2019/08/05 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール” 大通り」にクレス・ローベルクさんが現れました。
クレス・ローベルク > 日差しが、街の通りを炙っている。
立っているだけで太陽の熱を感じるレベルの日差しだ。
大通りを歩く者達の大半も、ウンザリした様な表情で、活力無く歩いている。
しかし、そんな中、強引にでも活力を奮い立たせて歩かざるを得ない者がいた。
それは、明らかに重そうな木箱を捧げるように持って歩いている、青い闘牛士服の男である。

「絶対これ俺の仕事じゃない。絶対これ俺の仕事じゃないんだって……」

そう呟きながら歩く男。
手に持っているのは、闘技場で使われる武器の入った木箱だ。
剣、槍、盾、薙刀、刀etc……それぞれ一本だけでも、持ち続けるのは少し辛い重さだ。
それがそれぞれ10本ほどセットで突っ込まれた木箱である。
重い、でかい、取っ手がついてないから持ちにくい。

「こんなの奴隷で済ませろよ……」

いや、解る。
こんなものを奴隷に持たせたら、最悪それ持って逃げられるであろう事は良く解る。
でも、何も自分に任せなくてもいいだろう。

勿論、仮にも闘技場に雇われている身。
本来の職分からは外れるにせよ、上から言われた事に従わないのは、後が怖い――こういう考え方だから、こうした雑用を押し付けられるのだが。

「ちくしょー」

そうぼやきながらも、足はずんずんと先に進んでいく。
まあ、何せまだ運ぶべき木箱は6箱程残っている。
こんな所で、ぐずぐずしているわけにはいかないのだ。

クレス・ローベルク > 男の仕事は要するに、ダイラスの鍛冶屋で作られた武器を回収し、指定された空き地に全て置く事だ。
そこから先は、馬車で闘技場まで運んでくれる手筈になっている。
上司からは、これが運んだ後は好きにしていいと言われているが――しかし

「これ、下手すれば試合よりハードだぞ……」

箱が大きいので、両手で抱えないといけないし、当然周りの人にぶつからないようにしないといけない。
何より、地味且つ孤独なのが辛い。
いっそ、チンピラに絡まれた方がまだ精神衛生上楽だ――ただの肉体労働が、こんなに精神を削るものだとは思ってもみなかった。

「あっちぃ……」

クレス・ローベルク > ――男の仕事は終わらない
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール” 大通り」からクレス・ローベルクさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール” 公園」にクレス・ローベルクさんが現れました。
クレス・ローベルク > 「ZZZ……」

公園のベンチで、男が寝ている。
熟睡である。
近くには酒瓶と安物の木のジョッキが転がっていて、誰がどうみても酔っ払いの所業である事が一目瞭然である。

「おお槍が飴に……ぐー」

良く解らない寝言を言いつつ、仰向けで寝ている。
誰が見ても無防備であるが、それは自身の身に留まらない。
ポケットの中から財布が見えているし――男が腰につけている剣は、一応魔法がかかっているので、高く売ろうと思えば高く売れるだろう。

クレス・ローベルク > 「ん、んん……」

男が目を開けた。
そして、きょろきょろと辺りを見渡す。

「何で俺こんなとこでfdそさd」

訳の解らない事をごにょごにょと言っているが、どうやら何故自分がこんな所で寝ているのか、記憶が飛んでいるらしい。
まだ頭がぼうっとしているのか、ベンチの上で何も考えていないように、呆けていたが、

「眠い……」

ばたり。
また倒れた。
どうやら、二度寝に入ったらしい。