2019/10/09 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」にクレス・ローベルクさんが現れました。
クレス・ローベルク > 昼下がりの通りを、男が歩く。
通りは、店だけではなく、露天なども開かれていて、冒険者を始めとする戦闘系の者たちによって賑わっていた。

「さてさて、気合入れて武器選ばないとね」

露天やショーウィンドウに並べられた武器たちは、陽光を反射してきれいに見えるが。
しかし、この中で見掛け倒しでない、『使える』武器を選ぶのは難しい。
魔剣や聖剣の類でもなければ、重要なのは切れ味よりも頑丈さと信頼性。
しかし、試し切りなどできる訳でもないので、つまり運と目利きが全てだ。

「どれがいいかな……と」

今のところ、男は剣に目が行っていて他がおろそかだ。
勿論、悪意や殺気へのアンテナは張っているが……逆にそれゆえに、悪意なく誰かにぶつかったりぶつかられたりするかもしれない

クレス・ローベルク > 伸びる魔剣。縮む魔剣。消える魔剣に、勿論よく切れる魔剣。
意外なことに、こういう場末の売り場にも、魔剣は結構売られている。
勿論、それなりに高いとはいえ、それでも通常の剣の1.5倍ぐらいだったりするものも多い。

「……っていうか、食べられる魔剣て」

最早何処の何の層に売ろうとしているのか。
勿論、魔剣とは広義には『魔法効果のある剣』であり、魔法の内容に関わりなく、魔法効果があれば等しく魔剣である。
そして、魔法効果のある剣自体は錬金術師なり付与系の魔術師に頼めば割と安価に作れるのだが……

「大体、そっちにコスト取られて武器としての性能がおざなりなんだよなあ……」

逆に、あんまり高性能な魔剣は、それはそれで"困る"が――使えないよりはずっといい。
副業の冒険者用の剣も欲しいし、強い魔剣も欲しいのは欲しいのだが。

クレス・ローベルク > 「……お」

ふと、気になった一本の剣。
普通の材質で、特に魔力も込められていないが……光沢が艶やかだ。
老婆の店主に断って剣を手に取ってみれば、かなり軽い。
それでいて、折れそうな感じはない。振ることはできないので実際のところは解らないが……"当たり"な気がする。

「……ふむ」

実際にどちらなのかは解らないが、何か"よさそうだ"と。
男はそう思い、剣を見つめている。
尤も、この手の直感は外れる事が多いので、見る人が見れば偽物だったりするのかもしれないが……

クレス・ローベルク > ――結局、男はその剣を買ってみることにした。
結局のところ、その剣は単なる量産品で、頑丈さだけに主眼が置かれすぎて剣としては微妙だったのだが。

「まあ、予備として使えないことはないかな」

という負け惜しみの様な感想を、溜息と共に吐いたという。

ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」からクレス・ローベルクさんが去りました。