2018/05/05 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」にレキ・キドーさんが現れました。
レキ・キドー > 目的地はマグ・メールだったが、具体的な当てがあるわけではない。
まれびとの国ならば求めるものがあるのではないかと考えているだけで、
であればせっかく立ち寄ったダイラスを素通りする理由は無かった。

先日到着したばかりで和装のまま、身の丈に合わない刀を掲げ持ち、ハイブラゼールの雑踏を歩く。
上陸前に心配していたような、我が身の特性を見咎められるような事はこれまで無かった。
船が港に着くなり一度ローザの領域に招かれて、そこから一晩して再出現するという例外的な動き方をしたおかげかもしれないが、ローザも然り、街行く人には自分と同類のように感じられる者も散見されて、ここはやはりそういう場所なのだろうと、少し安堵する。
ヒトの社会にとっては決して良い事では無いのだろうけど。

「……。」

無目的な足取りできょろきょろしながら繁華街を歩く異国の装束。
見るからにお上りさんだから許してもらえるかもしれないが、
何かを見つける度、頻繁に立ち止まるのは少し邪魔になっている。

ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」にアシュトンさんが現れました。
レキ・キドー > 目当ては曰く付きの古物や、霊的な作用を有する道具類。
あるいは常軌を逸した人や動物の、具体的な情報。
どこへ行けばそういったものに触れられるのか、
幸い言葉や文字には不自由していないが、見知らぬ土地では驚くほど勝手が分からない。
番所のような所があるのかどうかも怪しいし、あったとして声をかけるのは少し勇気が要る身の上。
店に客として入り、店員から教えてもらうくらいが先ずは無難と思うけれど、
どうも場違いというか、繁華街の目抜き通りにはここぞという場所が見当たらなかった。

「――何?」

そうこうしているうちに、さすがに絡まれる。
後ろから声がかかり、それに振り向く間に両脇からもにじり寄る男達。
一見男子のようにも見えてしまう容姿と、何より武装していればこれまでは放置されていたが、長く居過ぎたか。
「どこから来た」とか「何をしている」というような事を尋ねられている気がするけれど――
「ドコノモンダテメッコラ」 「アニシテンダオッコラ」 「イキガッテンジャネッゾンオオ」 みたいな調子でよく分からない。

アシュトン > ここは相変わらず何時も通りだねぇ

(馬車護衛の仕事で来たついで、ぶらり適当にと歩き回っている男が一人。
港町だけあって、海外から入ってくるものは多い。王都で見つからないモノが普通に転がっている場合もあり、まさに掘り出し物スポット、といった所だ。
宿の予約は既に取っているし、余り時間を気にする必要もないだろうと、のんびりとしていた訳、であるのだが)

あー……コレも何時も通りだなぁ……

(外国人がゴロツキに囲まれるという、とてもとても分かりやすい場面に遭遇。
どーしたモンか。別段助けるギリも無ければ、面倒事は避けたい。
が、丁度この騒ぎをすり抜けた先に行きたい店があるんだよなぁ)

…………

(ぼりぼりと頭を掻いて、少し傍観
女の子なら助けるのもやぶさかではないのだが、正直パッと見わかんねぇ)

レキ・キドー > 何を言っているのかは聞き取れないが、
醸し出される雰囲気が善意の接近ではない。
――乗船してからの数日「主食」を口に出来ていない魔人は本人の意思に反してつい舌なめずりしてしまいそうになるが、掲げ持つ刀をぎゅっと握って我慢する。
…傍目には、怯えているように見えるかもしれない。

「…悪いけど何言ってるのか分からない。ガイジンだからな。」

「放っておいてほしい。こっちはそっちに用無いし。」

「…何? 要らない。 じゃなくて? いや出しもしない。だから――」

――身長と刃渡りの都合で抜けない刀だと、剣に馴染んだ者なら一目で分かってしまうのもあるだろう。
装束が表す文化圏の事を知っていれば刀の持ち主の付き人である可能性が濃厚だし、
それを知らなくても鞘から不自然に突き出す突起を使って全身用いれば抜刀可能と推測はできるかもしれないが、
一度絡まれたものがそう簡単に解放されるものでもなく、男達の手が小柄な和装に伸びていく。
次第に小突かれ始め、刀を握られるとそれを振り払い、その抵抗をもって一気に接触が過激になった。
着物を乱暴に掴まれてまた振り払い――

アシュトン > (やたらと大ぶりな刀の持ち主か、ただ運んでいるのか。その辺はまぁ別として。
どちらにせよ街中で振り回すには派手過ぎる。流血沙汰にでもなれば、タダの騒ぎでは収まらない。
もっとも、面倒事の気配をさっさと感知して、逃げなかった外国人さんにも問題はありそうだが。
ともかく、なんだかもみくちゃな状況へと発展しつつある)

暫く終わりそうもねーな、これ。

(周囲を見回してみるも、衛兵やらの類が来る様子はまだない。
どのような決着がつくにせよ、このまま眺めているのも少々暇になってきてしまった。
ため息一つに一瞬と露骨に嫌そうな表情を浮かべると。
騒ぎのど真ん中に向けて緩い足取りを向け始めた)

まぁまぁ、見たところコッチに来たばっかりで慣れてないみたいじゃぁないか。
ソンナのに構ってるより、美味い酒でも飲んできた方が君らも今日一日楽しく過ごせるだろう?
こいつぁ俺のおごりだからよ、あっちでパーッとやってきてくれないか。

(先ほどの表情は何処へやら。
口端を上げるような軽い笑みを浮かべれば、声を掛けるのはゴロツキの方。
懐からそれなりの金額が入っているであろう皮袋を取り出すと、胸の高さにかかげ差し出す。
こういうのは、即物でさっさと終わらせるのに限る。……此方にも絡まれると非常に面倒だが)

レキ・キドー > 「――抜けないッ!? 抜けないって言ったのか!? ああそう見えるのかじゃあ――」

絡まれている側もついに声を荒げて。
掲げ持っていた刀を背負うように背中へやると、左足を鞘の突起にかけた。
――まさに、血を見るところだったかもしれない。
とっとと逃げてしまう事も出来たのだ。
それをしなかったのはどこかで食事の口実を探しての事で。

だから朗らかに割って入ったアシュトンには、何故か双方から刺すような視線が向けられる。

けれど何にせよそれで一度動きは止まり。
ゴロツキの方は、案外一人前の抵抗に面倒くささを感じてきたところだった。
「オッナンスカニーサンマジッスカ」 「オレラアソンデッタダケデマジッスカ」 「アザッスニーサンアザッス」
そんなにタチの悪い部類ではなかったのだろう。
お上りさんがこの街にはあまりにもそぐわなかっただけで…
今は場に馴染んだ顔でやりとりを睨んでいるのだがそれはさておき。
奢りと聞いたゴロツキ達はえへらえへらと愛想笑いを浮かべながら、代表一人が革袋に手を伸ばす。
渡せばそのまま立ち去るに違いない。

アシュトン > うぉ、めっちゃヒートアップしとる。

(ゴロツキの一人が放った言葉が、逆鱗にクリティカルヒットしたご様子。
放置しておけば刃傷沙汰待ったなし、といった雰囲気である。
片方が武器を抜けば、もう一方も同様に対応するのは間違いなく。
どちらが強いかは別として、ロクな結果にならないのは確実だろう。当然、店に行けない)

そんな怖い顔で睨まないでくれ、逃げたくなって肩が震えちまうよ。

(小さくと喉を笑みで鳴らせば、肩が揺れる。
正直な所、こうやって場違いな雰囲気を持ちこんで、やり取りが一旦止まるのは有り難い。
それだけコチラが入り込む余地が出来ると言う事だ。
喧嘩腰でいけば……まぁ、騒ぎが余計にデカくなるだけだろう。
ゴロツキの方も――意外に話の通じる奴らだったらしい。相変わらずと何を言ってるのか分かりにくいが。
お前らは24時間営業店で疲れた受付か何かか。
兎も角と、それなりに重みのある皮袋を一人に持たせた後、軽く手を振って送り出し)

…………まったく、昨日一日の稼ぎが吹き飛んだじゃぁないか

(ため息混ざりに、眉間をゆびで抑えて唸る。誰に向かって言ってるかは、明白という事で。
皮袋の中に何か仕込んでおいて後で回収する、という手もあったのだが。
別の面倒事を招き呼びそうなので、泣く泣くあきらめた模様)

レキ・キドー > (――飢餓感に、手が震えた。
こんな所で抜刀すればいかに治安の悪い街とはいえ騒ぎになる。
だからこれは、全くアシュトンに救われた形なのだけど、当人にとっては好物の皿を目の前で下げられてしまった側面もあって。
しかし傍目には、本当はおっかないのを頑張って立ち向かっていたようにしか見えないかもしれない。
…ぐるる、と唸りそうな顔で、立ち去るゴロツキ達を見送った。
引っ張られて乱れた着物を整えて――
『昨日一日の』というぼやきに、オロっと手を止める。)

…な、た、頼んでないよ、助けてなんて。
命拾いしたのはアイツらの方で―― いや、ホントに。強がりとかじゃなくて。

(急速に日常を取り戻しつつある通りへ、絡まれている時よりも何か救いを求めるみたいな顔で目をやって、あせあせ。)

…なん、で、一日分も渡しちゃうかな―― ていうか、じゃなくて…
あの、私、無理だからね? 返せないよ、お金無いし…

(まるっきり無一文ではないのだが、稼げる当てが無い路銀の僅かな残りなので、出し惜しみしたくて、どうしようかなあと視線を泳がせる。)

――ご飯… 普通の、一食くらいならご馳走できるかもだけど…

(この男が勝手に助けに入ってくれたのに、何で私がと我儘言いたそうな顔ではあるが。
一日分の稼ぎと聞くとさすがに申し訳ないようで、足しにもならなそうな事をモゴモゴ言った。)