2020/06/23 のログ
ご案内:「◆港湾都市ダイラス “ハイブラゼール” 冒険者ギルド」にクレス・ローベルクさんが現れました。
クレス・ローベルク > 夜の冒険者ギルドは、基本的にはどんちゃん騒ぎが主だ。
仕事が終わり、酒を飲む荒くれ者達が騒ぎ、笑い、時に喧嘩する。
青い闘牛士服の男も、その中のひとりとして、知り合いの冒険者達と酒を飲んで談笑したりしていた。
そして、日が替わる頃に、話し相手の男が宿の方に戻っていった。

「うーん、流石にこの時間になると知り合い少ないねえ」

男は最近冒険者として、夜間の仕事が多かったので全然眠くないがゆえ、できれば誰かと話したい。
だが、今居る者達は、既にグループで飲んでいる者が多く、此処に割り込むのも何だか忍びない。
ぱっと見回した印象なので、もしかしたら一人呑みしている者もいるかもしれないが。

「うーん、まあ一人で呑むのも悪くはないけど……なあ」

ご案内:「◆港湾都市ダイラス “ハイブラゼール” 冒険者ギルド」にラファルさんが現れました。
ラファル > くいくい。
   くいくい。

 そんな、独り身の男の服のすそを引っ張る動きがある。男が視線を下ろしてみれば、ツインテールの金髪がふらふら揺れる幼女がそこにいる。
 にぱぁ、と人好きのする笑顔を振りまいて、まだまだ幼子と言える子供がそこにいる。
 ほかの冒険者は、何も言わない、何かを言うようなことも無い。

 何故ならば―――

 この少女も冒険者なのだ、そして、大人顔負けの実力を持っている、冒険者という認識があるのだ。
 もう一つ、この町で言うなれば特別ともいえる肩書があるが、それは、ここでは意味がない。
 冒険者家業と言うのは、実力がすべてなのである、年齢も関係ない、だからこそ、こんな幼女がこの時間にここにいても、冒険者は絡まないのだ。
 というよりも絡んだことのある冒険者は大体思い知っている、と言うのだが。

「にひ。」

 幼女は、酒の供を求めている男に対し、親指で自分をびしぃ!と指さす。
 ここにいるぜ、と言わんばかりのアピールなのである。
 さて、冒険者兼剣闘士のおにーさんはどう対応するだろうか。

クレス・ローベルク > 「……ん?」

服の裾を引っ張られ、男は反射的に下を見る。
そこに居るのは、嘗て闘技場で戦った少女だった。
別の言い方をすれば、闘技場で犯した少女とも言えるわけだが――とはいえ、それで恨みを残す様な彼女ではない事は闘技場での短いやり取りでも解っている。
だから、こちらも特別気負うこと無く、

「ラファルちゃんか。お久しぶり。こんな所で会うなんて思わなかったけど、元気そうで何よりだ」

と、穏やかな笑顔で返す。
なぜ此処に居るのか、という質問は野暮だろう。あれほどの力があるのだから、普通に冒険者として活動していておかしくはない。
とはいえ、一応、

「まあ、一応大人として形式的に言うけど、もう夜遅いけどご家族の方とかに言ってきた?心配とかされてない?」

と聞いてみるのだった。

ラファル > 「や!」

 にぱ、と、笑顔で幼女は右手を挙げて、下を―――自分を見る彼に手を挙げて見せる。
 闘技場で『遊んだ』時に相手をしてくれた彼は、冒険者でもあった、そして、負けて犯されるのは強者の都合、勝ったのならばそれは仕方のない事だ。
 そもそも、セックスは、強い物の子供をもらう行為でもあるのだし、勝った相手に体を出すのは別に気にならない。
 むしろ、優秀な雄という認識もあるから一層気安くもある。
 ぺちぺちぃと、彼のお尻を叩くセクハラもつけておこう。

「こんなとこって、ダイラスだよ?おうちまで、徒歩三分だもん?」

 トゥルネソル商会、ダイラスを拠点とし、マグメール国の主要な場所に分店を持つ大商人、本店はそこにあるますよ、と言わんばかりに、笑って見せる。
 ダイラスにトゥルネソルの娘がいることは、別段おかしい事ではないのである。
 姉は首都で元気に商売しているので勘違いされがちだが、本拠地はこっちなのである。

「なんで?ボク、冒険者だし。年に一回家に帰ればダイジョブでしょ。
 心配?あはは、ドラゴンが心配する生き物なのかな?ボクそんな話聞いたことないよ。」

 とまあ、彼の紳士的な質問に関しては、いたずらっ子の様に目を細めて笑って見せて。
 隣の椅子にちょこんと腰を掛ける。
 そして、きらきらとした目を向けて見上げるのだった。

「くれすぅ、お酒、おごって。」

 超ストレートド直球で、おねだりする幼女。
 ねーぇ、おねがいー、と腕に抱きついて頬ずりして見せます

クレス・ローベルク > なんというか、無邪気な少女である。
もちろん、それはドラゴン――種としての力があるというのもあるのだろう。
誇示はしないが、あるが故にあるがままに振る舞える、というのは男からすると少し羨ましくもあるが、それはそれとして。

「あいたた。こらこら、人のお尻を叩いちゃ駄目だって」

実際はあまり痛くないのだが、リアクションとして痛がってみせつつ。
しかし、少女の話を聞く限り、どうやらかなりの放任主義らしい。
であれば、変に遠慮する必要はないだろうと思う。徒歩三分の距離なら、何かあっても家族の者も対応しやすかろう。

「まあ、強いからって心配されないかと言われれば、そんな事も無いんだけどね。
とはいえ、野暮な質問ではあった。その詫びって訳じゃないけど、良いよ。好きなの頼むといい」

幸い、冒険者と闘技場の掛け持ちをしている男の財布は、それなりに温かいのが常である。
少なくとも、一人分の酒量を支えきれない物量ではない――はずである。多分。

「俺も頼むか。すいませーん、ちょっと注文お願いしまーす」

と、店員を呼ぶ。
自分は果実系のカクテルと、摘みとして野菜スティックを頼むつもりだが、さて少女は何を頼むのだろうか。

ラファル > 「うぇへっへっへ……うぶなねんねじゃあるめーし。」

 幼女は楽しく反応してくれる彼に、楽しそうに返答をしてから、うんうんとうなづいて見せた。
 裸にも近い格好の儘の幼女は、じ、と彼を見上げるのである、身長が全然違う彼の首筋を。

「わーい。じゃあ……火酒!度の強い奴で!」

 ドワーフ御用達の強く濃厚なお酒、奢ってくれるというなら遠慮も一切なかった幼女。
 まあ、彼は闘技場でたくさん稼いでるのだから大丈夫だろうとかそんな軽い思考を一つ。
 それからもう一度彼を、金の竜眼で見上げる。

「で、クレスは、どしたのさ?面白い依頼とかでもあった?」

 基本は闘技場の剣闘士をしている彼だ、冒険者のギルドにいることがとても珍しくて。
 好奇心をそそのかされて遊びに来てみた、と言うのが正しい所。
 
 ついでに、ちゃっかりジャーキーを頼むのは肉食獣だからだろう。

クレス・ローベルク > 一応、ご令嬢なのだし、ワインとか頼むだろうかと思ったら、容赦のない注文がきた。
とはいえ、ドラゴンは酒に強いというのも良く聞く話。寧ろ、下手に度数の足りない酒を頼まれた結果、何杯も開けられる方が財布にはダメージがあるかもしれない。
……一応、試合日一日分の稼ぎが吹っ飛ぶ事ぐらいは覚悟しておこうとは思うが。

「んー、まあ顔繋ぎ半分仕事半分かな。最近は本業忙しかったし」

今日は野菜の気分だったけど、隣で頼まれると肉も悪くないと思えるなあ、などと思いつつ。
面白い依頼か、と記憶を彷徨わせる。
基本的には採取や護衛の依頼が主だったが、そういえば。

「そういえば、クリュソスの警護の依頼が出てたね。
結構割が良いから、俺はしょっちゅう受けてるけど……。
ラファルちゃんなら、私服警備員として潜り込めるかも」

男は割と有名なので、どちらかというと抑止力として警備をする事が多いが。
ラファルであれば、客の子供として潜り込む事もできるだろう。
まあ、ラファル自身がそれを良しとするかは別の話だが。

ラファル > ワインも嫌いではないが、人の奢りなのだから、ここはがっつり、普段からそんな性格の幼女である、何時も全力全開容赦なしなのであった。
 幼女は自分の目の前に置かれる火酒のジョッキを眺めて、うわぁ、と目を輝かせる。きらきら、きらきら、と。
 そして、彼の方に顔を向けて見せる。

「ありがと!」

 ちゃんとお礼を言えるいい子です、幼女。
 そして、くぴくぴ、と火酒を一口飲んで、がじりがじがじ、とジャーキーをかじるのでした。

「クリュソスの護衛?そんなに人手が足りないの?
 クレスが護衛に入るなら、問題ないんじゃないの?」

 最近の情勢を考えれば護衛の依頼は多く出ている、だけれど、幼女は気分屋であり、長い拘束はあまり好きではない。
 少し前は、とある貴族の護衛をしたがそれはさすがに姉のお願いだから受けたのであり。
 気ままにあちらこちらに動くことの出来る依頼のほうが好みだ。
 とはいえ、彼が自分にあえてそれを口にするので、もう少し詳しく聞いてみたくなった。

 なんで、そんなに護衛が必要なのか、と。

クレス・ローベルク > それなりに稼いでるからか、男は金銭感覚が軽い。
何より、見目も麗しい少女が目を輝かせてこちらに礼を言ってくれるのであれば、これぐらいの出費は安いもの。
その出費の対象が酒であるのが少し可笑しいが、まあ喜ぶものは人それぞれだ。

「どういたしまして。んじゃ、俺も飲もうか」

柑橘系の果汁とジンを混ぜた、比較的度数低めのカクテル。
口内がさっぱりするし、口が回る丁度いい度数なので、話の場では良く呑んでいる。

「確かに、普通の警護なら、適当な冒険者を何人か置いとけばいいんだけど。
でも、お金持ちとかそういう人達を相手にするオークション会場だと、警備員にも礼儀作法や見た目が求められるからね」

闘技場でも、偶に大商人や貴族を招くときは、専門の護衛を雇う事がある。
クリュソスでも、高額な商品を取り扱うときは同じ対応をする筈である。
それに、ラファルに敢えてこの話を振った理由は、他にもある。

「それに、王族の奴隷とか、宗教的に価値のある物品とかだと、そういうのを狙ってテロ紛いの事をする連中も出てくるだろうからね。
ラファルちゃんぐらい強ければ、腕の立つ連中が複数人襲ってきたり、会場が爆破されるような事態になっても、なんとかなるでしょ?」

要は、強くて可愛くて礼儀正しい。
金持ちを対象にする警護とはそういうものが求められるのであり、ラファルは正にその適任なのだった。

ラファル > 「いただきまーす。」

 彼が飲もう、という言葉に、既に口をつけていたにもかかわらず、幼女は言って、くぴくぴぷはー。と火酒を飲んでいく。
 彼の考える通りにお酒には強く、酔うような様子は見せず、強い酒を飲み下し、ふはぁ、と満足げに息を吐き出した、大丈夫、火炎のブレスは持ってないので吐き出すことはできてもしない。
 そして、軽く、肉のジャーキーをもぐもぐ、とかじり。ふと、一本手に取って見せる。

「あーん?」

 ひょい、と一本ジャーキーを持ち上げ、彼に口を開けるように、自分で開けて見せる。食べさせてあげる、と言うあのムーヴである。
 遠慮するならするで、別に構わず、自分で食べるがさてどうするだろう。

「でもあそこ、根元がねー。」

 幼女冒険者、幼女のクラスは盗賊系のクラスである。つまり、クリュソスのイベントが、本当は何処が主催なのか、と言うのは、理解している。
 と言うか、盗賊ギルドの方でその辺りは聞き及んでいる。
 確かに、王族とか高級品とかの取り扱いがあり、彼や幼女の様な実力者が護衛として求められるのはわかるのだけれども。
 幼女に言わせれば、あまり関わり合いになりたくないのである、お嬢様として。

「それに、ボクから言わせれば、クレスの言うような手合いの侵入を許す時点で警備の見直し必要じゃね?って思うんだよね。
 ボクだって、爆破の事態に関しては、自分と護衛の対象程度は何とかするけれどさ。
 それ以上の面倒を見る気は起きないし。」

 できるかできないか、でいえば、出来る。
 やりたいかやりたくないかでいえば、やりたくない。

「で……、何を?」

 護衛として守るために声を掛けたの?幼女は首を傾いで見せる。
 その辺りやはり、冒険者でもあった。ちゃんと全部聞いてから、伸るか反るかを決める積り。

クレス・ローベルク > 「……流石に、見た目幼女の子にあーんされるのは恥ずかしいんだけど」

知り合いとかに見られてないよなと一度辺りを見回してみるが、まあ多分居ない。居たらそもそも一人で酒とか飲まないし。
となれば、恥ずかしさはあっても、断る理由はない。
ドレッシングはかかっているとはいえ、野菜スティックだけだと寂しいのも確かにあったし。

「あーん」

もぐもぐ。美味い。
塩気が効いて、肉の旨味もある。
酒のつまみとしては十分。この手の肉系のつまみは、保存食感もあるので街では食べないが、偶には良い

「"根本"か。俺はあんまり気にしないけど、実家が商会だと評判とかの関係もあるからなあ」

"根本"そのものについては、何となく聞いている。
が、そもそも闘技場自体が決して筋の良いとは言えない職場であるので、そこまでの忌避感はないが、トゥルネソル商会のお嬢様という立場だと、また違うのだろう。

「まあ、それはそうだねえ。ただまあ、警備コストの問題とかもあるしね。警備には気を払いつつも、事が起きた時に最低限モノや人を守れる人材も必要なんだとは思うよ」

と、一応フォローはしつつ。
とはいえ、相手がやりたくなさげなのは、今までの流れで何となく解る。
こちらも、無理強いをするつもりはない――寧ろ、どちらかというと話の種半分ぐらいの話だったのだし。

「まあ、だから全然断ってくれても良い。
興味があれば、程度のつもりだったしね。
金銭面以外のメリットとしては、富豪や裏社会の人間とコネが取れるかも、程度だし……」

話の流れを少し失敗したかも知れない、とも思う。
世間話のつもりだったのだから、もう少し雑談っぽい話の流れを作るべきだった、と。
まあ、だから、半分は冗談のつもりで。

「ま、俺としては余所行きの服装を着たラファルちゃんと仕事したいなーって下心もあったけどね。
正装っぽいラファルちゃんとか、超貴重だろうし」

ラファル > 「にひ。」

 恥ずかしがる男の人を眺め幼女は人の悪い笑みを浮かべて見せる、悪戯が成功したときの、とっても気分がいい笑い。
 にまにまにまにま、と彼を眺める。だからいたずらはやめられないね、と言わんばかりで。
 それでも、あーんと食べてくれる彼の優しさに乾杯だ。
 彼が食べるのを眺めてから幼女はジョッキを掲げてくい、と飲んで見せる。

「そだねー。ボク自身は、別に気にしないし、今更、な気はするけれど。
 トゥルネソルと言う商会としてはね。
 ただ、依頼元が、何処か、にも寄るよ?」

 そもそも、幼女は盗賊ギルドに渡りが付けられる―――関係者であるという時点で、クリュソスの『根本』と関係を持っても大差はないのである。気にするほどのものではない。が、これはおおっぴらにする積りはないし、ここは冒険者ギルドの中で、今は人も少ないから言える事だ。
 やはり、真っ当な商人としては、出来る限りそういう裏とは繋がりたくないものである、知らないうちに繋がっていた、は兎も角自分からは、彼の言ったとおりに評判などにかかわるものだからだ。
 正直に、幼女からして、神経質だな、と思ってもいるが、普段自由にさせてもらうのだ、家に迷惑はできるだけかけたくはない程度の思考はある。それもまた今更な話だと家は思っているが。何時も飛び回ったりドラゴンになったりしてる時点で大概だが。
 彼の持ってきた護衛依頼の依頼元によっては、幼女はうんと言ってもいい、お小遣いは在ればるほどうれしいし。

「正直、クレスの言うメリットは、ボクには、どうでもいい話、だね?」

 お金もある、富豪へのコネ、そもそも、実家が富豪カテゴリ。裏社会へのコネ、盗賊ギルドで十分。
 ただただ、世間話でしかないレベルにしかならなかったが。
 ふむぅ、と考える。

「―――余所行き……。正装。
 ボクね?服っていう文化は、なくなればいいって思うんだ?」

 そもそも、幼女は裸族である。今の状態で、最大限譲歩した慎み深い服装なのだ。
 精神的にはドラゴン寄りで、野生児なのだ。全裸で歩き回りたい位、走り回りたいと豪語してる。
 布面積が増えるほど、不機嫌になるという面倒くさい子である。

 が。

「折角、お誘いしてくれてるんだし。お小遣いはあっても困らないね。
 あとは、何処の依頼か、だけだね?」

 依頼元が、クリュソスでなければ、受けるよ。
 幼女はにっこり微笑んで見せた。

クレス・ローベルク > 「いや、確かに凄い薄着だけど、そこまで嫌いだったのか……」

自宅では裸の人、というのは男女問わずに存在するが、そこまで極端なのも珍しい。
だとしたら、絶対正装なんて頼んじゃいけなかったなと思うが、逆にだからこそこれが正真正銘最後のチャンスであるかも知れない。
そう思うと、ちょっと真面目に考えるモードになる。

「うーん、そうだな……いや、そういえばアレが……いや、でもアレはなあ」

正装とかを着る必然性があって、且つそれなりに信用できる依頼元。
そういうものがあったかどうかと考え――そういえば、と思えるものがあった。
厳密には冒険者ギルドが出してるものではないが、依頼元としてはかなり信用できる――何せ、自分の所属先だ。
だが、アレは果たしてラファル向きなのかと疑問が残る。
だから、『一応、言ってみるけど断ってくれていいからね?』と前提として言ってから、

「あー……闘技場のスポンサードパーティが近々あるんだけど、そこの護衛はどう?」

と、提案してみる。
スポンサードパーティ。要するに、金を出してる者達で行うパーティである。
冒険者としての依頼書は出回ってないが、大会出場者であるラファルなら、推薦すれば普通に雇ってもらえるだろう。
何より、

「支援者には血の気が多いのも多いからさ、酔った勢いで喧嘩とかするんだよね。
だから、そういうのを取り押さえられる人が一人でも多く欲しいんだ、本当に……」

遠い目で語る男。
恙無く終わることもあるが、参加者の質によってはとんでもない大喧嘩に発展することがある。
闘技場側も、『本当に最悪の場合腕一本ぐらいなら折っていい』と異例の許可を出す程だ。

「うん……だからその……手伝ってくれると嬉しいかなあって……」

ラファル > 「人として過ごすために、大奮発してるんだよ?よく考えてよ、服着て歩いてるドラゴンなんていないよ?」

 ちなみに、偶に家族などの目を盗み、裸で逃走することもあるらしい幼女、性格は、性質は、野生のドラゴンなのだ、知性理性があるから、説得に応じて、隠してる。
 とは言いつつ、ちゃんと必要に応じた格好をすることはあるから、幼女は侮ってはいけないのだったりもする。

「―――別にいいよ?偶に遊びに行かせてもらったりもするし。恩を売っておけば堂々と遊びに行けるでしょ?」

 幼女は偶に、本当にごく稀に闘技場に現れる、それも、闘技場のスポンサーや運営が予想もしない方法で。
 ある時は、出場の書類を偽造して入り込んでみたり。ある時は、スカウトサービスのスカウトマンがスカウトしようとした人と入れ替わったり。
 ある時新人スカウトマンが、スカウトしようとして声を掛けたら、いつの間にか幼女になってた、とか、上司に怒られて泣いていた時もある。
 ある意味―――運営泣かせな方法で入り込んで戦って勝ったり負けたり。遊んでいるから、勝ち負けさえ安定しないのでうまく賭けにもできない。
 だって考えても欲しい、幼女を捕まえて戦わせるのは、一部の変態さんしか喜ばないのだから。
 残念ながらこの国にはその変態さんの割合はほかの国の三倍は多いが。

「で、どんな服で行けばいいの?クレスんところで用意してくれる?」

 幼女は、ジョッキをあおりながら問いかける。
 こちらで容易というのならば、三通り+ネタで考えている、お仕事の正装、ちゃんとしたドレス、フルアーマー。 ぜ・ん・ら。
 指定しなければ、ネタで行く可能性がとても多い。
 煽り全一と言われるかっこだ。

クレス・ローベルク > 「それを言われると確かにそうだけど……
だとしたら、今度竜種の人に会ったら、その辺気を使ってあげた方が良いのかもな……」

ドラゴンが人に化ける事は知っているが、人に化けたドラゴンがどういう気持ちで生活をしているかについては全く知らないのである。
そして、男は他人の生活習慣については意外とすんなり受け容れられてしまう所があり――つまり、普通に真に受けてしまっていた。

「ああ、そういえば偶に君の話聞いた気がする。主に酒の席の愚痴で。
『組んだはずの試合カードを書き換えて出てくる謎の幼女』とか都市伝説かよと思ってたんだけど、アレ君だったのか」

何分酔って呂律も脈絡もあったもんでは無かったので、それがラファルであるとは気づかなかったが。
男としては彼らのおかげですんなり話が纏まったのだから、彼らの犠牲に感謝する他無いが。

「うーん、多分パーティドレスかな。
警護としては似つかわしくないけど、襲撃じゃなくて客の喧嘩を抑える役回りだから、運動性よりも威圧感を与えない事を優先するだろうし」

彼女の場合、下手に動きやすい服装を着せると、それはそれでやりすぎてしまう恐れもあるという計算もあるが。
彼女の強すぎる力は、頼りになると同時に、少し不安にもなる――彼女もその辺は心得ているだろうという信頼はあるが、対策は必要である。
まあ、それはそれとして。

「ちなみに、お勧めは白かピンクのフリル付きのドレス。膝にかかるぐらいのスカート丈が良いかな」

と、さらりと自分の趣味を付け足す男。
ラファルほどではないが、男も割と公私混同するタイプの人間なのだった。

ラファル > 「そだね、人に変身してると窮屈だし、ね。」

 大人ならば、理解もしてるだろうし、服装は大丈夫だろう、ドラゴンは一般的に頭がいいので。そして、服装に関しては気にしていない筈だ。
 着飾ると言う文明を理解しているから。だた、この少女の場合でいえば、裸は趣味であり、本能であり。ただ服が嫌いなだけだった。
 真に受けるかれに、うんうん、とニンマリ笑いながらうなづくのであった。

「えへ。
 とても楽しゅうございましたー。」

 いつの間にかすり替わる書類や、人物。偶に運営が何度もチェックしてそのチェックした後に、すり替わっていた、とか。
 ホラーの様に囁かれることもある、が。それは運営での話であり、闘技場でのバトルは、つつがなく進行するから頭の痛い所。
 摘まみだそうにも、どの瞬間で現れるのか、運営が判らない、それこそ、バトルのための柵を開けたら、其処にいた、とかよくある。
 試合を組む短刀が一回心労でぶっ倒れたと聞いたこともあるぐらいに、幼女は危険生物だった。

「ん、わかったよ。
 白いふわふわフリルのパーティドレスだね。
 破らないで、暴徒鎮圧、面白そうだね!」

 にっこり笑って見せる幼女。ストライダーとしての技術を使えば、ドレスで走り回るのだって問題はない。
 ぶっちゃけ、枷にすらならない。
 ちゃんと、お淑やかに、暴徒をなぎ倒せばいいんでしょ、と怪我をさせないで無力化させることは同意した。
 まかせて、と薄い胸を、どんと叩いて見せる。
 それから、火酒を最後まで飲み干した。

「じゃ、そろそろ眠くなってきたし、準備するから帰るね?
 あとで、招待状、よろしく!」

 ウインク一つ零して、幼女は立ち上がり、御馳走様でした、と酒場を去るのだった―――

ご案内:「◆港湾都市ダイラス “ハイブラゼール” 冒険者ギルド」からクレス・ローベルクさんが去りました。
ご案内:「◆港湾都市ダイラス “ハイブラゼール” 冒険者ギルド」からラファルさんが去りました。