2019/08/01 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール” 歓楽街 屋上」にホアジャオさんが現れました。
■ホアジャオ > 【待合せ待機中です】
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール” 歓楽街 屋上」にクルトさんが現れました。
■ホアジャオ > 夏本番も近いダイラス、その一大歓楽街たる不夜城『ハイブラゼール』
この季節海への遊行ついで、夜となっても通りは人で溢れ、色彩溢れる各施設からの明りや街灯のに照らされた人々の顔は酔ったよう。
嬌声さえ混じるざわめきも街を満たして、季節以上の熱気を醸し出していた。
カジノにレストラン、はたまた怪しげな娼館、どの店も出入り口には老若男女、大小種族様々なヒト――時にはヒト以外までもが溢れ
まるで生き物のごとく彼・彼女等を飲み込み、また吐き出しを続けている。
「楽しいのかなァ……」
その歓楽街、ひょろりとひとつ背が抜きんでたカジノ。
歓楽街のネオンを眼下に置く場所で、手すりに凭れて呟く女がひとり。
背後には、この屋上へと続く扉が『立ち入り禁止』の張り紙ごとぶち破られ、ひしゃげて転がっている。
見下ろす色とりどりの光あふれる場所とは対照的、だだっ広い灰色の石床に鉄製の手すりがあるだけの、何とも殺風景な場所に女がぽつねんと居る理由はひとつ。
この間出会ったばかりの、とびきりの『遊び相手』の宿に呼び出しの手紙を置いてきたからだ。
曰く
『
あす夜、月が昇るころ
ハイブラゼールで一番高い場所にて待ってます
追伸:武器は必ず持参してください
』
署名には『ホアジャ』をぐりぐり塗りつぶしたあと、『なぞの美女』と書き換えて。
(『世界一美味い飯を作るコック』とかのが、良かったかなァ――)
月は登って下から見れば屋根に差し掛かる頃。
ほんの少し待ちぼうけの女は、手すりに頬杖をついて、その紅い唇を尖らせている。
■クルト > 知人は楽しい街だと評していたがごみごみとしていてあまり楽しいとは思えない場所だった。
確かに美味い店もあるが観光客を引っ掛けるためだけの粗悪な店も多い、というか喧騒と匂いがどうにも肌に合わない。
海辺の落ち着いた雰囲気は好きだからもう少し田舎の漁村とかそういうところに行ってみようか。
そう思っていた矢先に宿に侵入の形跡があり、すわ誰か恨みを買った人間が報復に来たか……と後ろ髪をピンと立て……どう見てもこの街に一人しか居ない知り合いの怪しい手紙に脱力したのが昨日の話で。
「ホアジャオ……捻るならもう少し隠す努力しようよ……」
呆れた、という調子で屋上にやって来て第一声から直球で名前を呼ぶ。
名前は塗りつぶされては居たがバレッバレである。
とはいえ追伸で遊びの誘いと察し、先日の高揚とリベンジの機会に後ろ髪が緩やかに左右に揺れていたりするのだが。
「それで、デートのお誘い?」
ため息を一つで意識を切り替え、挑むような笑みを真っ直ぐに向けて。
■ホアジャオ > 「啊(わあ)!」
もしや道に迷って下に居るんじゃないかしらん、なんて思って、手摺りから下にこぼれそうに身を乗り出した所。
待ち望んだ声ではあったものの、早速の正体バレで急に名前を呼ばれて、一瞬本当に下にこぼれそうになってからがば、と振り返ってきり、と睨みつけた。
「哎(ちょっと)……驚かさないでよ!
…まァね、ちょいと夜の街中を一緒に散歩したげようかな、ッて」
そのまま手摺りに背を預けて、にい、と紅い唇が笑う。
その手はゆっくりと、チャイナドレスに似合わない皮の腰ベルトの後ろへ回って、じゃらり、鎖でつながったものを取り出す。
「―――約束のモノは?持ってきてくれた?」
取り出してそれ、鎖で繋がれた2の腕ほどの長さの鉄棒を両手で目の前に掲げて見せながら
まさか忘れたなんて言わないでしょうねえ、とばかりに首を傾げて見せた。
■クルト > 「俺もアイサツKOとかとんでもない戦績付くのかとハラハラしたよ……」
表情は乏しいながらも、あの喧嘩と食事で打ち解け気安い調子で冗談を口にしながら肩をすくめる。
試合開始の合図を待たず、攻撃も仕掛けずに勝利とかちょっと歴史上これより早い決着は存在しないのではないだろうかとにらみつける視線を柳に風と受け流して。
「言っとくけど、俺の武器は当たったら死ぬから。受けるとか止めるとかそういうアレじゃないから……
買って来た」
淡々と忠告のような言葉を口にして……それから玩具を自慢する子供のようなニヤリ笑いを浮かべ、コートの収納からスッと一振りの刀を取り出す。
黒塗りの鞘に鮫革巻きの柄、見るからに遊びのためだけに使うには不釣合いな一品ではあるが全力で遊びたい、という理由で手紙を受け取りすぐに買いに走った次第で。
「刃は潰してあるけど、全力で振ったら普通に凶器だし……あと、俺の戦い方結構姑息だからね。
俺、ハオジャオって面白いし美味しいご飯知ってるし、好きだよ。
だから、死なないでね?」
本当に軽い口調でさらりと口にすると鞘を払いコートの収納にしまい、抜き身の刀をスッと構える。
途端、気配は希薄に、素手の時はこれでもかと発していた闘気は凪いだ湖面のように静かに、見据える瞳はガラス玉のように感情を映しこむのをやめ、はじめる?と小首を傾げて。
■ホアジャオ > 「あはは!アイサツKO,面白いね
今度ソレ狙ったげるよ!」
きりり、と鎖を鳴らして鉄棒を回すと、ぱし、とまた片手で受け止めて。
相手の返答にはふうん?と面白そうに唇を尖らせながら、また反対方向へ首を傾げた。
そのまま、感情が消えていく瞳に唇の両端が更に吊り上がって――紅い三日月を形作る。
「そう簡単に死なないし、アタシもクルトの事好きだから、殺す気ないよ。
――だからね、今日は
地面に落ちた方が負け!ねッ!!」
手摺りから身を起こしながら、言い終わるが早いか
た、と石畳の淵を蹴った音が相手の耳に届いた次の間には、身を低くした女が振りかぶった鉄棒の唸りが、少年の脛辺りへ向かって繰り出される!