2018/11/21 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」にケートゥさんが現れました。
■ケートゥ > 今や一個の建築物と化して久しい大歓楽街、至福の島。
中身の有り様、清濁と言うより濁りに偏りかつ、闇深く暗い面を備えてひとの悲喜交交を喰らい。
夢と欲望は言葉こそ違えど実際区切りさえなく、金ばかりでなく人生や生命までも循環させる此処は最早一個の生命体とも呼べるだろうか。
「―――――、―――………――――、…、……―」
喧騒を遮るでもなく、しかしか細いでもなく音色が軽やかに通るその場所はその中でもハイリスク・ハイリターンをうたう高レートのカジノ傍にある酒場。
当たりの幸運に盛り上がり散財する輩
外れの不運に自棄を煽る輩
また、これから己の運を試そうかと夢見る輩
それらの様々な感情が作る彩りに明るさを、暗さを、鮮やかさを、鈍さを。
色を塗るように、画を描くように。
演奏に交えて紡ぐ魔の調べは、客の心理をひとつ後押しする。
まだまだと思うのなら躊躇いを捨てさせ、もう止めると定めるのなら決断を強め………要するに、自己の判断を一段階強めてやるのだ。
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」にコスモさんが現れました。
■コスモ > カジノ独特の喧噪と人込みのなか、歩く。
栗色の髪は編み込んでからアップにしてコームで止めて、ワンピースのデザインは、好みのハイウエストだったが、使っている生地は一目で上質なものと解るそれに、精緻な薔薇と蔦の意匠を刺繍したもの。
足元も今日の服装を意識してヒールの高い靴を履いて…貴族、というには供はいないが、金持ちの令嬢くらいには見えるだろう。
こういう場所にくるなら、服装を手抜きすると舐められる。化粧も常に比べて濃いめを意識して色を乗せてきていた。
「…あら?」
持っていたチップの重さが半分くらいになった頃、喧噪の中に響く音楽に軽く首を傾げた。
こういう場所に楽師がいるのは珍しくはない。寧ろ、当然とも言えるのだけれど、場の喧噪に飲み込まれる事なく、かといって耳に付くような不自然さもなく自然と溶け込むような演奏に、つい演者が見たくなってしまった。
カクテルのグラスを片手に休憩がてら、音源を辿るように歩き始めて
■ケートゥ > 件のカジノからの依頼は「もっと客に注ぎ込ませて利益を上げる」事。
されど全員纏めて賭けに狂奔させ、持ち崩したとしたら―――
カジノや借金など管理する手合いの容量を越えてしまう。
流石に悪辣かつ派手過ぎるやり口は目を付けられる。
何より、第一。
そんな雑なやり方で数だけ多い破滅なぞ、悦の味わいには程遠い。
「―――さて皆様、勝利の美味も敗北の苦味も生の常。今宵のお味は何方のものか、其れを飲み下して良しとするか口を直すか………其れを決めるは各々の胸先ひとつ、いずれにしても私はその背を押しましょう」
魔性の潜む音色を以て、などとは無論言わぬが。
美貌と呼んで差し支えは無かろうその顔立ちを微笑へと緩め、演奏は再び場に広く、耳の触れ心地よく響き……
女が調べの元を探るのなら傍、と言うより端を繋げる形で隣り合う酒場の片隅。
己を舞台装置のひとつとして、目立たず淡く影落ちる角で椅子に腰掛け足を組み、左の手指より伸ばし右の肘裏へと繋いだ魔力の弦を楽器と見立てた異色の姿を見付けるだろう。
此方を認識したその機会に合わせるように、女へと笑みを投げ掛けて。
■コスモ > 「この音色…」
これでも魔女として、己が修める学派だけでなく幅広く知識を学んでいる。東洋の札であったり、死霊を操る術だったり…その中でも、音楽というのは割と魔術に近しい場所にあるものだ。音階とリズム、曲調…なんとなく心がざわめくのは、果たして曲のせいか場の雰囲気に呑まれての事か。
「…面白いわね」
目と目が合う。こちらを認識したかのような笑みに、こちらも笑みを返してから近くのテーブルへと。そこで行われていたのは、一目で勝負が解るルーレットだ。残りのチップのすべてを、テーブルへと置いて
「ルージュの12」
一目賭けの配当は36倍。当たれば使ったチップを補って余りある戦果だが、負ければ文字通り一文無し。今夜の賭けはここまでとなるだろう…どちらもしれも、今夜はここで止めるつもりだけれど。
。
所持したチップの全てをなんて強気の選択は、もしかしたら響く音色の影響を受けていたせいかもしれず
■ケートゥ > 「ふぅ、ん」
所作ひとつから魔術の素養、熟練度を推し量ると言うのは流石に無理があるがそれでも纏う雰囲気やそういった漠然とした感覚的に認識するものはある。
視線を合わせた先、栗色の髪を持ち上げた女からその感覚を得れば少々興味を懐いて目を細め、微笑のまま他のゲームへと向かう姿を見送って。
あくまで今回己が行使している魔曲は精神の後押し。
こうしなければならないと言う強迫観念の植え付けや思考発想そのものを操作するような洗脳紛いでもなく、其れ故に起こることは彼ら本人が持つ自分の感情と思考、判断による自業自得だ。
演奏を続けながらも周囲の音を拾えば女の賭けは残りを全て突っ込んだらしい博打。
音色の干渉下にあるとしても、魔術師の類にしては余りに思い切りのいい判断に小さく笑い。
「宜しければ此方へどうぞ、お客様?」
用いるのは魔曲の応用。
誰にも聞こえぬような呟きを紡ぐ調べに潜ませ乗せてただ一人、女の耳元へのみ愉快げな囁きとして届く声は耳朶を擽るような吐息の音まで含む。
女が近付けば、傍らの椅子を示して近くへと促そう。
■コスモ > 魔女と名乗っているし、実際に魔術も使うのだが、同時に魔女らしからぬという意味でも群を抜いている女。雰囲気や感覚で解るというなら、力の大きさのようなものは感じるだろう。その力を魔力と呼ぶか、生命力や活力と呼ぶかは受け取り側の問題。少なくとも、武力と呼ぶにはワンピースから垣間見える腕や足は華奢すぎるだろう。
演奏される曲のリズムに自然と乗るような足取りで向かったテーブル。ひょっこり現れた女が、高額の一点狙いという意味で周囲の客からも自然と注目が集まるだろう。結果はと言えば…
無情にも、ボールが収まったのは女が指定したポケットの隣だったのだが。
「あら、お仕事中じゃないの?」
聞こえる囁きに返す言葉。負けたと思えないほどさっぱりとした明るい声音は、既に賭けの勝敗に固執していないと察せられるだろう。
声はあくまで独り言の声量ながら、こちらへと声を届ける術があるならその逆、つまりはこちらの声をそちらに届けることも出来るだろうと見越しての事。
近づくなら、自然と示された椅子へと腰かけ改めて微笑みかけようか。
先ほど視線と笑みを交わしあったのは勘違いではないと、示すように。
「素敵な演奏ね。こんな場所で聞けるなんて思わなかった」
■ケートゥ > 何れにせよ只者ではない、と言うのが現状の印象だ。
其れ以外、其れ以上を知ろうと言うのなら女自身を知っていく他に無く、そうしても良いかなと思う程には興味を懐いたのも事実。
肢体は女性らしさこそ豊かだが膂力には繋がらないようであるし、魔術に繋がるような意匠も――少なくとも表面的には見当たらない。
しかし、まあ。
そういった力と運勢はまた別と言うことが、手荷物がすっかり無くなったその様子から改めて明らかになった。
「歌わずとも此方で充分に、ね」
此方の囁きに驚くどころか逆も通じると即座に判断した反応に、愉しげに片目を瞑って笑いながら手許が止まらずに調べを奏でる。
声を乗せずとも演奏も干渉力も充分とばかりに、竪琴めいた音色は喧騒の中でも心地よい程度に主張して。
「そう評価して頂けると光栄だね。けれど手許がすっかり寂しくなった様子……慰みに何か紡ごうか、それとも一夜の戯れでも?」
傍へと腰掛けた女と改めて視線と微笑みを交わしながら、そこへ少々の気遣いと愉しげな声音混じりの提案を。
■コスモ > 確かに、魔法使いにありがちな杖や指輪の類は身に着けていない。服と釣り合うようにとコームの他に、耳には金剛石のピアスと胸元には、銀と淡い色の小粒な宝石を散らしたネックレスを付けているが、どれも特に魔術的な意味合いのない装飾品だ。
その気になれば、運勢くらいは操れるのだが、たかだか遊び。命が掛かっているわけでもないのにそこまでする理由もなく、完全に運に任せた結果の惨敗だが、笑って済ませられる程度のものだ。
思った通りこちらの声を聞き取っての返事には、小さく笑いながら彼の奏でる音に耳を澄ませる。
その方式も普通の楽器ではなく、魔力をわずかに帯びたそれ。いや、魔力はなくとも腕の確かさはよく解る。
「いいのよ。ここには遊びにきているんだから。
あら、素敵なお誘いね?その音ごと、今夜は独占させてもらえるのかしら?」
あくまで遊び、賭けとはいえ稼ぎを目的にはしていないからこその思い切りの良さは、先ほど彼が見ていた通り。
戯れとはいえ、誘われたなら楽し気に笑いながら逆に問いかけようか。お互い名前も知らぬが、今夜は遊びに来ているのだ。こういう『遊び』も有りだろう