2020/05/01 のログ
ご案内:「◆港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”【イベント開催中】」にクレス・ローベルクさんが現れました。
■クレス・ローベルク > 仮面を被った客たちと、彼らの視線の先にある『今宵の主役』
普段は、簡易な演劇や歌唱が披露されるホール会場は、今は退廃的なオークションの舞台となっている。
舞台の上のMCが、様々な商品を捌いていく。
ご禁制の品、呪いと大差ない何かがかかっている美術品、奴隷に貶された王族の娘――。
所謂良民が見れば、眉を顰める様なラインナップ。それ故に、視線はその商品に集中する。
「……」
その上。
舞台照明や大仕掛けが置いてあるスペースに、迷彩色のローブを羽織った男が、じっとしゃがんでいる。
彼は、今日のオークションに雇われた警備員だ。
何時もは、剣闘士として多くの客達の視線を浴びる身だが、今日に限っては誰一人の視線も彼には注がれていない。
舞台の中でも目立たない場所に居るというのもあるが、彼が羽織っている迷彩色のローブの魔力が、彼らの視線を欺いているのだ。
「(やれやれ、全く向いてない仕事だ)」
彼の仕事は、オークションの妨害を排除することだ。
少しでも怪しい動きがあれば、それを捕らえて尋問する。
本来はこんな仕事はしたくない――このオークションが非合法である事を考えるとなおさら――のだが、それでも受けているのは、クリュソスにコネのある闘技場運営幹部の一人[ジョウシ]のせいだ。
尤も、
「(まあ、何もないことを祈るしか……いや、何かを起こすのが女の子なら、それはそれで楽しみがいもあるのか)」
などと考えているあたり、彼自身が思っているほど、嫌々やっている訳でもない。
要は、何もなければ楽、何かあっても場合によっては楽しめる――そういう意味では、美味しい仕事とも言えるのだった。
■クレス・ローベルク > ――男の仕事は続く
ご案内:「◆港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”【イベント開催中】」からクレス・ローベルクさんが去りました。