2016/07/03 のログ
■アリア > テーブルに広がったカードを掻き集め、ぽいっとディーラーに返してやった。
正確には、こうしないといけないからだ。
カードを返してから、その手を大きな膨らみを見せる袋の口へと伸ばし、掴む。
どっしりとした重み、何度感じても心地良い重み。
「お坊ちゃんじゃ相手にならへんの、よーっく分かったやろ?
もう諦めや、また次なんて考えよったら…どうなるか分からへんで」
ひらりひらりと手を振って、テーブルに突っ伏したままの坊ちゃんから興味を失い席を後にする。
満足いく程の稼ぎは得たし、どうするか、なんて考えながら。
とりあえずは、休もう。
休憩所らしきスペースに行けば、空いてる席に腰掛けた。
隣の席に袋をどさりと置いておく。
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール” カジノ」にナルラさんが現れました。
■ナルラ >
カジノの休憩所、その一角に腰掛ける一人の少女が座るのを見とどければ、
ナルラは少女の方へとゆっくりと近づいていき、声をかける。
「見事なものだな……先ほどのカード裁き、手慣れた手つきに堂々とした態度、実に優秀なようだ」
そう話しかければ、袋の置かれていない彼女の隣に腰をかける
そういってテーブルの上には、同じスートと数字のダブったトランプが置かれる
「一杯奢ろう……最近になって見た顔だが、ここにはいつ流れてきた?」
そう言ってボーイを呼び、男はまず自分の分の酒を注文した。
■アリア > のんびりと他の連中が稼いでる姿でも見ていようか。
なんて考え、カジノ内を見渡そうと視線を巡らせたところで、近付いてくる人影が見える。
その身形を見れば、明らかにげんなりとした表情を浮かべてしまう。
またどこぞの坊ちゃんだ、どんだけこの辺りの金持ち連中は自分に関わりたがるんだと思っているが、口には…
「褒めても何もでーへんで?今度はどこのお坊ちゃんや?」
否、あっさりと口に出した。
こっちには用は無いと言わんばかりに、シッシッと払うように手を振るも…
テーブルの上に置かれたカードに目がいけば、これが何なん?と言い放ち眉を顰める。
自分の使ったイカサマは別のカードを使うものではなく、ダブる訳がない。
さっきの坊ちゃんの知り合いで、いちゃもんでも付けにきたのだと判断した。
「理由も無く奢られる謂われはあらへんで?
後な、人の事聞きたいんなら、まずは自分の事を教えるもんや」
自分の酒を注文する相手に、突っぱねるように言う。
理由の無い厚意を素直に受ける程、お人よしではないのだ。
■ナルラ >
「そうか、流石に肝は座っているようだな……そうでなくては困る」
少女の反応にナルラは楽しげに笑みを浮かべる
「確かに名乗らねばならんな、私はナルラ・ホーティ・カルネテル
この国の王族の一人で、ココのオーナーだ」
そう言って運ばれてきた酒を受け取れば、軽く一口グラスにくちを付ける。
「そうか、そういう技でないとするとやはりパームを駆使したものかな?
ミント状態のカードパックから、その順番を把握もしているか」
と男は奇術師用語、そして彼女の行ったイカサマに関しての予想を口にし、つまみのチーズに手を付ける。
■アリア > 言われなくとも、肝の据わってない人間がこんな世界に入れる訳がない。
それを言うのも面倒だと、じろりと新しく現れた坊ちゃんを軽く睨み付ける。
特に偉そうにしているお坊ちゃんお嬢ちゃんは気に入らないのもあった。
…のだが、こちらの言葉に名乗った相手がここのオーナーと知れば話は別だ。
ふーっ…わざとらしく深い溜息をついてみせてから、すんなりと表情を元に戻した。
「なんや、そういう事なら気い張らんでも大丈夫そうやな。
やけど、そうであったとして、手の内を晒す馬鹿は居らへんで?
どうしても気になるんなら、上手くうちが勝負してるところを見付ける事やな。
ま、それもまた運次第っちゅー事やねんけど」
果たしてナルラと名乗るオーナーの予想は当たっているのか?
それが教えられる事はないし、教えるつもりもない。
言った通りに、自分の手技を教えるなんて愚の骨頂だからだ。
知りたければ、己の目で確かめるのみ、である。
「さて、うちにはもう一杯ジュース頼むわ」
偶々か、さっき側を通ったボーイを見付けて声を掛ける。
同じようにジュースの注がれたグラスを受け取れば、くいっと一口。
それから、口を開く。
「で、そのオーナー様がうちに何の用や?」
■ナルラ >
相手の一挙一動を見つめる男の目は、何かというと観察眼のような感じである。
少女の視線、そして変化する表情、もうすでにこの二人の間でゲームは始まっているのかもしれない。
「そうだな、ただ同じ配牌で勝ち続けるのは得策でないとだけ言っておこう。
否応なしに目立つ行為だ、それに奇術道具を売り、その翌日に買い戻すような者であれば特にだ」
と一応の忠告はしておく。
カジノでロイヤルストレートフラッシュが出ることは、そう難しくはない
腕の良いディーラーのいるカジノ、回転率の高いカジノであれば否応がなしに目にすることもあるだろう。
ただ、腕の良いディーラーが、自分のコントロールしているはずの配牌と違う結果が出ているのだ
少女は数日前からマークされていたのだが、そこまでは話す必要はない。
「カジノのオーナーが腕の良いギャンブラーへの用事は、
因縁をつけるかスカウトするかのどちらかだろう?
今回私の用事は後者だ、君をディーラーとしてスカウトしたい」
そう言って契約書を取り出せば、彼女の方に見せる。
契約内容は割りと破格であり、そう悪い条件ではない
ただ彼女がそれを面白いと思うより、恵まれすぎて刺激が足らないと思うだろう
そういう意味ではヌルい契約内容であった。
■アリア > 相手が自分の事を何かと気にして見ているように、当然、こちらも相手の事を見てはいた。
なるほど、侮れない相手なのだろうとは理解出来る。
相手も同じ事を考えるかもしれない、場慣れしているのか、視線や表情に変わった点は一つもない。
もっとも、逆に何が起こっても変わらない事に違和感を覚える事だろう。
相手は普通ではないのだと。
「そないな分かり切った事をいちいち言いにきたん?
自分、実は結構お人好しとか言われへんか?
うっわー…何、自分、うちの事目え付けてるん?
いやー、ほんっまに怖いわー」
同じ手で勝ったのは、言わば相手に対する見せしめだ。
あそこでイカサマを使おうとしなければ、正々堂々と勝負をしていた事だろう。
それを態々言いに来たのかと思えば、そう思えるのは仕方ないかもしれない。
そして、何気にカジノ外での行動も指摘されれば、ほとんど棒読みと言えるような台詞に、わざとらしい仕草を付けた。
「別にうちは前者でも良かったんやけどな?
うちをスカウトなあ…?」
言葉を向けながら、見せられる契約書へと目を通す。
何の変わり栄えもない普通の契約内容、条件も悪くはないみたいだ。
だが、自分が求めているのはそんなものではない。
それに、こんな場所に縛られる事に耐えられる自分では無いのは分かっている。
「悪いんやけど、つまらんし、うちはこんなものに縛られる気あらへんわ。
ギャンブルっちゅーもんは、もっと気い張ってやるのが楽しいんや。
…分かるか?オーナー様?
ま、お誘いされるんは認められとる思うて嬉しいもんやけどな」
契約書から目を離せば、それを相手への方へとすっと戻す。
しつこい坊ちゃんでなければ助かるが、とか思いながら。
■ナルラ >
腹の探り合いを続けるのも構わないが、そろそろゲームに入るべきだろう
そう思いながら戻された契約書をそのまま彼女の目の前で破っていく。
「何、ココには他にもカジノはあり、中には人が経営していない場所もあるという噂だ
さすがに少しは気にかけた女の一人が、翌日死体袋の中に入っているのは寝覚めが悪い
あくまでも忠告だ、この国の闇は深い」
そう忠告を口にする時は、視線は真剣なものになる
強大な力を手に入れても手に負えない危険な敵はこの国にはいる
その事をなにより理解しているだろうから。
「まあ、この契約書はあくまでも前振りだ……契約内容は忘れてくれ
では本題にはいろうか、私とゲームをしないか?」
そう言ってナルラは一枚の金色のカードと、もう一枚契約書を取り出す。
「こちらのカードはこのカジノのVIPルームへの入場パスだ
通常の部屋よりスリリングなギャンブルが楽しめる、選ばれたものが入れる場所の鍵だ。
あと闘技場の特等客席が用意され、賭け試合を観戦することもできる」
そしてもう一つの契約書を見せる。
「そしてこちらはディーラーの契約書だな、先程のものより劣悪な条件
肉体的な接待も請け負うような内容だ」
そう賭けの対象の商品を見せ、彼女の目の前に置く
「ゲームの内容は君に任せよう……得意なゲームで挑んでくるがいい」
ナルラはアリアに語りかける、さあ遊ぼうよと。
刺激的な下手をすれば命をかけかけない遊技場の招待状とツマラナイ雇われの身になる契約。
賭け事のベットとしてはいかがであろうかと。
■アリア > やはりこの相手は少々お人好しのようだ。
オーナーとして、いつかどこかで損をしかねないが…少しは信用してやっても良いだろうとは言葉を聞いて思った。
どこの国だってそんな危険は孕んでいる場所はいくらでもあるものだ。
「へー…うちとゲーム?」
言われた通りに、契約の内容なんてものはすぐに忘れるだろう。
それ程にまで興味が向く話が、その後に控えていた。
ギャンブルは当たり前として、賭け試合というのも嫌いではない。
そこへの入場パスを賭けた、賭けの対象の内容。
考える、考えるが、圧倒的にこちらが不利だと考え至る。
ディーラーとなる事は別にどうでもいい、肉体的な接待をしろ、というのも気にはならない。
ここに拘束される、という事だけが受ける事を躊躇う大きな足枷となっていた。
指名とかあって呼び出されて、というならば良いのだが…四六時中というのは自分にとって余りにも厳しい。
「指名制…そこだけ条件変えてくれるんなら、受けてやってもええで?」
これで受けてくれるならば良し、駄目なら駄目でもまあいいか、程度の提案だ。
さて、相手がどう答えてくれるか。
■ナルラ >
どうやらゲームの条件は決まったようだ、
ナルラは笑みを浮かべそのまま契約書に新しい条文を書き加えていく。
あくまでもディーラーとして雇うのは、指名制、このカジノの大一番の勝負の時
また大切な客への接待の時に、彼女がやってくるという内容であった。
「一応内容は確認してくれ、正直言えば貴女ほどの腕前の女性は味方であってほしいからな」
と今一度契約書の内容を確認してもらう。
「では、その内容で相違なければゲームを始めようか
ポーカーでもバカラでもルーレットでもチェスでも、
それらのゲーム以外のものでも構わん好きな物を指定してくれ」
彼女の提案はあっさりと受け入れられた、ナルラからすれば
アリアはギャンブラーとして敵に回したくない
そして、早く一緒に遊びたい、ただそれだけのための口実であるのだから。
■アリア > 意外な程にあっさりと提案は通った。
この瞬間、目の前の相手はお人好しのオーナーと自分の中では確定する。
再度、内容に手が加えられた契約書に目を通す。
これならば悪くはないだろう。
「よっしゃ、これでええやろ。
ポーカーポーカーで続いとるし、それらしい勝負といこか。
ただし、使うのはこれや」
一度握った手を開けば、その中に五個のサイコロがあるのが見える。
それを見せてから、改めてこの言葉を相手へと向けた。
「これを落とすだけでええ、後はポーカーのような役揃えや。
うちが勝てば入場パス、自分が勝てば契約書通りやな。
それでええな?受けたら誤魔化しも何も利かへんで、注意しーや?」
確認の言葉、これで相手が受ければ効果が発動する。
■ナルラ >
「ほうダイスゲームか以外なものが出てきたな
一応ダイスコントロールのやり方はお互い理解している、お互い正々堂々とするほうが後腐れないだろう」
勝負の内容を了承すれば、ナルラの手に5つのダイスが現れる。
ナルラはそれを指の間に挟み、ある程度の高さまで持ち上げれば指を離す。
その際変にスナップを効かせる等をしてはいない。
お互いイカサマの技術が判る物同士、下手な小細工をするほうが命取りである。 [5d6→1+4+4+5+6=20](HP: MP: )
■ナルラ > 出た賽の目を見れば少々まゆを寄せる。
「4のワンペア、あまりよい内容ではないな」
勝負を始めたのはいいが、あまりいい出目ではなかったので軽くため息をつく。
一応役を形成はしてはいるが、ポーカーとしては弱い手札だ。
■アリア > どうやら相手はワンペアだ、だけど役は出来ている。
油断はしない、役の一つでも出来ればいける可能性は高い。
「ほな、次はうちの番やな…いくで!」
手にしたサイコロ、次は自分が振る。
本来の能力を使えていれば、イカサマはどちらも確実に使えなくなっていたが…
どちらにしたって相手がそれをした様子は見られなかった。
なら、自分も正々堂々とやるまで…手からサイコロが落ちる。 [5D6→2+2+3+5+6=18]
■アリア > 落ちたサイコロの出目は…ワンペア、だが数が小さい。
その結果を見れば、困ったように頬を指で掻いた。
「うっわ、なんや最近はここぞという時にこんな調子やな…」
能力は使ってない、強制力は働かない。
それでも約束を反故するつもりも当然ないのだ。
テーブルに置かれた契約書を手に取れば、書く物を寄越せと右手を差し出す。
■ナルラ > 彼女の落とした賽の目、その内容を見ればほっとしたため息をついた。
だが、なにか久しぶりにゾクゾクした感覚、いや高揚感も心の底から沸き起こっていた。
「まあ、派手な勝負が全てではないな、ギャンブルは特に」
そう言って誓約書を彼女に渡し、そしてペンを渡す。
この時ナルラは初めて彼女の名を知ることになるだろう。
「まあ、今回はこのゴールドカードはおあずけだが、また勝負をしよう。
その時は何を賭けるか、その賭けの対象を用意してくれ」
■アリア > 「当たり前や、ギャンブルはスリルを味わうものであって派手さを争うものやないんやからな?」
受け取ったペンを契約書へと滑らせるようにして名前を刻む。
フルネームなんてものは滅多に名乗る事もない、名前だけだが。
書き終われば、それを突き放すように相手へと差し出す。
「ほれ、出来たで、これでええやろ?
これで今日からうちはここのディーラーや、好きに扱えばええ。
そんでも約束通り、ここぞの勝負と大事な接待だけやで?
ショボイ勝負や下らない接待に駆り出したりしたら、オーナー様でもしばいたるからな?」
ふんっ、と鼻を鳴らしながらきっぱりと言い切る。
相手の立場なんて知ったものではないと、そんな感じに。
「なんや、入場パスのチャンスはまだあるんかい。
そないなら、また考えとくわ」
負けたばかりだというのに、それを気にした感じも無い。
勝敗の決着を後々に引き摺るような事はしない、それが自分だ。
また狙えるのだと知れば、いずれ挑戦はするだろう。
■ナルラ > 契約書を受け取れば、ほほ笑みそれをカジノの支配人を呼び大切に保管させる。
「面白かったぞ、アリアお前との勝負は……だからまたやろうな。
まあ、私の夜の相手を早速頼みたいところだが今日は一旦引き上げさせてもらおう」
そう言ってカードを懐にしまえば、グラスの酒を空にし、ゆっくりとその場を去っていく
「まあ、近々夜の相手の指名を出す、あとこのカジノの食客であれば提携の宿を格安で使えるぞ。
生活費をそれで節約し、またカジノで派手に遊ぶと良い」
■アリア > 「ま、今日の運がオーナー様に傾いただけの事や、調子に乗っとったらあかんで?
なんや、ほんまに早速やな…そん時はしっかり指名しや、ちゃんと相手したったる」
残ったジュースを飲み、グラスを置く。
去っていく相手を見送りつつ、自分もそろそろ戻ろうかと腰を上げる。
しっかりと金の詰まった袋も持って。
「聞いてへんわ…提携の宿ってどこやねん。
今泊まってる宿でも大丈夫なんやろか…」
出る前に、それは誰かに聞いた方が良いだろう。
そう考えながら、続くようにその場を後にした。
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール” カジノ」からナルラさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール” カジノ」からアリアさんが去りました。