2019/05/28 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”2 海沿いのカフェ」にクレス・ローベルクさんが現れました。
クレス・ローベルク > 一仕事終えて、職場近くのカフェに来た。
夕暮れ時の店内は、窓から西日が差し込み、朱に染まっている。
海側の窓に近い窓を選んで、紅茶を頼む。
何時もは本など読んで時間を過ごすが、たまにはこうして、景色を見ながらお茶というのも乙だろう。

「(……ふぅ)」

こうして、ただぼんやりと太陽を見ていると、普段忙しくて考える機会のないあれこれを考える。
実家のこと、恋人のこと、それから自分自身のこと――
それらが心の奥底から現れては、また違う別の考え事に上書きされて消えていく。

「……」

そんなふうに黄昏てはいるが、何気に店内は客で埋まりつつある。
その内、相席を頼まれそうな気配だが――

クレス・ローベルク > 「……実家、実家なあ」

とりとめのない考え事が、特に理由もなく形を持ち始める。
その形は、男の実家の形をしていた。
無意味に大きく立派な家。やってる事はただの狩りなのに、わざわざその為だけの人間を拵える無駄の極致。
それが、彼が出奔した家だった。

「……でも、なあ。でも、なんだよなあ」

そう切って捨てるには、あの家には因縁がありすぎる。
そして、自分もまた、そんな人間――英雄への道に、全く未練がない訳ではない。
人に仇なす魔物全てを殺す人間。
それは少なくとも、今みたいに挑戦者を陵辱するよりかはずっと真っ当な生き方だ。

「……馬鹿馬鹿しい」

その考えは、剣闘士という職を見下した考え方だ。
そして、男は今の職業に誇りを持っている。
こんな思考に意味はない、意味はないが――
それでも、と考える。もし、自分があの時逃げ出さなければ、あの娘に誇れる自分になれていたのだろうか、と。

「……馬鹿馬鹿しい」

もう一度そう言って、男は紅茶を啜る。
どうにも、思考の迷路に入ってしまったようだ。

クレス・ローベルク > ――紅茶の匂いと何処か物悲しい夕日の光。
陰鬱な溜息をつく男は、さて何を思うのか。

ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”2 海沿いのカフェ」からクレス・ローベルクさんが去りました。