2019/07/25 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」にクレス・ローベルクさんが現れました。
■クレス・ローベルク > 窓に映る星空を横目に、男が一人、本を読んでいる。
海のさざ波ぐらいしか音のない、静かな夜だ。
今日は客も来ていない。
「……いや、何で来てないんだろうな、客」
客商売として大丈夫なのか此処、と言いたくなる。値段も良くて味も良いのだが。
何処ぞの貴族か商人が趣味でやってんのかな、と首を捻るが、しかしその疑問も直に静寂と本の内容に溶ける。
本の内容は、男にしては珍しく固い物だ――とある哲学者が書いた『理想と正義』という本。
文字通り正義と理想の関係性について書かれた本で、確か著者が宮廷魔術師か何かだった筈だった。
筈というのは、つまりそこまで真面目に読んでいるわけではないからだが。
それでも、それなりに思うことはある。
「……『理想から正義が導き出されるのか、正義から理想が導き出されるのか』か……」
呟き、少し考え、ガラじゃないなと苦笑いする。
そんなクサい事を言う程には暇で、そんなクサい事を言える程には店内は静かであった。
■クレス・ローベルク > どうにも、静かだと余計なことばかり考える。
酒場ほどの騒がしさは嫌だが、多少なりとも客が居ればな、と思う。
とはいえ、こういう事を考えるのも別に嫌いではない。
悪い事を考えているわけではないのだ。それぐらいは自由だと言いたいが、
「しかし、考えすぎてキャラが壊れてもなあ……」
キャラというか、何時ものスタンスと言うか。
正義とか、理想とか、そういうのを無闇に考えると、後々に損をするというのが、男の経験則だ。
人を犯す――陵辱する仕事の人間にとって、倫理観などはどうしたって邪魔になる物ではあるし。
だからこそ、この考え方を散らす必要があるが、
「んー、一度ガチで考えるか、或いは派手に遊ぶかだなあ」
■クレス・ローベルク > 遊ぶにしても、今日はあまりエロい気分ではない。
どちらかというと、人に会いたい気分だ――勿論それが可愛い子であれば言うことはないが。
後は、歌、賭け、バトル――
「そこでバトルが入るのが職業病だな」
とはいえ、何だかんだ模擬戦は楽しい。
そもそも、闘技場の剣闘士なんぞやってるのも、命のかからない戦いが楽しいからではあるし。
無論、実際には命の危機はアリアリだが(最近だと、寧ろ戦場の方が命の危機は少ないのではという気もする)それでも、それは結果として生じるミスのようなもので、それ自体が目的ではない。
理想[モクテキ]から導き出される正義[ルール]
「まあ、こういうの許せない人も多いけど。
純粋さってそんなに大事なもんかねえ……」
偶にファンレターの体で、抗議の手紙やそれ以上の過激な物品が届いたりするが。
彼等にとっては、正義[ルール]より、理想[シンネン]の方が大事なのだろうかと考えると、流石にちょっと皮肉な気持ちになる。
■クレス・ローベルク > ――静かな店内で、男は一人物思いに耽り続ける
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」からクレス・ローベルクさんが去りました。