2018/09/22 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」にナイチンゲールさんが現れました。
ナイチンゲール > 「……やれやれ、やってしまった……」

ハイブラゼールの隅にある、浮浪者や呑んだくれ、麻薬中毒者が倒れる暗がりの中。人々が行き交う賑やかな通りに程近いが、誰も見向きもしない薄汚れたこの街の汚点。ドブネズミが我が物顔で住まうこの場所に、まさしく相応しくない容姿の女が座り込んでいた。綺麗なドレスを身に纏った女は目立つだろうに、周りの浮浪者達は全く気付くそぶりを見せなかった。女が咥えた紙巻煙草の甘い煙が、その存在を隠しているのだろうか。
女は途方に暮れている様子であった。ふぅ……と煙と一緒に溜息を吐き、人差し指で頬を掻く。

「まさか全財産をカジノでスってしまうとは……。何故あそこでやめておかなかったのか、我ながら理解に苦しむな。身ぐるみ剥がされたり売り飛ばされたりしなかっただけマシか……」

今日は異様にツキが回っていたと思えば、どん底に突き落とされた。今回ばかりは調子に乗ってしまったのが主な敗因だ。あそこでゲームから降りておけば、1000ゴルドを手にウハウハで男漁りに興じていたのに……。
まあ仕方ない。ギャンブルとはそういうものだと割り切らなければ。だが、多少まだ悔しさが残っているのは否めないが……。それよりも、今夜は金もないからこうして街の片隅で野宿するしかない。ドブネズミと寝床を共にするのは気が引けるが、金がないから仕方ないのだ。文句は言えまい。それに、長く生きてきた中でももっと酷いところで野宿したこともあるし。
男避けはしてあるから、今夜は誰にも邪魔されずにぐっすり出来るだろう。いつも露店を出す際に広げる敷き布をベッドに、煙草を咥えつつ寝っ転がった。いつ寝ても煉瓦の地面は寝心地が悪いな、と思いつつ瞼を下ろす。
彼女の周囲に漂う甘い煙は、彼女がそこにいるという痕跡を隠してくれる。浮浪者や酔っ払いに絡まれることは、一切起こらないであろう。……しかし、それは力を持たない普通の『男性』の話である。この男避けは軽いまじないのようなものだ。多少魔力のある者でも簡単にすり抜けられるし、魔力のない者でも何かの拍子ですり抜けることが出来るかもしれない。

ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」にナイチンゲールさんが現れました。
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」にアルファさんが現れました。