2021/09/12 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にロイスさんが現れました。
ロイス > 困った。
これは、困った。
冒険者ロイスは、闘技場の大歓声を前に、唖然としていた。

王都を中心として活動しているこの男は、さりとて配達依頼などの関係で、海の玄関口であるダイラスにはちょくちょく出入りはしていたのだが。
依頼達成の報告の為、ダイラスの冒険者ギルドに出向いたところ、緊急の依頼を押し付けられたのである。
最初は、戦闘員が必要な依頼との事で、モンスターでも出たのだろうかと気楽に身構えていたのだが、気づけばここに立っていた。

「参ったな。正直、対人戦はあまり専門じゃないんだけど……」

出来ない訳ではないが、それを振るう機会など精々盗賊狩りの時ぐらいしかない。
こんな、大観衆の前で、しかも一対一でとなると、全く自信がない。
――とはいえ、男は気軽に身構えていた。
別に、負けた所で死ぬわけではないらしいし、そもそも誰に迷惑がかかる訳ではない。
もしかしたら、負ければ多少噂にはなるだろうが、元々地味な実績しかない身である。
敗けたからといって傷つくような名誉はハナから持っていないし、敗けたからといって揺らぐ程脆い実績を積んだ覚えもない。

「まあ、そう考えると、別に良いか――」

どうやら、対戦相手の準備も整ったらしく、選手入場口が開く。
気を取り直して、戦う準備をする