭稼ぎで居座って居た店の中
勝つ者、そして負ける者、其れこそ様々に存在する中で
あからさまに、カモにされていた女の姿として覚えている
少なくとも、"カジノでの勝ち方"を知って居るようには思えなかった
勿論、女がチップを巻き上げられて行く様を、店の側である己はあくまで眺めるに留めていたが。)
「――――――……よう、嬢ちゃん。 気持ち良い位の負けっぷりだったじゃねぇか。」
(――仕事が終わり、店との縁も切れたのなら、もう関係の無い事だ。
響かせる声は、先刻の今にしては少々意地悪だったろうが。
片手に持った酒の小瓶を、一本、驕りだとばかりに其の肩口へと差し出そうか。)
「なぁに、スカンピンでも無事に店を出れるなら、良い勉強だったと思えば良いさ。
次からは、戦場と同じで常に注意するこったな。」
(相手も、若しかしたら見覚えは有るだろうか。
店内で酒を飲みつつ、特段賭けにも興じていなかった男の姿を)。
■イファ > 屋上へと近付く気配には気付いていたが、特段振り向くこともなく変わらず街を眺めていた。
終に屋上へと現れた気配がこちらへ向かい、声を掛けられてから初めて女は少し顔を上げ、肩越しに視線を送る。切れ長の瞳から送られるそれは、少しは睨むようにも見えたかもしれない。
「…そうだな。まあ手持ちもなくなればいっそ清々しい気分だ。
察するに、そちらは従業員か何かか?立ち入り禁止の場所へ踏み入ったのは謝るが―――」
顔をまた街を見下ろす方へと向かわせながら紡いだ言葉の途中で、酒気が漂ってきて再び振り返る。また夜風が吹いて黒髪が横に靡いていくのを、女は少し、手で押さえながら。
「勉強か。まあそういう事になるのだろうな。
―――戦場と同じくらいの注意が必要な手遊びなど、余り魅力も無い」
女は口元に笑みを浮かべて紫陽花色の瞳で男を見る。酒瓶に対しては、結構、とばかりにその酒瓶の口を掌で塞ぐような仕草を見せて、改めて身体ごと男を振り返った。
「貴方は、部屋にいた気がするな。……その時も酒を飲んでいた気がするが」
とすると、従業員ではない?と首を傾げて、相手の頭からつま先までを眺め降ろす。
「―――ここの用心棒か?」
■グライド > (酒瓶が遠慮されるなら、そうかい、と素直に引いて
代わりに自らが、其の酒を咽頭へと流し込んでは、まるで水の様に。)
「なぁに、立ち入り禁止ってのは、要するに目が届かねぇから面倒起こされちゃ困るってこった
なら、別に面倒なんざ起こさなきゃ良い。」
(喧嘩の一つでもされて仕舞い、どちらかが倒れて放置されれば
発見されるまでは其れなりに時間が掛かるだろう
そう言うのが面倒だから、と言う意味での立ち入り禁止
つまり、大人しくしてれば問題無いのだ、なぞとこれっぽっちも気にせず
――そうして、そんな言い草をして居れば当然、己が、所詮一晩の雇われだとは気付かれるか。
ふ、と口元に弧を描き、その通りだ、と肯定して見せれば。)
「ま、そんなトコだ。 今晩の小遣い稼ぎに声を掛けられてな。
此処のお偉いさんの一人と、ちょいと顔馴染みなんだ。」
(そんな縁だからこそ、気軽に頼まれ、気軽に引き受けた。
荒事が起きれば対処するが、起きなければ仕事は無い
故に、酒だって飲むさ、と笑いながらまた、ぐびりと飲み。)
「――――で、熱冷ましに良い景色を…ってとこだと踏んだが。
存外あっさりしてて、何よりだぜ。」
(負けが込んで身を投げたくなる連中も居そうな場所だが
さて、女の場合は、どうやらそう言った心配は無用の様に見えた)。
■イファ > 水の様に酒を飲む様を眼を細めて見る。取り立てて驚くでもなく、ただ感心した様に。
「そうか。勿体ないな、良い眺めの場所なのに。公式に解放されればそれはそれで生かす当てがありそうだが」
振り返って街の様子を眼下に見る。色とりどりの光に、色とりどりのヒトとモノ。騒めきと何処からかの音楽とが混ざり合って、祭りの様相。
「小遣い稼ぎか…羨ましいな。私も腕力を商売にしているが、生憎とまだ良い伝手がなくてあまり仕事に恵まれない」
街から視線を戻し、柵に背を預けて酒を飲む男を見る。
歴戦の男であろうということは解るが、生憎とそれ以上の事が察せる程のヒトとしての常識が女にはなかった。
ごく素直に仕事上の告白をすると、胸の前で腕を組みながらうっすらと笑う。
「金がないくらいで悲観したりはしない。多少心もとなくはなるかもしれないが。
――――貴方が事情通で、私を少しでも哀れだと思うなら、仕事を紹介してくれないか?
できれば、腕力ひとつで片付く類の」
多少も期待はこめていない。単なる戯言のように仕事を乞うてみる。
まるで駆け引きなしの、決して世渡り上手ではない者特有の雰囲気だったろう。