2021/02/14 のログ
ホアジャオ > 深夜。
光あふれる歓楽街の大通り。
真昼もかくやと思われる通りは未だなお喧噪と色と香りに溢れて――――意外と、その上空に何が躍るかは誰も気付かない。

「――――ッよっ、でぁっ!」
たん、たたた、ばりん
――――たん!

乾いた音が夜空に響く。
歓楽街に立ち並ぶカジノや娼館の屋根から屋根を駆けて跳ねて跳んでいく影がひとつあって、それはようやくとあるカジノの広い屋上に着地して止まる。

「―――哎呀(あちゃぁ)――― 意外と手抜きしてンの…」

着地した影――――紅色の薄絹を幾重に纏った女が、足元の床をみてぽつりと零す。
陽光と風雨にさらされている屋上の床は傷みやすい場所だというのに、手入れはおざなりだったらしい。
鉄板を靴裏に仕込んだ女の足によって容易くヒビが入り、亀裂にも似て広がってしまっていた。

「…―――まァ、いっか」

アタシは怒られないし、と鼻息一つ。
身を起こして辺りを伺う。
物見遊山の公主に連れられて来たオークション会場で、囮よろしく良家の娘を気取っていたところ、まんまと手を出して来た奴ら。
途中まで大人しく連れ去られる振りをして逃げ出して、付いてこれたら遊んでやろうと思っていたのに―――…

「…来ないなァ…」

仁王立ちになって腕組みをして、がっかり、とばかりに盛大に溜息。

ご案内:「◆港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”【イベント開催中】歓楽街」にエイガー・クロードさんが現れました。
エイガー・クロード > オークション会場では時々、王国から騎士が警備に派遣されることがある。
基本的には傭兵だが、ときたま、そういうのをバレないように、あるいは要人警護の為に、配置されることも。
もっとも、大抵は何も起きない、起こさせないのが一番いいのだが。

どうやら今日は貧乏くじを引いてしまったらしい。
自分としてはこんなことは正直やりたくはないが、見てしまった以上は仕方ない。
最初は趣味の悪いオークションだと思えば、オークション対象の一人の娘が逃げだしたという。
結果自分が近くにいたせいで追う羽目になってしまった。
そしてその娘は、それを見越してのようだったらしい。

娘を追い、夜風からマントを靡かせ、軽装の鎧の男が目の前に遅れて立つ。

「あらあら、そのまま逃げていたら仕方ないって言えたのに。
むしろ追手が目的だったのかしら?なら、珍しいこともあったものねぇ」

その騎士は、見た目は一瞬、女性と見紛う化粧をした、しかし確かに男であるとわかる見た目をしていた。
声も低く、所作は貴族的な綺麗な動きをしているが、その口から飛び出した言葉は、声とは裏腹にかなり……女性的であった。

ホアジャオ > 少し待って来なかったらいよいよハズレだ。期待半分、来なかったら肉まんでも買いに行こうと気持ちを切り替えつつあったの半分。
目の前に現れたのは――――

「……怎么(はあ)?」

咄嗟に身構えて早一撃を食らわせようと、脚に込めた力が抜けると同じくらいの感じに抜けた声を漏らす。
見上げるくらいの身長と体格で、王都でよく見た『騎士』らしき相手。
化粧もしているし、言葉もなんか、アレだ。
ひらひら絹を纏ったツリ目の女は半歩前に出した脚を引いていって、また腕組みして仁王立ちに戻す。

「…珍しいって、アンタにあンま言われたく無いンだケド。
 なンなの?喧嘩売って欲しいの?」

むしろ喧嘩を売って欲しいのは女の方だったりするが、取り敢えず居丈高に顎を突き上げて言う。
…そうしないと、上目になるからという理由もある。

エイガー・クロード > 気の抜けた声と、その視線に「あぁ、またか」と慣れきったような雰囲気を一瞬醸し出した。
しかしすぐにその雰囲気は消え、確かな戦意を瞳に滲ませている。
決して、場数を踏んでいないような雰囲気ではなかった。

「喧嘩なんて、そんな物騒なこと、私は売ってないわ。
化粧品を売ってるなら買うけど?」

そんな風に言いながら、自身を精一杯見降ろそうとする姿を見て。

「……ふふ、可愛いわね」
と、口元を抑えて笑った。

ホアジャオ > 「けしょーひん? あンなの、お金出してまで欲しいの?」

うへえ、と顎を上げて相手を見たまま口元をひん曲げる。
次には何やら笑っている様子を見ると終に上目でじろりと睨んで。

「―――ちょッと、何が可笑しいってェの!
 本当にアンタ何?今一応仕事中だから、下手な相手ぶん殴ったらアタシ怒られちゃうからさ」

下手な相手でなければぶん殴るつもりらしい。
まあすぐにではないけれども、答え次第によって手が出る速度は早くなりそうだ…
女は上目に睨んだまま、片足のつま先で床を叩く。
―――いつでも、癖の悪い脚が伸ばせるように。

エイガー・クロード > 「えぇ、私、美容には気を使ってるのよ」

くすくすと笑い、睨まれてもなおその態度を崩すことはなかった。
むしろ、さらに笑みを濃くした。

「だって、可愛いものは可愛いと思うのは当然でしょ?
……仕事、ねぇ。どこからの仕事なの?いちおう私も、会場の警護の為にここまで来たわけだケド」

そこまで告げながらもしかし、騎士は娘の事を一切の警戒もなく見ていた。
予備動作があろうとなかろうと、いつでも、あるいはこの娘以外からの何かが来てもいいように。

「……それで、大人しく戻ってきてくれる為に、残ったワケじゃないのよね?」

ホアジャオ > 更に笑みを濃くする相手に比例して、女の眉は吊り上がって、唇は尖って行く。
ここは一発「ぶーす!」とか言ってみたらあの態度は崩せるのだろうか、等とうっすら考えながら、鼻の頭に小じわが寄る。

「アタシは公主の護衛。まー今日は囮ンなって変わりに攫われてみたりしてるところ。
 逃げ出したってェか、もともとそンなタマじゃないモンね」

誘拐されることをまるで一種の遊びか何かのように言ってけらっと笑い、ぐるりと目を廻して見せて。

「嗯(ウーン)……
 警備、でなんかエラソーなマント付けてるってことは…
 ……ぶん殴られたら誰かに報告する?
 それともアタシと喧嘩してくれる?」

問いかけが大分偏っているが
要するに自分は戻されるつもりはないし、問答無用で襲い掛かるつもりもない、と表明しているつもり。
相変わらず仁王立ちで腕組みはしているが、かくっと首を傾げて男?を見る。

エイガー・クロード > 娘からの怒気に当てられるが、まったく気にした様子はない。
むしろクスクス、と薄く笑い声を挙げた。

「なるほどねぇ。やっぱり面倒な思惑が絡んでたのね……。
まぁ、あなたはそう言うのじゃなさそうってのは態度からしてわかるからね……」
こんなところで仁王立ちになって自分のような追っ手を待っているぐらいだ。
なんとなく、察しられた。

「……物騒ねぇ。別に殴られても誰かに報告はしないわ。
ただ……殴られたら殴り返すが、私の信条だケド?」

そう言うと、片目を瞑って笑みが挑発的な物へと変わった。
仕事として態度はそれでいいのかと言われそうだが……あんな会場を守ることなど、もともと気が入っていなかった。
貧乏くじではあるが、あそこにずっといるよりはマシだと思えてしまう。

ホアジャオ > 報告しない、と聞こえた所で女の口元がにへっと笑う。
かくんと傾げていた首を戻して、片目を瞑る男には満面の笑顔をお返しだ。

「きまりね!武器はアタシは持ってきてないケド、使うなら使ってもいいよ。
 負けは動けなくなるか、降参するかどっちか!」

とんとんと跳ねるように後ろへ跳んで相手から身長ふたつぶん、距離を取る。
ひらひらと邪魔くさいと思ったらしい衣を幾枚か脱ぐ。
半透けの絹一枚に下着上下――といっても色気もない黒のスポーツブラとボクサーパンツだ―――という出で立ちで、半身に構えて腰を落とす…

「―――準備、いい?」

エイガー・クロード > 笑みを浮かべる娘の顔を見て、早まったかな。と思った。
だがもういいや、と諦める。
というよりは……偶には馬鹿になるのもいいだろう。

「武器ね。武器は使わないけれど、この籠手は外さないのを許してね。
いろいろ事情があるから」

そう言うと彼もマントと一部の鎧を脱ぎ、動きやすい服装へとなる。
藍色のジャケットと革のベルト。右腕を丸々覆う籠手だけは外さなかった。

「……動きやすさが大事とはいえ、もう少し肌を隠したら?
乙女がそう簡単に、肌を晒すものじゃないわよ」
と、少しだけ心配するような声をした後

「ま……準備はいいわ」
そう言い切る前に、娘の動きを油断なく見据える。

ホアジャオ > 少し装備を解く相手を、細い目を目いっぱいきらきらさせて女は見る。
どうやら、喧嘩を楽しんでくれそうな相手のような気がする。どうせならそういう相手とやれた方が、女としても非常に、嬉しい。

「大丈夫!アタシも靴の裏とか仕込んであるから!」

籠手に断りを入れる相手に対して、にこにこと足を上げて自分の靴裏を器用に見せる。
いつもなら踵に仕込みナイフがあるが、今日は踵も爪先も鉄板だけだ。

「まー風邪ひかないのが一番だよね…
 ―――じゃァ、遠慮なく、ッ」

言葉の最後と床を蹴る音は同時
ぱんっ、とホコリが舞い上がったかと思った次の瞬きには、女は相手の目前に迫って―――そのままするりと腋を擦り抜け

「―――せァっ!」

その擦り抜け様、くるりと回り込む様に身を翻し、その重さを乗せた回し蹴りを、相手の脇腹目掛けて放つ!

エイガー・クロード > キラキラと期待するような視線を受け、薄々察していたがバトルジャンキーだと確信した。
面倒な相手を引き受けてしまった気がするが、ことここに至って退くことはできない。

「そう、ならお相子ってことで」

そう言って曖昧に微笑んだ。
同時に、娘は一気にこちらに踏み込んできた。
その初速は姿を捉えきれなかった。

「っ!」

息を吞む音と共に器用にすり抜けてきた娘の回し蹴りにギリギリで反応して両腕でガードする。
「(重い……!)」
籠手があってもその衝撃はビリビリと感じられた。
だが……男も抜け目なく、ガードした後すかさずに手刀を斜めに叩き込もうとする。

ホアジャオ > がん!と籠手に当たって音が響く。
素早く反応した相手に笑みを口元に広げながら、その蹴った足を更に押し込んで素早く後ろへとごろごろと転がって下がる。
2挙動目となった相手の手刀は空を凪ぐことになるだろう。
転がった勢いでそのまま立ち上がった女は、最初と同じくらいの距離を取ったその場でぽんぽんと跳んで。

「―――ねえ、もしかして喧嘩慣れてない?武器使う?」

心底不思議というか、どうする?と問いかける表情。
つぎには―――先手をどうぞ、とばかり
半身に構えて、いっちょうまえに手をひらひらさせて見せる

エイガー・クロード > 空を凪ぐ手を引っ込めて、構えを取る。
立ち上がった娘を油断なく見据えながら、娘の言葉を聞き

「正確に言うと、素手同士が慣れてないってだけよ。
それに武器は殺傷力が高すぎるしね。……あなたを下に見てるわけじゃないけど。
使ったら殺し合いになりかねないから使わない」

そう言って一呼吸置いた後。

「それに、あなたステゴロ、好きなんでしょ?
合わせてもらう形になるけど……私、『喧嘩』っていうの、やってみたかったのよ」

そう告げると同時に、娘へと肉薄する。
素手同士の戦いには慣れていないと言うのは本当だったようだ。
しかし戦いそのものには慣れているのだろう。
踏み込みはかなり深く、そして早かった。
クロスレンジへと持ち込み、娘の手を掴み、投げ飛ばそうとする。

ホアジャオ > 「まーね、アタシも殺し合いよりは殴り合いって感じかなァ?」

やってみたかった、という相手に女はにへっと笑い返す。もし見たことがあるのなら、涎を垂らす前の肉食獣を彷彿としたかもしれない。
そうこうして『待ち』の姿勢でいたのは数舜だったろう。
肉薄した相手の動きを女の視線は追うが、躱すほどの間と捌くほどの余裕はなかった
瞬間、女の身体の力の流れが変わる。

「―――ンなろっ――!」

投げ飛ばす動作は、相手からすれば呆気ないほどに容易く運んだだろう。女はすぽんと投げ飛ばされて―――数メートル先、叩きつけられる寸前にごろりと受け身を取って身を起こす。

「…体格の割に早いね。
 ―――じゃァアタシのが喧嘩は大分、先輩だね!」

言うが早いか
立ち上がる時に拾ったらしい、幾つかの床の欠片を振りかぶって、投げる!
その礫を追うように女は身を低くして走り出して
相手が礫に気を取られるのなら、その影には顎を狙った女の蹴りが―――

エイガー・クロード > 「なんとなーく、そんな感じがしたわ。そんでここで私は立ってる。
なら答えはそう言うことよ」

娘の笑い顔に、寒気がした。同時に、自身の中で燻るものを感じる。
そして意外にも娘は簡単に掴ませてくれた。
そこから流れるように投げ飛ばして……当然、娘は受け身を取って起きる。
当然だ、大して体力も奪えていないのだから、受け身をする余裕などあるに決まっている。

「この体格でも、鈍いままじゃ死ぬからね。
だから―――そこそこ、身のこなしには自身があるの、よ!」

投げられた床の欠片に身をよじらせて避ける。
しかしその隙を娘は見逃すはずもなく、顎を…強かに蹴り上げられた。
普通の相手ならばこれで意識を失うほどだが…そのまま騎士は目を動かして、伸びたその足を両腕で捕える。

「つ、かまえたぁ!」
そのまま地面へと、足を起点にした飛び十字固めへと移行しようとする。

ホアジャオ > (入った―――、ッ!?)

渾身の蹴り上げは相手が背が高いが故に殆ど跳び上がるようにしてだった。
脚に捉えた感覚に口の端が一瞬少し持ち上がるが、次に掴まれる感触。
仕舞った、と思う間もなく捉えられる。

(―――固められる!)

(痛い)覚えのある感覚に身体が勝手に動く。
すなわち、身体をひっくり返して逃げ出す方向へ。
それでも相手の手から逃げきることは叶わずに、中途半端な形でうつぶせに床に押し付けられることになるんだろう。

「―――ふンぐ…!」

当然のように暴れる女。
地上に放り出された魚っぽいが、勢いはそんな可愛いものではない。

エイガー・クロード > 当然、飛び上がっている相手に対して飛び十字固めをするような無茶だ。
そして相手もそれに反応できるだけの体幹と神経を備えている。
すなわち、自身もまた床に強かに体を打ち付けた。

「っぐぅ…!」
歯を食いしばって、全身の衝撃による痛みを耐えてがっちりと暴れる女の足を拘束する。

「さぁ、これでどう?!」
ギリギリと足を全身で締め付け、靭帯へと負荷をかけていく。
しかし深くは傷つけないように力を調整し【ただ痛いだけ】程度の負荷を負わせ続ける。
逆に言えば、それ以上の傷をつけないようにしているということになる。
つまり…暴れ続ければ、それを抑えようとする力を入れると力が強くなってしまうが為にできない。
この痛みを耐えながら暴れ続ければ、拘束が緩くなっていくだろう。

ホアジャオ > 「――――ンぐぐぐ…―――!」

うめき声と気合のないまぜになった声が女から漏れる。
痛いとかはアドレナリンのせいなのか女特有なのか兎に角今は戒めを解こうとぐるぐると思案するでもなく考える。
そのまま固めて来る男に対してばったんばったん暴れている内に気付く。

――――手加減してる!

「我说(ちょッと)!」

ぴた。と女が唐突に暴れるのを止める。
ぐるり、と首を強引に相手の方へ向けると、ツリ目の眉毛が怒髪天を突いている。

「止めてよ、そーいう手加減!
 足がもげるくらい治療師に治して貰えンだから…」

後はもう、身体が止まった代わりとでも言うようにぎゃんぎゃんと女から抗議の声。
よほどいためつけてほしいのか。
鼓膜が破れるというほどではないが、時折シェンヤン言葉が入り混じる声は、段々と呪文に聞こえてくるかもしれない。
それでも男が姿勢を変えないのなら、女は大仰にため息を付いて、ぼそぼそと降参の意を呟く…

エイガー・クロード > 怒髪天を突いてこちらを睨まれて、何を言うかと思えば…

手加減をするな、と。

「……本気?」
と、聞き返すが女はそれを気にせずに罵倒雑言。
…そして本気で怒っていることを察する。
自分は知らず知らずのうちに相手を舐めていた、あるいは下に見ていたのかもしれない。
女のその抗議の声を聞いてそう思った。
決してこの女の尊厳を傷つけるつもりはなかったのだが…

「じゃあ……やるわよ?」

そう軽く言った後……降参の意をつぶやく瞬間
鈍く、女の足から骨が砕ける音が響き渡った。

ホアジャオ > 「!!!!」

鈍く響く音。
降参、と紡ごうとした唇がそのまま止まって―――噛みしめられて。

「―――止まってるときにやンないでよ!」

やっぱり文句を言う。
その間少しでも男が怯んだ瞬間があれば、わたわたと手で這って次いでごろんと転がって間合いを取るだろう。

「ちょッとも――…びっくりしたあ……」

砕けた脚は痛い。当然。
なのでへたり込んだままではある。転がりまくってびりびりになった服を見下ろして、ヤバいなあ、という顔をして。

「…礼儀が成ってない」

じろ、と男を見上げて宣言をする。
取り敢えず降参は未だ言っていない。
正直マフィア相手の喧嘩であれば足がおれようが何だろうが相手が動かなくなるまで続けるわけだが
はてどうしよう。とちょっと考えて、後頭部をぽりぽりと掻いて。

「うーん、解ったよ。降参」

無理やり喧嘩を打ったのは自分の方なのに、まるで渋々の体。

エイガー・クロード > 「えぇぇ……?」

文句の言葉につい、怯んで手が緩む。
その間に娘は間合いを取り、しかしやはりその脚では立つことはできないのだろう。

「えーと、その……ごめんなさい?」

自分としてはむしろ礼儀を合わせたつもりだったが、ダメだったようだ。
喧嘩というものには礼儀もあって奥が深いらしい。

「え、あぁ、うん。……え、これ勝ちとは言わないと思うけど」
そう思いながらも、その言葉はいちおう受け取っておく。

「……喧嘩って、終わると虚しいのね」
虚しくさせたのは自分が喧嘩慣れしていないせいもあるんだろうが……と呟いた。

ホアジャオ > 「アタシは戦争したりするよかよっぽど楽しいケド」

へたり込んだまま、まあがんばれよ、みたいな視線で男を見る。
折れた脚に体重をかけると当然痛いのでかなりへっぴり腰で、ずりずりと屋上の手摺りの方まで移動して
それからよいしょ、と立ち上がる。

ぼろぼろな癖に、女はまたにやにや笑っている。
「終わって空しくないナニカなんて、きっとそもそも詰まらないと思うケドね……
じゃーアタシ、怒られに仕事に帰るよ。
喧嘩、付き合ってくれてありがと!今度はもっと面白くやったげるから」

最後、懲りない言葉を付け足すと
女はそのまま手摺りから身を乗り出すようにして、屋上から姿を消すだろう。
―――下の方で『ガシャーン!』とかなっている気もするが、只の音楽かも知れない…

ご案内:「◆港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”【イベント開催中】歓楽街」からホアジャオさんが去りました。
ご案内:「◆港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”【イベント開催中】歓楽街」からエイガー・クロードさんが去りました。