2019/07/29 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール” 修練場」にクレス・ローベルクさんが現れました。
クレス・ローベルク > 「――っ、――っ」

一定のリズムで、剣を振る男が居る。
未だ、10回目だが、既に男の顔は赤い。
まるで、体力不足の人間が急に運動したかのようだが、しかしこれは理由がある。

「――っっっ!」

その理由を一瞥するだけで理解するのは難しいだろう。
しかし、良く観察すれば、これだけの運動量の中、一度として呼吸音がしていない事に気づくかも知らず。

クレス・ローベルク > 「……ぷはぁ!?」

暫く振り続けていたが、やがて堪えきれぬと言った感じで息を思い切り吐き出す。
そのまま、前かがみになってぜーはーぜーはー言っていたが、やがて近くにあった水筒を掴み、

「し、死ぬっ!この鍛錬考えたの何処の馬鹿だ!?」

男がやっていたのは、呼吸を止めながら行う鍛錬法だ。
元は毒の中を戦うためのものであったが、ローベルク家では限界の中で戦う時の、粘り強さを鍛えるために用いる。
実際、あまりに激しい戦闘の中では、無呼吸に等しい中で戦っているらしい。
本当かどうかは知らないが、効率的な鍛錬させるマニアである実家がやっているならば、

「強くなるのは強くなるんだろうなあ……」

男の実家の特訓は、基本的には"強くなれる"のだ。
単純に、嫌というほど苦痛を伴うだけで。
故に、男は心を鬼にして、再びやろうとして……

「……いや、折角修練場に居るんだし、他の人と組み手とかしよう!そうしよう!うん!」

意思の弱さを誤魔化すように手をぐっと握り、適当な相手を探してみる。
さて、誰か居るだろうか、と。

クレス・ローベルク > 「(さて、どんな人が居るかなー)」

きょろきょろと相手を探す男。
こういうのは、割とフィーリングが大事だ。
腕が離れていなければ良いというものでもないし、戦い方が近ければいいというものでもない。勿論、逆も然り。
組手の相手には、"相性"としか言えぬものが確かにあるのだ。

そして、

「(お、あの人いいんじゃないか?)」

と思える人が一人いた。
邪魔にならぬよう、やや後ろから近づき

「やあ、もしよければだけど、組み手の相手になってくれないかい?」

と声をかけてみる。

クレス・ローベルク > ――さて、男は実のある組手ができたのか。
それは、神のみぞ知る。

ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール” 修練場」からクレス・ローベルクさんが去りました。