2019/12/17 のログ
■クレス・ローベルク > それから一時間。全くファンレターの返信は進まない。
くるくるとペンを回す男だが、幾ら回せどアイディアなど湧いてこない。
というのも、このファンというのが中々の難物なのだ。
「……まさか、子供から返信が来るとは」
それも、エロガキとかではない。
親の目を盗んで闘技場を見に来て、しかも男の戦いを見て感動したという内容なのだ。
恐らく、見たのは、男同士の、謂わばガチの戦いだったのだろう。
勿論、ただエロいだけではなく、戦いにおいても観客の目を楽しませるモノを見せられるからこそ、闘技場の剣闘士なのだが――。
「いかんぞ、まっっったく、返信が思い浮かばない」
まさか、『君も将来は立派な剣闘士になってください」とは言えない。どんな進路指導だという話である。
だからといって、『君はこんな職業に就く羽目にならないようにしてください』などと本音を言う訳にもいかないだろう。
「ん"ん"~……」
便せんを見ながら唸る男。
筆は全く進まない。
■クレス・ローベルク > ――男の煩悶は続く
ご案内:「海の見える喫茶店」からクレス・ローベルクさんが去りました。