港湾都市ダイラス　“ハイブラゼール” 2019/08/29

2019/08/29 のログ

ご案内：「港湾都市ダイラス　“ハイブラゼール”　酒場」にクレス・ローベルクさんが現れました。

クレス・ローベルク > 朝起きて、仕事をして、帰る。
そんな、平凡な――ある意味貴重な一日を過ごした男。
何時もの仕事では、女を犯したり、或いはとんでもない強敵と戦ったりするのだが、今日はそういう事はなく。
普通に男の戦士と良い戦いをして、普通に金を貰って、普通に帰ってきてしまった。
それ自体は良いこと、なのだが。

「何か、物足りない……」

行きつけの酒場で、少しだけ高めの――男の収入からすると常飲できる程度のだが――ワインを飲みながら、男はひとりごちる。
こんなにリスクジャンキーだったかなーと思うが、しかし性感にせよ危険にせよ『刺激』である。
今は、それに飢えた気分という事だろう。

「とはいえ、こんな酒場でそんなエクストリームな事起きるわけないよなあ……」

自分から危険を探しに行く気分でもないし。
そんな訳で、ちょっと釈然としないながらも、平和な夕方を過ごしていた。

クレス・ローベルク > 男は、口付けるようにワインを飲む――時折、机にあるツマミのチーズを食べながら。
今日は未だ、夕食を食べてはいない。
特に食べたいものはないので、この店で取ろうと思い、メニューを見る。

「……うーん、偶には変わったヤツも食べてみようかな」

刺激と言うには物足りないが、しかし此処で無難な物を頼むのも、なんだか言行不一致な気がする。
とはいえ、流石に普通の大衆食堂にそんなぶっ飛んだものはない。
精々あるのは、変わった異国料理といった所だ。
とはいえ、この港町は多様な文化の集積地。
男も大体の料理は食べ尽くしているわけだが……

「ん？此処、ラーメンあるのか」

シェンヤン料理店という訳でもないこの店で、ラーメン。
ラーメン自体は割と見かけるが、それはあくまで専門の店が出しているイメージだ。
どうやら、期間限定品らしいが……しかし、今まで中華料理に手を出しても居ないような店が、果たして店で作れるようなラーメンを出すだろうか。

正直、値段は安くはない……しかし、それ故にギャンブル的な感覚を感じる。
美味しいか不味いかはともかくとして、少なくとも退屈であることはないだろう。

「ふむ、注文してみようかな」

店員を呼び、ラーメンを注文する。
さてはて、どんな物が来るのか。

クレス・ローベルク > 暫くして出てきたのは、確かにラーメンだった。
スープと、麺と、平べったい肉とかネギとか具とか。
そういうのがきちんと乗った物ではあった。
のだが。

「……なんだコレ」

用意されたフォークで、麺を巻いて見る。
……どう考えてもパスタだ。
浮いている肉をフォークで刺してスープから出してみる。
……どう見ても薄切りのステーキだ。
そして、香り高い湯気を立てているスープに至っては、

「……コンソメじゃん」

匂いからしてコンソメの香りである。
確かに香りは良いし、製法も『出汁を取る』という意味で共通してはいるが、コンソメはコンソメである。
というか、これはラーメンと言うより……

「スープパスタにステーキを載せただけじゃん！これ！」

何だこの雑な再現。
料理自体は手間がかかっているのがまた非常に腹立たしい。
コンソメスープなど、作るのはかなり大変な筈なのだが。

クレス・ローベルク > 「まあ、良いや。予定外の物が出ちゃったけど、取り敢えず食べてみないとわからないからな……」

麺を巻いて、一口で食べる。
スープの肉の旨味が口いっぱいに広がる。
塩気のあるスープと麺の相性も良い。
普通に満点をあげられる味だ――コンソメスープパスタとしては。

「何でこのクォリティの料理に"ラーメン"って名前を付けてしまったんだ……」

浮いているステーキだって、良い歯応えと味をしているのに。
スープの中に浮かせた上で、水っぽさも薄味さも感じさせないのは、普通にすごい技術だと言うのに。
その技術をどうしてこんな雑なラーメンに使ってしまったのか。

「……謎だ……」

首を捻りながら、ラーメンを平らげていく。

クレス・ローベルク > 「……完食してしまった」

結果として、求めていた刺激は得られたような、しかしそういう意味ではなかったような。
そんな複雑な気持ちで、男は器を睨んでいた。

ご案内：「港湾都市ダイラス　“ハイブラゼール”　酒場」からクレス・ローベルクさんが去りました。

ご案内：「港湾都市ダイラス　“ハイブラゼール”」にティニーさんが現れました。

港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”

港湾都市ダイラス　“ハイブラゼール”