2017/01/10 のログ
ルヴィエラ > (さて、果たして、其の子宮へと根付けた受精卵は、幾つ在ったのだろう。
女の腹を膨れ上がらせる、紛う事無き命の奇跡は、程なくして
女の身体を「雌」で在ると同時に、「母」へと変えて行くだろうか
陣痛など無い、女の内側で、羊膜に包まれた胎児が暴れる内に――破水、する
子宮孔へと嵌り込む胎児の頭が、卵よりも遥かに大きな質量と、そして多幸感を渦巻かせて子宮を苛み
――そして、きっと始まるんだろう、本当の意味での、出産が

子宮へと、下胎へと刻み込んだ淫紋によって、本来出産に置いて発生するだろう母胎への負担は無い
十分以上に柔らかく広がる子宮孔も、簡単に剥がれ落ちる胎盤も
例え傷を負ったとしても、瞬時に癒えてしまうだろう、其れは淫魔からの祝福
純粋に、子を産み落とすと言う其の幸福と快楽に、感じ入る事が出来る――
きっと、其れこそがこの淫魔が齎す、何よりもの堕落なのだろう。)

―――嗚呼、元気な子を産み落とすと良い。 大丈夫、私の血を引く子は強い。
後の事は心配せず…ただ、産み落とす事だけを考えなさい。

(きっと、一人目の赤子が、其の子宮孔を肩辺りまで潜り抜けようとする辺りで
女の子宮に、また一人、赤子が胎動を始める事と為るだろう
まるで兎が多胎する様に、次々と、けれど順番に、受精卵は芽吹いて行く
ただ、其のどれもが元気で、そして良く動き回るだろうから、時折逆子だったりするだろうか
唯其れも、女にとっては、きっとただ、快楽が長引くだけになるかも知れないが。

――一つ、もしも、何か問題が起こり得るとするなら。
其れは、女が気絶してしまわないか、と言うことくらい、か)。

スゥル > 「あひっ、ひっ、ひぐっ……! あっ、子宮、中で、破れて、あっ、これ、破水……あああああ……降りてきて……。
 嘘っ……嘘っ!! こんなっ!! 赤ちゃん、出て来るの、こんな、気持ち、い、いいっ!! なんてっ!!
 おかしいっ!! おがじいおがじい……あ゛あ゛あああ!! 気持ちいいっ!! ぎぼぢいいいいい!!」

高まる腹圧でも引っ込みきらない子宮口から、ホースめいて羊水をシーツにぶち撒けるスゥル。
そこから数呼吸の間もおかずして、桃色の産道がめきり、と音を立てて内部から拡張された。
胎内から現れたのは、先程までの純白の卵とはまったく違う……肌色の球体に、銀色の産毛を生やした肉塊。

「お゛ほおおおおおおおお!! ほっ、ほっ、ふううううううっ!! ふううううっ!!」

ルヴィエラの腕の中で白目を剥き、必死の形相でいきみながら、吠えるように腹式呼吸を行うスゥル。
あまりにも野性的で、清楚な人妻の面影を感じられない、その姿。
しかし声を出さないと、胎内から連鎖的に放たれる快感と女性ホルモンの奔流に脱力してしまいそうだったのだ。
腹圧に押され、子宮口を胎児の頭が抜ける。小さな鼻が上壁をこすると、尿道口を大きく開いて潮を吹き、胎児の胎脂を洗い流そうとする。
顎まで押し出してしまえば子宮口の拡張は首の細さまですぼまるが、このままでは胎児の血流を阻害してしまう。
一気呵成に産み切ろうと踏ん張るスゥルに合わせるように、胎児はスゥルの子宮に埋まったままの脚を伸ばし、最奥を勢い良く蹴った。
その乱暴な愛撫にスゥルは出産しながら激しい絶頂を覚え、たまらず腰を跳ね上げる。
ぼこん、と重低音を腹腔から放ちながら、ルヴィエラとの第一子は放物線を描き放たれ、潮で濡れそぼったシーツの上に転がった。

「ほっ、お……おっ! ほっ……ほおおお、お、おおおおおお………はあっ、はあっ、はあああっ…!
 うっ、産まれ、産まれたぁ……♥ あはっ♥ なんでっ、なんでこんな、痛くなくて、気持ちいいのっ!!
 ああああ……ルヴィエラ様ぁ……! ルヴィエラさ………んぐうううううっ!?」

出産絶頂という未知にして退廃的な経験を叩き込まれ、口角を限界まで吊り上げた下品な笑みを浮かべるスゥル。
シーツに転がった胎児の姿さえも顧みることなく、愛しい男の顔をうっとりと見上げ、余韻に浸ろうとする…も。
間をおかず次の『胎児』が芽吹き始めたのを感じれば、再びその頭は快感に激しく揺さぶられ、腰を揺らして骨盤を広げようとする。
ルヴィエラに諭されるがままに、一人、また一人と子宮に命を迎え入れ、育み、快感の咆哮とともに産み落とす。

その姿は、もはや『雌』とも『母』とも呼べない、ただの『苗床』であった。

ルヴィエラ > (赤子を、産み落とすための術を心得ているのは、矢張り一児の母と言った所か
脚を大きく開き、骨盤をも開かせて、少しでも産道を広げようとする様子
或いは、頭が抜けた所で休もうとせずに、一気に産み落とそうとする其の辺りは
己が手助けをするまでも無いのだと察せられて、ただ、眺めて愉しむに徹せられる
一人目、子宮から放たれた赤子は、シーツの上で暫しの間手足をもがかせて
そして其のうち、泣き叫んだりする事もなく、すやすやと眠ってしまうだろう
魔の血を引く其の子供達、女の子宮から胎盤が流れ落ちたなら
ずるりと、己が影が赤子へと伸びて、其の臍の緒を切り落としてしまい)

――――……ふふ、其れは簡単だ…私の子だから、ね。
私と身体を重ね、其の子宮に精を飲み干して孕むなら…痛み等、与える筈も無い、だろう?

(何せ、淫魔なのだから。 くすくすと笑みを湛えては、もう、人として浮かべてはならぬ
堕落に塗れた顔の女を見下ろせば、其の頬を緩やかに掌で撫ぜて――まるで、褒める様に
再び、其の腹へと成長して行く胎児が破水を迎えれば、今度は、逆子なのだろう其の子
一人目よりも、多少梃子摺るだろう其の子のほかに、ふと、女の腹を見通したなら
――きっと、残る受精卵は、あと5つ。
そして、最後に子宮へ育つだろう、其の受精卵は、きっと、他と少しだけ異なるか
果たして、偶然か、或いは何かの悪戯か。 其の子供だけは、己と似る事のない
――女の血の濃い、美しき子か)

―――……珍しい、ね。 私が選別した訳でもないと言うのに。

(女の血を色濃く受け継いだのだろう、きっと、其の髪色は女と同じ
そして、其の子だけは、僅かに遅れて育ち始めたが故に、子宮を癒す淫紋の効果で
元の形を大分取り戻してしまった子宮が、産み落とす事と為るだろうか
卵を産み落とし、子を産み落とした女の体ではなく、一度、緩やかに閉ざされた其の子宮孔が
一から開く所から始まる、出産。 もし、其の間に女の理性が、僅かでも取り戻せているのなら
――其の出産だけは、人間らしく、子を産み落とす事が出来るかも知れない)。

スゥル > 産む、喘ぐ、イク。産む、喘ぐ、イク。
スゥルの脳内で出産と悦楽が強結合され、着床した卵子に魔力が注がれるがままに、骨盤を開き、括約筋を緩め、子を放っていく。
へその緒を切る間もなく、後産の胎盤すらもヌルリと排出。色艶のよい真っ赤な肉片がベッドに眩い。
代謝が進んでスッキリと空いた子宮に、矢継ぎ早に次の卵子が疼き始め、あっという間に次の胎児へ。
その一連の流れの1つ1つに、スゥルは違った種類の恍惚感を見出し、違った色の嬌声を奏でた。
外界へと脚から姿を現す逆子を認識すれば、弱い頸部を傷めないよう、ひときわ強く脚を開き、痛むほどに骨盤を解放する。
骨格が軋む感覚に、かっ、はっ、とたまらず嗚咽を上げるが、それさえも痛みではなく快感に息が詰まったためのもの。
視線は定まらないが、ルヴィエラが何らかの魔術をもって、赤ん坊の産後処理を適切にこなしているようだ。
それを察すれば、スゥルは産みの幸せに満ちた笑みを浮かべ、己の成すべきことに専念する。

……やがて、苗床と化したスゥルの豊満な腹部も、落ち着きを取り戻し始めるが。

「はひーーーっ、ひーっ……ひううううっ!! ふううううっ、うっ、くううううううっ……」

魔の愛撫と謎の力によって緩みきっていたスゥルの女性器であっても、これほどの連続出産が堪えないわけがない。
スゥルは瞬き一つせずに水色の瞳を見開き、腹の奥から荒く速い呼吸を繰り返している。
眼前には、すやすやと寝息を立てる何人もの嬰児。その姿に、乳が張る感覚を覚える。
しかし……まだ、もうひとつ、胎動を感じる。これまでのようにスルリとは産まれない、どこか心もとない命の鼓動を。

「………っあ…!? はっ、あ、ぐ、ぐうううっ……い、痛い、痛いっ……こ、これ、陣痛っ……!?
 る、ルヴィエラ様っ……これ、こんな、こんなのって……っああああああ!!」

すぐに始まる、最後の出産。
どういうわけか、緩みきっていたハズのスゥルの子宮も膣も、骨盤すら、普段通りの弾力と硬さを取り戻していた。
その子宮は赤子ひとりを抱えるには十分だが、これまでとは違う強さで内容物を締め付け、陣痛を断続的に発してくる。
その激痛は、膨大な快楽に浸りきっていたスゥルに正気を取り戻させるのに十分すぎた。しかし……。

「……っあああああ! はあああっ、ふうっ、ふうううっ、くっ……ルヴィエラ様っ、産まれます、産まれますぅぅっ!!
 み、見ててくださいまし、お願いしますっ!! ルヴィエラと、スゥルの、最愛の子の姿、っあああああ!!」

苦痛に顔を歪め、深い呼吸に舌を乱しながらも、スゥルは背後の男性をうっとりした目で見上げながら訴える。
激しく襲い来る陣痛は、かつて夫との第一子を産んだときと同じ……確かな命に繋がる、生の喜びをスゥルにフラッシュバックさせていた。
めりめり、と膣奥で子宮口が開き、栗色の髪をうっすらと生やした頭部が露出する。
夫とルヴィエラ、二人の雄によって改造されきった子宮頸部が、その赤ん坊の目鼻立ちをつぶさにトレースし、脳に伝える。
膨れた腹が引っ込んでいき、代わりによく磨かれた膣が限界まで拡がって、それが出てくる……。

「はああああああっ!! あっ、ふっ!! ふううううおおおおおおおおおお!!! おあああ!!
 …………ああああ………素敵、あああ……産まれた、産まれたわ……ああ♥」

先程までの連続出産などまるで記憶にないかのように、スゥルは満面の笑みを浮かべ、後ろを振り返った。
そこには永く失われていた、妙齢女性としての凛々しい自我、理性の片鱗が戻りつつあった。
快楽など伴わない、ごく普通の出産。されど、スゥルの全身にはいま、暖かな高揚感が駆け巡っていた。

ルヴィエラ > (人間の尊厳が、其処には介在していただろうか。
出産と快楽とを同居させ、其れを何度も繰り返し続ける雌の姿
魔を産み落とす為の、まさに苗床と呼ぶに相応しい姿を晒しながらも
女の顔には幸福が満ち、産み落とした子達への愛情が存在するのだろう
のこり、ふたつ。 其のうちの一つを産み落として、一呼吸を置く間が生まれたのは
――実は、態とではなかった。)

―――……陣痛? ……そうか、魔力切れか。 待ちなさい、今痛みを…――

(女が、不意に訴えた痛み。 最後の一人を其の子宮に孕み、けれど、巻き起こったのが快楽でなく陣痛だと知れば
数にまた、魔力を補充し、快楽へ変えて仕舞おうとしたのだ、が――
ふと、女の表情が変わる。 痛みに歪むばかりじゃない、それは、紛う事無き「母」の顔
其の痛みこそ、歓びであり、幸福、自らの腹を痛めて子を産み落とす、愛情
己を見上げる其の瞳が、混乱ではなく、ただ只管に幸せなのだと、訴えて来るなら

子宮への魔力の供給を止め、ただ、己は其の儘、静かに見守る事としよう
苗床としてではない、間違いなく其処に、人間としての尊厳を輝かせながら
女が、自らの力だけで子を産み落とす、その瞬間を。)


――――――おめでとう、そして…お疲れ様、スゥル。
嗚呼、暫く動かない方が良い。 きっと後産は遅いからね、暫くは、息を整えなさい。


(――影が伸びる。 女の開かれた脚の合間、産み落とされた小さな命を拾い上げたなら、ゆっくりと己が手元まで
臍の緒を断ち、きゅ、と影が端を結んでは、魔の様に強くは無い、人間の赤子に対する対処を行おう
すやすやと、それぞれ眠りについている先の赤子たちは、広い寝台の上に、並んで眠る
その、中で、生れ落ちた最後の赤子が、元気に、そして、大きく泣き声を響かせたなら
其の小さな命を、そっと、女の胸元へ抱かせてやろうとするだろう)


――――……後で、産湯を用意させよう。
それと…、……矢張り、暫くは、この館で休むと良い。
体力を戻すためにも、ね。


(――子宮を癒すのは、さほど難しい事ではない。 後産が終われば、少なくとも母胎に影響が無いよう
大方の傷は治してしまう筈だ。 けれど、それでも。 この場所で、暫し産み落とした我が子と共に
其の子宮に、微かに残る倦怠感と痛みを、時間を掛けて癒しながら過ごせば
母親としての幸福感も、きっと、増す筈だ、と)。

スゥル > 「はぁ………はぁ……っく……。…ふぅ、ううううう、うくっ………」

限界まで腹腔周囲の全筋肉を使い込んだためか。お産を終えた後のスゥルの呼吸はなおも荒く、乱れっぱなしであった。
しかし、その表情は苦痛の中に確かな笑みを湛えていた。
女としての使命を完遂したことの喜び。逞しい雄の腕の中で、子を孕み、無事産み落とすことの悦び。

「……はぁ、はぁ…あ……ルヴィエラ様……ありがとう、ございますぅ……ありがとう、ございますぅ……」

疲労と快楽で蕩けきった舌で、スゥルは繰り返し、魔族の男へと感謝の意を述べた。
出産を至上の悦楽に変えるその魔技。胎児の育つ速さも、量も、形さえも変えてしまう術。
命と遺伝子、そして愛する夫との絆さえも弄ぶ冒涜的な行為であろうが、そんなことはどうでもよかった。
その身を以て体験してしまったからには、もうスゥルも常人として、貞淑な妻として生きることは叶わない。
またひとつ、スゥルに淫乱の証が刻まれてしまったのだ。しかし、今はそれすらも誇らしい。

「………ああ、それでも、それでも。ルヴィエラ様、私はどうすれば良いのでしょう……」

落ち着きを取り戻し始めた呼吸。スゥルは一言一言を紡ぐように、問いかける。

「……いまここで産んだ子は、たしかに私の子で、そして貴方の子で。
 でも、私は王都に子を待たせている身、一生を誓った夫の安否を案ずる身。
 これから私は、どうして生きていけば良いのでしょう……この子達と、どう関係を持てば……う、うっ…」

いかな甘美な体験といえど、ルヴィエラの術と甘言に惑わされたといえど、人倫にもとる不貞を働いたことは事実。
進退窮まり、母乳の滲む乳房をぎゅっと抱きしめながら、嗚咽を漏らすスゥル。

ルヴィエラ > (冷静さを取り戻しつつある女の唇から、己に対する疑問が紡がれる事は、無かった
女の中で、己が存在が昇華され、受け入れられ、そして頼られているのならば、きっと其れが最上だろう
感謝の言葉すら響くなら、赤子を抱く其の姿を、代わりに己が腕で抱き包んでやり、労う事としよう)

――――……心配は要らないよ、スゥル。 この子達は、この館で育てて行く。
皆、分け隔て無く私の、そしてキミの子に違いのだから、ね。
だから、キミは王都に帰りなさい。 そして、家に待つもう一人の子を、愛してあげなさい。

もしも、キミがこの子達の事を忘れられないと言うのなら。
其のときは、何時でも此処へ、逢いに来れば良いのだからね。

(――女へと育てさせる気は、元から無かった。
否、最後の子だけは、女へと預けてみるのも、と思ったが
それでは、逆に王都から出て来れなくなってしまうだろう
幸いながら、この館では育児に関して明るい者も多く居る、何せ娼館だ
子供達は、何よりも安心して育まれて行く事だろう、だから――

女の、其の目元へと口付けを触れさせたなら、其の唇へと己が人差し指を押し当てて見せ)

―――此れは、私とキミだけの、秘密だ、スゥル。

(――否、多分…彼女の夫には、見られているんだろうが。
彼が口を挟むことがなければ、所詮は知られる事の無い事実だろう
もし、女が其の事実へと納得し、受け入れると応えるのなら
きっと、暫くはこの館で過ごさせ、赤子達との時間を与えた後
己が影の転移によって、王都の、彼女の家まで送り届ける事だろう
――この、数日間と言う濃密な時間を、互いの記憶だけに留めて
女を、再び日常へと、戻してやろうか――)

スゥル > 「……ああ!! ありがとうございます、ありがとうございますぅ……!!」

子はすべて引き取るという申し出に、感極まって叫び、嗚咽混じりに感謝を述べるスゥル。
女を雌として喜ばせ、出産さえも快楽に書き換え、あまつさえその女の行く末を案じて気遣いを見せてくれるその姿。
……たとえ、この男が本当に……快楽の波に揉まれてる最中、ふと耳に飛び込んできた言葉どおりに……魔族、淫魔だったとしても。
これほどに優しい淫魔と出会えて、素敵な夜を過ごせたのだから、もう後悔はない。

「はいっ……秘密、秘密です。絶対に誰にも……ええ、夫にだって。貴方との関係は、墓までの秘密です。
 そして、絶対にまた、ルヴィエラ様に会いに来ますから。預ける子供のことも気になりますし、それに……」

男の唇で涙を舐め取られ、己の唇に指を添えられ……その暖かさと、今や安らぎすら感じる彼の体臭とで、雌の身体は再び戦慄く。

「……また、今日みたいなことを……ぜひ………」

情婦の声色で、情婦の唇で、情婦の視線で。人妻スゥルは、誘惑とも期待とも取れる背信の言葉を紡いだ。

………
……


――その後、産後の静養を終え、ルヴィエラの魔術で瞬時にして王都まで送り届けられるスゥル。
当初の目論見どおり、ルヴィエラはスゥルが住まう家の位置を確認することができた。
親戚と思われる女性に連れられ、おずおずと現れる男児はおそらく息子のペトス。
まだ年端もいかないせいもあるが、おとなしく、1週間以上ぶりに会う母親に泣きついたり喜んだりといった仕草を見せない。
さすがに不倫関係を周囲に疑われてはまずいと、ペコペコと他人行儀に何度もお辞儀をしながら、ルヴィエラから離れるスゥル。

……ルヴィエラは気付くだろう。スゥルの傍らで彼女の息子が、魔性の笑みを浮かべてルヴィエラの方を眺めているのを。
視線が合えば、母親に釣られるように一度、軽く会釈をする。まるでハイブラゼールでの顛末をすべて見通しているかのような、不敵な笑みのまま。

ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」からスゥルさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」からルヴィエラさんが去りました。