2019/08/02 のログ
■クルト > 「それただの驚かす宣言じゃない?」
ただの意識の切り替えでなくそれが自然体であると示すように一瞬感情を覗かせて笑い。
見た事のない武器に警戒の視線を向けながら足裏が音もなく地面を滑り応じる構えに。
「了解。 じゃあ前と同じでうっかり死んだらごめんなさいって事で
やろうか」
相変わらず速い、と瞬時に間合いを詰める動きに目を細めるが見るのが二度目であれば流石に驚きを覚える事無く姿を捉えられる。
トンと地面を蹴ると身を宙に躍らせ回避しつつ、その動きに回転を加えただ刀を振っただけ、といった気負いも殺気も感じさせない刈り取るような一閃を首に向けて放つ。
■ホアジャオ > 急所を的確に狙った一閃
更に首を横に傾げて何とか斬撃から逃げる。
宙に舞った三つ編みが、刀に打たれるぱし、という音が響く
「!っぶな!
宣言しとけば卑怯ってこたないモンね――」
その間避けられた鉄棒は一瞬たりとも止まらない。
風音はそのまま唸り、周回した鉄棒の勢いを殺さぬように反対で受け取ればそのまま加速して、少年の振った腕に鎖を絡めてしまおうと――
「次からず――――ッと、アタシと会うときは身構えときなよ!」
同時、飛び上がった相手が落ちて来るタイミングと合わせるように、立ち上がると同時の蹴りを腹目掛けて放つ!
――もうそろそろ、相手の背後に反対側の手摺りが見えるだろうか?
■クルト > 「なるほど……ホアジャオと居るときは気が抜けないと
じゃあ俺も……飛び道具行くよ?」
刀を握っているときは自分自身も研ぎ澄まされる気分になれる。
腕に掛かる重みはもはや意識の外に、体捌きの最中に腕を振るうような感覚で刀を操り、指差すような感覚で切っ先を向けることが出来る。
首が動くと同時に、ああこれは避けられる……とすぐに攻撃の意思を捨て振り切る勢いそのままに手元に引き寄せ絡め取ろうと振るわれる鎖の包囲から離脱。
続けて放たれる蹴りとの間に刀の腹を挟みこみ、自分を押し出す力へと変え、視線もやらずに手すりを足場に大きく跳躍。
夜空に浮かぶ月に影を重ねながらコートの中に腕を突っ込み、取り出されたのは二本の鉄の棒。
指の間に雷気を纏わせ投擲モーションを解さぬ電磁投射で矢の様に胸の腹、身体の正中に向け放たれて。
■ホアジャオ > 躱される鎖
更に周回するそれをまたもう片方で受ける動作をしながら、こちらの蹴りを上手く遣う相手に細い目は精いっぱい丸くなり、またにい、と細められる。
「退屈しなくていいでしょ…ッ!?」
ぱしん、と鉄棒を片手で止めると、跳躍し月に重なる相手を眩しげに見て―――
ぎいん!
「っ!ぐえ…!!」
光を受けた影は濃く、動作が見えないのもあった
だがそれ以上にモーションが無い事で反応が大いに遅れ、翳した鉄鎖で弾いたのは1本だけ。
1本はまともに腹に受けて――それでも同時に後ろに跳んで、何とか『刺さる』ほどのダメージは殺しながら
ごろんと後転して体勢を整える。
――その、片膝をついた女の片手には自分を撃した鉄棒が握られて
「―ったなァっ!」
こちらは大きなモーション付き
だが素早く腕をぐるんと回す合間から相手に鉄棒を投げ返す!
■クルト > 「ああ、面白い、次の瞬間が予測できなくて気が抜けない
まばたきするのも……勿体無い」
ニィと、凪いだ感情から浮き上がるように好戦的な笑みを浮かべ、挨拶代わりの一発が上手く意表を突けた事に得意げに目を細める。
自分の本領は相手の意識の裏側を突き反応の遅延を積み重ねる事にある、不意打ちに生まれた隙をさらにこじ開けようと隣の建物の屋根に着地し、衝撃を逃がす膝の動きをそのまま予備動作に変え……。
「っ! 硬いね、腹筋」
自分が予想したよりずっと短い時間で立て直し反撃すらしてみせる手腕に驚き予備動作(モーション)をキャンセル。
伸び上がるような切り上げにスイッチして投げ返された棒を切り払い、追撃を避けるため振り切った刀に身体を引かれるようにして移動開始。
立ち並ぶ建物の屋上を足場に跳躍を繰り返し回りこみながら誘うように短刀サイズの鉄棒を投射して。
■ホアジャオ > 「え――ッほ、げほげほッ
――――コラぁ、站住(まてえ)ッ!」
投げ返したそれが振り払われる音までの間身を揺らしながら多いに咳き込んで、次にぐわ、と上げた顔は目に険の宿らせながらにへらと笑った顔。
ぽんと飛び上がって手摺りに器用に着地すれば、相手を追いかける様に次の屋根へと飛び移る。
慣れたように跳ぶ少年よりはやや乱雑な足取りで、その脚は時折瓦を跳ね飛ばす。
跳び来る鉄棒は2本そろえて片手に握ったヌンチャクで弾きつつ―――その距離は中々縮まらない。
いや、寧ろ―――少し離されそうに。
舌打ちひとつ。
とある屋根に置いてあった塗りかけの煉瓦を駆け抜け様に拾い上げ
「――ンなろッ!」
ぶん、と相手の次の着地場所目掛けて投擲する!
弧を描いたそれは、空しくその場に散るかもしれないが、相手が進行方向を変えれば、少しでも追いつく筈だ――
■クルト > 「待てと言われて待つ奴が……あ、凄いこのセリフ現実で言えるんだ」
寸劇で良く登場するセリフが自然と口から滑り出て、思わず驚きくすりと笑みをこぼして。
互いに気を抜けば大怪我をするような応酬をしながら視線を、笑みを交わし明かりに照らされた歓楽街の空を二人して跳び、流石に二度目は通じないかとあっさり弾かれた鉄棒を視界の端に流し。
「ほんと、喧嘩慣れしてる……
俺も負けてないけど、ね」
自分の不利を覆すために咄嗟に、しかし間違い無く手を詰められる一手を選ぶ判断に感嘆の言葉をこぼし、空中で身を捻り一閃で煉瓦を割り砕く。
そしてその程度で体勢を崩しはしないが進行方向と身体の向きが180度入れ替わり、再度移動を開始しても追いつかれるのは目に見えている。
ゆえに、追いすがる彼女に向けて屋根瓦を踏み砕く勢いで跳躍、刀身が背中に隠れるほどに振りかぶり……振りぬかれる右腕には何も握られておらず空を切り。
「我流、方違(かたたが)え」
刀を背中に隠したタイミングで左手に持ち変えられており、逆サイドから腰を凪ぐような切り払いを。
■ホアジャオ > 「だから伊達に喧嘩売りまくってな、――ッ!?」
追いつく、と紅い唇と細い目が綻んだのも束の間
逆に、寧ろ勢いまでつけて大きく跳躍し、向かってくる相手。
望むところ、と宙で交差するように跳びながら油断なく視線が這う。
大きく振りかぶられた少年の手
――先までは殆どモーションを入れなかったのに?
それでも、反射的にヌンチャクを持たぬ片腕を受ける様に翳しつつ――
もう片方だ、と気づいて引き上げるもう片方は、武器を持つ重みが故に間に合わず
「!ッぁ…!」
どす、と鈍い音と共に痛烈な撃が横腹を襲う
―――それでも、咄嗟に力を籠め身体を少しだけ捻らせて、内臓まで響くのは何とか防ぎ、傾ぐ身体を勢い止めず、重心を手の方に乗せて―――
「――ンなああああっ!?」
丁度下は三角屋根の建物。
手からの着地はその斜面。
ごろん、と前転一回転して、ががが、派手に音立てながら何とかその瓦の襞に片手は爪を立て――
「―――ッだあああああっ!!」
両脚をその斜めを駆けあがる様に蹴って、しんでも落ちるもんか!
■クルト > 「やっぱり売りまくってたんだ……」
どおりで自分に対して物凄くスムーズに喧嘩売って来たと思った……と呆れ混じりに呟き。
けれどその行動力が無ければ自分たちは今こうしていなかったのだと思うと巡り合わせとは不思議なものだと思わず笑みを浮かべ……。
「へぇ……」
手ごたえがおかしい、おそらくヒットの瞬間に身体の動きだけで力を上手い事逃がされた。
どう見ても初撃のフェイントで引っ掛けたはずなのに、そこからすぐさま対応してくる反応速度には目を見張るものがある。
空中で雷気をレールのように伸ばし、その上を滑るように一歩、二歩と空を足場に駆け
まるで四足の獣のように屋根を駆け上がる彼女と正面から相対し。
「蛇の目」
柄頭に手を沿え突きの構えを取る。
線として面として翻る刀身は相手の視点から見て一直線に、一瞬で点へとシルエットを圧縮し、鍔飾りだけが蛇の目のように相手を睨み付け……真正面からぶつかり合うよう真っ直ぐに撃ち放たれる。
■ホアジャオ > 「んが―――あああああっ!!」
遮二無二上へと駆け上がりながら視線を上げれば、滑るように近付いて来る相手。
そうして―――
真っ直ぐ駆け上がる自分。
当然、それに向かい合わせて――
真っ直ぐ撃ち放たれる相手の撃。
その瞬間、ふと、笑んだ紅は彼に見えたろうか
「――エやぁッ!!」
屋根を掻く手に力を籠めると同時
ばん、と駆け上がる足を跳ね上げ、前転の要領で身体を宙に翻らせて皮一枚で突きを交わし――
相手の頭部目掛けて踵を落とす!
此方の撃も一直線だ。
横へと躱されれば、果たしてまたごろんごろんと屋根を転がる事になるんだろう、か?
■クルト > 「ッ」
ふと浮かぶ笑みの気配、視界を惑わす突きに一切の躊躇を見せない動きに拙いと直感する。
身体を捻りを利用した全力の突きは次に繋ぐにも途中で切り返すにも間に合いはしない。
だから回避を諦め、戦闘続行が不能になりかねない頭部への打撃だけを避け、肩に思い切り踵を受ける。
斬撃や刺突を受け止める魔力障壁をもつ外套ではあるが打撃に対しては効果を発揮せずに屋根に叩きつけられる……が……それを織り込んだ上での選択であるがためバウンドの瞬間、手に雷気を圧縮し反発作用で大きく跳び上がる。
「ほんと……ホアジャオは、面白いね……っ!」
セオリーに無く、しかし正解を掴み取る動きはこれが喧嘩殺法というやつか、今まで自分がやりあった誰とも違う未知の戦い方にガラスの様な瞳に感情の熱が灯る。
自らを弾き飛ばした勢いのまま壁に足を付くと移動の勢いと雷気の吸着を利用し壁面を駆け、飛び上がり煙突を足場に跳躍、宙を駆け目まぐるしく飛び回り視界を横方向に振りながら再び二本の鉄棒を投射。
先ほどとは違い雷気の輝きを帯びたそれは見当違いの方向へ飛んでいき……ジャッと鉄板に水をぶちまけたかのような音を立て雷気を開放、宙にカーブを描き挟み込むような軌道で飛来する。
■ホアジャオ > クリーンヒットとはいかないが、当たる感触にニッ、と口元が笑う。
足を上方に仰向けに寝転んだ状態から、相手が大きく跳び上がって離れる間に逆立ちを介してすとん、と立ち上がって
「ぅわた……」
視線は惑わせるように四方を駆ける少年に据えたまま
後方、下へと落ちそうになるのを何とか上辺まで駆け上がる。
その間に放たれた何か――視線は少年を追いかけ外さないまま、聞きなれない音に向かってほぼ反射的に、ヌンチャクを振りかぶって――
両側から迫るのに気付くのに僅かもない。
それを、躱す時間も。
がん!
「!ッ痛ァ」
びり、とヌンチャクを振った片側から伝ってくる痺れ。
同時、ほぼ反射的に上げた防ぐ腕を熱い撃がまともに貫く。
身体への直撃は免れたものの、ひどく後引くその痺れに思わずかくん、と膝を折った。
――その片膝が、屋根の上辺を捉え損ねる
「!?ッだあああああぁッ――」
今度こそごろんごろんと、時折瓦を弾きながら横倒しに転げ落ちて―――
「!?ッた、痛っ!あだっ!」
割と高い建物。
その下に広がる中規模の建物の軒にどしん、がしゃんと派手にぶち当たりながら、さながら落ち行く球のように時折、弾んで―――
「――――ッわああああっ」
がしゃーん!!
娼館の天窓をぶち破って落ちたらしい。
騒音のあと、女たちの黄色い悲鳴が巻き起こって――
その部屋の窓から慌てて街路へと飛び降りる朱色の女の姿が、上から覗きこんでいたら見えたかもしれない。
■クルト > 「ぁ……」
たぶん、普通の勝負だったら今のは体勢を崩しただけ、そこに自分が追撃を仕掛け彼女が返せるかどうかという流れになっただろう。
しかしここは高所であり、地面に落ちたら負けというルールな以上自分の勝ちである。
とはいえなるほど、もう一発といったところで決着が付いてしまうのはなかなかもどかしい。
次に殴りあう時があればせめて両腕がへし折れるまでやろうかと心に決め。
「あー……あーあー」
建物の中から聞こえる喧騒に何の店か察すると自分が落ちてたらヤバかったと密やかに冷や汗を流し、高所から逃げた先を確認するととーんとーんと軽く屋根の上を蹴って追いついていき。
「俺の勝ち……焼肉行こうか、焼肉」
ふふんと、普段はあまり感情を浮かべない顔に満面のドヤ顔を浮かべて踊るような足取りで歩調を合わせ……。
自分の身体の一部と認識していたせいでうっかり抜き身の刀を振り回して走っていることを失念していて、衛兵に見つかり、やべぇと速力を上げるのだった。
■ホアジャオ > 天窓が破られた以上の被害を屋根に残している。
「弁償しろ!」
何て声が後ろから追いすがってくる前に人波に紛れようと通りを駆けて――上から降ってきた声にはっと顔を上げた
「あッ、そか地面―――」
思わず足元に視線を落として歯噛みしてももう遅い。
続く言葉には、大通りに近づくにつけ増えていく人を避けるために視線を前にやったまま盛大に口を尖らせる。
「…まあ美味しいとこ知ってるからいいケド…
次もごはん賭けて喧嘩だかンね!」
そう、大声で屋根の上へと返して
屋根を飛び交っていた2つの影は、歓楽街のネオンの中に消えていくだろう。
―――果たして、女が案内した焼き肉店にて
また少年は一際辛いタレを味わわせられたかもしれない――
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール” 歓楽街 屋上」からクルトさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール” 歓楽街 屋上」からホアジャオさんが去りました。