2021/01/31 のログ
ご案内:「◆港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”【イベント開催中】」にランディさんが現れました。
ランディ > 「ぐぬぅ……本買い過ぎちゃった……仕事しなきゃ。」
とぼとぼと、小さく呟きながら酒場に入ってくる小柄な白衣風貌。冒険者というより医者や学者のような身なりの男…と判断するには柔らかいシルエットと幼気な風貌をしたミレーのような風体のそれ。
考え事をしているせいか、先に居たクレスの存在にまだ気付かず、まっすぐに掲示板へ……。

「えぇっと……何か、ぼくにもできるやつ……できるやつ…。」
そう呟きながら掲示板を眺めて…ふと目に止まった依頼書が一つ。

「あ、これいいかも…闘技場の整備補助…種族問わず…? これならぼくでもできるかな…。」
見た感じ、外壁やリングの修理依頼だろうか。
気になって依頼書に手を伸ばし、ググッ、と高い位置のそれを取ろうと背伸びをして。
そもそもよく見れば拘束期間の部分が不明であることに気付くほど、依頼書の読み方に慣れていなかった。

クレス・ローベルク > 「ん……?」

依頼書を眺めていると、少し離れた所に男が一人。
仕事の都合で何度かシェアハウスした事のある、ランディという学者だ。
こっちにまた来てたのか、と視線をやるが、どうやら高い所にある依頼書が取れないようだ。

「しょうがないな」

これも何かの縁。
そう思い、彼の背中の後ろに立って、彼が取ろうとしている依頼書を剥がす。
さて、どんなものを請けようとしていたのか、と思って見てみると、

「あー……」

なんとも言えない表情で、それを見やる男。
整備補助。まあ、確かにそう言えなくはないかもしれないが、しかしこの場合の"整備"の対象が何なのか、男は大体解ってしまう。
何だか前も似たような事が無かったかと思いつつ、眉間を揉みほぐす男。

ランディ > 「……ふぇ?あ、ぁ…それぼくも……あれ、クレス君…?」
後から伸びた手がぺりぺりと依頼書を剥がしていく姿にきょとんとして…
自分が先に見つけたのにとおろおろしながらも思わず振り向くと…見知った、そして成り行きとはいえ戦ったことのある青年の顔を見つけて目を見開く。
いや、彼がここにいるのは別におかしいことはないのだけども。

「クレス君も仕事探しに来たんだね。
 …その依頼、受けるのかい?」
確か、人数制限は特に書いてなかったと思うが…なぜか溜息とともに眉間をもみほぐしている彼に、疲れ目なんだろうか…と心配そうに見上げつつも、一緒に仕事ができるかも…と期待したのだろう、へにゃりと締まりのない笑みを浮かべた。

クレス・ローベルク > どうやら、こちらには最初から気づいていなかった様だ。
確かにどちらかというとぼんやり気味な男ではあるが、しかし知り合いを見つけたら基本そっちを優先する質だ。
となると、何か考え事をしていたのだろう。

「(まあ、良かれ悪しかれ、考えるべきことは多い人だからなあ)」

しかし頼むからこれからやる依頼の事も考えて欲しい。
へにゃりと笑っている場合ではない。
人生の危機がすぐそこに転がっているというのに。

「あー……まあ、受けても良いけど、ぶっちゃけ君一人いれば問題ないというか、だから問題というか……。
ちなみにだけど、この依頼、受ける気かい?」

一応、依頼書を渡して、そう聞いてみる。
きちんと依頼内容を把握してるなら、そして少し察しが好ければ、依頼書の内容から妖しさを汲み取ることができるはずだが……。

ランディ > 「……?」
何やら自分を見ながら思案している青年に首をかしげつつもニコニコして、学者とはいったものの、研究以外の事は基本ポンコツであるのは知った通り。
人生の危機であることなぞ知りもしない。

「…え?うん、ほら、ぼくコレだから、種族問わない依頼じゃないとちょっと難しいし、かといって討伐依頼とか一人じゃ怖いし……リングの整備や壁の修理とかだったら、魔法でできるかなぁ…と?」
これ、といって自分の垂れ下がった茶色の獣耳を触りつつも、渡された依頼書を受け取り…改めて見つめる。
『闘技場の整備及びその補佐依頼 依頼料:出来高払い、1件につき300ゴルト保証 拘束期間:未定 条件:特になし、種族経歴問わず 依頼主:アケローン闘技場』
曖昧な記述を不審と取れる程の警戒心がない学者は、彼が訝しげな顔をしているのに疑問符を浮かべるしかなかったとか。

クレス・ローベルク > 「いやまあ、確かに命の危険は無いに越したことはないけどさあ」

と頭を掻いて、それから依頼書を元あった場所に貼り直す。
気持ち的には破りたい所だが、しかし冒険者ギルドに睨まれたくはない。
ランディが何か言ってくるだろうが、知った事ではない。

「あのさ……リングの整備はともかく、壁の補修とか魔法なり、石膏なり、専門の技術が必要な仕事でしょ。
なのに、その辺が書いてないって時点で何か変だし、何より拘束期間:未定ってのもさ……どんだけ長い間整備させるんだよとか、普通思わない……?」

究極、一年でも二年でもずっと"拘束"できる内容の依頼書である。
悪意が無いとすれば明らかに記述の不備である。
喩え、自分ひとりで受けるにしても、ギルド員に苦情を申し入れるレベルの依頼書なのだが……

「(頭は良いんだけどなあ……何でこう……)」

バカなのかなあ、と重い溜息をつく男だった。

ランディ > 「だよね……あれ?え、あっぁっ…クレス君!?」
ペタリと、再び取り上げられた依頼書、元あった場所…心持ちさらに位置が高くなった気もする依頼書にはもう手が届かず、跳び上がれば届くかもしれないが、飲食店を兼ねた屋内で飛び跳ねる度胸はなくて。

「え…あ~…うん?それはまぁ、言われてみるとそう…だね?
 ……あー、確かにずっとだと、フィールドワークの時間とれなくて困る、かも?」
滾々と言い聞かされる内容に…明らかに疑問符の浮いた顔をしながらもコクコクと、彼の言葉の理解できることは首を縦に振って理解を示す。
まあ、多少は斜め上の理解をしているところは多分にあるが。

「えっと…なんか、怒らせちゃったかい?クレス君…その、ごめんね?」
重い溜息に、気まずそうに耳と…白衣の下に隠れたしっぽがフルリと震えて…見上げるようにクレスの目を覗き込み…謝罪を口にする。

クレス・ローベルク > 「……」

いや、謝られる筋合いはない。
もとより問題は彼だけにある。
寧ろ、闘技場側の自分は彼が犠牲になった方が助かるぐらい、であるのだが。
しかし、まるで小動物の様な目でこちらを覗き込まれれば、そんな悪意も何だか虚しい。

「(本当に甘いよな、俺は)」

いっそ、痛い目にあった方が彼のためでさえあるが、それで見限れないというのは本当に甘い。優しいのではなく。
仕方がないので、本当の事を彼にいう事にする。

「いや、君が謝る様な事じゃないけどね。
端的に言って、今君が受けようとした依頼、多分敗者を辱める為の機械の動作確認だよ。それも、依頼を受けた人の身体を使った、ね。あるいは、奴隷の性欲解消に輪姦されるか、まあそんなとこだろう」

闘技場に努めている男は、その光景をありありと想像する事ができる。
まあ、死ぬわけではないのだから、逆にそれで金が貰えるのならと考える事もできるが、ランディはそうではなかろう。
だが、一応念の為、男は聞いてみる。

「……で、それ請ける?請けるなら、俺も敢えて止めないけど」

ランディ > 「……ク…クレス君…?」
なんだか沈黙してしまった彼におろおろし、きょろきょろと何故か落ち着かない様子で周囲をキョロキョロするが、ただ依頼表を持って会話していただけの二人を気にするものなぞ居るわけではなく。

「…ふぇ?……え、えぇっ!?あわ、あわわ…それは、その……困る、ねぇ。」
そうして彼の口から出た依頼の中身の予測に…ぼむっ、と音がしそうな勢いで顔を真っ赤にして今度はまるで恥ずかしいところを見られたように周囲を気にしだす有様である。
つまり、あれだ…残念な子を見るような目で見られていたのだと、遅まきながら理解したらしい。
そうして、改めて念を押すように受けるのか聞かれると、首が取れんばかりにブルブルと左右に手を振り首を振り、まるで悪いことがバレた子供のようである。

「う、受けない!受けないよ、受けないから…あうぅぅ…っ!」
なんだかすこぶる恥ずかしくなって…その場に耳を抑えてしゃがみこんでしまう。

クレス・ローベルク > 「うん、まあそうだろうとは思ったけどさ」

何故この男は此処まで人を信じるというか、人を疑わないのか。
想像力が足りない訳ではないのは、一時期一緒に暮らしていた男が良く知っている。
しゃがみこんでしまった男を、どうしたもんかなーと眺め、

「まあ、取り敢えず此処で二人突っ立ってても邪魔だし、一旦座ろう。お茶ぐらい奢るからさ」

見れば、店員やらギルド員やらがこっちを伺っている。
何かしらの異常事態でない事は解るだろうが、事情を詮索されても面倒だ。
近くの席を指し示し、座らせようとする。

ランディ > 「うぅ……顔から火が出そう…。」
なんだか残念な子を見る目で見られているのが分かっているからか余計に顔を向けられない、しばらくしゃがみこんでいると、振ってきた声。
確かに他の人の邪魔だと分かれば、奢られるつもりはないけども、促されるままにとぼとぼと席に腰掛ける。

「だ、大丈夫…お茶飲むくらいの持ち合わせはあるから。ちょっと、資料用の書籍を買い込んじゃって…今月ちょっとピンチだけど。」
最悪、古くなったり要点をまとめ終わった資料を古本屋に売り払うという手もあるので、本格的にピンチというわけではないのだ。
赤い火照りが残った頬をパタパタと手で仰ぎながら…ようやく彼とまともに目を合わせて。

「えっと、その……やっぱり、森での採取依頼とかの方が、良いのかな……さっき掲示板見たときには見当たらなかったと思う、けど。」
一応、混血とはいえエルフの端くれだ、森での行動に自信はある…が、さっき掲示板をざっと眺めただけでは討伐・護衛・遠方の採取が主で、見当たらなかったように思ったが、見落としているのだろうか。

ランディ > 結局そのまま、お茶を飲みながら先輩冒険者クレスによる依頼票の正しい読み方講座が始まったのは、いうまでもない…。
ご案内:「◆港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”【イベント開催中】」からクレス・ローベルクさんが去りました。
ご案内:「◆港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”【イベント開催中】」からランディさんが去りました。